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オールドデジカメの凱旋:富士フイルムFinePix F10(2005年)

Reported by 吉森信哉

 この連載でこれまで紹介したカメラたちは、いずれも都内の中古カメラ店で購入したモノである。でも、今回の「出会いの場」は、中古カメラ店じゃない。自宅近くに1軒のリサイクルショップがあるんだけど、家族で出かけた帰りにその店に立ち寄って、興味深いモデル(しかも安い!)を見つけて、思わず買ってしまった。そのモデルは富士フイルム「FinePix F10」。独自の撮像素子「スーパーCCDハニカム V HR」を搭載した630万画素(最大記録画素数は610万画素)のコンパクトデジタルカメラである。発売されたのは2005年3月で、当時の価格は5万円前後……だが、今回見つけたブツは、元箱・付属品完備の良品で「3,900円」という安さだった。

 FinePix F10は、高感度画質で有名になった製品。1/1.7型・有効630万画素「スーパーCCDハニカム V HR」と「リアルフォトエンジン」を搭載、高感度でもノイズの少ない高画質が得られる…というのが、最大の売り文句だった。ISO1600で最大解像度での撮影が可能という点も、当時のコンパクトデジカメとしては画期的だった。そうそう、2005年あたりのコンパクトデジタルカメラだと、最高感度がISO400までが一般的だったよなぁ。

 搭載レンズは、36-108mm相当(35mm判換算)の光学3倍フジノンズームレンズで、開放F値はF2.8-5。最短撮影距離は、通常は60cmで、マクロ時は7.5cm(広角)と30cm(望遠)。約1.3秒の高速起動や、シャッタータイムラグ最短0.001秒などのレスポンスは、「リアルフォトエンジン」によるものだ。

あまり特徴的な部分はないが、シンプルでスタイリッシュなデザイン。上面の電源ボタンを押すと、斜めに閉じていたレンズカバーが瞬時に水平状態に開く。何だかカッコイイよ!
前面の右下隅には「スーパーCCDハニカム」の搭載を示すエンブレムがキラリ!!

 露出補正は±2(1/3ステップ)。シャッター速度は3〜1/2,000秒(メカニカルシャッター併用)だが、シーンポジションの「夜景」時には3〜15秒の長時間露光が可能になる。

十字ボタンの中央の「MENU/OKボタン」を押すと現われるメニュー表示(各項目が2つのタブに配分されている)。露出補正操作などは十字ボタンに割り振る場合が多いが、FinePix F10ではこのメニュー内に組み込まれている
露出補正の呼び出し自体は、そんなに面倒じゃない(メニュー1ページのいちばん上にあるし)。だけど、十字ボタンの右押しで項目選択をしてから補正操作に入るので、頻繁に操作しようとすると、ちょっと面倒に感じるかも……

 モニターは2.5型で約11.5万画素のTFTカラー液晶モニター。プレスリリースには「大画面2.5型」とあるが、確かにこの頃は、まだ1.8型くらいのモニターを搭載するモデルがゴロゴロしてたからね。

 ただし、再生ズーム(拡大)の最大倍率が約4.5倍と低いため(610万画素での撮影)、細部チェックには少し不満を覚える。しかも、この液晶モニターは11.5万画素と、さほど高精細じゃないし……。

奥行き27.3mmという数値の割には厚みを感じるボディ。あ、これはグリップ部の膨らみを除外した数値のようだ。まあ、この厚みも少し懐かしいテイストと言えなくもない……かな

 記録媒体は、微妙に懐かしいxDピクチャーカード。記録フォーマットは、静止画はJPEG、動画はAVI形式MotionJPEG(最大640×480ピクセル・30fps)。電池は、充電式リチウムイオン電池の「NP-120」。大きさと重さは、92.0×58.2×27.3mm、約155g(本体のみ)。

 先ほど「2005年あたりのコンデジだと、最高感度がISO400までが一般的」と述べたが、そのISO400で撮影すると「ノイズがハンパない!」というカメラが多かった。……というか、大半のカメラはそうだった。そういう時勢に登場した、FinePix F10の高感度性能は実に画期的であった。まあ、最高感度ISO1600の画質は少しツライけど、1段落としたISO800あたりの画質なら十分イケる。ISO400だとかなり余裕!! こう言っちゃあナンだけど、その当時はデジタル一眼レフカメラ(APS-Cサイズ機)の中にも、ISO400〜800あたりの画質が怪しいモデルもあったからなぁ。

