新製品レビュー

OM SYSTEM OM-5

OM-1譲りのタフ性能 OM-D E-M5 Mark IIIとの違いは?

2022年11月に発売された、OM SYSTEM OM-5はマイクロフォーサーズ規格のミラーレスカメラ。実質的に、2019年11月に発売されたオリンパスの「OM-D E-M5 Mark III」の後継機と考えて問題ないと思います。

同社のフラッグシップモデル「OM-1」のような、最先端をゆく尖った最高性能こそありませんが、通常の撮影には全く問題のない高機能を備えており、マイクロフォーサーズの良さを素直に感じられる名機になっていると思います。堅牢性が高いのに小型軽量という意味では、こちらが本命と言ってイイくらいかもしれません。

ついに「OM SYSTEM」のブランドロゴ

オリンパスからカメラ部門が独立して、OMデジタルソリューションズとなってから発売された「PEN E-P7」と「OM-1」は、いずれもロゴを旧ブランドの「OLYMPUS」としていましたが、本機「OM-5」はいよいよ新ブランドの「OM SYSTEM」のロゴが採用となりました。

ペンタ部風のセンターファインダー部に燦然と彫り込まれた「OM SYSTEM」のブランドロゴ。トンガリ帽子がオリンパス継承のカメラらしい!

これにどれほど拘る人がいるかは分かりませんが、オリンパスなのかOMデジタルソリューションズなのかOM SYSTEMなのか、やや混乱気味になっていた筆者としてはとてもスッキリした気分です。

オリンパス名に慣れ親しんでいた身としては一抹の寂しさを感じるところもありますが、ここは新体制が軌道に乗った記念すべきモデルとして、素直に喜びたいと思います。

前モデルのデザインを踏襲しながら優れた堅牢性

OM SYSTEMの「OM-5」の高さ×幅×奥行・質量(バッテリーとカード含む)は、約85.2×125.3×49.7mm・約366g(本体のみ)となっており、これは前モデルであろう「OM-D E-M5 Mark III」とまったく同じです。

同じボディ? というほどまったく同じサイズの外観ですが、これはオリンパスの名機(1972年発売のフィルムカメラ)「OM-1」に代表される、OM SYSTEMの「伝統的なデザインを継承しつつ、細かいところの形状やバランスにもこだわることで、所有感を満たす高品位デザインに仕上げました」とされる「OM-D E-M5 Mark III」のデザインを踏襲しているため。つまり「OM-D E-M5 Mark III」で、オリンパス、ひいてはOM SYSTEMの思想に叶ったデザインは完成されていたというわけですね。

そのようなわけですので、操作性に関しても、「OM-5」は「OM-D E-M5 Mark III」とほとんど同じと考えてもらって差し支えありません。

ボディ上面右側(カメラを構えた状態で見て右側)の、「モードダイヤル」、「フロント/リアダイヤル」、「シャッターボタン」、「ムービーボタン」、「露出補正ボタン」も同じです。

モードダイヤルに、必要な時に解除してダイヤルを回し、それ以外の時はロックして固定できる「モードダイヤルロック」が搭載されているのは、オリンパス時代からの優れた操作性の継承です。

ボディ上面左側(カメラを構えた状態で見て左側)に電源の「ON/OFFレバー」があり、同軸上に「連写/セルフタイマーボタン」と「ライブビューボタン」が配置されています。

背面のボタン類の配置も「OM-D E-M5 Mark III」と同じです。「1」と「2」のポジションを切り換えることで、AF方式やAFターゲットの変更、動画モードへの切り換えが素早くできる「Fnレバー」を搭載しているのは嬉しいところ。どうせなら上位機種の「OM-1」にはある「マルチセレクター」を搭載して欲しかったとも思いますが、これほど小型なカメラですとスペース的に難しいので仕方のないところでしょう。

「外部フラッシュ端子」(シンクロターミナル)と見せかけて実は「セルフタイマーランプ/AFイルミネーター」なのも同じです。「OM-5」は「外部フラッシュ端子」(シンクロターミナル)非搭載ですので、クリップオンタイプ以外の外部フラッシュを使いたい場合は、無線通信タイプのフラッシュを使うか、外部フラッシュ端子の変換アダプターを用意すると良いと思います。

