ラインナップ解説

パナソニック【マイクロフォーサーズ機】(2022年冬)

最上位機「LUMIX GH6」、一眼レフスタイルの小型機「LUMIX G100」など

レンズ交換式デジタルカメラの主役となって久しいミラーレスカメラ。ラインナップの拡充が続く各社のミラーレスカメラをまとめました。

ミラーレスカメラの歴史がはじまったのは、初のマイクロフォーサーズカメラとなったLUMIX G1(DMC-G1)が発売された2008年。以来、パナソニックはミラーレスカメラ市場を牽引してきた。

マイクロフォーサーズならではと言えるシステムトータルでの軽快さに加えて、長時間の動画撮影機能などを強みとしている。現在はスタンダードタイプのGシリーズと動画重視のGHシリーズがメインとなっている。

LUMIX GH6(DC-GH6)

2022年3月25日発売

概要

同社のマイクロフォーサーズシステムのフラッグシップに位置づけられるモデル。撮像センサーと画像処理エンジンの両方を刷新して、読み出しの高速化や動体歪みの低減をはかったほか、冷却ファンやチルトフリーアングル式モニターなど、動画に強いカメラに仕上がっている。

センサーとエンジン

同社のマイクロフォーサーズ機では最多画素数となる有効2,521万画素Live MOSセンサーを搭載。キレのいい描写が得られる。ローパスフィルターレス仕様だ。

画像処理を受け持つヴィーナスエンジンも新世代のものになり、処理速度がS1Hの約2倍に向上していると言う。

ベース感度がISO 100に下がって、天気のいい野外などで絞りを開けて撮りたいときに使いやすくなった。拡張でISO 50相当も設定できる。なお、高感度側は常用、拡張の区別がなく、ISO 25600までとなっている。

手ブレ補正

手ブレを検知するジャイロセンサーを従来よりも高精度な新型に更新。新しいアルゴリズムを採用したこともあって、ボディ内手ブレ補正の効果をマイクロフォーサーズ機でトップの7.5段分に向上させている。また、レンズ側も連携するDual I.S.2も7.5段分の効果となっている。

ボディ内手ブレ補正のメカを応用して1億画素の高精細画像を生成できるハイレゾモードも搭載。RAWだけでなく、JPEGでも可能となっている。また、手持ち撮影にも対応しており、三脚が使えないシーンでも高精細撮影が可能なのも見逃せない。

AFと連写

AFは測距点数を315点に強化したコントラスト検出式。新型ヴィーナスエンジンのパワーのおかげで被写体の検出速度がGH5で3倍の高速化を果たしている。被写体追従速度の向上に加えてアルゴリズムの改善によってピントが背景に抜けにくくなり、ウォブリングも低減している。

自動認識設定をオンにしておくと人物や動物を認識可能。複数の被写体を認識した場合はタッチまたはジョイスティック操作でピントを合わせる対象を選択できる。人物と動物の両方を撮るときにいちいち切り替える必要がないのは強みだ。

AFが追従する連写最高速はメカシャッターで8コマ/秒、電子シャッターで7コマ/秒と遅いが、ライブビュー表示となる。JPEGでは95枚以上、RAWで65枚以上の連写が可能だ(CFexpress Type Bカード使用時)。また、電子シャッターでピント固定であれば最高75コマ/秒連写も可能だ。

なお、従来モデルでは標準的に装備されていた6Kフォトや4Kフォトは省略されている。

動画

センサー幅をフルに使う5.7K(5,728×3,024)・59.94p動画のほか、C4K(4,096×2,160)・119.88pのハイフレームレート撮影も内部記録で実現している。

フルサイズのS1H同様、カメラ本体とモニターのあいだに冷却ファンを内蔵しており、C4K・60p(4:2:2 10bit)動画を時間無制限で撮れるのも強みだ。

また、3型・184万ドットの背面モニターはチルト式とバリアングル式の機能を兼ね備えたチルトフリーアングル式。ケーブルを接続した状態でも自由な方向に向きを変えられる。静止画の横位置撮影時に素早くローアングルに移行できるメリットもある。

