OLYMPUS AIRの進化を探れ!
第3回:レゴでカメラボディを作ってみた
レンズとファインダーもレゴブロックでDIY
Reported by 糸崎公朗(2016/2/23 08:00)
〜前回までのあらすじ〜
レンズのような形のレンズ交換式デジカメ「OLYMPUS AIR A01」がテーマの本連載。初回ではOLYMPUS AIRの誕生経緯や発展の可能性を紹介し、第2回ではAIR用に開発されたスマホアプリでひと味違った撮影アイデアを検証した。
集中連載の最後を飾るのは、本誌「切り貼りデジカメ実験室」でお馴染みの糸崎公朗氏。氏のDIY原体験でもあるレゴブロックに着想したカメラの形を、OLYMPUS AIR A01で具現化してもらった。(編集部)
私が連載している切り貼りデジカメ実験室では、2015年4月に「OLYMPUS AIR A01で“ロケットランチャースタイル”」という記事を書いたのだが、今回はそれに飽き足らず、OLYMPUS AIRのさらなる可能性について考えてみた。
さて、AIRにはその楽しみ方の一つとして「DIY CAMERA KIT」というものが提案されている。簡単に言えば、段ボール製のカメラボディ組み立てキットで、これにOLYMPUS AIR A01とスマートフォンをセットすれば、様々な撮影スタイルが楽しめる。
さらにユニークなのは、キットにシンセサイザー「OTOTO」と連携できる点だ。微弱な電流に反応し音を鳴らすシンセサイザーで、電気を通すものならなんでも楽器にできる。また、専用スマホアプリをインストールすれば、OTOTOに繋げたクリップの一端をOLYMPUS AIRの各種操作ボタンにできる。これによって、例えばバナナにクリップを繋げてシャッターボタンにしたり、水の入ったコップを露出補正ボタンにしたり、といった一風変わった操作体系のカメラを作れるなど、さまざまな可能性がDIY CAMERA KITにはある。
実を言うと、この企画の当初の依頼は「糸崎さんにはOLYMPUS AIRとDIY CAMERA KITを使って何かやってほしい」というもので、私もその気でいたのだった。
しかしあらためてDIY CAMERA KITを手に取るとなかなか完成度が高く、このキットを使ったワークショップも行われていて、私が手を加えるまでもなくもう十分に楽しまれている印象を受けた。そこでちょっと方針を変更させてもらって、レゴブロックとOLYMPUS AIRを組み合わせて、私なりの楽しみ方を提示させてもらうことになった。
レゴはブロック玩具の定番だが、あらためて調べると「レゴ(LEGO)」とはデンマークの玩具メーカーのブランドであり、商標はあくまで「レゴブロック」なのだそうで、1949年からの歴史がある。
かくいう私も子供のころはレゴブロックでよく遊んだのだが、規格品のブロックを組み合わせ、さまざまなものを作るレゴ遊びの経験は、現在の自分にも少なからず影響を与えている。
そして今回は、DIY CAMERA KITに刺激を受けたこともあって、OLYMPUS AIRとレゴブロックを組み合わせてみることにしたのだ。考えてみればOLYMPUS AIRはそれ自体がレゴブロックのような存在で、だからこそ両者は相性が良いはずだ。
そこで、レゴブロックを買いにレゴブランドストア「レゴ クリックブリック」に行ってみたのだが、現在のレゴブロックは自分が子供だったころよりずいぶん進化し、リアルなものが作れる代わりに各ブロックが特殊化、多様化し、私にはどうも扱いにくそうだ。
しかしその中で「レゴ クラシック」というシリーズがあるのを見つけたのである。これは昔ながらの基本ブロックがセットになっていて、これなら自分が子供のころの経験を活かすことができそうだった。そこで今回は「レゴ クラシック アイデアパーツ<エクストラセット> 10702」(583ピース)というのを購入し、OLYMPUS AIRと組み合わせることにした。
レゴ+OLYMPUS AIRカメラの製作
カメラの使用感と実写作品
こうして完成した「レゴ+OLYMPUS AIR」カメラは、外見のインパクトはなかなかスゴイが、iPhoneのアプリでOLYMPUS AIRを操作すること自体は変わらない。いっぽうで、「レゴ+OLYMPUS AIR最小セット」は操作感そのものが新鮮で意外な面白さがあった。いちおう透視ファインダーは付いているが視野はかなりアバウトで、しかもデジカメなのに撮った画像をすぐに見ることができないのだ。
おまけに100円のルーペを利用したレゴレンズは、ビックリするほど個性的な描写をするのだ。このレンズの焦点距離を14-42mmの標準ズームレンズとの比較で実測すると、約32mm(35mm判換算64mm相当)のちょっと長めの標準レンズと言える。絞りは5mmの穴を開けたのでF値は6.4ということになる。
ピントは無限遠に固定だが被写界深度はけっこう深く、画面中心部はけっこうピントがシャープでおどろく。しかし周辺部はかなりピンぼけになり、普通に撮ってもジオラマモードのように写り、これまたおどろいてしまうのだ。ルーペは撮影用レンズとしての収差補正が全く考慮されないため、このような写りになるのだが、これはこれで面白い表現になり、新たな発見となった。
今回は「レゴ+OLYMPUS AIR」カメラとして2つのタイプを製作したが、どちらもそれぞれに楽しさがある。まさに子供のころ培った「レゴ脳」と、大人になった私の技術とのコラボ作品だと言えるだろう。もちろんこれらはOLYMPUS AIRを用いた創造のほんの一例に過ぎず、その可能性が無限に広がっていることが、あらためて判明したのである。
編集部より:まとめとお知らせ
オープンプラットフォームカメラであるOLYMPUS AIRは、メーカーのみならずクリエイター、デベロッパー、ユーザーによる協創で進化を続けていることが、今回の連載を通じておわかりいただけたかと思う。未来のカメラの形を模索する活動はこれからも続く。
なお、CP+2016のオリンパスブースで、この記事で製作されたOLYMPUS AIR+レゴカメラを展示することが決まった。来場の際は、OLYMPUS AIR A01のタッチ&トライとともに楽しんでいただきたい。
CP+2016は、2月25日(木)から2月28日(日)までパシフィコ横浜で開催。時間は10時〜18時(初日は12時から、最終日は17時まで)。CP+公式Webサイトからの事前登録で入場無料。
制作協力:オリンパス