新製品レビュー
“高機能”レンズ一体型カメラ特集:ニコン COOLPIX P1100
超望遠3,000mm相当を撮影 日常から特殊なシーンまでをカバーする1台
2025年12月31日 17:00
「COOLPIX P1100」は、2025年2月に発売された、1/2.3型センサーを搭載するレンズ一体型デジタルカメラである。
35mm判換算24-3,000mm相当、125倍に及ぶ超高倍率ズームレンズを搭載。加えて「ダイナミックファインズーム」と名付けられたデジタルズームを活用すれば、6,000mm相当の超望遠撮影にも対応するとしている。
野鳥や天体といった一般的な装備では難しい被写体を、比較的コンパクトなボディで捉えられる点が、このモデルならではの魅力だ。
外観・仕様・装備
レンズ収納時の外形寸法は、約146.3×118.8×181.3mm。質量は約1,410g(カード、バッテリー含む)となっている。手のひらに収まるかといわれるとうなずけない大きさだが、3,000mm相当までをカバーする超高倍率ズームレンズを搭載していることを考えれば、十分に納得できるサイズ感だ。
搭載するレンズは前述の通り、焦点距離4.3-539mm(35mm判換算で24-3,000mm相当)、開放F2.8-8の超高倍率ズームレンズである。レンズとボディ が無理なく一体化したデザインでまとめられている。
望遠端3,000mm相当までレンズを伸長した状態が下の画像だ。全長は相応に長くなるものの、3,000mm相当と考えれば、十分に現実的と言ってよいだろう。
開放絞り値はF8まで暗くなるが、光学式手ブレ補正機構が内蔵されているため、手持ち撮影であっても手ブレを抑えてくれると感じた。
モードダイヤルには、本モデルならではの「鳥モード」と「月モード」が用意されている。ダイヤルを合わせるだけで、野鳥や月の撮影に適した設定へと切り換わるため、急に野鳥が現れた場合や、月を撮りたいものの設定に迷うといった場面でも、直感的に対応できるのが便利だ。
EVF(電子ビューファインダー)もしっかりと搭載している。特に超望遠撮影では、カメラを額で支持して安定させられるため頼りになる装備だ。約236万ドットというのも、必要十分な仕様だといえる。
液晶モニターは3.2型約92万ドットのバリアングル式。ローアングル撮影とハイアングル撮影がやりやすいだけでなく、本モデルで動画撮影を行う場合にも便利に活用できるだろう。
ストロボを内蔵しているのは嬉しい点だ。ただし、2,000mm相当より長い焦点距離は調光範囲外となるので注意が必要だ。
作例
光学ズームで最望遠となる3,000mm相当で撮影した作例である。遠く小さく、距離を詰めることが難しい野鳥を記録するのに、本機は有効な選択肢のひとつとなる。これほどの超望遠撮影を、特別な準備を必要とせず手持ちで行えてしまう点に、スモールセンサーを採用したレンズ一体型カメラの存在価値をあらためて実感させられる。
同じシーンで「ダイナミックファインズーム」を使用し、カワセミのディテールをさらに大きく捉えてみた。デジタルズームではあるが、先鋭度や画素数の低下をできるだけ抑えつつ拡大処理を行ってくれる。さすがにやや荒れるものの、「もう少し大きく撮りたい」という率直な欲求に、実用的な答えを返してくれる機能だ。
ワイド端の24mm相当で撮影。超望遠撮影が注目される本モデルだが、一般的な画角も手を抜いていない。ワイド端を28mm相当ではなく、現在のズームレンズで大勢を占める24mm相当としたことは、その姿勢を示している例だろう。
44mm相当でスナップ撮影を楽しんでみた。野鳥や天体といった、ある意味特殊な被写体を得意とする本モデルだが、高倍率ズームの中間域も自在に使えるということでもある。目的の被写体が目前に現れるまでの合間に、身の回りの何気ない光景を写真として残していく、そうした使い方が自然に成立する点も本モデルの懐の深さといえるだろう。
まとめ
一眼レフやミラーレスでは専門的な装備になりがちな超望遠撮影を、より手軽に実現できるのが本モデルである。
同様のコンセプトのカメラはこれまでも存在したが、本モデルでは最新技術を取り込みつつ、ユーザーの要望に応える機能が丁寧に整理されている。その結果、単なる話題性にとどまらない、実用性の高い1台に仕上がっている。
1台でカバーできる範囲がとにかく広い。超望遠の世界から日常の何気ない場面まで幅広く対応できる。その自由度の高さこそが、本モデルを使う上での最大のメリットだろう。