上面と前面の2か所に動画記録ボタン、前面と背面の2か所に動画撮影中を示すタリーランプを備えているのも動画特化モデルならではの特徴だ。

電源

バッテリーはフルサイズのS5と同じDMW-BLK22(7.2V・2,200mAh)を使用する。静止画の撮影可能枚数はファインダー、モニターのどちらでも330枚(CFexpress Type Bカード使用時)。省電力ファインダー撮影設定時は750枚となる。動画の連続撮影可能時間はフルHD・60pのMP4で1時間40分。

付属充電器は直差しタイプのACアダプターと充電器をUSBケーブルで接続して行ない、ゼロ→フルで3時間50分で充電完了となる。ACアダプターとUSBケーブルを使った本体充電(給電も可能)の場合は3時間40分となる。

また、別売の充電器DMW-BTC15(オープン価格。大手量販店で税込1万1,800円程度)は付属のものとはACアダプターが異なり、充電時間を2時間55分に短縮できる(このACアダプターを使って本体充電の場合は2時間50分となる)。複数のバッテリーを効率よく充電したい場合は検討するといい。なお、DMW-BLK22(オープン価格)は大手量販店で税込7,800円程度で購入できる。

その他

ボディは堅牢なマグネシウム合金製で防塵・防滴性に加えてマイナス10度までの耐低温性も確保している。冷却ファンやチルトフリーアングル式モニター、CFexpress Type B+SDカードスロットの搭載などもあってボディの奥行きが増えた。その分、グリップも大型化している。

電子ダイヤルは前後に2つ。カーソル(十字)ボタンと一体化したコントロールダイヤルも備える。手動で測距点を選択するためのジョイスティックをはじめ、機能の割り当てを変更できるボタン類が多く、非常に柔軟なカスタマイズが楽しめる。

内蔵EVFは368万ドットOLED(有機EL)で、フルサイズ換算のファインダー倍率は0.76倍相当。モニターを対面状態にするとインタビューモードとなり、ファインダーとモニターの両方に映像を表示できるのはおもしろい。

なお、縦位置撮影を快適にするバッテリーグリップは用意されていない。これも動画特化モデルだからこその特徴と言える。

LUMIX GH5S(DC-GH5S)

2018年1月25日発売

概要

GH6の前身GH5をベースに有効画素数を減らして高感度仕様としたモデル。静止画と動画の両方をカバーするハイブリッドタイプのGHシリーズだが、どちらかと言うと動画寄りの位置づけとなっている。

高感度撮影時のノイズ低減に寄与するデュアルネイティブISOを搭載。あえてボディ内手ブレ補正機能を省略するなどの特徴がある。

センサーとエンジン

GH5が搭載していたLive MOS撮像センサーは有効2,033万画素だったのに対し、本機はその半分ほどの有効1,028万画素に減らしている。ひとつひとつの画素の面積を大きくできるため低輝度に強いのが特徴だ。

さらに、業務用のシネマカメラに搭載されているデュアルネイティブISOをLUMIXで初めて採用。センサーの各画素に低感度用と高感度用の2つの回路を組み込み、明るさなどに応じて使い分けることで高感度域でのノイズを低減できるのがメリットだ。

静止画での感度の設定範囲は常用でISO 160〜51200。拡張でISO 80〜204800と、マイクロフォーサーズ機としては異例の高感度性能を誇る。

また、GH3以降は非搭載となっていたマルチアスペクト機能が復活したのも見どころだ。4:3比率時は画面の左右方向が3,680ピクセルなのに対して、17:9比率時は4,096ピクセルに拡大。横縦比を変えても画角が維持できるという特徴を持つ。

手ブレ補正

GH5には搭載されているボディ内手ブレ補正機能は省略されている。これは動画撮影時に、自動車走行のGやライブ会場での重低音などによってセンサーが揺れる現象を抑制するための措置だ。

