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オールドデジカメの凱旋:ソニーサイバーショットDSC-R1(2005年)

〜ソニーらしさ全開! 巨大ボディ+大判センサーの異端児
Reported by 吉森信哉

ソニーサイバーショットDSC-R1。2005年11月発売。発売当時の価格は12万円前後

 構想ン年。浮かんでは消え、消えてはまた浮かび、そんでもってまた消える……。そんな紆余曲折を経て、ついに実現しました! デジカメWatch的「中古デジカメ購入&実写レポート企画」。そのレポーターを務めることになったのが、ワタクシ「おカメラ大」…もとい(苦笑)、吉森信哉でございます。

 この手の企画といえば、カメラ雑誌「CAPA」(発行:学研パブリッシング)で長期連載されている「おカメラ大王の オタンコ中古学園」が思い浮かびますね。ただし扱うブツは銀塩カメラが中心。一方この連載では、デジカメ使用歴十数年のワタクシが、発表・発売当時に話題となった魅惑(?)のデジタルカメラを、中古市場で見つけて購入します。そして、当時のエピソードや個人的な思い出なども踏まえながら、そのカメラが持っている魅力を熱く語っていきたいと思います……と、丁寧な「ですます調」はここまで。ここからは、いつものように「なれなれしい口調」でいくよ〜(笑)。


突如として現れたスゴイ奴

 今回は記念すべき第1回目なので、中途半端な製品は選びたくないゾ!! と、自分で勝手にハードルを上げたせいで、中古カメラ店を何軒回っても同じ店を何回訪れても、「これで決まりっ!」と即決できるようなブツに出会えない日々が続いたのである。

 そんなボクの前に、突如として現われたのが、ソニーが誇る超弩級ハイエンド一体型マシン(←この表現、かっこいいナァ)の「サイバーショットDSC-R1」である。コレはスンゴイぞ!! ちょっと待て、2〜3日前に来た時には置いてなかったよな、こんなカメラは。こういった偶然の出会いも、中古カメラ探しの醍醐味だったりするんだよねー。

 さっそく店員サンに声をかけて見せてもらう。お〜っ、コレは使用感がほとんどない上物じゃないの!! しかも、元箱も含め備品も大体揃っている(ストラップのみ欠品)。気になるお値段は「2万8,350円」。う〜ん、中古のレンズ一体型デジタルカメラとしてはとしては少し高い気もする。でも、発売時の価格は12万円前後とけっこうゴージャスなカメラだったから、それを考えると妥当な値段かもしれない。

 さて、このサイバーショットDSC-R1。何がスンゴイのかというと、他に類を見ない独特なデザインと、存在感ありまくりのサイズがスンゴイのである。まず、本体上部のストロボを内蔵する部分の広大さにビックリした。いやぁ〜、ほんとスンゴイわぁ、あの表面積が(笑)。そして、その広大な面積内には、内蔵ストロボだけでなく回転式のフリーアングル液晶モニターも搭載しているのである。

三脚使用時にも使いやすい、本体上面部に配置されたフリーアングル液晶モニター。実際に「上開き」スタイルで使用すると、不思議とファインダー下に位置する通常の液晶モニターよりも見やすい感じがするんだよネ。そう、何となくホッとするような感覚でネ……

 シャッターボタンやアクセサリーシューを装備するグリップ部がまたユニーク。先ほど触れた「本体上部」とレンズ鏡筒部の一体感に対して、このグリップ部の存在感というか一体感のなさもスンゴイですヨ(笑)。そう、上から見ると、本体部パーツとグリップ部パーツがつなぎ合わせれているみたいでね(背面側から見たら、そうでもないんだけど)。

 ちなみに、サイズは139.4×97.7×156.0mm(幅×高さ×奥行き、突起部を除く)で、装備一式の重量は約1,047g。どうよ、この一眼レフカメラ顔負けの存在感は!? この斬新なフォルム&ゆとりの大盛りサイズのおかげで、カメラバッグにどう収納すればイイのか、途方に暮れてしまいますヨ(苦笑)。

液晶モニターを上にしてフリーアングル液晶モニターを本体に畳むと、何となくペンタックスZ-1を彷彿とさせる姿に。グリップ部に配置されたアクセサリーシューとかもZ-1っぽいゾ ズームレンズの画角が近いということで「AF-S DXニッコール16-85mmF3.5-5.6G ED VR」を装着したニコンD7000と並べてみた。負けてません! ええ、むしろ勝ってるくらいですヨ、モノとしての存在感は!!