 あ、このカメラには、優れた高感度性能とは別の、大きなウリがあるんだよね。それは電池寿命の長さ。充電式リチウム電池を使用するコンパクトデジカメだと、現在のモデルも以前のモデルも、フル充電で撮れる枚数はだいたい200枚台くらい(CIPA基準で。以後のデータも同様)。だが、FinePix F10の場合は約500枚も撮れる。事実、フル充電して撮影に出かけると、一般的なコンパクトデジカメの2倍くらいの枚数が撮れちゃう感じがする。この充電池も新品ってワケじゃないから、それなりに寿命は短くなってるハズなんだけど、それでも持ちの良さには感心した。

 ただし、これは以前にレポートした「CAMEDIA C-5050 ZOOM」と同様の現象なんだけど、電池を抜くと日時設定や各種設定がクリアされてしまう。使用説明書には「ACパワーアダプターを接続またはバッテリーを入れて約2時間以上経過していれば、カメラから両方とも取り外しても、約6時間保持されます」って書いてあるんだけどねぇ。

 まあ、ボディ底部を上にしてバッテリーカバーを開けただけではクリアされないから(バッテリーの接点が本体から離れなければOK)、xDピクチャーカードを抜き差しする際に注意すれば大丈夫。それに、このカメラのバッテリー充電は、ACパワーアダプター+マルチコネクターをカメラ本体に接続する方式だから、バッテリーを抜く必要もない。だから、そう不便に感じることはなかった。

これも少し懐かしい感じの背面レイアウト。おおっ、液晶モニターの右側スペースがこんなに広いのねっ! ズームボタン下の丸いくぼみがホールド時に安定感を高めてくれる 底面。三脚用ねじ穴の右側(バッテリーカバーの反対側)にある9個の穴はスピーカー
記録媒体はxDピクチャーカード。付属の充電式リチウムイオン電池「NP-120」は、1,950mAhの高容量タイプ

 ちなみに、電池寿命の長さに関しては、FinePix F10以降もしばらく継承されていく。同充電池(NP-120)を使用する後継モデルFinePix F11も約500枚である。そして、次のモデルFinePix F30と、その次のモデルFinePix F31fdに至っては、約580枚という数値を叩き出している(充電池はNP-95)。……だけど、FinePix F31fd以降のモデルになると、ボディのスリム化に合わせて充電池も薄型タイプになり、撮影可能枚数も200枚台くらいと、ごく普通のスペックになってしまった。残念だけど、まぁ致し方ないですわ。

ストロボ側の側面下部には「マルチコネクターアダプター接続端子」あり。ここにマルチコネクターとACパワーアダプターを接続してバッテリーを充電する。反対(グリップ側)の側面には「ストラップ取り付け部」がある。この取り付け部、自由に回転するちょっと凝った作り(?)になっている
ちょっと厚みはあるけど、手にした際のフィット感はなかなか。まあ、表面処理の関係で、ちょっと滑りやすい気もするけど。う〜ん、上面部のヘアライン加工がシブいね

 操作性に関しては、FinePixお得意の「フォトモード(F)ボタン」が特徴的。このボタンを押すことで、ピクセル(記録画素数)、感度、FinePixカラー、を設定できる。あと、一般的な十字ボタンも装備していて、その各ボタンで、マクロのON/OF、ストロボ設定、画面明るさアップ、セルフタイマー、の設定が行なえる……けど、押すたびにダイレクトに設定が変わってしまうので(呼び出し方式ではない)、不用意に触らないよう注意する必要がある。そして、十字ボタン中央の「MENU/OKボタン」を押すと、露出補正、ホワイトバランス、連写、AFモード、などの項目が呼び出せて設定することができる。

「フォトモード(F)ボタン」を押すと、ピクセル(記録画素数)、感度、FinePixカラー、の3つの項目(機能)が呼び出せる。あ〜、この頃のカメラだと項目数も少ないね。ちなみに、現在のモデルだと、FindPixカラーの項目は「フィルムシミュレーション」に置き換わっている

