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これが5,500円だなんてすご過ぎる!「SILKYPIX JPEG Photography 10」でJPEGでの撮影・調整を堪能しよう

SILKYPIXというと「RAW現像ソフト」のイメージだが、実は、JPEG専用版も存在する。それが、SILKYPIX JPEG Photography。その最新バージョンでもある「10」が遂に登場!

「RAWが使えない=初心者向き」と思うかもしれないが、それは間違い。色調整をはじめたいひとの「入り口」としてだけでなく、プロの使用にも対応できるハイスペックなソフトでもある。

当たり前の紹介をしても、このソフトの魅力は伝わりにくい。そこで、SILKYPIX JPEG Photographyの存在意義や活用法をレポート風にまとめたので、ぜひ一読してもらいたい。JPEGで撮ることの大切さや意味が見出せるはずだ。

JPEG専用だからといって簡易版ではない

SILKYPIX JPEG Photography 10(以下、JP10)は、和製RAW現像ソフトSILKYPIXシリーズのひとつで、JPEG専用(RAWやTIFFが扱えない)の編集ソフトだ。

SILKYPIXには、ハイスペックなプロフェッショナル版のSILKYPIX Developer Studio Pro(以下、Developer Studio Pro)と、そこから「合成」や「部分補正」などを省き、基本機能に的を絞ったスタンダード版のSILKYPIX Developer Studioがあるが、JP10の機能はプロフェッショナル版と同等。JPEG用だからといって、機能が制限されているわけではない。JP10以前のこれまでのSILKYPIX JPEG Photographyも同様だ。

JPEG Photography 10の編集画面。できることはプロフェッショナル版と同じ。画像は8枚の写真を「比較明合成」して車のライトの軌跡を描写した例。SILKYPIXシリーズの詳細な違いについては、https://silkypix.isl.co.jp/product/comparison-chart/で確認を。

具体的にJP10でなにができるのかというと、パソコンのフォルダーにある写真を一覧で表示したり、編集が必要な写真に対して明るさや色、鮮やかさ、コントラスト、ハイライトやシャドウの補正に、ノイズ除去などの画質の改善がおこなえる。

一方で、複数の写真を切り貼りしてコラージュしたり、手書きの文字や絵を重ねることはできない。「合成」機能は搭載されているが、これは「多重露光」や「被写界深度合成」といった「写真を重ねることで得られる効果」を作るもので、コピー&ペーストで切り貼りする機能とは異なっている。

一覧表示や編集画面はそれぞれ「セレクト」セクション、「調整」セクションと呼ばれていて、画面右上のボタンで切り替えが可能。大きな作業の流れとしては、

①「セレクト」セクションで 写真の選択
②「調整」セクションで 色調補正
③「印刷」セクションで プリントの作成

となる。詳しく見ていこう。

3つのセクション

①「セレクト」セクション
選択したフォルダーの写真をサムネール一覧で表示する機能。この画面で写真を探して、次の「調整」セクションに移動する。
②「調整」セクション
露出や色を補正したり、ノイズの軽減やトリミングなどの編集をおこなう機能。JPEG Photographyのメイン機能でもある。
③「印刷」セクション
文字どおりプリントを作る機能。プレビューエリアで縦と横の枠をドラッグすると、用紙に対する写真の大きさが決められる。

その他の新機能や特筆すべき機能に関しては、こちらの記事で確認していただきたい。

あのRAW現像ソフトの老舗「SILKYPIX」が、型破りな機能を搭載して新登場
https://dc.watch.impress.co.jp/docs/review/special/1240825.html

RAWやTIFF形式の読み込み、およびRAWやTIFF形式での保存が行えない点を除けば、できることはSILKYPIX Developer Studio Pro(以下Pro)とほぼ同じ。つまり、JP10の記事を作ると、以前の記事と同じ内容になる。そこで、JP10の機能や特徴は以前の記事に任せるとして、この記事では主にJP10の活用法について紹介していきたいと思う。

最大の魅力は価格設定?

