デジカメアイテム丼

高級感のある“スパイダー”ミニ三脚「Leofoto MT-04」

ミニ三脚といえば、カメラ周辺機器の中でもなんとなくお手軽アイテムな印象もあり、ついつい物欲を刺激されてしまいがちだ。Leofotoから7月に発売された「MT-04」(1万9,800円~)は、価格帯からするとお手軽とは言い難いかもしれないが、それに見合うだけの“質の高さ”を持ち合わせたアイテム。所有する喜びのようなものをしっかりと感じさせてくれる逸品だった。このページでは同製品の試用レビューをお届けする。

MTシリーズは、関節部を持った折りたたみ式の脚を3本それぞれの角度で展開できるのが特徴。それによりフレキシブルな調節が可能になり、不整地などでも安定して設置できるのが強みという。脚を折り曲げて立つその姿から、“スパイダー三脚”とも称されている。

同シリーズには、「MT-04」のほかに従来モデルの「MT-03」(2018年発売)がラインアップされている。いずれも三脚単体と、雲台のセット品を用意する。

迫力サイズのミニ三脚

MT-04は折りたたみの脚が3段式になったことで、2段式だった従来機のMT-03より大幅にサイズアップしたモデルとなっている。なので、“進化”というよりかはサイズラインアップの“拡充”という見方が適しているだろう。人気シリーズにユーザーの選択肢を増やしたという、Leofotoの意欲が感じられるところだ。

MT-04とMT-03のサイズは、以下の表の通り。

MT-04MT-03
全伸長295mm180mm
最低高36mm30mm
収納高170mm143mm
重量315g162g
耐荷重5kg5kg

全伸長で100mm超の差があるので、並べてみるとさすがにMT-04には迫力が感じられる。とはいえ、展開する段数や、足の開き方によって柔軟な高さ調節を可能としているため、「より低く」という要求にも問題なく応えられる。

また、折りたたみ時のサイズ(収納高)の差は33mm程度と、サイズアップしたMT-04も非常に小さく収まるようになっている。脚が1段増えている分、太くゴツくなっているように見えるのは致し方ないところだろう。

左がMT-04、右がMT-03(以下同)。一番伸ばした状態
折りたたんだところ。並べてみるとMT-04の方はさすがにゴツく見える
一段時の高さの差は僅か
関節を曲げた姿はまるで“クモ”のよう

従来モデルと同様、開脚角度も3段階で調節可能。開脚角度を最大にして最低高の状態にすると、まるでクモが床にベターっと張り付いているようにも見える。

開脚角度:最小
開脚角度:中
開脚角度:最大
開脚角度:最大(上から)

セット品として用意されている雲台は、自由雲台の「LH-30」と「LH-25R」だ。フレキシブルなセッティングが持ち味のMTシリーズだが、それに自由雲台を組み合わせることで設置の柔軟性は大幅に向上する。

LH-25Rは高さが75mm、ベース径36mm、耐荷重6kg。ひと回り大きなLH-30は高さが80mm、ベース径47mm、耐荷重15Kgというスペック。いずれもアルカスイス互換形状のプレートを採用しており、他のLeofoto三脚と同時に使う際にも勝手が良い。また、パンニング機構など機能も充実している。

※10月30日16時50分修正:記事初出時に、セット品の雲台を「LH-25」と記載しておりましたが正しくは「LH-25R」でした。お詫びして訂正いたします。

MT-04は、ぱっと見では脚が非常にほっそりとして見えるため、その安定性がいかほどのものかが懸念されたが杞憂だった。実際にカメラを設置してみると、脚部をしっかりと伸ばした状態ではグラつきもほぼ感じられないほどに安心感がある。

脚部の各関節の角度を変えつつ試してみたが、注意が必要な点もあった。関節部はどんな角度でも安定感がある、というわけではなく、重めの機材を搭載すると関節部の角度をキープできない場合がある。あくまでも機材重量と関節部角度のバランスを考慮しなくてはいけないということだ。

なお、各可動部は六角レンチによるトルク調整に対応する。緩みを感じたら自身でメンテナンスすることも可能だ。

関節部を伸ばした状態にすれば、安定感に不安は感じられない
関節部の曲げ具合により、高さの微調整が可能。しかし、機材重量と各節部の角度のバランスが悪いと関節部の角度がキープできずにずれてしまう場合もある
開脚角度を最大にした状態
開脚角度を一番狭めて“全伸長”にした状態から、さらに関節部を曲げることでちょっとだけ高さを嵩増しできた

