ミニレポート

GODOXのオムニカラーLEDライト2機種を試す

携行性に優れた小型LEDライト アクセサリーキットも用意

「M1 ミニクリエイティブLEDライト」(右)、「R1ミニクリエイティブLEDライト」(左)

昨今は撮影用の定常光としてLEDライトがすっかり定着したようだ。以前に比べて演色性の向上、低消費電力化、低価格化などが進化している。特にここ最近は各社から色が変えられるタイプなど新世代のLEDライトが続々登場している。

LEDライトというと動画用のイメージもあるが、写真撮影での主なメリットは、ストロボと違って光の状態を常に確認しながらセッティングできるということだ。

今回はそうしたLEDライト製品より、GODOXからリリースされたLEDライト2モデルを紹介する。日本ではケンコープロフェショナルイメージング(KPI)が取り扱う製品。いずれもオムニカラーと呼ばれるRGB光によって、様々な色で発光する機能を持っているのが特徴だ。

スマホのような形の「M1 ミニクリエイティブLEDライト」

スマートフォンのような薄型デザインの小型LEDライトだ。バッグなどに収まりが良い形状となっている。実勢価格は税込1万7,380円前後。

大きな特徴として、2軸のアームを内蔵しており、それ自体がスタンドの代わりになる。また、三脚穴があるため、付属のホットシューアダプターでカメラに装着することも可能。その際はアームを動かして自在にパネルの向きを変えられる。セッティングの自由度が高まるアクションだ。

充電池を内蔵しており、最大光量で約150分の発光が可能となっている。充電はUSB Type-Cで行えるので今風である。

操作部は側面にあり、明るさダイヤルの他、モードを切り替えるボタン、色温度などを変えるレバーがある。明るさダイヤルはどのモードでも常に明るさ調節専用なので使いやすい。明るさは100段階だ。

背面には情報表示パネルがあり、設定状態が見えるようになっている。基本的なモードは3つあり、1つは色温度を2,500~8,500Kの間で変更できる「CCT」モードだ。

2つ目は「HSI」モードで、色相(H)、彩度(S)、輝度(I)をそれぞれコントロール可能。色相は角度で表示され、360度が赤、180度がシアンといった具合だ。表示パネルの周りにカラーサークルがあるので、色と角度の関係が参照できるようになっている。彩度は100段階で、0にすると白色になる。

3つ目はFXモードで、様々な光の効果(エフェクト)を再現するモードだ。稲妻、ロウソク、花火などがあり、動画撮影の演出を想定したものだろう。またパトカーなど緊急車両の警光灯もあるが、青色が入るなど日本のそれではないようだ。

さて発光面だが、CCTモードではブルーとアンバーのLEDのバランスによって色温度が変わる仕組みとなっている。

一方、HSIモードやFXモードの一部ではそれとは別のRGBのLEDによって様々な色を作り出せるようになっている。

まずは、カメラのホットシューにアーム部分を取り付けたセッティングでテーブルフォトを撮影することにした。このように、アームでパネルを前側に移動できるので、ある程度のマクロ撮影でも光源がレンズの陰になりにくい。

ここでは、カメラのホワイトバランスを太陽光に設定。LEDライトをCCTモードにし、色温度を4,800Kに設定した。こうすることで少し赤みを出し、暖かい雰囲気にすることができる。このように食べ物を撮る際にも活用できそうだ。

丸くて小さい「R1ミニクリエイティブLEDライト」

直径76mmほどの円形をしたLEDライトだ。最大光量と充電池容量が小さくなっているが、ほとんどの機能は先のM1と同じである。厚みはM1より少しあるが、こちらも携帯性は良さそう。実勢価格は税込1万4,080円前後だ。

操作部や表示パネルを側面に備えている。操作方法や表示内容はM1と同じだ。

三脚ネジ穴も付いている。充電はUSB Type-C。最大輝度で約90分使用できる。

なお、付属品として磁石で付くドームディフューザーが付属している。ストロボ用としても最近よく見かけるが、室内でバウンスさせて人物を撮影する場合などに有効なアクセサリーとなっている。

