特別企画
「FE 50mm F1.2 GM」発表記念!ソニーEマウントレンズ放談
αの強みはレンズにもあり…ソニー通の3名が語り合う!
2021年3月30日 17:00
ソニーフルサイズミラーレス一眼 フラッグシップα1について語っていたただいた猪狩友則さん、大村祐里子さん、桃井一至さん(五十音順)の3名に、続いてソニーのEマウントレンズの力について語ってもらいました。
3人の話題はやっぱり「あのレンズ」からスタートしました。小口径のEマウントでは実現不可能と言われていた開放F1.2、しかも開放F1.2のレンズとしては驚くほど小型・軽量な「FE 50mm F1.2 GM」です。(編集部)
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高画質&小型鏡筒=FE 50mm F1.2 GM!
——先日突然に発表された「FE 50mm F1.2 GM」ですが、このタイミングでの発表は想定はされていました?
猪狩: 50mmのレンズはすでにいくつかあるので、ソニーはもう50mmの新製品を出さないと思っていました。それが突然発表されて、しかもソニーFEで初めてのF1.2という驚きの明るさで。
桃井: 一般的には開放F値が小さいレンズほどサイズは大きく、重くなるといわれていますが、F1.2なのにこのコンパクトな鏡筒はすごいよね。「一体どうやって実現したのだろう?」が最初に手にした時の感想でした。
猪狩: ボディの進化と共に、ベースの開発環境が進化してレンズ設計技術も非常に高いことが分かりますね。
桃井: 驚いたのが円形ぼけに輪線がほとんどないこと。ほぼ気づかないレベルまで減っていて、円形ぼけの輪郭によく出る縁取りも目立ちません。
——大村さんにもこのレンズで作例を撮っていただきましたが、その辺りはどうでしたか?
大村: 皆さんがおっしゃるように、ぼけがとにかくきれいでした。もちろん、ピントが合った箇所はシャープ。最短撮影距離の40cmでも何かが崩れるようなことはありません。
猪狩: 一般に解像を求めるとぼけが汚くなり、ぼけを滑らかにすると解像が物足りなくなりがちです。そういったバーター的なものがG Masterには無いところがすごいですよね。解像的にはα1の有効約5,010万画素の力を十二分に引き出せていると思います。
大村: 余裕ですよね。有効約6,100万画素のα7R IVや今後のαにも対応できるでしょう。
——大きさ・重量的にα1との組み合わせはいかがでしたか?
大村: バランスが良いです。F1.2だと考えると、今ある業界のものと比較してとても小さくて軽いのではないでしょうか。
猪狩: 逆光耐性も悪くないようですね。太陽光を入れる構図だとさすがにフレアが少し出ましたが、レンズフードをつけることで対処できます。
大村: 口径食はF2.8まで絞るとなくなるイメージ。F1.8でもだいぶ改善されます。レンズ補正の効果もあるのでしょうが、周辺画質にも問題は感じられませんでした。
桃井: α1の電子シャッターはメカデバイスの限界シャッタースピードを大幅に超える最高1/32000秒。なのでNDフィルターなし、かつ絞り開放F1.2で問題なく撮影できました。ミラーレスカメラが進化して、大口径レンズを昼間でもストレスなく使えるようになったのは非常にうれしいですね。
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“ソニー純正”である意義
——最近のFEレンズはG Master、G、無印が新製品として展開しています。FE 50mm F1.2 GMに先立ちFE 35mm F1.4 GMも出るなど、ソニー最高峰のG Masterも非常に充実しています。
桃井: 単焦点レンズは革新的な進化がないイメージだったのですが、実はそうでもない。特にFE 24mm F1.4 GMはセンセーショナルでした。最初に手に持った時は軽くてモックアップかと思ったほど(笑)
大村: レンズが重いと「あれもこれも持って行こうかな」という気分が失せてしまいます。そういう悩みが減る方向なのはいいですね。
——ソニー製以外のEマウント対応レンズが拡大しています。その中で純正レンズの強みとはなんでしょうか。
大村: あくまでも自分が使った印象なのですが、AFの速度・使いやすさが全く違いますね。食いつきみたいなのが感覚的に違うような気がします。純正レンズだとα1やα7S IIIなどに搭載の動画撮影時の手ブレ補正効果を向上させる「アクティブモード」に対応する利点も大きいですね。手持ち撮影時に大変便利です。
猪狩: 僕も手持ちで動き物を撮るなら、純正レンズの方を優先的に選択しますね。α1が実現する最高約30コマ/秒の高速連写を引き出せるのも純正レンズならではの利点です。
桃井: 個人的には防塵防滴など、耐久面で差が出るような印象を持っています。純正レンズなら多少ヘビーな現場で使っても平気なイメージとか、悪条件や失敗が許されない撮影ほど、カメラとレンズには確実に動いて欲しい。不安な要素が気持ちにあると、撮影に集中できませんから。
大村: 仕事で使うと、クライアントから「今回の写真はシャープですね」などと言われることがあります。そこはやはり純正レンズの恩恵。最近だとライブ撮影でFE 135mm F1.8 GMを使ったのですが、写真に詳しくないクライアントが「今度もこれでお願いします」とおっしゃったくらい、何か感覚的に伝わる良さがあるのだと思っています。それはスチルも動画も同じですね。動画の方がわかりやすいかもしれません。私は、勝負の時は絶対に純正レンズです。
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“1マウント(ワンマウント)”の強み・将来性は?
——レンズについてもαの勢いは感じられますか?
猪狩: ボディもそうだけどソニーは出し惜しみをしない感があります。例えばFE 400mm F2.8 GM OSSやFE 600mm F4 GM OSSといった超望遠レンズで、重心を前に持ってくる設計。他のどのメーカーがやるよりも、ソニーが一番早く実現してきた。
——Eマウントレンズについてこれからも未来を感じますか?
大村: 技術的には信頼していて、ビギナーに相談された時は「将来性がある」と説明しています。G Masterのような最高峰のレンズもありますが、α7Cのキットレンズ(FE 28-60mm F4-5.6)くらいの小さくて手軽なレンズもある。幅の広さが魅力です。
編集部注:本座談会は「FE 24mm F2.8 G」「FE 40mm F2.5 G」「FE 50mm F2.5 G」の3製品が発表された3月24日より前に行われました。
ソニー、フルサイズGレンズ「FE 24mm F2.8 G」「FE 40mm F2.5 G」「FE 50mm F2.5 G」
猪狩: そういえばEマウントはAPS-Cサイズ相当のイメージセンサーからスタートして、いまもそれが継承されていますよね。
桃井: 後からミラーレスカメラに参入したメーカーのほうが、マウントが増えたり、無くなったり。そう思うとソニーは、ミラーレス黎明期から同じEマウントで一貫して続けています。その辺りも興味深いところですね。35mmフルサイズ用だけでもラインナップは豊富で、使い手の望むいろんな表現に対応可能。しかもAPS-C、Cinema Lineとすべて同じマウントで運用できるので、APS-Cから入って、一眼、さらには動画に興味をもってFX3。など、興味ややりたいこと、用途やレベルに合わせて長い間レンズ資産を使いこなせる、強いシステムになっているといえますね。