ミニレポート
Apple Watchを外付けファインダーにしてみた
(OLYMPUS AIR A01)
Reported by 伊藤浩一(2015/7/13 11:30)
レンズスタイルのマイクロフォーサーズカメラ「OLYMPUS AIR A01」(以下、OLYMPUS AIR)。本誌でのレビュー後も、あれこれと楽しい撮り方を研究している。
例えば、Turtlebackブラケットを利用してiPhone 5sを合体させたり、三脚穴を利用してライカのイマレクトファインダー(編注:レンジファインダーカメラ用の正像ユニバーサルファインダー)を付けて撮影したりしている。
こんな楽しみ方のできるOLYMPUS AIRの魅力は、ユニークなレンズスタイルだけでなく、オープンプラットフォームで、アプリや周辺機器の開発が自由にできることだ。先日、開発者向けのイベント「第4回OPC Hack & Make Gathering」に参加してきた。
イベントでは、様々な周辺機器やアプリが展示されていたが、会場を見学していると、OLYMPUS AIR用のスマートフォンアプリを開発しているオリンパスソフトウェアテクノロジー株式会社の方から声をかけられた。
「Apple Watchを使っていますね。来場者の方で、Apple Watchを使っている方がいないか、探していたんですよ」
私は、Apple Watch Sportを愛用しており、イベント当日も腕に付けていたので、目についたらしい。
「OLYMPUS AIRとApple Watchを連携するアプリ『AirRecipe』を公開しているのですが、デモをしてもいいですか?」
早速、「AirRecipe」のデモンストレーションをしていただいたのだが、Apple Watchが、OLYMPUS AIRのビューファインダーの代わりになってしまう驚きのアプリだった。
仕組みとしては、OLYMPUS AIRとiPhoneを接続状態にした上で、iPhone側の「AirRecipe」を起動すると、Apple Watchの「AirRecipe」アプリ上で操作ができる、という仕組みだ。言葉で説明すると複雑だが、Apple WatchでOLYMPUS AIRを操作するのはとても楽しい。
「OLYMPUS AIRとiPhoneは、Bluetoothで認証した後に、無線LAN接続となります。iPhoneとApple Watchの接続は、仕様は良く分かっていません。とりあえず、iPhoneを介して、OLYMPUS AIRとApple Wacthが繋がるアプリです」
「AirRecipe」アプリはApp Storeで公開されているということなので、早速ダウンロードして使ってみた。OLYMPUS AIRは、スマートフォン上のアプリと連携して(OA.Centralなど)撮影するスタイルだ。iPhoneとOLYMPUS AIRを接続した後に、Apple Watchでアプリ「AirRecipe」を起動すると、Apple Watchがビューファインダーとなり、シャッターが押せる。
OLYMPUS AIRとApple Watchが連携してしまえば、iPhoneは鞄にしまった状態で、Apple WatchにてOLYMPUS AIRの操作が可能となる。つまり、片手にOLYMPUS AIRを持ちながら、腕に装着したApple Watchがビューファインダーになる、というスタイルだ。
実際は片手にOLYMPUS AIRを持っているため、Apple Watchを腕に付けた状態でアプリのシャッターボタンを押すのは難しく、OLYMPUS AIR本体のシャッターボタンを押すか、もしくはApple Watchを手で持ってシャッターボタンを押すスタイルとなる。
そうしているうちに、よからぬことを思いついてしまった。
「Apple Watchのバンドを外して、OLYMPUS AIRの背面に張り付けると、最小のマイクロフォーサーズシステムができるのでは?」
思い立ったら、早速、実行。Apple Watchのバンドを外して、とりあえずガムテープで付けてみた。Apple Watchは軽いので、ガムテープくらいの粘着力で十分なようだ。できれば、マジックテープなどで固定したいところだが。
OLYMPUS AIRのスマートフォンのマウント部分に貼り付けると、これもまた使いやすいスタイルとなった。
Apple WatchをOLYMPUS AIRに貼りつけて、実際に操作してみると、さすがに操作性としては、あまりよくない。Apple Watchのディスプレイは、普段オフになっているが、画面オンにするためには、Apple Watchを自分に向ける必要があるためだ。撮影しようとOLYMPUS AIRを構えても、一度、自分にApple Watchを向けないとディスプレイが表示されないので、また構え直しになる。さらに、5秒経過すると画面オフになってしまうため、急いでシャッターを押さないと、ディスプレイが消えてしまう。
また、iPhoneとOLYMPUS AIRは無線LAN接続のため、ライブビュー表示に多少の遅延があるが、それをさらにApple Watchに転送するため、遅延が多めになる。
しかし、何と言っても楽しい!操作性の問題はあるが、Apple Watchが貼りついたOLYMPUS AIRで撮影しているだけで、ワクワクしてくる。新しいカメラのスタイルを実現しているような気分になってくる。
気分だけではなく、メリットもある。レンズスタイルのカメラということで、片手でフリーアングルで撮影したいことが多い。その場合は、なるべく軽いスタイルで撮影したいため、OLYMPUS AIR単体でノーファインダーで撮影している。例えば、地面すれすれのローアングルで撮影したり、腕をいっぱい伸ばして撮影するようなシーンだ。
そんなシーンでは、Apple WatchをOLYMPUS AIRの背面に貼りつけても、軽快性は変わらず使用ができ、さらにApple Watchがファインダー代わりになるため、使いやすい。特に、雨の日に傘を差しながら、片手でOLYMPUS AIRにて撮影する場合、便利になった。
Apple Watchと連携できるアプリは他にもリリースされていて、例えば「AirLiveView」はライブビュー機能に絞ったアプリで、ライブビューの画像サイズを選択できる機能がある。
スマートフォンと連携できるOLYMPUS AIRが、Apple Watchとさらに連携することで、新しい撮影スタイルが実現できた。Apple Watchは、今後、Apple Watch単体で動作するアプリや、Wi-Fi機能の対応拡大が期待できるだろう。そうした場合、OLYMPUS AIRをApple Watch単独で操作できる時代がくるかもしれない。
オープンプラットフォームのOLYMPUS AIRならではの広がりを今後も期待したい。