特別企画
オンラインビデオ会議サービス「Zoom」の背景をお気に入りの写真に変えてみよう
プロカメラマンが“画面写り“のコツも伝授 背景写真DLつき
2020年4月24日 10:00
不要不急の外出が制限される中、ZoomやGoogle Hangouts Meetのようなビデオ会議サービスに注目が集まっている。リモートワークなどで活用中の読者も多いことだろう。これらのサービスを使うのにカメラの知識は必須ではないのだが、「ビデオ会議」という特性上、カメラの特性を理解して使うと、周りとはひと味違うビデオ会議をすることができるようになる。今回はデジカメ Watchらしく、画質や背景で周りとはひと味違ったビデオ会議をするための方法を紹介しようと思う。
バーチャル背景を使ってみよう
オンラインでビデオ会議ができるサービスはいくつもあるが、有名どころはZoom、Google Hangouts Meet、Microsoft Teamsあたりだろう。中でもZoomは導入が簡単でビデオ会議初心者でも扱いやすく、機能も豊富なため利用者も多い。今回は主にZoom中心に紹介していく。
まず、Zoomの特徴の一つに「バーチャル背景」という機能がある。これは自分の背景を好きな画像に置き換えて会議に参加することができる機能だ。自宅で作業している場合、背景を見せたくないという場合もあると思うが、この機能を使えばプライバシーを守りながらビデオ会議に参加できる。画像を変えることで気分転換することもできるだろう。
具体的な設定方法は?
Zoomでバーチャル背景を使うには、まず専用のアプリをインストールする必要がある。あとは、画面右上の歯車マークから[設定]>[バーチャル背景]へ進み、好きな画像を使うだけだ。このへんは初めてでも直感的にできるような導線で、操作で迷うことはないだろう。
ビデオ会議中にカメラマーク横の「∧」マークから「バーチャル背景を設定」を選んでも良い。
背景にお気に入りの写真を使用してみよう
自分が撮影した、お気に入りの写真を背景に使えるのは写真好きにとってはありがたい機能だ。最近は企業が背景用に無償利用できる画像を提供していることも多いため、そういう物を探してみるのも面白い。
バーチャル背景は画像認識により人物と背景を自動で分離してくれるため、グリーンバックなど特殊な環境がなくともだれでもバーチャル背景が利用可能だ。ただし、髪の毛のディティールなど細かな部分は認識してくれないため完璧ではない。また、背景がゴチャゴチャしていると認識精度が落ちてしまうことがある。シンプルな壁などを背景にすると上手く馴染みやすいのでおすすめだ。
もしグリーンバックを持っている場合はその下の「グリーンスクリーンがあります」にチェックを入れておけばより高度なマスク処理が行われる。また、背景の画像はデフォルトでは左右が反転された鏡像のように表示されているが相手には正しい向きで表示されているので心配しなくてもOKだ。気になるようなら「マイビデオをミラーリングします」のチェックを外せば自分も左右正しい表示で見ることができる(相手の表示は変わらない)。
ビデオ会議の場合、人物が中央に入るため、使用する背景は額縁構図や主題が端にある四分割構図で撮られたものが良くマッチするのでおすすめだ。シンメトリー構図のものも合わせやすいだろう。
ただ、組み合わせてみると“意外と合うよね”というものも多いので、難しい事は考えずにお気に入りの写真をどんどん試してみるのがおすすめだ。今回は私が試してみて“良いな“と思った写真を3つほど記事末に掲載しておく。もし気に入って頂けたら、みなさん自由にビデオ会議の背景として利用いただいてOKだ。
写りを良くするために気をつけたいこと
ここからはさらに、プラスアルファとしてノートPCやタブレットのインカメラを使ったビデオ会議の「写り」をよくするためのポイントを紹介していこう。
インカメラを使う場合の最も大きな問題はカメラのアングルだ。デスクにノートPCを置いた場合、インカメラの位置は顔よりも低くなってしまうため、下から“あおられた”写りになってしまうのだ。
このアングルでは顎や鼻の穴などが目立つし、インカメラは広角レンズが使われるのでパースの影響で顔の形も不自然に長く見えてしまう。さらに見下すような目線は相手に意図しない印象を抱かせてしまう恐れもある。インカメラは普段の人物撮影ではまず使わないアングルがデフォルトになっていることに注意しよう。
では、どうすればいいのか。答えは、インカメラで写りを良くするためには、カメラの位置をできるだけ顔の正面にもってくるのが望ましい、となる。できれば鼻の高さより少し上にカメラがあるとベストだ。これを実現するには次の3つの方法が考えられる。