ファインダーは約236万ドットと、小型軽量なミラーレスカメラとしては優秀です。倍率は「EVF表示スタイル3」のときは約1.37倍と変わりありませんが、「EVF表示スタイル1」および「EVF表示スタイル2」のときは、約1.20倍から約1.23倍へと少し大きくなっています。

バリアングル式のモニターは約104万ドットと、こちらも小型軽量なミラーレスカメラに搭載されたモニターとしては十分な性能だと思います。

メモリーカードスロットは、SDメモリーカード(SDXC、UHS-I・UHS-IIまで対応)のシングルスロット。デュアルスロットでないのは、やはりスペースの問題ではないかと思います。小型軽量化のため、いたしがたないところでしょう。

小型軽量なのでバッテリーも小型の「BLS-50」が採用されています。小型とはいえスタミナはなかなかのもので、標準だと310枚ですが、低消費電力撮影モードだと660枚の静止画撮影が可能となっています。

以上のように、本機「OM-5」は前モデル「OM-D E-M5 Mark III」とほとんど同じ外観デザインと操作性を継承しているのですが、強調したいところが防塵・防滴性能として「IP53」が公表されているところ。これは上位機種の「OM-1」と同じで、「OM-D E-M5 Mark III」では非公開でした。

デジタルカメラの防塵・防滴性能を数値化した場合、多くは「IPX〇」として防水等級(〇の部分)だけを示し、防塵等級は非公開の「X」とされることが多いのですが、「OM-5」はきちんと「IP53」と表記しているのですから、堅牢性にはかなりの自信があるということだと思います。

ちなみに、日本工業規格(JIS)の「電気機械器具の外郭による保護等級」では、「IP53」のうち防塵等級「5」は「有害な影響が発生するほどの粉塵が中に入らない」ということで、防水等級「3」は「鉛直から60度の範囲で落ちてくる水滴による有害な影響がない」ということになっています。

「OM-1」と同等の防塵防滴性を獲得しながら、より機動性の高い小型軽量デザインを受け継いでいるところが「OM-5」なのです。

マイクロフォーサーズの良さがピュアに感じられる高画質な性能

搭載するイメージセンサーは、有効2,037万画素の4/3型Live MOSセンサーと、前モデル「OM-D E-M5 Mark III」から変更ありませんが、画像処理エンジンが「TruePic VIII」から「TruePic Ⅸ」へと進化しました。

画像処理エンジンが進化したことは非常に意味が大きく、処理速度が向上すればより複雑なことを高速で処理できるようにあるため、イメージセンサーが同じでも画質は良くなります。

OM SYSTEM OM-5 M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO II(F5.6・1/60秒・25mm)ISO 200

ただ、イメージセンサーに変更がないためか、常用ISO感度の上限がISO 6400までなのは少し残念なところ。ISO 8000以上は拡張感度になってしまいます。

とはいっても、高感度として実用するISO 800やISO 1600程度なら、まったく問題なくノイズの少ない綺麗な写真が撮れます。

ISO 800
OM SYSTEM OM-5 M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO II(F2.8・1/125秒・38mm)ISO 800

また、「OM-5」はセンサーシフト式のボディ内5軸手ブレ補正を搭載しています。個人的には「数値以上に強力」と感じているOM SYSTEMの手ブレ補正機構ですが、、前モデル「OM-D E-M5 Mark III」では、ボディ単体で5.5段相当、レンズ側の手ブレ補正機構と協調したシンクロ補正時だと6.5段だったところ、本機「OM-5」では、ボディ単体でも6.5段相当、レンズ側の手ブレ補正機構と協調したシンクロ補正時だと7.5段にまで向上しています。こうなってくると、もはや「手持ちでも何ものをもぶらさない」という気になってしまうほど、素晴らしく強力な手ブレ補正能力です。

OM SYSTEM OM-5 M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO II(F5.6・1.6秒・15mm)ISO 200

そして、これはオリンパスが2003年にフォーサーズ規格を立ち上げた当初から一貫していることですが、徹底したテレセントリック性を追求によって、画面の周辺部まで歪みの少ない理想的な画像を得ることができます。ここがフォーサーズ規格、ひいてはマイクロフォーサーズ規格カメラを使うところの最大のメリット。妥当な価格でもって、進化したイメージセンサーと画像処理エンジンで得られる画を、堅牢な小型軽量ボディで純粋に撮影できるところが、「OM-5」の一番の良いところなのではないだろうかと感じました。

