コンパクトなボディに多くの先進機能を凝縮したOM-5。今回は風景写真家・藤原嘉騎氏がその先進機能を生かし山岳風景に挑む。コンピュテーショナル フォトグラフィ機能を駆使して星空から足下の小さな風景まで、余すところなく写し撮る。
発売日
2022年11月18日(ボディ、M.ZUIKO DIGITAL ED 14-150mm F4.0-5.6 IIキット)
2022年12月10日(M.ZUIKO DIGITAL ED 12-45mm F4.0 PROキット)
実勢価格
163,000円前後(ボディ)
196,000円前後(M.ZUIKO DIGITAL ED 14-150mm F4.0-5.6 IIキット
M.ZUIKO DIGITAL ED 12-45mm F4.0 PROキット)
SPECIFICATION
イメージセンサー:2,037万画素
常用ISO感度:200~6400
ファインダー:OLEDビューファインダー、約236万ドット
背面モニター:3.0型2軸可動式液晶
AF:クロスタイプ位相差AF
測距点数:121点
連写速度:約10コマ/秒、約30コマ/秒
動画記録:4K30pほか
外形寸法:約125.3×85.2×49.7mm
質量:約414g ※本企画は『デジタルカメラマガジン2023年1月号』より転載・加筆したものです。
星空から足元の小さな風景まで目に映る全てを先進表現で捉える
山へ行く際は少しでも装備が軽い方が望ましいが、OM-5は約366gと軽いので苦にならず、カメラバッグにほんの少しのスペースがあれば入れることができる。レンズを装着した状態でもコンパクトなので、アウターのポケットに入れて、山を歩きながら直感的に「撮りたい」と思った瞬間にポケットから取り出してさっと撮影するなんてことも可能だ。
OM-5を手に山の頂へ。山岳写真の醍醐味とも言える山頂の風景だが、コンパクトなボディのおかげで疲労感も少なく雄大な景色を収められた。
M.ZUIKO DIGITAL ED 12-45mm F4.0 PRO/12mm(24mm相当)/マニュアル露出(F10、1/100秒)/ISO 200/ WB:オート 視線を低くすればキノコなどのマクロな世界が広がり、深度合成機能を使えば普段は見ることのない世界をしっかりと描写する。日が落ちて空が暗くなれば、ライブコンポジット機能で星空の光跡をカメラ内で生み出す。そして強力な防塵・防滴性能のおかげで天候の変わりやすい山でも安心して撮影に臨める。朝から晩まで時間を問わず、雄大な景色から足元に広がる小さな世界までを先進的な機能で作画を楽しめる。
このOM-5に秘められた力は写真家としての感性を刺激し、これまでに想像すらできなかった未知なる写真表現への可能性を大いに感じた。
小型・軽量なので体への負担も少なく、持ち運びが軽快だ。強力な手ブレ補正のおかげで、必然的に手持ちで撮影することが増えるが、星空AFという機能もあり星空風景までをも手持ちでこなせてしまうことには驚いた Computational Photography①
ライブコンポジットで星々の軌跡を描く
一度はやってみたいのが星の光跡写真。通常は比較明合成ができるソフトが必要になり、ある程度の知識と技術を要する手法だ。手慣れていても時間と労力が必要になるのだが、ライブコンポジット機能を使えばカメラ内でその場で作り出してくれる。
撮影中は光の帯がどんどん伸びていく様子を確認でき、イメージがつかみやすいのも便利だ。
M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO /12mm(24mm相当)/マニュアル露出(F2.8、10秒)/ISO 640/WB:オート/ライブコンポジット ライブコンポジットのオン、オフを比較。オンにすると星や車の光などが軌跡として描写されているのが分かる。
ライブコンポジット(左)ライブコンポジットON(右) カメラ内で比較明合成処理を行ってくれる機能。設定した秒数の経過ごとにモニターに合成された画像が表示されるので便利だ Computational Photography②
深度合成で被写体をシャープに描写する
全体をシャープに写す風景撮影やマクロ撮影で重宝する深度合成。特にキノコのような小さな被写体ではピントの合う範囲がかなり狭く、1枚撮りではキノコ全体をくっきりと撮影するのは難しい。
ソフトでの合成では本来テクニックが必要となるが、この機能を使えば誰でも簡単にプロ級のマクロな世界を表現することが可能だ。
M.ZUIKO DIGITAL ED 60mm F2.8 Macro /60mm(120mm相当)/マニュアル露出(F5.6、1/50秒)/ISO 200/ WB:オート/深度合成 キノコ全体がシャープに写るとともに、背景もくっきりと描写されている。特に、被写界深度の浅いマクロ表現でうまく活用したい機能だ。
フォーカスブラケット機能を応用してピント位置を変えながら撮影したものを自動的に合成してくれる。絞り、撮影枚数、フォーカスステップなどを駆使して仕上がりをコントロールする Computational Photography③
デジタルシフトで山の雄大さを表現
シフト機能といえば専用の高価なレンズを用い、建物の撮影などで使うイメージだが、自然風景でもマッチするシーンがある。例えば、山が遠くに写るようなシーンでは肉眼で見たよりも山の上部が小さく写り迫力にかけてしまう。
そこで、このデジタルシフト機能を使えば、遠くに見える山の上部が迫り来るような迫力を表現することができる。
M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO /14mm(28mm相当)/マニュアル露出(F5.6、1/50秒)/ ISO 200/ WB:オート/デジタルシフト デジタルシフト補正前のカット。山の上部が小さく写り目で見たときのような迫力が伝わらない 操作は縦方向と横方向を補正するだけなのでシンプルだ 制作協力:OMデジタルソリューションズ株式会社