マニュアルレンズギャラリー

Tokina SZ 500mm F8 Reflex MF

シンプル構造でクリアな画質…手のひらサイズの反射望遠レンズ

デジタルカメラだからこそ使いたいマニュアルフォーカスの交換レンズ。自分の意思と努力と根性でピントを合わせる撮影行為には、不思議とAFにはない魅力があるものです。本連載で、描写性能はもちろん、プロダクトデザインなどなど、MFレンズならではの拘りを感じてもらえればと思います。

40年前のレンズを再設計

2022年2月に発売されたトキナーの反射望遠レンズで、今回紹介するソニーEマウント用以外にも、キヤノンEF、キヤノンEF-M、ニコンF、富士フイルムX、マイクロフォーサーズと多くのマウントに対応しています。

反射望遠レンズというと、今ではあまり聞き慣れなくなっていますが、反射望遠鏡と同じ理屈の写真用レンズだと言えば、少しは理解しやすくなるでしょうか。かつては複数のメーカーがラインナップしていたもので、トキナーも40年程前に本レンズと同スペックの反射望遠レンズ「TM500」を発売していました。本レンズはそのTM500を現代的に再設計したものです。

特長は、超望遠でありながら手のひらサイズの小型設計であるところ。かつてあった500mm反射望遠レンズと比べても圧倒的に小型に仕上がっています。一般的な屈折式の光学系と違い色収差はほぼなく、構造がシンプルなためヌケがよくシャープな画像を得られます。

500mmでのピント合わせは難しく、ちょっとした訓練が必要になりますが、ミラーレスカメラならピント拡大ができるため、昔ほどの苦労がないのも良いところ。ただし、電子接点は非搭載ですので、電子先幕シャッター使用時には注意が必要です。

外観

作例

前後のボケが一般的な玉ボケでなく、リング状のボケになるのが反射望遠レンズの特徴。リングボケが連なりますのでかなり独特なボケ味を見せますが、それを作画に活かすのもなかなか面白いものです。

α7C II/SZ 500mm F8 Reflex MF/500mm/シャッター優先AE(1/1000秒、F8.0)/ISO 2500

主な仕様

  • 焦点距離:500mm
  • 明るさ:F8固定
  • レンズ構成:7群7枚
  • 画角:4°8'(対角・フルサイズ)
  • 外形寸法:φ74×89mm
  • 重さ:310g(Tマウント除く)
  • フィルター径:72mm(前側)、30.5mm(マウント側)
  • 最短撮影距離:1.7m
  • 最大撮影倍率:1:2.86
  • フォーカス方式:前玉繰り出し式・マニュアルフォーカス
  • 絞り羽根:なし
  • フード:専用フード(付属)
  • マウント部:Tマウント使用(出荷時装着済み)
  • 直販価格:税込4万9,800円~
曽根原昇

(そねはら のぼる)信州大学大学院修了後に映像制作会社を経てフォトグラファーとして独立。2010年に関東に活動の場を移し雑誌・情報誌などの撮影を中心にカメラ誌等で執筆もしている。写真展に「イスタンブルの壁のなか」(オリンパスギャラリー)など。