OM-5のコンピュテーショナル フォトグラフィー

「コンピュテーショナル」というのは、コンピューターを活用して高度な演算や分析をすることだそうですので、「コンピュテーショナル フォトグラフィー」は、さしずめ「カメラ内で高度な演算処理をすることで生成される芸術的な写真」と言ったところになるのではないでしょうか。

「コンピュテーショナル フォトグラフィー」は、「ハイレゾショット」や「ライブND」などのOM SYSTEM独自の合成処理機能を進化統合したもので、上位モデル「OM-1」の新メニューでは「コンピュテーショナル撮影」として分かりやすくまとめられています。

ところが「OM-5」はメニュー画面が旧来と同じ構成を採用していますので、「コンピュテーショナル撮影」の項目はなく、他の撮影設定と一緒に並んでいます。このため何が「コンピュテーショナル フォトグラフィー」かやや分かりにくいのですが、機能自体は同じですし、「OM-D E-M5 Mark III」より進化したものもありますので、特に問題はないと思います。

ちょっと余談になりますが、従来メニュー画面ですと「マイメニュー」がないのは残念

以下に「OM-5」の「コンピュテーショナル フォトグラフィー」を、進化した機能を中心に紹介します。

ハイレゾショット

「ハイレゾショット」は、8枚(または12枚)の写真を合成することで、撮像センサーの有効画素数を超えた2,500万画素か5,000万画素の高画素写真を記録する機能。ハイレゾショットは前モデル「OM-D E-M5 Mark III」にも搭載されていた機能です(三脚ハイレゾショット)。

そこに「OM-5」は、新たに「手持ちハイレゾショット」が加わりました。名称の通り、三脚にカメラを固定する必要がなく、手持ち撮影でハイレゾショットが使えるというものですが、手持ち撮影でのわずかな手ブレや撮影中に動いた部分を自然に処理してくれるため、アングルの自由度は非常に高いです。

ハイレゾショットは、高画素ばかりに注意されがちですが、0.5ピクセル単位でセンサーを動かしながら撮影するため、モアレやジャギーの発生が極めて少なく、RGBを取り込んだ優れたリアルカラーが得られるなど、被写体の忠実な質感描写にすぐれているのが特徴。極端なことを言えば、風景写真などならすべてこの「手持ちハイレゾショット」の方が良いのではないかというくらいです。

ハイレゾショット
OM SYSTEM OM-5 M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO II(F7.1・1/8秒・34mm)ISO 200

ただし、フラッシュを使用した撮影を行いたい場合や、水や雲の流れを表現したい場合、星景などの長秒時撮影には、従来の「三脚ハイレゾショット」が向いていますので、この辺は使い分けということになるでしょう。

ライブND

「ライブND」は、フィルターなしでデジタル的にスローシャッター効果を実現する機能。フィルターを取り外しする必要もなく、効果の度合いはライブビュー上で確認できるのでとても便利です。

「OM-D E-M5 Mark III」には機能そのものが搭載されていませんでしたが、「OM-5」には新たに搭載されました。

OM SYSTEM OM-5 M.ZUIKO DIGITAL ED 100-400mm F5.0-6.3 IS(F11・60秒・276mm)ISO 200

フィルターを装着しなくても撮れる、というだけでなく前玉が突出したフィッシュアイレンズや超広角ズームでも、簡単にND効果が得られことが大きな特徴になっています。まさにOM SYSTEMならではの機能ですので、新たに搭載されたことは嬉しいですね。

深度合成

「深度合成」は、ピント位置の異なる複数枚の写真を撮影し、カメラ内で自動的に合成することで、ボケ味を活かしながら被写体のみ深い被写界深度に収めることのできる機能。「OM-D E-M5 Mark III」にも搭載されていた機能ですが、「OM-D E-M5 Mark III」では8枚の合成枚数に固定されていたところ、「OM-5」では3~8枚のなかから合成枚数を選択可能になりました。

その他にも、「ライブコンポジット/ライブバルブ」、「インターバル撮影/タイムラプス動画」、「フォーカスブラケット」、「プロキャプチャー」、「カラークリエイター」、「アートフィルター」、「フィッシュアイ補正」、「デジタルシフト」、「多重露出」などの「コンピュテーショナル フォトグラフィー」が搭載されており、「OM-D E-M5 Mark III」同様に使うことができます。

