特別企画

あのRAW現像ソフトの老舗「SILKYPIX」が、型破りな機能を搭載して新登場

RAWのまま合成・RAWで保存 ノイズ低減とシャープネスにも磨きをかけて

国産のRAW現像ソフトSILKYPIXシリーズのプロフェッショナル版「SILKYPIX Developer Studio Pro」が、いよいよ大台の「10」に突入。初登場から16年のときを経て、これまでにない大きな進化を遂げた。メモリアルバージョンだからというわけではないのだろうが、機能だけでなく価格面も“強化”され、よりお求め安くなっている。

RAW画像合成に対応した「SILKYPIX Developer Studio Pro10」 - デジカメ Watch
https://dc.watch.impress.co.jp/docs/news/1236103.html

ワークフローが大きく変化した新バージョンの「SILKYPIX Developer Studio Pro 10」(以下、「SILKYPIX Pro10」)とはどんなソフトなのか、順を追って確認していこう。

作品制作の可能性が広がった「SILKYPIX Pro10」

SILKYPIXシリーズは、写真愛好家のみなさんには説明不要なほどに知名度の高いRAW現像、およびJPEG調整ソフト。カメラメーカーやレンズメーカーにも採用され、編集ソフトとして同梱されたり、現像エンジン(画像処理を行うプログラム)を提供していたりと、知らずに使っているひとも多いことだろう。それくらいに浸透しているソフトだ。

今回紹介する「SILKYPIX Pro10」はシリーズ最高峰の製品で、数あるRAW現像ソフトの中でも「個性的」で「自由度の高い」ソフトとして存在感を増している。

「作品を作る」という作業に対して「ストイック」で「まじめ」な印象だった従来のバージョンに対し、「遊び心」がプラスされたという感じ。とくに、RAW現像後にレタッチまで行うヘビーなユーザーなら、その楽しさや可能性は実感できるに違いない。

まずは、「SILKYPIX Pro10」の特徴を簡単に紹介しておくと、ワークフローと機能面の両方で大きな変化を遂げている。前者は「セレクト」セクションを追加したことによる作業の効率化で、後者は「合成」機能の搭載だ。

写真編集を目的とするユーザーにとっては、おそらく「合成」機能が「SILKYPIX Pro10」最大のトピックであり、興味の対象となることだろう。

それにしても、RAW現像で合成とは、なんとも型破りなソフトだ。

新機能の「ストロボモーション」で通行人を合成。RAW現像ソフトでありながらこんな写真が作れるのも「SILKYPIX Pro10」の面白さ。

ほかにも、よりデリケートな処理が行えるノイズ除去機能(ファインディティール)や、部分的なぼかし機能、歪みを補正する機能などが新たに搭載されているが、この辺りはいわば正統進化。制作する作品の方向性に大きくかかわるというよりは、クオリティーをアップするためのブラッシュアップといえる。

ワークフローの刷新で作業内容がより明確に

個人的には、写真のセレクトに関しては従来バージョンでも不便を感じていない。むしろ、セレクトと編集、印刷が同一画面内でシームレスに移行できる“見渡しのよさ”を気に入っていたのだが、おそらくこれは「慣れている」からなのだろう。

「SILKYPIX Pro10」では、画面の右上に「セレクト」「調整」「印刷」のボタンが搭載され、画面(セクション)を切り替えることで、行いたい作業が明確に指定できるようになった。一般的には、このほうが分かりやすいのかもしれない。

フォルダ内の写真を高速に一覧表示できる新搭載の「セレクト」セクション。「セレクト」「調整」「印刷」の各セクションは、画面右上のボタンで切り替えることができる。

「セレクト」「調整」「印刷」の画面は「セクション」と呼ばれ、まずは「セレクト」セクションで写真を選ぶことから作業がはじまる。「セレクト」セクションで選んだ写真を「調整」セクションで編集し、仕上がったら「印刷」セクションで印刷、と作業を進めていく。

既存ユーザーのために補足をしておくと、「調整」セクションが従来の画面となる。この画面に「フォルダツリー」を表示すれば、写真の色調整をしつつ別のフォルダにアクセスするという、従来どおりの使い方も可能。慣れたワークフローで作業できる選択肢を残してくれた点はありがたい。