 コンパクトデジカメは、あまり高感度で撮影できない。高感度に設定できても、記録画素数が大幅に少なくなったり、画質がかなり劣化する。そんな従来のコンデジの常識を覆したFinePix F10は、間違いなくコンデジ史に名を残す名機である。ズームレンズの広角側の画角が物足りない、厚みのあるボディ、細密感がイマイチな液晶モニターなど、現在の基準でみると不満に感じる点はいくつかある。だけど、現在のコンパクトデジカメに負けない……いや、むしろ勝ってるかもと、思わせる高画質っぷり(高感度画質だけでなく)は、「ああ、高級コンパクトデジカメでなくても、上質な画像が得られるモデルはあったんだよなぁ」と、あらためて感心したのである。

画像再生時の表示切り換えは、DISP/BACKボタンを押して行なう。文字表示あり→文字表示なし→マルチ再生→日付再生→(文字表示あり、に戻る)…というローテーション。だが、文字表示ありを選択しても、その画像が表示された3秒後くらいには、文字が自動的に消えてしまう(再生モードとバッテリー残量警告、以外が)。おいおい、切り換えた意味ないぞー!
「マルチ再生」と「日付再生」。総撮影枚数と選択画像が何枚目かは、日付再生モードの状態で確認できる

実写サンプル

  • 作例のサムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像をダウンロード後、800×600ピクセル前後の縮小画像を表示します。その後、クリックした箇所をピクセル等倍で表示します。

・画角変化

36mm相当 108mm相当

・ISO感度

 絵柄のせいもあるけど、ISO800くらいまでノイズはさほど目立たなく細密部の描写もなかなか優秀。また、画素数的に無理していないせいか(現在と比較した場合)、低感度時の描写もかなり優秀。

ISO80 ISO100
ISO200 ISO400
ISO800 ISO1600

 実は、個人的に「FinePix F200EXR」(2009年2月発売)を持ってたりする。そのカメラに搭載されるEXR優先モードのひとつ「高感度・低ノイズ優先」のISO1600で撮影したカットと、「FinePix F10」のISO1600で撮影したカットを見比べてみた。露出レベルや色味の違いはさておき、意外とノイズ感や細密感に違いが見られた。FinePix F200EXRの方がシャープ感が高いのだ。まあ、画面全体のざらつきも感じられるけどね。FinePix F10の方は、ざらつきが上手く抑えられているが、少しほんわかしたソフトっぽい描写。

「FinePix F10」のISO1600 「FinePix F200EXR」のISO1600

・FinePixカラー比較

F-スタンダード F-クローム
F-B&W

・作例

FinePix F10 / 約3.2MB / 2,848×2,136 / 1/800秒 / F8 / -0.3EV / ISO80 / 8mm / F-クローム FinePix F10 / 約2.9MB / 2,848×2,136 / 1/200秒 / F5 / 0EV / ISO800 / 24mm
FinePix F10 / 約2.9MB / 2,848×2,136 / 1/100秒 / F5 / 0EV / ISO400 / 24mm / F-クローム FinePix F10 / 約2.7MB / 2,848×2,136 / 1/400秒 / F8 / 0EV / ISO200 / 24mm / F-クローム / マクロ
FinePix F10 / 約2.8MB / 2,848×2,136 / 1/400秒 / F5.6 / +0.3EV / ISO80 / 8mm / マクロ FinePix F10 / 約2.8MB / 2,848×2,136 / 1/320秒 / F2.8 / +0.3EV / ISO200 / 8mm / F-クローム / マクロ
FinePix F10 / 約2.7MB / 2,136×2,848 / 1/30秒 / F5 / 0EV / ISO800 / 24mm / F-クローム FinePix F10 / 約2.8MB / 2,848×2,136 / 1/20秒 / F2.8 / +0.3EV / ISO800 / 8mm / F-クローム
FinePix F10 / 約2.7MB / 2,848×2,136 / 1/50秒 / F2.8 / 0EV / ISO800 / 8mm / F-クローム





吉森信哉
(よしもりしんや)1962年広島県庄原市出身。東京写真専門学校を卒業後、フリー。1990年からカメラ誌を中心に撮影&執筆を開始。得意ジャンルは花や旅。1970年代はカラーネガ、1980年代はモノクロ、1990年代はリバーサル、そして2000年代はデジタル。…と、ほぼ10年周期で記録媒体が変化。でも、これから先はデジタル一直線!? 自他とも認める“無類のコンデジ好き”

2012/1/24 00:00