交換レンズレビュー

FE 24-50mm F2.8 G

テレ端を抑えてコンパクトに 画質にも満足の大口径標準ズームレンズ

CP+2024の直前に発表され、会場となったパシフィコ横浜のソニーブースでも人気が高かった標準ズームレンズ「FE 24-50mm F2.8 G」をひとあし先に試してみた。

質量約440gという小型軽量ながら、ズーム全域で開放F値2.8と明るく、Gレンズならではの高画質を達成した本レンズは、旅行やブラブラスナップに最適な一本だという印象を持った。

外観・操作性

「FE 24-50mm F2.8 G」は製品名通り「24mm」から「50mm」までをカバーする標準ズームレンズだ。テレ側を50mmにすることによって、質量約440g、φ74.8×92.3mm、フィルター径67mmという軽量コンパクトさを手に入れている。

現在ソニーには「FE 24-70mm F2.8 GM II」という大口径標準ズームレンズが存在するが、この「G Master」レンズは質量約695g、φ87.8×119.9mm、フィルター径82mmとなっている。

このテレ端が20mm短い焦点距離とサイズの差を(もちろん価格もだ)どう考えるかによって本レンズを選択するかどうか決まってくるのではないだろうか。

左上からFE 24-70mm F2.8 GM II、FE 24-50mm F2.8 G

今回は「α7C II」に装着して撮影したが、そのフィット感は上々で軽快そのものであった。実際に使用しての感触もレンズ選びの上で大切になってくるだろう。

α7C IIに装着した状態

高い近接撮影性能も特徴だ。最短撮影距離は0.19m(AF時)、0.18m(MF時)と被写体に肉薄可能である。軽量コンパクトさと相まって気軽にフードフォトやテーブルフォトを楽しむことができるだろう。

オートフォーカススピードと正確性も魅力だ。2つのリニアモーターはこのレンズに最適化されていて、α9 IIIの最高約120コマ/秒にも耐えうるようになっているのが頼もしい。実際の撮影でもストレスを感じることなく、ススッ! と合焦してスムーズにスナップ撮影を楽しむことができた。

フォーカスリング、ズームリング、絞りリングを備えており、その使用感も上々。絞りのクリックをオンオフできる「絞りリングクリック切り換えスイッチ」も備えているので動画撮影でも安心である。もちろんボディ側から機能を割り当てられる「フォーカスホールドボタン」も装備されている。

また防塵・防滴に配慮した設計となっており、レンズ前玉に施されたフッ素コーティングとともに、小雨が降る環境でも安心して撮影ができそうだ。

レンズフード装着時

作例

「FE 24-50mm F2.8 G」はズーム全域でF2.8という明るさかつ「Gレンズ」なので印象的なボケ味を楽しめる。

光学系はレンズ構成13群16枚。4枚の非球面レンズと2枚のED(特殊低分散)ガラスを適切に配置することにより、画面全体にわたって高解像感と低収差を実現しているという。実際に撮影した写真をチェックすると、ワイド端からテレ端までズーム全域でクリアでヌケ感の高い描写性能を持っているのが確認できた。

今回は「FE 24-50mm F2.8 G」を「α7C II」に装着してブラブラと撮影を楽しんでみた。肩から提げても軽いので疲れ知らずだし、カメラバッグへの収まりもよく、スナップ撮影がとても楽しくなったレンズであった。


24mmワイド端と50mmテレ端の描写だ。どちらもクリアかつシャープな写りで、常用標準ズームレンズとして納得のいく結果だと感じた。

ワイド端
α7C II/FE 24-50mm F2.8 G/24mm/プログラムAE(1/125秒、F9.0、±0.0EV)/ISO 100
テレ端
α7C II/FE 24-50mm F2.8 G/50mm/プログラムAE(1/160秒、F10、±0.0EV)/ISO 100

皇居のお堀端でのカット。「FE 24-50mm F2.8 G」は軽量コンパクトなズームレンズだが、各操作リングへの指がかりもよく操作はしやすい。近景から遠景まで整った写りに感じる

