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ソニー、トリプルカメラを搭載したフラッグシップスマホXperia 1を披露
スマホとして瞳AFに初めて対応 光学式の手ブレ補正も搭載
2019年4月17日 11:32
ソニーモバイルコミュニケーションズ株式会社は4月16日、都内で同社の新たなフラッグシップとなるスマートフォン「Xperia 1」の製品体験会を開催した。具体的な発売時期は未定だが、日本国内では初めて製品に触れる機会ということもあり、会場はたいへんな賑わいを見せていた。特にカメラ関連の機能を中心に、特徴的なディスプレイのアスペクト比を交えて、その模様をお伝えしていきたい。
“好き”を極めたい人々へ
体験会の開催にあたり、製品の紹介があった。イメージ映像の上映に続けて、ソニーモバイルコミュニケーションズ株式会社代表取締役社長の岸田光哉氏が登壇。新しいフラッグシップ機を手に、“本物のエンターテインメント”をお届けすると力強く製品のポイントをアピール。発売時期は初夏を予定しているとアナウンスした。
製品の開発にあたっては、クリエイティブエンターテインメントカンパニーとしてのソニーの力を結集した、と話す岸田氏。同社のデジタルカメラαシリーズやブラビアなどのテレビ技術、音響技術などの各分野のスタッフが参画して開発が進められたという。
製品のキーコンセプトを「好きを極めたい人々に想像を超えたエクスペリエンスを」届けることだと語る岸田氏。様々なコンテンツの作り手の想いをユーザーへ届けること、そして、ユーザーの好きを極める体験を届けることが、そこには込められているのだという。
外観とスペック
Xperia 1のサイズは、約167×72×8.2mm。重量は約178g。
背面側の上部中央に3つのレンズが配されている。焦点距離と画素数はそれぞれ、16mm(F2.4、約1,220万画素)、26mm(F1.6、約1,220万画素)、52mm(F2.4、約1,220万画素)となっている。フロントカメラは23mm(F2.0、約800万画素)。
26mmおよび52mmは、光学式の手ブレ補正機構を搭載している。
16mmでは非搭載となっているが、超広角ではブレ自体が目立ちにくいためだという。レンズ部のパーツモデルが展示されていたが、26mmと52mmのレンズには手ブレ補正機構と思われる外枠がついていることがわかる。
電源ボタンやタッチセンサーなどは、側面右側に集中している。
SIMトレイは1枚挿しのタイプ。
コネクターにはUSB Type-Cが採用されている。
21:9の画面比率が新しい体験を生む
Xperia 1の最大の特徴は、21:9というスマートフォンとしては類を見ない長大なアスペクト比のディスプレイを採用していることだ。Cinema Wideと併記されているように、映画などに多く見られる比率となっている。
登壇者は、ソニーモバイルコミュニケーションズ株式会社企画部門企画部コミュニケーション戦略課課長の染谷洋祐氏へ。21:9の画面比率のメリットが紹介された。
Xperia 1のディスプレイには世界初となる4K HDR有機ELパネルが採用されている、と染谷氏。色表現ではTV(ブラビア)およびマスターモニターを手がける同社ならではの技術が用いられているという。
色表現を支えている技術としては、HDRリマスターとクリエイターモードの2つが活かされているという染谷氏。まず、ブラビアについては「X1 for mobile」により、様々なコンテンツを高い画質で体験できるとした。
マスターモニターからの技術に関しては、映像制作者の意図を忠実に再現するという「クリエイターモード」を搭載したという。これは、UHDの放送規格ITU-R BT.2020の色域に対応した独自の画像処理を行うことで、深い黒と自然な色調を表現する技術だという。
長いディスプレイを新たに採用したXperia 1。染谷氏は、この長大なディスプレイの採用がスマートフォンの体験を加速すると話す。
縦長の画面となっているため、当然ながら縦位置で手にもったときの情報量は、一般的な画面比率のスマートフォンに比べて多くなる。この利点を活かしたのが、2つのアプリを同時に閲覧可能にするマルチウィンドウ機能だ。
この機能を利用するには、アプリ「21:9MUlti-Window」を実行し、2つのアプリを選んで使用することになる。それぞれのウィンドウ幅は自在に変更が可能となっており、調べ物をしながらYouTubeを閲覧したり、メーラーとマップを同時に開いて使用したりといった、様々な使い方が可能となっていた。
マルチウィンドウ機能自体はAndroid OSのバージョン7で実装された機能で、同バージョン以降をインストールした端末であれば利用することができる。任意のアプリを起動した状態で右下のマルチタスクボタンを押すことで、2つのアプリを同時表示することが可能なわけだが、Xpera 1で搭載されたアプリは、この一連の操作をより簡易なものにして、利用しやすくした機能だといえそうだ。
【2019年4月18日追記】マルチウィンドウ機能について上記1文を補足しました。
トリプルレンズを搭載
様々なメリットと使い勝手の向上を提示する比率21:9のディスプレイ。これだけでも大きな変化だが、カメラでは同社初となるトリプルレンズが搭載されている。
手ブレ補正機構は光学式と電子式のハイブリッドとなっている。高感度撮影でも同社Xperia XZ3比で4倍もの向上を見せているという染谷氏。暗所での撮影性能の高さをアピールした。
このほかの注目点としては、同社のミラーレスカメラα9、α7シリーズ、α6400などで使用できる瞳AFの搭載がある。連写性能も追従で10コマ/秒を実現しているという。同会場にいたエンジニアの方から説明をうけたところ、顔認識の性能自体は、過日のファームウェアアップデートがリリースされる以前のα7に相当するレベルに達しているとのことだった。