とは言え、純正レンズ32本中のうち20本にはレンズ内手ブレ補正機能が内蔵されているので、一般的な撮影シーンで困ることはあまりないだろう。

AFと連写

AFは225点測距のコントラスト検出方式。独自の空間認識技術を応用して、高速かつ高精度なピント合わせを実現。通常の像面位相差検出では避けられない位相差検出画素に起因する画質劣化の問題がないのが強みだ。

被写体認識は人物(顔・瞳・頭部・人体に対応)および動物(犬科・猫科・鳥類の顔・全身)に対応する。ただし、ファームウェアVer.1.4以降の適用が必要となる。

また、自動認識設定がオンの状態では人物と動物の両方を認識可能。タッチやジョイスティック操作でピントを合わせる対象を切り替えられる。

AF追従での連写最高速は12bit RAWおよびJPEGではメカシャッター、電子シャッターともに8コマ/秒(14bit RAW時は7コマ/秒となる)。連続で撮れる枚数はJPEGでは600枚以上、RAWまたはRAW+JPEGでは80枚以上となる。

動画機能を応用した4Kフォトでは最高60コマ/秒連写が可能となり、全押し前の瞬間も記録できるプリ連写も選択できる。

動画

動画はC4K(4,096×2,160、4:2:0 8bit)・59.94p記録、C4K(4:2:2 10bit)・29.97p記録がなど可能。放熱対策の徹底などにより、全モードで時間無制限の動画撮影が行なえる。

センサーの読み出し速度がGH5の1.3倍と速く、動体歪みの低減もはかられている。

電源

電源にはDMW-BLF19(7.2V・1,860mAh)を使用する。静止画の撮影可能枚数はファインダー使用で410枚、モニター使用で440枚。省電力ファインダー撮影設定時は1,300枚となる。動画の連続撮影可能時間は2時間10分。

付属の充電器は直差しタイプのACアダプターとUSBケーブル、充電器のセットで行ない、3時間10分でフル充電できる。

なお、バッテリーはGH6にも同梱されているDMW-BLK22(7.2V・2,200mAh)も使用できる。こちらのほうが容量が大きいので長時間の動画撮影を前提にするならこちらを検討するといいだろう。

ちなみに、BLF19、BLK22ともにオープン価格で、大手量販店ではそれぞれ税込6,800円程度、税込7,800円程度で購入できる。

その他

ボディは防塵・防滴・耐低温(マイナス10度)性を持つマグネシウム合金製。縦位置撮影機能を持つ別売のバッテリーグリップDMW-BGGH5(オープン価格。大手量販店で税込3万1,300円程度)も防塵・防滴・耐低温仕様となっている。記録メディアはSDカードのデュアルスロット。両スロットとも高速なUHS-II対応となっている。

電子ダイヤルは前後に2つ。背面にもホイール型のコントロールダイヤルがある。カスタマイズ可能なボタンを多数備えており、好みなどに応じて機能を設定できるのは有利な点だ。

内蔵EVFは368万ドットのOLEDで、フルサイズ換算のファインダー倍率は0.76倍相当と高い。背面モニターは3.2型・162万ドットのバリアングル式で、縦位置でのロー/ハイアングル撮影や対面向きでの自撮りなどにも対応できる。

LUMIX GH5 II(DC-GH5M2)

2021年6月25日発売

概要

2017年3月に発売されたGH5に改良を加えたバリエーションモデル。AF性能の向上に加えて無線ライブ配信機能の装備、USB充電・給電対応などの機能強化がほどこされている。動画寄りに舵を切った印象のあるGH6と違って、従来どおりの静止画・動画ハイブリッドモデルと言える。

センサーとエンジン

撮像センサーは有効2,033万画素、ローパスフィルターレス仕様のLive MOS。スペックとしては先代のGH5と共通だ。反射防止コーティングをほどこすことで逆光時などのフレアを低減している。

画像処理を受け持つヴィーナスエンジンは、フルサイズのS5などと同じものに強化されている。

感度の設定範囲はISO 200〜25600。拡張ISO 感度をオンにすると低感度側のISO 100相当が設定できる。

手ブレ補正

ボディ内手ブレ補正の効果はGH5の5段分から6.5段分に強化。レンズの手ブレ補正機能と連携してはたらくDual I.S.2も備えている。この場合もスペックとしては6.5段分で変わりはないが、レンズシフト式が強みを発揮する中望遠〜望遠域での補正力向上が期待できる。