また、このR1は別売のアクセサリーセット「AK-R1」(実勢価格は税込7,560円前後)に対応している。ちなみに、AK-R1は同社のクリップオンストロボV1(円形ヘッドを採用している)などと共通のアクセサリーだ。

AK-R1には各種フィルターの他、ハニカムグリッド、スヌート、バーンドア、バウンスカードなどが含まれており、ほとんどが磁石で簡単に着脱できる。

これはAK-R1に含まれるドームディフューザーとバウンスカードを装着したところ。主に人物撮影で使われる。

続いては、バーンドアの装着例。R1付属のホットシューアダプターを使えば、カメラへの直付けも可能。見た目も本格的だ。

さて、R1ではカラーシフト撮影を試してみることにした。カラーシフトというのは、光源の色温度とカメラの色温度を合わせることによって、光源の色を変えたときに背景の明かりの色のみを変えるテクニックのことだ。

今回は夜景をバックに、塀の上に置いたミニカーを被写体とした。光が塀の上に広がりすぎないようにするために、R1にはバーンドアを付けて三脚に据えた。

R1で選んだ色温度をそのままカメラにセットすれば、R1の光が当たった部分はニュートラルな色になる理屈だが、今回の場所はオレンジ色の街灯が当たっていて少しズレが出ていたのと、HSIモードは色温度が不明なので、マニュアルでWBを設定した(白紙を使うやり方だ)。

まずはR1を4,200Kに設定。これは夜景の光が見た目に近い色になる色温度である。

続いては色温度の下限である2,500Kに設定。こうすると背景が青っぽくなりクールな印象になる。

今度は、色温度の上限である8,500Kにした。結果、背景がアンバーになり、暖かい雰囲気になった。

さらにHSIモードでも同様に試してみた。色相90度、彩度100の黄緑色の光にすると、背景を紫色にできた。

同じくHSIモードで色相180度、彩度100のシアンで照らすと、今度は背景が赤色になった。ただし、極端な色のためカメラのWB補正範囲を越えており、ミニカーは完全にニュートラルな色にはならなかった。色によってはこういう場合もあるので注意したい。

このように、ミニカーの色は変わらず背景の色のみが変わるというのがカラーシフト撮影のミソである。色温度可変、そしてオムニカラーのLEDライトなら簡単にいろいろな色を試すことができるのだ。

2灯使うとさらにクリエイティブに

最後に、M1とR1の2灯を使った作例を紹介する。

ドームディフューザーを付けたR1をメイン光とし、カメラのWB設定と同じ色温度の光を被写体に当てる。さらに逆サイドから適当な色に設定したM1を当てて光をミックスした。

ニュートラルな色の中に差し色的なものが入るので、面白いライティングになっている。カメラのファインダーを見ながら瞬時に色を変えて試せるのがメリットで、これまでのようにシートフィルターを使っていては骨が折れるところだ。

なおM1、R1の注意点としては、下の作例(M1をメイン光にしている)のように、レンズ部など反射するところにLEDのドットが写ってしまうことが挙げられる。そのため、上の作例ではライトの位置を微調整して写り込まないようにした。トレーシングペーパーなどでディフューズするのも解決策になる。

まとめ

以上、ざっと使ってみたが、光は硬すぎず、色再現性も自然で問題無いように感じた。演色性はM1がCRI 97、R1が同98とのことだ。どちらも金属製の外装で作りも良く、バッグに忍ばせておけば安心できるアイテムだ。

M1とR1はどちらが良いのか迷いどころだが、より明るい光が欲しく、モディファイヤー(ディフューザーなど)は自分で工夫するという人にはM1が向いているのではないだろうか。

一方のR1は、アクセサリーセットのAK-R1が使えるというのがやはり大きい。グリッドやスヌートを使うとクリエイティブな光のコントロールができるからだ。またバウンスカードもあるので、簡単に人物をキレイに撮りたいという場合はこちらを選ぶのが良さそうである。

武石修

1981年生まれ。2006年からインプレスのニュースサイト「デジカメ Watch」の編集者として、カメラ・写真業界の取材や機材レビューの執筆などを行う。2018年からフリー。