「調整」セクションで、①「フォルダツリー」ボタンをクリックするか、「表示」メニューの「フォルダツリー」を選択すると、②画面左にフォルダ一覧が表示され従来どおりの使い方ができる。

「セレクト」セクションでのサムネイル表示は、従来版よりも高速化している。200枚程度のRAW、JPEG、TIFFが混在するフォルダを開くだけでも、体感で違いを感じるほど。大量の写真を扱うなら、作業の効率はかなり向上するだろう。

ただし、問題もある。表示には画像データに内包されているサムネイル情報を使っているため、埋め込まれていない写真はサムネイルが表示されない。

デジカメの写真はたいていサムネイルが埋め込まれているので問題はないが、表示できない写真があるときは、「調整」セクションに移動すればOK。こちらは実データからサムネイルを作成するため、一覧表示が可能になる。

「セレクト」セクション(左)でサムネイル表示できなくても、「調整」セクション(右)に移動すれば写真の確認が行える。

効率よく管理するポイントは、「セレクト」セクションでは「構図」に着目して写真選びをする点。前述のとおり、データ内包のサムネイルを使っているため、露出や色が実際とは異なり、正しい判断ができないことがある。

また、「セレクト」セクションでサムネイルサイズを大きくすると画質が甘く見えることもあるが、これも同様。あくまでもスピーディーに写真をセレクトするセクションと考え、露出や色や画質は「調整」セクションで確認すればよい。
既存ユーザーの目線で説明するなら、これまでのワークフローの「前段階」として、「セレクト」セクションで粗セレクトができるようになった、ということ。

色調整済みの同じ写真を「セレクト」(左)と「調整」(右)セクションでサムネイル表示した例。「セレクト」セクションはレスポンスがよい反面、画質が甘く調整結果が反映されない点に注意。速度重視の「セレクト」セクション、正確さの「調整」セクションと使い分けよう。

搭載されている主な管理機能は、赤や青などの色で仕分ける「ユーザーマーク」と、★の数で分類する「レーティング」、撮影情報などから写真が探せる「サムネイル内検索」機能など。

新機能ではないが、「表示」メニューの「処理対象コマの選別」は覚えておくと便利。たとえば、「青」のユーザーマークを「人物」、「レーティング1」を重要なカットと決め、「現像予約」を指定しておけば、この3つの情報をもつ写真(現像が必要な最重要の人物)だけをサムネイル表示し次々と作業に取り掛かれる。

本格的な管理機能というよりは簡易管理の類だが、その分、レスポンスよく運用できるのが特徴だ。

「ユーザーマーク」や「レーティング」付けなどの操作は、サムネイルを右クリックすると実行できる。また、「ツールバー」-「オプション」-「キー設定」を行うことで、ショートカットキーによるスムーズなマーク付けも可能。設定しておくことで検索しやすくなるだけでなく、「処理対象コマの選別」機能で特定条件の写真だけに表示が制限されるなど、なにかと便利。

「印刷」セクションは、プレビューと設定が一画面で作業できる操作性のよさが特徴。機能を選ぶたびにタブで表示を切り替えて、みたいな煩わしさがない。

機能自体は従来とほぼ同じだが、メイン画面を切り替える「セクション」型のワークフローになったおかげで設定に集中できるようになった。

「印刷」セクションは、別ウィンドウで表示されていた従来バージョンと異なり、メイン画面全体で表示されるタイプに変更。「カラーマネージメント」などの処理が一画面内で行なえるなど、操作性が向上している。

RAWのまま合成できる「SILKYPIX Pro10」のすごさ

「SILKYPIX」のイメージを大きく変えた新機能が、6種類の「合成」機能だろう。

複数の写真を重ねる編集は「レタッチソフト」の範疇だったが、「SILKYPIX Pro10」では合成とRAW現像の両方が行えるソフトへと進化した。

ただし、被写体を切り貼りするようなコラージュ的な合成機能ではなく、多重露光のようなイメージを作ったり、被写界深度の深い写真に合成したりするタイプ。6種類の特徴を下記にまとめたので、まずは確認を。