フィールドカメラとして必要十分な動画性能

「OM-5」で記録できる動画モードの最大は「C4K 24p」(4,096×2,160)。

もちろん一般的な「4K 30p」(3,840×2,160)や、「FHD 60p」も記録できます。

また、動画撮影時にはOM SYSTEMならではの強力な5軸手ブレ補正機構に加え、 動画専用の電子手ブレ補正を組み合わせた撮影が可能ですので、手持ちでも高品位な動画を記録できます

その「4K 30p」で動画サンプルを作ってみましたので、よろしければご参照ください。

「OM-5」の動画新機能で面白いのが、縦位置動画に対応したところ。これはスマートフォンなど携帯電話で撮影した動画が、SNSでは一般的になってきていることを背景とした新機能でしょう。試写では初め、どこをどう設定すれば縦位置動画が撮れるのか散々迷いましたが、何のことはなく、カメラを縦位置にすれば、それだけで縦位置動画が撮れてしまうという、恐ろしいほど簡単な仕様でした。

その他、作例を交えながら

「プロキャプチャー」で水鳥が飛び始める瞬間を撮影。約120コマ/秒で時間を遡って撮る「OM-1」のような猛烈さはなく、約30コマ/秒で最大14コマを遡るオーソドックスなタイプではあるものの、目にも止まらない「瞬間」を捉えるためには十分な性能があります。

OM SYSTEM OM-5 M.ZUIKO DIGITAL ED 100-400mm F5.0-6.3 IS(F11・1/1600秒・400mm)ISO 800

森の奥で遭遇した動物、といったイメージでネコを撮影。残念ながら、人物以外の被写体認識AFは未搭載となっていますが、トラッキングを含め基本的なAF性能は高いため、ピント合わせに苦労することはありませんでした。

OM SYSTEM OM-5 M.ZUIKO DIGITAL ED 45mm F1.2 PRO(F1.2・1/320秒・45mm)ISO 200

日没が近づきかなり辺りが暗くなってきたころ。「OM-5」の強力な5軸手ブレ補正を信じて手持ちで撮影しましたが、1/2秒のスローシャッターでも手ブレすることなく撮ることができました。風景的な写真はなるべく絞って撮影したいので、三脚を使えないような条件では頼みになります。

OM SYSTEM OM-5 M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO II(F5.6・0.5秒・19mm)ISO 200

小型軽量で堅牢性が高いことからフィールド使用のイメージが強いかもしれませんが、小さくて軽いとくれば、スナップ撮影などでも大いに活躍してくれます。OM SYSTEMのレンズは、大口径ながらボディと同じく、小型軽量なレンズが多くラインナップされているのも嬉しいところ。

OM SYSTEM OM-5 M.ZUIKO DIGITAL ED 45mm F1.2 PRO(F1.2・1/800秒・45mm)ISO 200

まとめ

冒頭で述べました通り、「OM-5」は「OM-D E-M5 Mark III」の後継機になります。外観はブランドロゴが「OLYMPUS」から「OM SYSTEM」になった他はほぼ同じ。デジタルカメラの要とも言えるイメージセンサーも2,037万画素と同じであるため、初めは「名前が変わっただけ?」となってしまいますが、実は画像処理エンジンが進化している(ここが大切)ので、地味ながら画質や機能は着実に向上しています。

先行して発売された上位機の「OM-1」が、AI被写体認識AFや超高速連写といった凄まじいほどの高機能機として登場したため、勢い、「OM-5」はその陰に隠れた存在になっているかもしれません。

しかし、凄まじいほどの高機能を必要としない人にとっては、基本機能を抑えつつ(といっても十分高機能なカメラですが)、より小型軽量で低価格な本機は、むしろ魅力的なのではないでしょうか。IP53に対応した堅牢性・信頼性は上位機にも負けないほど高いので、極力機材重量を減らしたいようなハードな現場に、本格的なカメラシステムを持ち込むことができます。いわば、小型軽量と高画質を両立したOM SYSTEM本来の良さを、最も素直に享受できるカメラとも言えます。本機に初めてブランドロゴの「OM SYSTEM」が刻印されたのは、そうした意味が込められているのかもしれませんね。

曽根原昇

(そねはら のぼる)信州大学大学院修了後に映像制作会社を経てフォトグラファーとして独立。2010年に関東に活動の場を移し雑誌・情報誌などの撮影を中心にカメラ誌等で執筆もしている。写真展に「イスタンブルの壁のなか」(オリンパスギャラリー)など。