ポイント1:パソコンの高さを上げる
最も手軽に出来るのはノートPCをデスクに直接置かず、10~15cmの台の上に置くことだ。これにより、インカメラの高さが顔の高さに近づく。
高くなることで若干タイピングがしにくくなるかもしれないが、頻繁にタイピングしないような会議なら大丈夫だろう。どうしてもタイピングしにくければ外付けキーボードを使うと言う方法をとっても良い。
ポイント2:イスの座面を下げる
カメラの位置を顔に揃えることを考えると、カメラを高くすることばかり考えてしまうが逆に座面を下げて自分がカメラに近づくという方法でも良い。
例えば、使用している椅子の可動範囲が広ければ、これを試してみてもOKだ。これも手軽にできる。ポイント1との組み合わせも効果的だ。
ポイント3:外付けWEBカメラを使う
パソコンのインカメラを高くするのが難しければ、外付けのWEBカメラをミニ三脚などで顔の正面にセットして利用する、という使い方も考えられる。ただし、カメラだけを高い位置にしてしまうと、画面を見ているときとカメラを見ている時とで視線の動きで差が大きくなってしまい、かなり不自然に見えてしまう。もしこの方法を使うなら外付けディスプレイを用いて、ディスプレイの近くにWEBカメラを置く、という工夫が必要だ。環境としてはベストだが少し導入のハードルが高い。
普段、人物撮影をしている人ならすぐ分かって頂けると思うが、カメラのアングル(角度)を気にするだけで驚くほど見え方が変わってくる。Zoomに限らず、すべてのビデオ会議で共通するポイントなので、ぜひ気をつけておこう。
その他に気をつけておくこと
ZoomでノートPCのインカメラを使う場合、Zoom側で明るさや色などの調整はできない。端末に搭載されているカメラにもよると思うが、基本的に露出はカメラ任せとなる(MacbookPro Late2016の場合)。
ありがちな失敗は、窓を背景にすることで条件が逆光になってしまい、顔が暗く沈んでしまうパターンだ。ノートPCなどのインカメラでは、スマホカメラのように顔を認識して露出を最適化してくれるようなことはないため、背景が明るければそれにつられて顔が暗くなってしまう。
ここでは、背景の明るさは自分の顔と同じレベルか、むしろ少し暗いほうが顔が明るく見える、ということを覚えておいてほしい。
では、背景の明るさでどれくらい顔の明るさが変わるのだろうか。白背景、明るいグレーの背景、黒背景の3つのパターンで試してみた。
照明などの条件はまったく同じでもMacbookPro Late2016のインカメラを使うとこのくらい顕著に顔の明るさが変わってくる。この3つのなかでは、明るいグレーが最もバランスが良い結果となった。
また、PCのインカメラはホワイトバランスも自動になるため、室内の照明を5,500K前後の昼白色にしておくのがおすすめだ。例えば窓からの光と室内のオレンジがかった照明が混ざったりすると、ミックス光となり色をコントロールするのが難しくなるので注意しよう。
PCのインカメラ性能はそれほど高くないため、通常の室内で使用している場合はISO感度が上がってしまいノイジーになることも多い。できるだけ室内を明るくしておくとクリアな映像を得ることが可能だ。映像用の定常光を持っているなら自分の前方斜め上あたりからライティングすればさらに一歩進んだ映像が得られるはずだ。
部屋のシーリングライトのみの場合と、前方斜め上から光を足して全体を明るくした場合は次のようになる。
一見すると顔の明るさは変わっていないように思えるが、ライティングしない場合はよく見ると細部のディティールが失われており、ノイジーだ。ISO感度が上がって画質が悪化していることが分かる。ビデオ会議を開始するときは、できるだけ明るい環境で行うようにしたい。
まとめ
以上、主にZoomを使ったバーチャル背景の使い方と、インカメラで写りを良くするためのポイントを紹介した。
バーチャル背景については現状Zoomが最も使いやすいが、Microsoft Teamsでも最近対応が始まった(背景の変更がまだ面倒。今後アップデート予定)。Google Hangouts Meetは残念ながら非対応だが、SnapCameraなどサードパーティーのアプリを介してバーチャル背景を使うこともできる。
また、後半のインカメラの使いこなしの部分は、すべてのビデオ会議システムで有効なテクニックだ。これらを活用しながら周りとはひと味違うビデオ会議を試してみてはいかがだろうか。
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