多重露光

複数の写真を重ねて新たなイメージを作る。同じ構図の複数の写真を重ねることでノイズの軽減も可能。

多重露光(夜景)

夜景に特化した機能で、複数の写真を重ねて長時間露光のようなイメージを作る。ノイズの軽減も可能。

比較明

複数の写真を重ねたとき、明るい部分だけを合成する機能。流れるような星空や車のライトの軌跡などが代表例。

動体除去

複数の写真から「動いている物体」だけを消去して合成。撮影地でひと通りが避けられないシーンに便利

ストロボモーション

複数の写真から「動いている物体」を残して合成。物体の移動軌跡が分かりやすく残せる機能

被写界深度

各部にピントを合わせた複数の写真を使うことで、被写界深度の深い写真が作り出せる

◇   ◇   ◇

6種類の合成機能はすべて「選択コマを合成」画面から使うことができる。調整用のパラメーターもほとんどなく、作業中はプレビューが表示されるので難しさは感じない。

もっとも、合成機能は使い方そのものよりも、機能へのアクセス方法のほうが難しいかもしれない。事実、筆者は初見でこの機能にたどりつけなかったわけだし……。最初からマニュアルに頼るのはなんとなく悔しいので、じっくりと探してようやく使うことができた機能だ。

①「調整」セクションでサムネイルを選択したら、「ツールバー」にある、②「選択コマを合成」ボタンをクリックすると、③機能が表示される。④選択したサムネイルを右クリックして、⑤「選択コマを合成」を選択してもOK。

そして、合成機能のすごい点は3つ。

もっともすごいのは、RAWのまま合成できる点。元の写真がRAWなら、合成後もRAW(DNG形式)のまま保存(TIFF 16bitの選択も可)できる。これは本当にありがたい。

RAWのメリットはいくつかあるが、個人的には「色温度」調整のデリケートさだと思っている。同じ写真でもRAWとJPEGとでは「色温度」の効き具合が異なっていて、JPEGではRAWほど思いどおりに変化しないことが多い。これは、ほかのソフトでも同様だ。

「色温度」は写真の雰囲気を左右する大切な要素なので、これが精密に調整できるだけでもRAWで保存できるメリットは大きい。

「出力形式」を「DNG」にすると、RAW形式のまま保存することができる。ただし、元画像にRAW以外が含まれているときは、「TIFF(16bit)」しか選択できない。

2つ目のすごさは、「ノイズ軽減」が可能なこと。「多重露光」と「多重露光(夜景)」では、同じ構図の写真を重ねるたびにノイズが軽減していく。効果としては、4枚重ねるとISO感度で2段分、16枚で4段分に相当するという。

たとえば、ISO 12800で撮影した16枚の写真を合成すれば、ISO 800程度にノイズが軽減できるということ。16枚撮影というと大変に思えるが、今どきのカメラなら連写機能を使えばあっという間だ。

ISO 12800×16枚の「多重露光」合成の画質は、ISO800で写した画質にかなり近いものとなった。ノイズが減るだけでなく、ISO12800ではつぶれて見えなかったディテールも復活し、さらに滑らかさが出てくるなど、十分に“使える”機能と判断できる。

下の一連の作例は、ISO 12800、ISO 3200、ISO 800で撮影した写真と、「多重露光」でISO 12800を4枚合成したISO 3200相当、16枚合成したISO 800相当の比較。カメラはオリンパスOM-D E-M1、ISO高感度ノイズ軽減機能をオフにして撮影。

ISO 12800
ISO 3200
ISO 800
ISO 12800×4枚(ISO 3200相当)
ISO 12800×16枚(ISO 800相当)

3つ目は、手持ちで撮影した写真でもピタリと位置を合わせてくれる点。

この機能は「画像一致点検出技術」と呼ばれ、6つの合成機能すべてに搭載。テスト撮影は、焦点距離が「300mm相当」のレンズを「手持ち」で「マクロ的」に撮影という構図がずれやすい状況で行なったが、きれいに位置を揃えて合成できている。