なお、GH6には搭載されているハイレゾモードはない。

AFと連写

独自の空間認識技術を応用したコントラスト検出方式のAFを採用。手動で選択できる測距点の数は225点。被写体認識は人体(顔・瞳・頭部・全身)と動物(犬科・猫科・鳥類の顔・全身)に対応する。

AF追従、ライブビュー方式での連写最高速はメカシャッターで9コマ/秒、電子シャッターで7コマ/秒となる。ピント固定では12コマ/秒。連写可能な枚数はJPEGで999枚以上、RAWおよびRAW+JPEGでは108枚となる(いずれもUHS-II対応カード使用時)。

1,800万画素記録で30コマ/秒の6Kフォト、800万画素記録で60コマ/秒の4Kフォトも備えている。

動画

静止画・動画ハイブリッドをうたうだけあって動画機能は強力。C4K(4,096×2,160)・60pで4:2:0 10bitまたは30pで4:2:2 10bitでの内部記録が可能となっている。

センサーサイズが小さいのにボディが巨大だと揶揄されることもあるが、それだけに放熱対策が徹底しており、全記録方式において連続撮影時間無制限を実現。オーバーヒートの心配をせずに長時間撮影が可能なのは大きな強みだ。

LUMIX Syncアプリをインストールした5G通信対応スマートフォンなどを介してYouTubeなどへの無線ライブ配信を実現。野外でも簡単にストリーミング配信できるメリットは大きい。

電源

使用するバッテリーはGH6などと共通のDMW-BLK22(7.2V・2,200mAh)。ファインダーとモニターのどちらを使っても410枚、省電力ファインダー撮影設定時は1,200枚の静止画を撮影できる。

付属の充電器はGH6のものと同じ仕様で、3時間50分でフル充電となる。充電器を使わずにACアダプターとUSBケーブルだけで本体充電を行なう場合は3時間40分となる。また、USB給電にも対応する。

充電時間を短縮したい場合は別売のDMW-BTC15(オープン価格。大手量販店で税込1万1,800円程度)をおすすめする。付属の充電器とはACアダプターの仕様が異なるため、充電時間が2時間55分(ACアダプターとUSBケーブルを使った本体充電時は2時間50分)になる。

別売のバッテリーグリップDMW-BGGH5(オープン価格。大手量販店で税込3万1,300円程度)はGH5Sと共通。ボディとグリップの両方にバッテリーを装填できるので長時間の動画撮影にも有利となる。

その他

ボディ外装はマグネシウム合金製。GH5S同様、防塵・防滴・耐低温(マイナス10度)のタフネス仕様となっている。操作系のレイアウトもGH5Sと共通だ。

内蔵のEVFは368万ドット、フルサイズ換算0.76倍相当。バックライトの輝度を1.5倍の明るさに強化した3.2型・184万ドットのバリアングル式モニターを備える。

LUMIX G9 PRO(DC-G9)

2018年1月25日

概要

GHシリーズが静止画と動画のハイブリッドモデルという位置づけなのに対して、静止画のフラッグシップとして登場したのがG9 PROだ。コントラスト検出ながらAF追従で20コマ/秒連写を実現したほか、大形で見やすいEVF、防塵・防滴・耐低温のマグネシウム合金ボディなど、見どころも多い。

センサーとエンジン

撮像センサーは有効2,033万画素のLive MOS。高い解像感が得られるローパスフィルターレス仕様だ。表面に反射防止コーティングをほどこして逆光時などのフレアも低減している。

ヴィーナスエンジンが受け持つ画像処理も大きく進化。GH4に比べてハイライト側のダイナミックレンジが25%拡大している。

感度の設定範囲は常用でISO 200〜25600。拡張時は低い側が1段広がってISO 100相当からとなる。

手ブレ補正

ボディ内手ブレ補正は先代のG8(5段分)から6.5段分に強化。レンズの手ブレ補正機能と連携するDual I.S.2によって、ボディ内手ブレ補正が苦手とする中望遠〜望遠域でも6.5段分の効果をキープできる。