各関節部にはゴムパーツが備えられている。いわゆる“ゴム石突”みたいな役割を果たすわけだが、素材をゴムとしたことで設置場所を選ばない感じがして嬉しい。パーツが円形になっているため、いろんな開脚角度に対応する。こうした細部へのコダワリにも、Leofotoらしさが感じられて思わず頬が緩んでしまう。

各関節部にゴムパーツが備えられている。
滑りやすいテーブルの上などでは、このパーツがかなり効いてくる

フレキシブルな設置

このミニ三脚の強みにもなっている“不整地”でのセッティングを試してみた。

ゴツゴツとした足場と、大きめの岩がセットになったシチュエーション。1本の脚を短くした状態で岩にかけ、残り2本はそれぞれ関節の角度を変えるようにしてバランスを調整した。脚1本ずつ長さ・角度を柔軟に変えられることで、こうした不安定な場所でも機材のセッティングが可能になる。

パイプ状の手すりに設置。3本の脚を絡めるようにして固定した。撮影に支障がない範囲で固定できるが、セッティング時には脚が少し滑ってしまう感じも否めない。パイプの太さや素材によって設置可否を判断する必要がある。

金網のフェンスに設置。2本の脚を横軸に引っかけて、残りの1本の脚で支えるようにするとかなりの安定性が確保できた。集合写真を撮る際など、ちょっと高さを稼ぐのに有効な手段になりそうだ。上から見ると、本当に昆虫の脚のよう。

室内用の物干し竿に逆さ吊りしてみた。それぞれの脚をフックのように折り曲げてバーにひっかける。ぷらーんと揺れはするが落下していまいそうな気配もなく、実用範囲内のように思う。

なお、このような不整地でのセッティングにおいて生じたトラブルには保証がないので注意されたい。各自で安全性に気を付けながら、MTシリーズの可能性を模索してほしい。

アクセサリー

MTシリーズはアクセサリーの装着に対応するのもポイントだ。MT-03で15カ所だった細ネジ穴が、MT-04ではなんと42カ所に増えている。装着できるアイテム数が増えているだけでなく、アクセサリー同士が干渉しないよう間隔をあけて装着できるようにも配慮されている。

今回はLeofotoの多機能マジックアーム「AM-5」もお借りしていたので、それにGODOXの「M1 ミニクリエイティブLEDライト」を組み合わせて装着してみた。

場所に制約がなければ、なるべく脚は伸ばして使用する方が安定感が増すので無難だろう。特に物撮りなどで俯瞰撮影をする場合はなおさらバランスに注意したい

このように照明機材を装着すれば簡単な物撮りくらいならこなせてしまうだろう。またマイクのような音声機材を載せれば、自撮りやインタビュー撮影といった用途にも活用できそうだ。

Leofotoには他にもクランプやスマートフォンホルダーなど多彩なアクセサリーが用意されているため、ミニ三脚のように小さな機材でも、それをベースに出来ることが無数に広がっていくように感じられる。

所有するだけで気分が上がるモノ

本体素材にはアルミ合金を使用している。表面はアルマイト処理を施しており、耐腐食・耐摩耗性も確保。指の爪で脚を弾いてみるとカツンっと強固な感触があり、各パーツの剛性感はさすがLeofotoといった印象で信頼のおけるアイテムであることを感じさせる。

こうした剛性感というのは、モノを所有するということにおいて、その満足感を満たしてくれる重要な要素だろう。今回の試用を通して、プロ仕様にこだわるLeofoto製品は小さなミニ三脚にも妥協がないということが伝わってきた。それは一緒にお借りしたマジックアームなどのアクセサリーも同様だ。

西川口にある同社ショールームでも、そうした数々の製品たちのこだわりを垣間見ることが出来るので、気になる人はぜひ訪れてほしい。

MT-04は従来モデルから大型化したミニ三脚だが、先述したように“低さ”もカバーしており、汎用性の高さが期待できる。

Leofotoショールームのスタッフによると、MT-03の方がよりコンパクトになる(携帯性に優れる)ため、普段は基本的に三脚を使わないというユーザーでも、急な夜景撮影や自取りの際に使う保険的な役割として活用できるという。

対してMT-04は高さを出せる分、普段から三脚を使うユーザーが通常の高さの三脚と併用し、それではカバーしにくい高さや設置場所に使うのもおすすめとのこと。製品選びの参考にしてみてほしい。

個人的な見解としては、MT-04も思いのほかコンパクトに収納できるので、「大は小を兼ねる」で迷ったらこちらを選択しても良さそうだなと感じた。

高級感があり所有しているだけでもなんだか嬉しい。そしてそのフレキシブルな性能を生かしてどう使おうか考えるのも楽しい。そんなスパイダー三脚をぜひ手に取って体感してもらえればと思う。

本誌:宮本義朗