JP10は、Pro版と同様に最新技術を満載しているハイスペックな写真編集ソフトだ。それにもかかわらず、価格はPro版の4分の1の5,500円(税込)。RAWが扱えないだけで、4分の1にプライスダウンというわけだ。

そして、この攻めた価格設定こそJP10最大のアドバンテージといえる。しかも、「買い切り型」なので「5,500円でずっと使える」点も大きな魅力だ。写真の色調補正に興味があるなら、買って後悔しない価格と性能だと思う。

RAWが扱えない点をデメリットと感じるかもしれないが、それは使い方次第。写真の色調整においては必ずしもRAWが必要というわけではなくて、筆者自身、JPEGデータを編集してクライアントに納品することもあるし、JPEG写真のレタッチを依頼されることもある。それに、プロの中にもRAWで撮らない写真家だっている。

ただし、間違わないでほしいのは「RAWを否定しているわけではない」という点。写真編集においてRAWは絶対ではないことを理解しつつ、撮影から編集におけるJPEGのハンドリングのよさにも目を向けてもらいたい。

そして、そこを突いたソフトがJP10で、ワークフローに合えば「お得」に「ハイスペック」な編集環境が得られる優れたソフトといえる。

編集作業中の画面。必要な機能(パレット)を表示しておけば、やりたいことがすぐに実行できる。操作性と見渡しのよさはSILKYPIXならでは。作業環境も補正機能の手応えもプロフェッショナル版とまったく同じで、これが5,500円(税込)ということに驚きだ。

JPEGだけど「RAW」として現像できる凄さ

「JPEGだから画質を妥協する」という考えは、JP10には当てはまらない。その理由のひとつが、JP10に搭載されたSILKYPIX RAW Bridge(以下、RAW Bridge)と呼ばれる機能の存在だ。これを簡単に説明するなら、JPEGをRAWの品質に変換する機能となる。

JPEGはRAWよりもデータ量(明るさや色の情報)が少なく、色調補正をおこなうと無理が出やすい。そのため、編集するならJPEGよりもRAWが有利なのは確かだが、JP10の場合は、JPEGを「あらかじめRAW品質にアップデート」してから、SILKYPIXのエンジンで「現像処理」を施している。

この、「あらかじめアップデート」という処理がとても重要。

一般的なソフトによるJPEG写真の調整(上)と、JP10による調整(下)の概念図。JP10はRAW Bridgeにより高品位なデータに変換してから編集をおこなうため、高品位な仕上がりが得やすい。

少々専門的な話になるので、JPEGでもRAW品質という点が分かれば十分という方は、次の見出しまで読み飛ばしてもらいたい。でも、知っているとJP10の凄さや、品質にこだわる意気込みが理解できると思う。

では、ちょっと難しい話を。

JPEGは内部的に、sRGBよりも広い色域のsYCCと呼ばれる色空間をもっているのだが、映像として表示するときにsRGBの色域に落とし込まれてしまう。そして、その状態で編集することで、さらにデータの欠落を招く点がJPEG編集のデメリットだ。

これを回避するべく、JP10(RAW Bridge)は入力画像の色空間のままRAWクオリティの16bitに階調を拡張し(元のJPEGは8bit)、編集に耐え得る広い色域にマッピングし直している。同じ16bit編集をおこなうにしても、広い色空間のまま16bitにしたものと、狭い色空間を16bitにしたものとでは、前者のほうがハイクオリティなのは明らかだろう。

ただし、RAW Bridgeで作られたデータが完全にRAWと同じかというと、そうではない。

RAW Bridgeと生粋のRAWとの決定的な違いは、撮影時に取りこぼした白とびや黒つぶれの領域までは復元できないという点にある。

撮影時に8bitオーバーで記録されるRAWの場合、見えない色がわずかに残っていることもあるが、撮影時に8bitになるJPEGではこれらはクリップされてしまう。その状態で「RAW品質」にアップデートするため、編集によるハイエストライトやディープシャドウの「粘り」は得られるにしても、復元という点では効果は薄い。

白とびしているRAW画像(左)に対して、Developer Studio Proの「露出補正」機能で「-3.0」補正を実行(右)。補正前は見えなかった雲の濃淡が復元されている。
上の写真と同時撮影したJPEG(左)に対して、JPEG Photographyの「露出補正」機能で「-3.0」補正を実行(右)。雲の白とびしている部分は、平坦なまま暗くなった状態。

白とびや黒つぶれに弱いのは、JPEGの宿命だ。これは、JP10といえども仕方のないこと。撮影でラクをしたいのなら、素直にRAW+Developer Studio Proの組み合わせがよいだろう。