センサーシフトのメカを利用して8回の連写合成を行ない、8,000万画素の高精細画像を生成できるハイレゾモードを搭載。動きのある部分は合成処理を行なわないモードも選択できる。

AFと連写

ピント合わせは空間認識技術を応用したコントラスト検出式。手動選択時の測距点数は225点。

センサーの読み出し速度の向上とエンジンの高速化により、従来の最大6倍のスピードで被写体距離を検出。また、アルゴリズムの進化によって距離の検出精度が向上したなどのおかげで動く被写体への追従性も向上している。

ファームウェアVer.2.0で動物認識が可能になり、Ver.2.4からは人物の頭部認識が追加。人、犬科、猫科、鳥類に対して高精度なピント合わせが可能だ。

AFが追従する連写最高速はメカシャッターで9コマ/秒、電子シャッターでは20コマ/秒と速い。また、ピント固定では60コマ/秒連写も可能。位相差検出AFに負けない高速性能を実現している。

20コマ/秒で連写可能な枚数は、JPEG、RAW、RAW+JPEGでも50枚以上。9コマ/秒ではJPEGで600枚以上、RAWまたはRAW+JPEGで60枚以上。高速AFと高速連写を売りにしているだけに、ここは物足りなく感じる。

長時間連写が必要な場合は6Kフォトや4Kフォトを使うのがいいだろう。

動画

動画はGHシリーズのほうがハイスペック。本機も4K(3,840×2,160)・59.94p記録が可能だが、連続撮影時間は10分までに制限される。4K・29.97p記録であれば29分59秒まで撮れる。

動画撮影時の手ブレを強力に補正する手ブレロック機能(後発機種の手ブレ補正ブーストと同様)を搭載。フレーミングを固定して撮りたいときに威力を発揮する。

電源

バッテリーはGH5Sと同じくDMW-BLF19(7.2V・1,860mAh)を使用する。静止画の撮影可能枚数はファインダー使用で360枚、モニター使用で380枚。

付属の充電器は直差しタイプのACアダプター、USBケーブルを組み合わせて使用するタイプ。充電時間は3時間10分だ。ACアダプターとUSBケーブルで本体充電(給電も可能)する場合は3時間50分に延びる。

なお、GH6に同梱のDMW-BLK22(7.2V・2,200mAh)も利用できる。その場合、本体充電は可能だが、充電器は別売のDMW-BTC15(オープン価格。大手量販店で税込1万1,800円程度)が必要となる。

その他

ボディ外装はマグネシウム合金製。防塵・防滴に加えてマイナス10度の耐低温性も備えている。

前後に2つの電子ダイヤルを持ち、背面にもホイール型のコントロールダイヤルがある。手動での測距点選択を迅速に行なえるジョイスティックに加え、機能の割り当てを変更できるボタン類も豊富。自由度の高いカスタマイズが可能だ。

上面にカメラの設定値を表示するステータスLCDを備えているのも本機ならではの特徴と言える。

EVFは368万ドットのOLED。フルサイズ換算で0.83倍相当の高倍率を実現しつつ、メガネ使用でもケラレが起きにくい高性能ファインダーとしている。また、ボタン操作で像を小さくでき、0.77倍相当、0.7倍相当にも切り替えられる。背面モニターは3型・104万ドットのバリアングル式。

別売で縦位置撮影部材を持つバッテリーグリップDMW-BGG9(オープン価格。大手量販店で税込2万8,100円程度)なども用意されている。

LUMIX G99D(DC-G99D)

G99:2019年月23日発売 G99D:2022年10月20日発売

概要

G9 PROの写りと操作性のよさを受け継ぎつつ、機能や性能を絞って実売価格を手ごろに抑えた姉妹モデルがG99。さらにモニターの仕様を変更したマイナーチェンジモデルがG99Dだ。