実際にモデルに対してカメラを向けたところ、しっかりと認識し追従した。俯き気味となり、少し苦しいか、と思われるような場面でもしっかりと食いついていた。このあたりでも、αシリーズで培われきた技術の片鱗が伺い知られた。
レンズの歪曲収差の補正設定も
撮影に関わる基本性能が固められているXperia 1だが、カメラモードの設定もかなり細かな部分まで手を入れることができる。セルフタイマーやタッチ追尾フォーカスなどのほか、美肌効果などスマートフォンらしい機能も見られる。
項目の中ほどにある「先読み撮影」とは、被写体の動きや笑顔を検知して、シャッターを押す前から最大4枚の写真を記録できる機能。
このほか、レンズの補正も「画質優先」と「歪み補正優先」から選択できる。
サイドセンスとは、本体の縁部をタップすることでシャッターを切ることができるようになる機能。シャッターボタンが固定だと撮影が難しいシーンは、ままあるだけにありがたい機能だ。
撮影モードも充実
カメラの設定項目が非常に豊富なXperia 1だが、マニュアルでの撮影のほか、ポートレートセルフィーやスローモーション、パノラマ、クリエイティブエフェクトなど、多彩な撮影モードを搭載している。
撮影モードをマニュアルにすると、ホワイトバランス、露出補正、ISO、シャッタースピード、AFなどが任意に設定可能となる。
ホワイトバランスと明るさも、任意の値に設定可能。調整幅もスライダー操作で反映されるため視覚的な操作性も高い。
クリエイティブエフェクトも多彩だ。明るさや色合いなどの項目のほか、鏡像効果が得られる「ミラー」や、劣化した映画フィルムのような縦線が画像上に再現される「オールドフィルム」など、多くの効果設定がある。
静止画の記録は4:3で
21:9の画面比率を採用しているXperia 1だが、静止画記録時の標準アスペクト比は4:3となる。記録画像サイズは4:3時で12MPで最大。次いで16:9の9MP、1:1も同じく9MPとなっている。
静止画はRAWでの記録にも対応。記録フォーマットは汎用のDNGフォーマットを採用しているとのことだった。なお、カメラ内現像には対応していないため、PhotoshopやLightroomなどの対応ソフトでの現像処理が必要となるという。
記録サイズに21:9がみられないが、体験会の時点ではカメラアプリによる同サイズでの記録には対応していないとのことだった。これは、カメラアプリは映画撮影ではないため、あくまでも静止画撮影として撮影できるようにする、という考え方に基づいているのだそうだ。
これに関してもう1点補足すると、撮像センサーに4:3の素子が使用されているため、このサイズを活かした最良の記録をすることが企図されているのだという。21:9の画面サイズをいかした画像を得たい場合はカメラアプリではなく、後述する動画専用のアプリ「Cinema Pro」で動画記録を行い、そこから静止画を切り出すという手段があるとのことだ。
Cinema Proで静止画をキャプチャーした。画面右下にある「REC」ボタンの隣に位置する「Grab」ボタンで任意のタイミングで静止画が切り出される。切り出された静止画は、画面左下に表示される仕組みだ。
動画撮影にシネマの感覚を
映画に適した21:9の画面比率採用にあわせて、動画撮影機能も大きく強化された。特徴は21:9のアスペクト比で記録ができることとフレームレートが24fpsであること、そして「Look」という画づくりのプリセットが搭載されている点だ。また、インターフェース自体も設定項目に同社のプロ向けシネマカメラ「CineAlta」のエッセンスが注ぎ込まれている点もポイントとなっている。
記録画質も4K記録に対応。4Kで記録した動画から、画質を維持したままで静止画を切り出すことも可能だ。ちなみに、記録画質は4Kと2Kから選択することができた。
撮影時は専用のアプリ「Cinema Pro」を使用することになる。静止画と動画では使用するアプリが異なるということだ。カメラアプリでも動画記録はできるようになっていたが、21:9の比率をいかした動画記録では、Cinema Proを使用する必要がある。
レンズの焦点距離は静止画同様、14mm、26mm、52mmから選択が可能だ。焦点距離の選択画面では、右上にStabillizerのオン/オフ切り替えが確認できる。
実際にStabillizerの非使用時と使用時を比べてみたが、同機能をオフにしている前半では画面が揺れているのに対して、機能をオンにした後半では画面の揺れが解消していることが見てとっていたたけるはずだ。
撮影自体はフルマニュアルでの操作も可能となっていた。ピント位置もオートとマニュアルを切り替えて操作が可能となっており、任意の距離に指標を置いて、その前後でフォーカスを移動させたりなど、細かな操作での使い勝手に配慮したつくりこみがなされていた。
マニュアルでのフォーカス操作では、縦軸上の黄色い丸を上下にスライドさせることで合焦位置の操作が可能となっている。縦軸の右側に配されている矢羽のようなマークは、フォーカスの基準位置を決めておくためのもの。被写体の位置をあらかじめ決めておいて、ゆるやかにフォーカスを合わせていく際などで便利な機能だ。
撮影メニュー自体もプロ用途のシネマカメラのインターフェースイメージを踏襲しているとのことで、シャッタースピードの表記などにもシネマカメラのものが用いられている。
シャッタースピードの選択画面では、数字が2種類表示される。左側の数字がシネマカメラならではのスピード表記。右側には一般的なカメラで使用されているシャッタースピードに換算した近似値が併記されている。
色味の選択ではプリセットの「Look」モードのほか、WBなども設定が可能だ。
LookモードはVENICE CS、Opaque/BU60YE60、Bright/BU20YE60、Warm/YE60、Strong/BU100、Cool/BU60、Soft/YE40、Soft/YE40、Soft Monochrome、設定なしの10種類があらかじめ設定されていた。これらにより、ストーリー性のある動画の撮影が可能となるという。