もっとも、上で紹介した白とびの復元はRAWとJPEGの限界を見せるための極端な例で、色調補正においては、単純に暗く補正して階調を出すような処理はあまりおこなわない。コントラストや鮮やかさ、シャドウやハイライトの補正など「複合的」に処理するため、白とびしているJPEGでもそれほど気にならないことも多い。

上と同じJPEG画像をJPEG Photographyで複合的に補正。白とびしたJPEGでも、ここまできれいに仕上げられる。撮影時に露出をマイナス補正して白とびを軽減していれば、もっとよい仕上がりになったはず。

JP10をどう活かすか

JP10は「JPEGでもRAWクオリティ」という点が分かったところで、具体的にどんなひとに向いているのか、どうすれば活かせるのかを紹介していこう。

まずは、誰向きのソフトなのかという点から。

端的にいえば、RAWで撮影していないひと、および、RAWを必要としていないひとなら誰でもOK。RAW現像以外、機能はハイスペックなPro版と同等なので、初心者だろうと上級者だろうとプロだろうと関係ない。

プロでも使えるソフトというと初心者は身構えるかもしれないが、そこはご安心を。SILKYPIXシリーズは、カメラの撮影設定を変える感覚で色調整ができるので、補正機能へのアプローチさえ覚えてしまえば難しくはない。

補正機能へのアプローチ方法。①「調整」セクションで写真を表示したら、②露出補正、③ホワイトバランス、④調子(コントラスト)、⑤カラー(鮮やかさ)の各機能を使い色調を補正する。

また、色調補正のやり方が分からないなら、「露出」「色」「鮮やかさ」の3つの要素で写真を仕上げる方法を覚えてしまえばいい。あれもこれもと欲張るから難しくなるのであって、写真を構成する3つの要素を意識して、その範囲で写真の色彩を追い求めれば必要な機能はおのずと限られてくる。そしてそれこそ、撮影を大切にするプロがおこなう「色調補正の極意」でもあるわけだ。

“3つの要素”で写真をきれいに

基本的な補正の手順を紹介しよう。

使う機能は、①「露出補正」スライダーに、②「ホワイトバランス」機能、③「カラー」機能の3つ。それぞれを使って、「露出」、「色」、「鮮やかさ」を調整する。
最初に補正するのは「露出」。元の写真は暗い状態なので、「露光量」スライダーを右に移動して明るく補正。
2番目に調整するのは、①「ホワイトバランス」機能にある、②「色温度」スライダー。この機能で写真の色を決める。必要に応じて、③「色偏差」スライダーも調整すると効果的。
3番目に調整するのが、①「カラー」機能にある、②「彩度」スライダー。イメージに合わせて鮮やかにしたり、グレースケールに近付ければよい。ここまでの調整で写真はだいぶきれいになるはずだが、同じ手順を2度、3度と繰り返して色を追い込めば、もっときれいな写真になる。

もちろん、露出の補正や色(ホワイトバランス)の調整だけであらゆる色調を作り出すのは難しい。しかしながら、JP10にはワンアクションで写真の印象が変えられる機能が備わっている。それが、「テイスト」と呼ばれるもの。

あらかじめ作られた色調が50種類以上も用意されていて、一覧から選ぶだけで「ハードモノクローム」や「クロスプロセス」などの凝った仕上げも簡単に再現できる。そして、選んだ色調をベースに「露出」「色」「鮮やかさ」の3つの要素を調整すれば、本来なら複雑な処理を要する作品も思いどおりに作り出せるだろう。

右が元の写真、左が「テイスト」から「シネフィルム(Roadmovie)」を選択して、映画っぽい色調にしたもの。「テイスト」を使えば、高度な知識を要する仕上げも簡単。

シンプルかつ簡単に作品が作り出せるJP10は、写真編集の入門用としても申し分のないソフトだと思う。しかも、レベルが向上してもそれに対応できるだけの懐の深さがあり、いつまでも使い続けられる。ユーザーにとって、これは大きなメリットに違いない。

純正RAW現像ソフトとの併用が効果的

中・上級者のJPEG派フォトグラファーなら、補正ソフトとしてJP10を使えば、イメージする作品が得やすくなる。

とくに、撮影時に露出補正を積極的に行い、白とびや黒つぶれを回避したり階調感をチェックしたりしている場合、JPEGといえどもかなり「高品位なデータ」として記録されている。これは、JP10を使うにあたり理想的なデータだ。

