ミニレポート
コンパクトなカメラ&レンズで手軽に小旅行を楽しみたい。LUMIX G100と小型超広角レンズがベストマッチだった
LEICA DG SUMMILUX 9mm / F1.7 ASPH.との組み合わせで
2022年12月16日 07:00
パナソニックのミラーレスカメラ「LUMIX G100」と、超広角レンズ「LEICA DG SUMMILUX 9mm / F1.7 ASPH.」という、コンパクトながらも、簡単に高画質な写真が撮れる組み合わせで撮影の旅に出てみた。
2020年に発売したG100は、外形寸法115.6×82.5×54.2mm・質量303g(本体のみ)と超小型軽量なコンパクト設計でありながら、有効約2,030万画素のCMOSセンサーを搭載したマイクロフォーサーズカメラ。そのコンパクトさと動画撮影性能から、Vloggerからも人気のあるモデルだ。
今回の旅に持っていったレンズは2本。本来G100には標準ズームレンズ「LUMIX G VARIO 12-32mm / F3.5-5.6 ASPH. / MEGA O.I.S.」がキットとして同梱されていが、今回はキットレンズではなく、超広角単焦点大口径レンズ「LEICA DG SUMMILUX 9mm / F1.7 ASPH.」(以下、9mm F1.7)をメインとして連れ出した。
また、広角写真ばかりではせっかくの旅の絵柄が単調になってしまうのを避けるために、標準域から中望遠領域までの画角をカバーする「LEICA DG VARIO-SUMMILUX 25-50mm / F1.7 ASPH.」(以下、25-50mm F1.7)をもう1本に加えた。F1.7の大口径レンズコンパクトセット(??)で秋深い越後地方&鶴岡市を駆け足でまわってきた。
コンパクトなシステムで、設定もカメラ任せに
基本的にG100には9mm F1.7を装着したまま首からぶら下げ、25-50mm F1.7は上着の大きなポケットに入れて歩きまわった。被写体やTPOに合わせて時折レンズ交換をするという、散歩チックな軽装スタイルだ。
今回は人々と関わり合っての撮影という内容ではなかったのであまり関係ないのだが、これだけ軽装だと地元の方々からも目立たないので写真を撮りやすい。さらに上着のジッパーを閉めればコンパクトなカメラセットは完全に隠れてしまうので、さらに旅人らしさを消すことが可能だ。
被写体を探し求めながらジグザグと歩きまわったりする一人旅なので運転も自らしなければならない。危険回避とシャッターチャンスに集中するという意味からも、アングルと絞り選び以外はなるべく余計なことを考えることなく撮影できるよう、カメラの設定をシンプルなものにしておいた。
メインは、スナップ撮影での基本と決めている絞り優先AEモードでのデフォルト撮影。そのほかにも、ISO感度や細かい設定はさらにカメラに任せるつもりで、普段は滅多に使わないプログラムAEモードを多用してみた。
LUMIXの厚みのある色表現が好きなのでフォトスタイルはヴィヴィッドをデフォルトにして、それとは真反対に美しいトーンのモノクロ写真表現が可能なL.モノクロームも使用してみた。ホワイトバランスはすべてAWBで撮影。
作品
海と空、そして線路を1カットに取り込むためにアングルを捜していたら、思いがけず電車がやってきたので慌ててシャッターを切った非鉄カメラマンの1枚(笑)。
講師として長年通っている大学のひとつである、長岡造形大学内の美しい銀杏並木は毎秋楽しみにしている。日ごとに変化する色味で秋の深さがわかる。
気持ちの良い秋晴れの空の下、雲と蕎麦畑が広がる大地にトンボが舞っているのがわかるかなー?