焦点距離300mmを手持ちで3枚撮影して合成。構図がずれているため、そのまま合成するとブレたような仕上がりになる(左)が、「手持ち撮影時の位置ずれを補正する」をチェックすることでピッタリと重ねてくれる(右)。

使ってみて面白さを感じたのが、「ストロボモーション」。とにかく、動いている被写体を連写したくなる。

レタッチソフトのようにマスク処理したり、部分的に切り貼りするという面倒がないのがいい。ボタンをクリックしたら待つだけなのだから、いろいろと試したくなる気持ちも分かるだろう。アイデア次第で面白い作品が生み出せる機能だと思う。

飛行機が離陸する様子を6枚撮影して「ストロボモーション」で合成。RAWのまま合成できるため、その後の色調整もしやすい。

ノイズの軽減と繊細なディテールの再現

SYLKYPIXのノイズリダクションやシャープ機能はとても繊細で、クオリティーが高い。これは、筆者がSYLKYPIXを使う大きな理由のひとつでもあり、ほかのソフトではノイズが目立つ画質でも、SYLKYPIXならなんとかなるという安心感がある。

このように、従来でもまったく問題ないというか、十分過ぎるほどの性能を有していたにもかかわらず、今回はシャープ感を維持したままノイズを軽減するという「ファインディティール」機能を追加。より質感を残してノイズが軽減できるようになった。

とはいうものの、もともとが高性能なSILKYPIXのノイズリダクション機能。あらゆる場面で明確な違いが出るかというと、ちょっと難しいかもしれない。

しかしながら、「ファインディティール」で仕上げると、細部を拡大すると滑らかな質感の中に繊細なエッジが浮かび、立体感が増した描写が見て取れるのは事実。常に使用してもよい機能だと思うが、パソコンの性能によっては処理が重くなるので注意したい。

ノイズリダクションの違いによる画質の差。「標準」は初期設定で適用されているノイズリダクションで、これを「ファインディティール」に変更すると、より高精度なノイズ軽減とディテールアップが施せる。

標準
ファインディティール

「ファインディティール」もまた、少々気づきにくい場所に搭載されている。

この機能にアクセスするには、「パラメータ・コントロール」画面で「ノイズリダクション」のサブコントロールを表示し、「モード」から設定を切り替えるという手順が必要だ。

そして、この機能を使うときは、表示倍率を必ず「100%」に設定すること。写真全体を表示した状態では調整の適量が把握できないし、「ファインディティール」の繊細な仕上がりが確認できない。「ノイズリダクション」は、それくらいに緻密な処理と考えたい。

①「ノイズリダクション」ボタンをクリックしてサブコントロールを表示。②「モード」のパラメーターとして、「標準」(初期設定)と「ファインディティール」が選択できる。

部分補正のぼかしは「隠す処理」に役立つ

使用頻度は高くないかもしれないが、あると役立ちそうな新機能が「パース歪み補正」と、2種類の部分的なぼかし機能。

「パース歪み補正」は文字どおり、遠近感(パース)の強い構図を修整し、水平や垂直を正すというもの。写真内の縦や横のラインにガイドを重ねればよいので使い方は簡単だ。

この機能は、「パラメータ・コントロール」にある「回転・デジタルシフト」ボタンをクリックするか、「ツールバー」の「パース歪み補正ツール」ボタンから直接アクセスできる。

パースの補正は角度や縦横比の調整なども必要になるため、それらが一緒に施せる前者の手順が便利。

①「回転・デジタルシフト」ボタンをクリックし、②「回転・デジタルシフト」サブコントロールを表示。画面下部に、③「パース歪み補正」機能が搭載されている。④「パース歪み補正ツール」ボタンから直接機能を指定することも可能。

類似機能として「デジタルシフト」も搭載されているが、明らかにパースが崩れている場合は直感的に操作できる「パース歪み補正」のほうが作業しやすいだろう。「縦横比」スライダーも搭載されているため、パース修整後の形状の補正(縦長/横長の修整)も簡単だ。