白や黒がつぶれていない状態でRAW BridgeがRAWクオリティにアップデートするため、「最高の素材」として色の調整がおこなえるようになる。

無調整
撮影したままの状態。
JP10で仕上げる
階調のつぶれを意識しつつ、露出や色を追い込んで撮影しておけば、JP10でさらなるクオリティアップが図れる。作例は透明感が増し、一皮むけた印象。飽和しやすい色が多い被写体だが、繊細な羽毛の階調も色に紛れず描写されている。

RAW現像やレタッチなどの後処理は、「失敗の救済」と捉えがちだが、作品の制作においては「よいものをよりよくする」というポジティブな考え方だ。その点においても、ハイレベルなJPEG派にこそJP10は必要なのではないだろうかと思う。

また、RAWで撮影して、カメラメーカーの純正RAW現像ソフトで色調整をしているのなら、色彩のバリエーションを増やす上でもJP10の併用は効果的。純正ソフトは「撮影設定に準拠した確実な色」が得られる反面、市販のソフトに比べて機能が少なかったり、作り出せる色彩に限界があるなどの不満が生じやすい。それを、JP10でカバーするという考え方だ。

具体的には、純正ソフトでRAW現像して、その後にJP10で色調補正や演出をおこなえばよい。純正ソフトの「手堅い色」と、JPEG Photographyの「多彩な色彩」の組み合わせは、あらゆるイメージが再現できるオールマイティーな作業環境になるはず。

純正RAW現像ソフト+JP10で仕上げる

Digital PhotoProfessional
まずは、純正ソフトでRAW現像。「風景」や「ポートレート」などの「仕上がり設定」を変更したり、純正ソフトならではの確実なホワイトバランス調整などがおこなえるのがメリット。色調整したらJPEGで保存し、JP10へ。画面はキヤノンのDigital PhotoProfessionalの例。左が撮影時の色で右が調整後の色。
JPEG Photography 10
JP10で写真を表示したら(右)、イメージに合わせた「演出」をおこなう(左)。純正ソフトにはない機能で写真が編集できるため、作品に“味”が出せるようになる。作例は、海面を眩しく反射させて、間延びしている手前の空間を暗く引き締めてみた。

JPEG Photographyが活かせるタイプとは?

前提として知ってもらいたいのは、SILKYPIXを含めた「市販のRAW現像ソフト」では、カメラで設定した色や質感は正確に再現できないという点。

あくまでも「RAW現像ソフトの色」として表示されるため、現場で作った色との差異が生じることがある。というか、カメラのモニターで確認した色や、同時に撮影したJPEGと同じ色になることはないと考えるべきだろう。

そのため、撮影現場の空気感を重視する写真家や、オールドレンズの味わいを愛する写真家たちは、カメラとレンズの色や質感が正確に再現できるJPEGで撮ることが多い。

このタイプに当てはまるなら、JP10は最高にマッチするだろう。撮影時に露出を整えている(=白とびや黒つぶれを回避している)ため、RAW Bridgeの恩恵が目いっぱいに受けられる。

もっとも、空気感やレンズの味わいを大切にする写真家は、後処理の必要性を感じにくいかもしれない。しかし、それは後処理を露出や色など「作品性を変える作業」と考えているから。ノイズ除去やスポッティングなどのデータを整える補正もまた、大切な後処理だ。

JP10(=SILKYPIXシリーズ)のノイズリダクションは、あらゆるソフトの中でもトップクラスに高品位。作例は、あえて超高感度で撮影してノイズまみれにした意地の悪いカット(右)だが、細い木の枝の繊細なディテールを完璧に維持したまま、画的に違和感のないレベルまでノイズを軽減(左)。ブレている部分の模様の再現性を見れば、そのクオリティが分かるはず。

ちなみに、筆者が実感したJP10の驚きを紹介すると、それは「色温度」機能の自然な色変化。

多くのRAW現像ソフトでJPEGの色調整がおこなえるが、違和感を抱いていたのが「色温度」の補正だ。RAWほど自然な色の変化が得られず、青や黄色を重ねたような軽薄な色彩になりやすかったのだが、JP10ではRAW並みの色の変化が得られる。微妙なトーンのニュアンスを崩すことなく温度感だけが変化する、そんな印象だ。

