新製品レビュー
Sony Xperia 1
α譲りの画質と機能 強力な瞳AFも搭載
2019年6月17日 12:45
ソニーからカメラ機能を強化した最新スマートフォン「Xperia 1」が登場する。トレンドとも言える3眼カメラをビルトインし、ポートレート撮影で定評のある「αシリーズ」の「瞳AF」をも搭載した。ディスプレイは有機ELで、アスペクト比が21:9とシネマを意識したワイドなもの。その意欲的なAndroid端末「Xperia 1」の写りは如何に。
※試作機を使用しています。製品版と異なる可能性があります。
- CPU:Qualcomm Snapdragon 855/2.8GHz×1コア+2.4GHz×3コア+1.7GHz×4コア オクタコア
- RAM:6GB
- ROM:64GB
- 外部メモリ:microSD/microSDHC/microSDXC(最大512GB)
- ディスプレイ:約6.5インチ/有機EL/4K(3840×1644)/HDR対応
- バッテリー容量:3200mAh
- OS:Android 9 Pie
- サイズ:約167×72×8.2mm
- 重量:約178g
- アウトカメラ:26mm F1.6/52mm F2.4/16mm F2.4、各有効約1,220万、メモリー積層型イメージセンサー
- インカメラ:有効約800万画素F2.0
外観・仕様
ボディ
Xperia 1は映画などでみられるアスペクト比とほぼ同じの21:9ワイドディスプレイを搭載。その影響でとてもスリムな形状となっている。世界初4K HDR対応の有機ELディスプレイは約6.5インチ。手にすると「細長い!」という印象を受けるだろう。
ボディのエッジはやや丸みを帯びたカーブで構成されている。またボディ表面は高品位かつ光沢感溢れるツルツルとした塗装が施されているので、操作時には落下させないよう常に気をつけたい。
カメラ
アウトカメラは3つ搭載されている。一番上から26mm相当F1.6、52mm相当F2.4、16mm相当F2.4という構成だ。26mmと52mmは光学式と電子式手ブレ補正機能を備える。
なお画素数はすべてのカメラが約1,220万画素となっている。
カメラの切り替えはディスプレイに表示されるアイコンをタップ、もしくはドラッグすることで行える。26mmと52mmはおのおのデジタルズームが可能で、52mmの場合は260mm相当までの望遠撮影ができる。
広角カメラの16mm相当という画角は、引きのない場所やワイド感を活かした風景撮影などで役立つに違いない。
フロントカメラは約800万画素F2.0カメラという仕様だ。
カメラキーはディスプレイ右サイド。その他、音量/ズームキー、指紋センサー、電源/画面ロックキーが並ぶ。
画角変化
カメラ関連での注目は、なんといっても3つもの「眼」が搭載されたことだ。
前述のとおり、26mm相当F1.6、52mm相当F2.4、16mm相当F2.4という構成で、どのカメラも約1,220万画素という仕様だ。
画像処理エンジンはBIONZ X for mobile。αシリーズのアルゴリズムを取り入れることで、動作の高速化と高画質化を図っており、後述するスマートフォン世界初となる「瞳AF」や約10コマ/秒の「AF/AE追従高速連写」などを実現した。
標準カメラのセンサーはいわゆるデュアルピクセルで暗所での高精度なピント合わせが可能になっている。
また26mmと52mmは光学式と電子式の両方を使ったハイブリッド手ブレ補正機能を有し、低照度下の撮影でも手ブレを心配せずに安心してシャッターを切ることができる。Xperia 1は超ワイドからポートレート撮影まで、クオリティの高い写真を撮影できるカメラ機能を搭載していると言えるだろう。
同じ位置から多摩川の風景を撮影。ディスプレイに表示されるアイコンをタップしてカメラを切り替えたが、試作機のためか、カメラの切り替えには一瞬だが間を感じた。
ポートレートモード
Xperia 1のポートレートモードは、中央に位置する52mmのカメラで撮影する。
ディスプレイに表示されるスライダーを調整して無段階でボケ味を変化させることが可能だ。
被写体に近づきすぎると「被写体から離れてください」とアラートが表示される。だいたい30cm程度距離を取らないとボケ効果を出すことができないようだ。もちろんこのモードでも瞳AFは有効になる。
モデルの向かって右側の眼にピントが合った状態で、ボケを最大になるようスライダーを操作した。右側の眼と鼻の頭を残してキレイにボケてくれた。