ただし、緻密な補正となるとスライダーで操作できる「デジタルシフト」に分があるので、状況に応じて使い分けるようにしたい。

垂直の「パース歪み補正」機能で修整した例。窓枠の縦のラインに合わせてガイドを配置し、写真内でダブルクリックすれば修整が完了する。

修整前
修整後

新たに搭載されたぼかし系の機能は、「部分補正ツール」に搭載された「ぼかし」と、「周辺ぼかし・シャープ」に搭載された「線形」機能の2種類。どちらも、既存の機能のパラメーターのひとつとして追加されている。

それぞれの効果としては、「部分補正ツール」の「ぼかし」は、マウスでドラッグしたり、グラデーションや選択機能で指定した範囲に対してぼかしを適用する機能。背景をぼかして立体感を出したり、特定の部分をぼけで隠すなどの使い方が考えられる。

写真好きならレンズや絞りで背景のボケをコントロールするところだが、肖像権や著作権が騒がれる昨今、SNSにアップする写真では隠したい部分も少なくない。そんなとき役立つ機能として覚えておきたい。

ついでにモザイク機能も搭載してもらえると、隠す処理の選択肢が増えてありがたいのだが。

写り込んだ通行人の顔を「部分補正ツール」でぼかす。ほかにも、車のナンバーなどもこの方法で隠すことができる。部分的なぼかしを行うには、「部分補正ツール」サブコントロールで部分補正の範囲を作り、「ぼかし」タブにある「ぼかし」スライダーでボケの大きさを調整する。

「周辺ぼかし・シャープ」に搭載された「線形」は、ミニチュアやジオラマっぽい効果を作る機能といえば分かりやすいだろう。

この機能で困惑したのは、ぼかす角度の操作方法だ。ぼかしの中心を決める十字のガイドラインが表示できるため、ドラッグすれば角度が変わるものと思っていたのだが、実際は「角度」スライダーで調整する。

しかも、角度を変えても十字のガイドラインは水平/垂直のままなので紛らわしい。ボケの角度が直感で把握できない点も扱いづらく思えてしまう。

今どきはデジカメにも搭載されているので頻繁に使う機能とはいえないが、過剰なほどに多機能でユーザー本位なSILKYPIXにしては、珍しく詰めの甘さのようなものを感じてしまった。

「周辺ぼかし・シャープ」の「線形」機能で上下をぼかしてジオラマ風に仕上げた例。この機能は、「効果」サブコントロールの「周辺ぼかし・シャープ」ツールで、「種類」を「線形」にすると選択できる。

本質はノイズ軽減とディテールアップ

「SILKYPIX Pro10」を使い込んでみて、改めてノイズとディテール処理の素晴らしさを実感した。新機能ではないため今回は紹介していないが、シャープ機能もとても優秀で、これらの機能のためにSILKYPIXを購入してもよいくらいに気に入っている。

既存のユーザーにとっては、「合成」機能の必要性が「SILKYPIX Pro10」導入の大きな要因となるだろう。しかしながら、「合成=特殊効果」的に捉えてしまうと「SILKYPIX Pro10」のよさを見逃しかねない。写真好きなら、合成によるノイズ軽減とディテールアップの効果にこそ目を向けてほしい。

撮影時にISO感度が1段でも上げられれば、撮れるシーンがより広がる。作品のバリエーションが増やせるようになる。そのための手助けを、「SILKYPIX Pro10」にしてもらうというわけだ。

そして、ワークフローが刷新されたからこその要望がひとつ。それが、異なるフォルダにある写真を仮想的にまとめる「アルバム」的な機能の搭載。「セレクト」セクションにこの機能が搭載されれば、写真の分類がよりしやすくなるに違いない。

また、ニッチ過ぎて紹介を割愛した新機能に「ネガフィルム反転」ツールがある。デジタル化したネガフィルムをクリックすれば、簡単にポジ画像になるという機能なのだが……。

実はこれ、ユーザーの声を反映したものだという。つまり、SILKYPIXは少数派の意見でも面白いと思えば実現してくれる(可能性がある)ということ。

だから、もう一度お願いします。アルバム機能が欲しいです。

制作・協力:株式会社市川ソフトラボラトリー

桐生彩希