筆者としては、この点だけでもJP10を使う理由になり得るくらいに、このソフトの「色温度」の変化は自然で扱いやすいと感じた。

気に入ったのが「色温度」スライダーの変化。ニュートラルな色(右)から暖色系などにしたい場合、JPEGだと一律に黄色が重なったような「黄色い画」になりやすいのだが、JP10は暖色系の照明を当てたように「色別に変化」している感じ(左)。この色の変化は、とても気持ちがいい。

実は、筆者が使っているPro版でも同じことがおこなえていたのだが、「SILKYPIX=RAW現像」という固定概念があったため、「JPEG現像」の凄さに気付かずにいた。

レタッチを生業としている筆者ですらそうなのだから、JPEG専用というだけでJP10をスルーしたり、軽んじるひとがいてもおかしくはない。だからこそ、ここで伝えたい。「JP10は凄い!」ということを。

5,500円で幸せになれる撮影術

RAWは必要ないと思いつつも、RAWのようなダイナミックレンジの広さが欲しい。または、RAW現像ソフトに大金を出したくないけど本格的なRAW現像がしてみたい。

そう考えるなら、5,500円で利用できるJP10は最良の選択肢。撮り方を工夫するだけで、RAWと遜色のない画質と最新のRAW現像環境が得られる。

撮影の段階で適切に露出を補正し、不必要な「白とび」や「黒つぶれ」を出さない撮り方が基本となるが、それに加えてカメラの「仕上がり設定」も見直してみよう。ちなみに、「仕上がり設定」とは、キヤノンなら「ピクチャースタイル」、ニコンなら「ピクチャーコントロール」と呼ばれる機能のこと。

JPEGで撮るときに、この設定を「ニュートラル」や「フラット」などの穏やかな色調のタイプにセット。これにより、白とびや黒つぶれを回避したり、ハイライトやシャドウの階調が取り込みやすくなる。

もちろん、常に写真全体から階調のつぶれを排除するのは難しいので、「重要な部分」にこれらが生じないようにしておくだけでよい。

撮影でこの状態のJPEGデータを作っておけば、あとは、JP10で写真を表示するだけでRAW Bridgeが「理想的なRAW品質」にアップデートしてくれて、RAWと同等の高品位な内部処理と機能で編集がおこなえる。

とくに、SILKYPIXシリーズはハイライト処理(=「ハイライトコントローラ」機能)が秀逸なので、限界ギリギリまで粘りのあるハイライトが引き出せるだろう。

JPEGの潜在能力を引き出す技

撮影した状態。白の階調を取りこぼしたくなかったため、階調のつぶれがないフラットな設定で撮影。ヒストグラムを見ても、ハイライト側(グラフの右端)にかなり余裕があるのが分かる。
イメージどおりの白さを出すと、被写体の一部の白(人形の左頬や胸付近)が強く出過ぎてしまう。ヒストグラムの右端も、わずかにはみ出た状態(=白とび)。
「ハイライトコントローラ」でハイライトに粘りを出す。これにより、前の段階で白とびしていた部分がソフトな質感に改善され、ヒストグラムの右端も滑らかに収束する。JPEGでもこのクオリティが出せるのがJP10の凄さだ。

最後にこれだけはいわせて!

今回紹介したJP10を上手く活用する方法をまとめると、次の3点になる。

①純正RAW現像ソフトでの処理後にJP10で仕上げ
②JPEGで色を追い込んで撮影してJP10で微調整
③「フラット」などの設定で撮影してJP10で仕上げ

JP10のコストパフォーマンスはとても高い。もしかしたら、Pro版やスタンダード版のユーザー候補を奪ってしまうかもしれないほどに、このソフトのコスパは驚異的だと思う。

これ以上に費用対効果が得られるソフトは存在しないので、あとは作り出せる「色」や「質感」が好みに合うかどうかの問題だ。こればかりは記事を読むだけでは判断できないので、ぜひ体験版をダウンロードして、自身の目で確かめてもらいたい。

「SILKYPIX JPEG Photography 10」キャンペーン中

発売を記念して、JP10が特別価格3,850円(税込)で購入できるキャンペーンが12月27日まで行われています。30日間の無料体験版もこちらからダウンロードが可能です。(編集部)
https://silkypix.isl.co.jp/product/jp10/

制作協力:株式会社市川ソフトラボラトリー

桐生彩希