キレのいい描写が得られるローパスフィルターレス有効2,030万画素Live MOSセンサー、4K・30p動画などを備えながら、G9 PROよりも格段に軽快なボディに仕上がっている。

センサーとエンジン

撮像センサーには有効2,030万画素Live MOSを搭載。G9 PROのものに比べると読み出しスピードは遅めなものの、ローパスフィルターレス仕様とすることで解像感を高めている。

画像処理エンジンはヴィーナスエンジン。マルチプロセスNRや広帯域輪郭強調処理、3次元色コントロールなど、G9 PROと共通の画像処理技術が盛り込まれている。

感度の設定範囲はG9 PROと同じくISO 200〜25600。拡張ISO 感度設定時はISO 100相当も選択できる。

手ブレ補正

ボディ内手ブレ補正の効果は5段分。G9 PROの6.5段分に比べると見劣りするが、一般的な撮影シーンでは十分に役立ってくれるだろう。

同社の純正レンズ32本のうち、レンズ内手ブレ補正を搭載したものは20本。ボディとレンズの両方で手ブレ補正を行なうDual I.S.2(補正効果は5段分)を活用すれば、広角から望遠まで幅広い焦点距離域で効率のいいブレ補正が可能だ。

AFと連写

コントラスト検出方式ながら快速AFを実現する空間認識技術を応用。スペックとしては古さを感じる49点測距(手動選択時)だが、人物の顔や瞳を認識してピントを合わせる顔・瞳認識AFを備えている。

連写はAF追従でメカシャッター、電子シャッターとも6コマ/秒。JPEGは300枚以上、RAWおよびRAW+JPEGでは45枚以上を連続で撮れる。ピント固定であれば9コマ/秒連写が可能だ。

800万画素記録で30コマ/秒連写が可能な4Kフォトも備えている。

動画

動画は4K(3,840×2,160)・30p。UHS-II対応のSDカードが必要となるが、連続撮影可能時間の制限はない。長時間のイベントなどでも安心して撮影できるのはありがたい。

また、フレーミングを固定しての動画撮影時に威力を発揮する手ブレロック機能も装備。かさばる三脚を持ち歩かなくても安定感のあるフィックス撮影が可能なのも強みだ。

電源

使用バッテリーはDMW-BLC12(7.2V・1,200mAh)。容量は小さめながら静止画の撮影可能枚数はファインダー、モニターともに290枚と多めだ。また、省電力ファインダー撮影設定時は1,000枚撮れる。

付属の充電器は直差しタイプのACアダプターとUSBケーブルを併用するもので、充電時間は2時間55分。ACアダプターとUSBケーブルだけを使ってカメラのmicroUSB端子経由で本体充電(給電も可能)する場合は3時間となる。

その他

G9 PROより125g軽いボディは前カバーにマグネシウム合金を採用。4K動画撮影時の放熱に役立っている。ボディだけでなく、キットレンズのLUMIX G VARIO 14-140mm / F3.5-5.6Ⅱ ASPH. / POWER O.I.S.も防塵・防滴設計となっているので、雨や砂ボコリなどが気になるシーンでも安心して撮影できる。

小型軽量ボディながらグリップのサイズはしっかりめ。前後に2つの電子ダイヤル、背面のコントロールホイールに加えて、機能の割り当てを変えられるボタン類も多数あり、柔軟なカスタマイズが可能となっている。

搭載するEVFは236万ドットのOLED。解像度はやや低めだが、倍率はフルサイズ換算で0.74倍相当を確保している。背面モニターは3型・104万ドットのバリアングル式だ。

別売のバッテリーグリップDMW-BGG1(オープン価格。大手量販店で税込2万7,300円程度)を装着すると、2本のバッテリーで長時間撮影が可能になるほか、縦位置撮影時にも快適な操作が可能だ。

LUMIX G100(DC-G100)

2020年8月20日発売

概要

レンズの上にEVFを搭載する一眼レフスタイルの小型軽量ボディのVlog向けモデル。臨場感のある音声が記録できる3つの内蔵マイクに加えて、動画自撮りモードなどの便利機能を備える。