ズームレンズのテレ側で寄ってみると気温は18.5度。この日はまだ過ごしやすい季節だった。小学校時代の筆者は実際に木造校舎に通っていたので懐かしい造りに浸っていた。
米処で有名な新潟県だがこのあたりは蕎麦どころでもある。ここまで来たのだからお昼はちょっと贅沢をして“へぎ蕎麦”を注文し食べる前に1枚。9mm F1.7のワイドでもここまでクローズアップが可能。たまに東京でも食べるがやはり本場で味わうのは別格だ。
電球の1つにフォーカスして2mちょっとくらいの距離で撮影。41mm(35mm判換算で82mm相当)なのでボケ具合からポートレート撮影時の背景の感じが想像出来る。玉ボケも自然体で美しい。
お気に入りの秘密の撮影場所での日没を撮ろうと向かう途中の道路脇に釣り竿を持ったお爺さんが……。近づいたら等身大の人形だった。面白いので数日後に再度訪れたら横にはおばあさんの姿が増えていた。撮影しているボクを見ながら本物の村人のお爺さんやお婆さんたちが笑っていた(笑)
日没後の残照風景でも、大口径だと1段絞っても明るさに余裕があるのでISO感度を上げることなく速いシャッター速度で撮影が出来る。
新潟県を北上して山形県に入り、鶴岡市で訪れた致道博物館での1枚。こちらにお邪魔するのは久しぶり。日本間の展示室の奥には秋盛りの庭が見える。室内外ではかなりのEV値差があるので難しい場面だがこんな時にプログラムAEモードが救ってくれる。
日本庭園では苔生す緑の上に赤い落葉が美しく散っていた。手前から2列目の落ち葉にフォーカスしての撮影だが、F5.6まで絞ればかなり深い被写界深度が得られる。
赤茶色に色づいた紅葉を100mm相当の焦点距離で近づいてアップで撮影。一葉はほんの小さなサイズだが、テレ側で31cmの最短撮影距離(ワイド側は28cm)まで近接撮影が可能なことが大きなボケ効果も生み出す。
屋外はピーカンに晴れていても室内は薄暗かった。農家の昔の暮らしぶりが伝わる建物では、F1.7の大口径ならではの明るさが役に立った。
旧警察署庁舎の2階からの眺め。ガラスの奥に見える洋館は昔の役所。以前見学して素敵な造りに感動したので、実はここが今回のお目当てだったのだが、残念ながら改装中で中へは入れなかった。
低く垂れ込めた雲が広がる田園地帯に1本の農道が走る風景を9mmのワイドレンズで画面に収める。
道に迷って入り込んだ民家のすぐ近くにある田んぼの中。白鳥たちの集団が食事中の賑やかな鳴き声を響かせていた。よく見ると向こう側から望遠レンズが並んでいたので、邪魔しないようにササッと撮影して通り過ぎる。
恐竜博物館にて撮影、と書きたいところだが本当は鮭で有名な新潟県最北部の村上市にて。
天井からたくさんの鮭を吊して乾燥している姿が圧巻。色味を排除して、シンプルなフォルムを強調するために敢えてL.モノクロームで表現してみた。
周辺の地域との市町村合併で大きくなった長岡市。醤油、味噌、日本酒などを江戸時代から製造している、昔ながらの古い蔵元も残るエリアがあるので、歩いてまわると楽しい。
新潟県へ行くたびに訪れている好きな場所のひとつに彌彦神社がある。木造の休憩室に保存されている日清・日露戦争からの日本の歴史を眺めていると、時代を超えて往時にトリップできる。
夏は賑わったんだろうなと想像しながら、新潟市西蒲区のビーチから日本海へ沈む夕陽を望む。
こちらの海岸線も何度も通っているお気に入りの道路。道幅が狭いので超広角レンズの力を借りなければカメラに収めきれない風景だ。日没後の雨上がりの残照が美しい夕暮れシーンだったが、敢えて色を排除して階調豊かなL.モノクロームで表現してみた。
旅を終えて
掌に収まるくらい小型軽量なミラーレス機G100と9mm F1.7の組合せはベストマッチであった。25-50mm F1.7を加えてもレンズ2本だけという必要最小限の組合せでの旅程だったが、視界の中で手に届く範囲の風景やモノを撮影するには充分な機材チョイスだったといえる。
大口径レンズ2本の明るさに救われた部分は大きい。また、絞り優先AEやISOオートの使用といった、これまであまり使ってこなかった簡単な設定で、大部分がカメラ任せの撮影となった。結果としては大きく外れることなく意図した方向性での表現が出来たと思う。
最近のデジタルカメラはかゆいところに手が届くくらい賢くなっていて、「G100も本当にスグレモノだなー」と感じた。年末年始の冬休みや帰省は、荷物を減らした手軽な機材を持って旅に出てみるのもオススメだ。