上とほぼ同じ状態でボケが最小になるようにスライダーを調整。顔全体と身体、そして壁までピントが来ているのがわかる。
ボケ効果の比較。左が最小、右が最大。
瞳AF
Xperia 1の瞳AFは人物を認識すると自動的に起動する。人物をフレーム内に捉えるだけで瞳にピントを合わせてくれる。残念ながら左右どちらの瞳にピントを合わせるかは指定できない模様だ。
瞼を閉じていても眼にしっかりとフォーカスフレームが当たっているのがわかる。目を開け、ゆっくりと顔を振っても確実に瞳をフォローしていく。反対の眼にフォーカスフレームが移動するがフォトグラファーが左右どちらに合わせるかはできない模様だ。
瞳AF中に3つのカメラを切り替えてみた。必ずしも手前の瞳にフォーカスフレームが来るわけでもないのが面白い。26mmと52mmでは瞳AFが有効だが、16mmでは被写界深度内に入るためか顔認識AFのみとなるようだ。
逆光で瞳AFを試したが、光線状態にかかわらず安定してほぼ瞳にピントが来た。スマートフォンはセンサーが小さいので「顔認識AFでいいじゃないか」と思っていたが、動き回るモデルを撮る際に、フォーカスフレームがしっかりと瞳の位置で追従していると安心感があったのは事実だ。
特にこのカットのようにポートレートモードで背景をぼかしているときはなおさらであった。
Xperia 1は自動で瞳AFが起動するので人物撮影でピンボケ撮影してしまうケースはほとんどないだろう。面白いのは手前の瞳にピントを合わせるとは限らないところである。左右の瞳の指定ができない点が残念である。
セルフィー
セルフィーは通常のモードと「ポートレートセルフィー」が搭載されている。ポートレートセルフィーは「ぼけ」「美肌」「肌の明るさ」「目の大きさ」「輪郭補正」がボケの調整とともに可能になっている。
「ポートレートセルフィー」でボケを最大にしてモデルが撮ったカット。背景との境界判定がやや甘いところが見受けられるが、通常のセルフィーより盛って撮影できるので女性には受けそうだ。
作例
銀座の路地を撮ったカットだが、明部から暗部まで見事な写りだと感じる。このシチュエーションでは露出がもっとオーバー気味になるかと思ったが、ほぼ適切な仕上がりとなった。
厚手の生地にペイントされた店の案内。塗料の掠れ具合や、生地の織りまでしっかりとXperia 1は写し出してくれた。ホワイトバランスと色合いも自然だ。
駐車してあったレクサスをスナップ。フェンダーの写り込み、ヘッドライトのディテール、ホイールのメタリック感、キャリパーの色合い、タイヤの刻印まで実にいい描写をしてくれた。
久能山のてっぺんから駿河湾を撮った。小雨交じりの悪いコンディションながら空と海の境界、波のディテールがよく写ってビックリ。
歌舞伎座をググッとあおりながらXperia 1のシャッターを切った。やや線が太い描写ながら瓦の立体感が見事である。フルサイズ換算16mmの迫力は面白い。
下北沢のカラフルな建物を青空バックに撮影。このワイド感もフルサイズ換算16mmならではの写りだ。光量が豊かだったので見事な発色をしてくれた。さまざまシーンでこの画角は活躍しそうである。
「暗所撮影においてXperia XZ1比で約4倍画質が向上」とのことだが、たしかに暗所での描写は良くなった印象だ。ハイブリッド手ブレ補正機能がない16mmで夜の路地を撮ったがなかなかクリーンな写りとなった。ノイズ感も整っているし、ベタ塗り感も受けない。
Xperia 1は基本的に「プレミアムおまかせオート」での撮影だ。もちろんマニュアルモードも備えるが、基本的にこの機能の自動認識に任せても問題ないだろう。「料理」とキチンと認識されてシズル感溢れる写りとなった。
カメラ機能内の「クリエイティブエフェクト」の「白黒セピア」を使った。モデルの儚げな印象を高めるためにスライダーで効果を調整してシャッターを切った。
同じく「クリエイティブエフェクト」の「パートカラー」を使ってブラウスの色だけを残してモノクローム化した。多彩な撮影モードを備えるのがXperia 1だ。
Xperia 1の動作は高速で、被写体を見つかったら迅速に撮影に入れるところがいい。カメラの切り替えがもっと高速になればよりスナップショットが楽しくなりそうだ。
まとめ
Xperia 1は今までの機種にあった弱点を克服し、広い撮影領域と美しい仕上がりを手に入れたモデルだと感じた。ウリの瞳AFはなかなか優秀で、ボケ効果を出せるポートレートモードでモデルを撮影してみるとその良さを体感できるはずだ。今回はグローバルモデルをインプレッションしたが、各キャリアからも販売されるので店頭で手にして試してみて欲しい。