APS-Cサイズに迫る大判CMOSセンサー。フリーアングル液晶もGOOD

 サイバーショットDSC-R1が発売されたのは、2005年11月のこと。実はこの頃、ちょうど“高性能&高級コンパクトデジカメの衰退期”にあたる時期だった。前年の2004年には各社から高性能&高級機が発売されたが(オリンパスC-8080 WideZoom、キヤノンPowerShot G6・同Pro1、コニカミノルタディマージュA200、ニコンCOOLPIX 8400・同8800、など)、2005年以降はこのタイプの製品が登場していない。

 その一方で、オリンパスE-500、キヤノンEOS Kiss Digital N、コニカミノルタα-Sweetデジタル、ペンタックス*ist DLなど、各社からボディ価格が10万円を切るデジタル一眼レフカメラが発売されている。そう、これら安価なデジタル一眼レフの台頭によって、高性能&高級コンパクトデジカメは、その存在価値が次第に希薄になってきたのである。

 そんな時期に登場したサイバーショットDSC-R1だが、コレは他の高性能&高級コンパクトデジカメとはひと味違うモデルだった。まず、撮像素子のサイズがまったく違う。DSC-R1の前に発売されたDSC-F828(2003年12月発売)もそうだが、この頃の高性能&高級コンパクトデジカメの撮像素子のサイズは、2/3型や1/1.8型くらいだった。コンパクトデジカメとしては大きい部類に入るが、デジタル一眼レフカメラに搭載されるAPS-Cサイズとは比較にならないほど小さい。だが、DSC-R1に搭載された有効1,030万画素の撮像素子は、2/3型の約5倍の面積にもなる21.5×14.4mmのCMOSセンサーが搭載されているのだ。このサイズ、APS-Cサイズよりは小さいが、4/3型(マイクロフォーサーズなど)よりは大きいのだ。まあ、搭載される24-120mm相当のズームレンズの実焦点距離を見ても「14.3-71.5mm」だもんね。

 レンズは当然「カールツァイス」ブランド。光学5倍ズーム「バリオ・ゾナーT* 14.3-71.5mm F2.8-4.8」。ええ、高性能モデルらしく「T*」仕様のレンズですからねっ! ただし、レンズのスペック(特に開放F値)に関しては、DSC-F828に搭載されていた、同じくバリオ・ゾナーT*「28-200mm相当 F2-2.8」の方が魅力的だったかナァ(まあ、実焦点距離はぜんぜん短いんだけどね)。

 さらに本機の特徴となっているのが、本体上部のフリーアングル液晶モニターである。可動式の液晶モニターにもいくつかのタイプが見られるが、このDSC-R1の液晶モニターは、かなり特殊な部類に入るだろう。ファインダー(液晶ビューファインダー)の上に可動軸があって、その可動位置や液晶モニターの開閉によって、カメラの印象がけっこう変わってくる。ボク個人の印象としては、可動軸が下にある下開きのタイプ(ニコンD5000など)よりは、こちらの方が自然に感じられる。三脚に据えても問題なく使えるし、タテ画面に構えたり、自分撮り(液晶モニターを前面側に向ける)の時でも、下開きよりも使いやすいんだよね。まあ、2型13.4万ドットという仕様には、さすがに古めかしさを感じるが。