カメラ単体での販売はなく、標準ズームのLUMIX G VARIO 12-32mm / F3.5-5.6 ASPH. / MEGA O.I.S.、または標準ズームとトライポッドグリップが同梱された2種類のキットが用意されている。

センサーとエンジン

撮像センサーはローパスフィルターレス仕様の有効2,030万画素Live MOS。4CPUを搭載したヴィーナスエンジンが画像処理を受け持つ。感度の設定範囲は常用でISO 200〜25600。拡張ISO 感度設定時はISO 100相当が選択できる。

手ブレ補正

ボディ内手ブレ補正は持たず、レンズ側に依存する。キットの標準ズームをはじめ、純正レンズ32本中20本には手ブレ補正機能が内蔵されている。

動画撮影時にはボディの電子手ブレ補正が利用可能。歩きながらの動画撮影での目立つブレも効果的に低減できる5軸ハイブリッド手ブレ補正としている。

AFと連写

AFは独自の空間認識技術を応用したコントラスト検出方式。手動選択時の測距エリア数は49点と少なめだ。被写体認識は人物のみで顔と瞳に対応。このあたりは少々物足りないところだ。

AFが追従する連写最高速は5コマ/秒。UHS-I対応SDカード使用時の連写可能枚数はJPEGで480枚以上と十分だが、RAWおよびRAW+JPEGでは20枚以上というスペック。カジュアルユーザー向けという割り切りなのだろう。

動画

動画は4K(3,840×2,160)・30p記録。連続で撮れる時間は10分まで。

ボディ上面に3つのマイクを内蔵。NOKIA社製「OZO Audio」技術を採用しているのが大きな特徴だ。レンズの画角や顔・瞳認識AFの情報を用いて人物に合わせて収音範囲を変えるトラッキングモードや、カメラ後方の音声をとらえるナレーションモードなど、撮影シーンに合わせて5つの指向性モードを選べる。

また、モニター画面を前方に向けると自動的に自撮りモードに移行。ピントや露出を自撮りに最適化してくれる。

電源

バッテリーはDMW-BLG10(7.2V・1,025mAh)を使用する。静止画の撮影可能枚数はファインダー使用で250枚、モニター使用で270枚。省電力ファインダー撮影設定時は900枚となる。

充電は付属の直差しタイプのACアダプターとUSBケーブルを使っての本体充電。ゼロ→フルの所要時間は3時間10分だ。

充電時間を短縮したい、複数のバッテリーを効率よく充電したい場合は別売のDMW-BTC12(オープン価格。大手量販店で税込3,800円程度)を用意するといい。こちらでは2時間30分で充電完了となる。

なお、DMW-BLG10(オープン価格)は大手量販店で6,100円程度で購入できる。

その他

直線的でシンプルなデザインのボディは樹脂製で、防塵・防滴性はない。その代わりにキットレンズバッテリー、SDカードを含めてもわずか412gと軽い。持ち歩きが苦にならない軽快さは大きな魅力だ。

露出調整などは上面の前ダイヤルと背面のホイール型のコンロトールダイヤルで行なう。Gシリーズとしてはボタンも少なめだが、割り当てられる機能は多彩で、自由度の高いカスタマイズが可能となっている。

内蔵EVFは強誘電LCOSと呼ばれる応答性に優れたデバイスが使われており、解像度は368万ドット。倍率はフルサイズ換算で0.73倍相当。背面モニターは3型・184万ドットのバリアングル式だ。

なお、トライポッドグリップDMW-SHGR1(オープン価格。大手量販店で税込9,100円程度)は手持ち撮影時のグリップとして、またテーブル三脚としても活用できる。キットだとかなり割安になるのでまとめて購入することをおすすめする。

北村智史(きたむらさとし)滋賀県生まれ。大学中退後、カメラ量販店で販売員として勤務しながらカメラ専門誌にて記事執筆を開始。その後編集者兼ライターとしてメカ記事等の執筆にたずさわる。1997年からはライター専業となる。現在は北海道札幌市在住。