α7C II/FE 24-50mm F2.8 G/33mm/プログラムAE(1/400秒、F8.0、±0.0EV)/ISO 100

50mmのテレ端で石垣を撮った。ピント面の解像感と立体感が良い印象だ。

α7C II/FE 24-50mm F2.8 G/55mm/プログラムAE(1/160秒、F5.0、−2.0EV)/ISO 100

ビルの谷間から24mmワイド端で空を狙った。建物の直線がキレイに真っ直ぐと写しとられており、見た目の印象同様に撮影できた。

α7C II/FE 24-50mm F2.8 G/24mm/プログラムAE(1/250秒、F8.0、−1.0EV)/ISO 100

絞り開放でのボケを試すべく、F2.8で瓦にフォーカスしてシャッターを切った。背景の木々がGレンズらしく整った美しいボケとなった。発色もイメージどおりだ。

α7C II/FE 24-50mm F2.8 G/50mm/絞り優先AE(1/1,000秒、F2.8、−1.3EV)/ISO 100

「FE 24-50mm F2.8 G」は近接撮影性能が高い。そこで24mmのワイド端で、防波堤にあった朽ちた手すりに肉薄した。マクロレンズ並みに解像感とシャープさで、その様子を捉えることができた。ボケ味も良好だ。

α7C II/FE 24-50mm F2.8 G/24mm/絞り優先AE(1/250秒、F2.8、+0.7EV)/ISO 100

小田原の街をブラブラとスナップして歩いたが、このレンズはとても軽いので長時間の撮影でも疲れることがなかった。オートフォーカスも高速だし、ズームリングも操作しやすいので軽快に撮影を楽しめた。

α7C II/FE 24-50mm F2.8 G/35mm/プログラムAE(1/50秒、F3.2、−1.0EV)/ISO 100

軽く小さくてホールドしやすいので、低照度のシーンでも安心して撮影できるのがいい。囲炉裏端をチョイ絞りでキリリと写しとることができた。

α7C II/FE 24-50mm F2.8 G/45mm/プログラムAE(1/50秒、F4.0、−1.3EV)/ISO 500

やはりズーム全域でF2.8というのがうれしい。開放で撮ることによってボケを活かして被写体を背景から浮かび上がらせることが可能だからだ。人物撮影でもこのレンズは活躍することだろう。

α7C II/FE 24-50mm F2.8 G/50mm/プログラムAE(1/100秒、F2.8、−1.3EV)/ISO 100

このレンズは明るくて寄れるのがいい。またその時のボケ感も秀逸である。ピント面にある札の精細感と奥に見える窓からの光がいい感じに撮れた。使用した「α7C II」とのバランスもよく、撮影および携行時でも素晴らしいホールド感であった。

α7C II/FE 24-50mm F2.8 G/50mm/プログラムAE(1/320秒、F2.8、−0.7EV)/ISO 100

まとめ

「FE 24-50mm F2.8 G」は組み合わせたボディが「α7C II」ということもありとても軽快なレンズに感じた。フットワークを活かしてスナップ撮影をしたり、モデルと歩き回ってのポートレート撮影に役に立ちそうだ。

テレ端が50mmということに納得できるのであれば、ズーム全域でF2.8という明るさ、高い近接撮影性能、頼もしいオートフォーカス、軽量コンパクトさなどこのレンズを選択する理由があるだろう。

旅に、散策時の常用標準ズームレンズとして、きっと素晴らしいパートナーになってくれるレンズに違いない。

1966年神奈川県生まれ。新聞、雑誌カメラマンを経てフリーランスフォトグラファーに。雑誌、広告、Web、ストックフォト、ムービー、執筆、セミナー、コンサルティングなどで活躍中。有限会社サスラウ代表。著書にはiPhoneで撮影した写真集「iPhonegrapherー写真を撮り、歩き続けるための80の言葉(雷鳥社)」「iPhone フォトグラフィックメソッド(翔泳社)」などがある。公式サイト:http://www.sasurau.com