カールツァイスブランドの光学5倍ズームレンズを搭載。燦然と輝く赤い「T*」マークも誇らしい モードダイヤルは、背面のファインダー左下に配置されている。このあたりのデザインも斬新だし、丸っぽいフォルムも個性的
中央にはマルチセレクター(上下左右とセンタープッシュ)、その周囲にはサブコマンドダイヤルが配置されている。露出補正はコマンドダイヤルでダイレクトに行なえる メモリースティックとCFのダブルスロット。どちらのメディアに記録するかは、背面の右下にあるスイッチで切り替える
本体側面(左手側)にはFOCUSスイッチがあり、オート(AF)、マクロ、マニュアル(MF)、を切り換える。配置や形状がいいので、ファインダーを覗いた状態で手元を見ずに操作することも可能。ちなみに、マニュアル時に中央のPUSH AUTOボタンを押すと、一時的にAFが作動する。これも便利! 控えめな印象の内蔵ストロボ。発光位置が低めなのでケラれないか少し心配になったが、広角域でも望遠域でも意外と大丈夫だった(もちろん、付属のレンズフードは外した状態で)
搭載するEVFは0.44型約23.5万ドットのTFT液晶。精細感はイマイチだが、サイズや覗き具合は良好。それにしても、この出っ張り具合は、何だかなぁ
FOCUSスイッチがオートやマクロの状態で、マルチセレクターをセンタープッシュするたびに「マルチポイントAF」、「中央重点AF」、「フレキシブルスポットAF」と、AF測距枠が切り替わる。また、フレキシブルスポットAF時には、マルチセレクターの上下左右操作で、測距枠を自由に移動させられる(MF時にも有効)
「フレキシブルスポットAF」で、マルチセレクターを操作すると、測距枠を移動する MF時にフォーカスリングを回転させると距離が表示される。その表示のきめ細かさと応答スピードに感心した。また手を模したマークは、ピント調節の限界に達すると点滅する
ホワイトバランスの設定は、本体側面(左手側)のFOCUSスイッチの上に配置された「WBボタン」を押した状態で、メインコマンドダイヤルを回転させて設定する レリーズ直後に表示される「処理中」の文字。RAWモードや特殊効果などを設定せずとも、ごくフツーに表示される。このあたりにも、少し古さを感じるナァ
再生中に、メインコマンドダイヤル下の「画面表示切り換えボタン」を押したところ。ちなみに、再生ボタンはファインダーのすぐ右に配置されてる。ちょっと探しちゃったよ、この再生ボタン(苦笑)
再生中に「再生ズームボタン」を押すと、画面が2倍に拡大される。そして、サブコマンドダイヤルを時計方向に回転させると、段階的に拡大率がアップする(最大は5倍)

 実は、このサイバーショットDSC-R1。発売当時(翌年の早春だけど)に、カメラ誌の地方取材の際に何日か使用した。南九州の旅(宮崎県、鹿児島県)に持って行ったんだよね。あ〜、思い出すナァ。小雨が降っていた鵜戸神宮や飫肥の城下町。それに、あれは、西都原古墳群だったかなぁ、青空の下に広がるナノハナの群生をワイドに写し込んだのは……。

 その南九州でも感じたし、今回久しぶりに使ってみて感じたのは「大柄でかさ張るカメラだけど、使用時の操作性や満足感はとても高いよ」ということ。個性的な大型グリップは、とてもよく手に馴染んでホールド性も高い。上開きタイプのフリーアングル液晶モニターも、ハイアングル撮影が少しやりにくい点を除けば、実用度はけっこう高い。事実、今回の撮影でも撮影アングルに関係なく、液晶ビューファインダーと同じくらいの頻度で、液晶モニターを使って撮影したからね(ファインダーの上に立てた状態で)。もちろん、画質や写真表現についても、かなり満足度が高かったことを覚えている。

 正直、全体のボディフォルムや大きさは、収納面での問題が大きいので「かんべんしてください」という感じ。でも、大型CMOSセンサーの搭載や、バランスの取れた高性能なズームレンズなどは、今見てもけっこう魅力的だと思う。こういった上質な写りを追及するギミックや仕様を盛り込んだ「これぞソニーらしい高性能&高級コンパクトデジカメ!!」と唸らせてくれるような新製品を、これからも期待してますヨ!!


実写サンプル

  • 作例のサムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像をダウンロード後、800×600ピクセル前後の縮小画像を表示します。その後、クリックした箇所をピクセル等倍で表示します。
  • 一部、RAWから現像したファイルも存在します。

・画角

広角端 / DSC-R1 / 約4.3MB / 3,888×2,592 / 1/6秒 / F8 / 0.0EV / ISO160 / WB:太陽光 / 14.3mm 望遠端 / DSC-R1 / 約4.3MB / 3,888×2,592 / 1/5秒 / F8 / 0.0EV / ISO160 / WB:太陽光 / 71.5mm

・スタンダード/ビビッド
スタンダード / DSC-R1 / 約4.5MB / 3,888×2,592 / 1/30秒 / F11 / +0.3EV / ISO160 / WB:太陽光 / 14.3mm ビビッド / DSC-R1 / 約4.4MB / 3,888×2,592 / 1/30秒 / F11 / +0.3EV / ISO160 / WB:太陽光 / 14.3mm

・感度

 高感度になるほど色ノイズの発生が顕著になり、「ISO800以上はキツいなぁ」という印象を受ける。ただし、今のカメラのように無理なノイズ処理を行なっていないので、被写体の質感やディティールは、よく再現されている。

ISO160 / DSC-R1 / 約4.4MB / 3,888×2,592 / 1/2秒 / F8 / -0.7EV / ISO160 / WB:オート / 20.3mm ISO200 / DSC-R1 / 約4.5MB / 3,888×2,592 / 1/2.5秒 / F8 / -0.7EV / ISO200 / WB:オート / 20.3mm
ISO400 / DSC-R1 / 約4.4MB / 3,888×2,592 / 1/5秒 / F8 / -0.7EV / ISO400 / WB:オート / 20.3mm ISO800 / DSC-R1 / 約4.5MB / 3,888×2,592 / 1/10秒 / F8 / -0.7EV / ISO800 / WB:オート / 20.3mm
ISO1600 / DSC-R1 / 約4.4MB / 3,888×2,592 / 1/20秒 / F8 / -0.7EV / ISO1600 / WB:オート / 20.3mm ISO3200 / DSC-R1 / 約4.7MB / 3,888×2,592 / 1/40秒 / F8 / -0.7EV / ISO3200 / WB:オート / 20.3mm

 こういったボケの多い絵柄だと、高感度時の色ノイズがより気になってくる。だが「RAW+JPEG」モードで撮影しているので、RAW現像に望みを託してみたい。当時より現像ソフトも進化しているはずだ。

ISO160 / DSC-R1 / 約3.7MB / 3,888×2,592 / 1/10秒 / F4.8 / -0.3EV / WB:オート / 71.5mm ISO200 / DSC-R1 / 約3.9MB / 3,888×2,592 / 1/13秒 / F4.8 / -0.3EV / WB:オート / 71.5mm
ISO400 / DSC-R1 / 約3.8MB / 3,888×2,592 / 1/25秒 / F4.8 / -0.3EV / WB:オート / 71.5mm ISO800 / DSC-R1 / 約4.2MB / 3,888×2,592 / 1/50秒 / F4.8 / -0.3EV / WB:オート / 71.5mm
ISO1600 / DSC-R1 / 約4.3MB / 3,888×2,592 / 1/100秒 / F4.8 / -0.3EV / WB:オート / 71.5mm ISO3200 / DSC-R1 / 約4.7MB / 3,888×2,592 / 1/200秒 / F4.8 / -0.3EV / WB:オート / 71.5mm

・RAW現像

 最高感度ISO3200で撮影した画像のRAWデータ(拡張子はSR2)をSILKYPIX Developer Studio Pro5(RC版)で、ノイズ処理に重点をおいて調整してみた。お〜、かなりイイ感じに色ノイズが除去できたヨ! RAW現像でこのくらいの画質が得られるなら、DSC-R1のISO3200もけっこう使えそう。

JPEGでの撮影画像。DSC-R1 / 約4.7MB / 3,888×2,592 / 1/200秒 / F4.8 / -0.3EV / ISO3200 / WB:オート / 71.5mm RAWから現像してJPEGで保存。DSC-R1 / 約4.7MB / 3,888×2,592 / 1/200秒 / F4.8 / -0.3EV / ISO3200 / WB:オート / 71.5mm

 同じくSILKYPIX Developer Studio Pro5(RC版)でRAW現像。ここでは、青空の鮮やかさや、木立の緑の描写(色や明るさ)あたりに注目しながら調整してみた。あと、ワイヤー部分などのジャギーにも注意した。

JPEGでの画像。DSC-R1 / 約4.3MB / 3,888×2,592 / 1/800秒 / F8 / 0.0EV / ISO160 / WB:太陽光 / 14.3mm RAWから現像してJPEGで保存。DSC-R1 / 約3.6MB / 3,888×2,592 / 1/800秒 / F8 / 0.0EV / ISO160 / WB:太陽光 / 14.3mm

作例

DSC-R1 / 約3.0MB / 3,888×2,592 / 1/160秒 / F4.8 / +0.3EV / ISO160 / WB:太陽光 / 71.5mm DSC-R1 / 約3.8MB / 3,888×2,592 / 1/50秒 / F4 / 0.0EV / ISO160 / WB:太陽光 / 33.8mm
DSC-R1 / 約4.1MB / 3,888×2,592 / 1/60秒 / F4.8 / 0.0EV / ISO400 / WB:太陽光 / 71.5mm DSC-R1 / 約2.9MB / 3,888×2,592 / 1/1,250秒 / F8 / -0.7EV / ISO160 / WB:太陽光 / 57.4mm




吉森信哉
(よしもりしんや)1962年広島県庄原市出身。東京写真専門学校を卒業後、フリー。1990年からカメラ誌を中心に撮影&執筆を開始。得意ジャンルは花や旅。1970年代はカラーネガ、1980年代はモノクロ、1990年代はリバーサル、そして2000年代はデジタル。…と、ほぼ10年周期で記録媒体が変化。でも、これから先はデジタル一直線!? 自他とも認める“無類のコンデジ好き”

2011/6/29 00:00