私はこれを買いました!

映像エンジンの世代交代がきっかけ。APS-C機とは思えない画質の良さ&持ち歩くのが楽しいカメラ

FUJIFILM X-T5(豊田慶記)

年末恒例のお買い物企画として、写真家・ライターの皆さんに、2022年に購入したアイテムをひとつだけ紹介していただきました。(編集部)

“人間の努力ではどうしようもない差”

購入動機はX-H2SとX-H2の登場でした。何を言ってるのか良く分からないと思いますが、より正しく言えば、富士フイルムの映像エンジンが世代交代したから、というのが最大の理由です。

個人的な見解ですが、カメラの性能が大きく変わるタイミングは映像エンジンの刷新のタイミングと基本的にイコールです。というのも、エンジンの処理性能が高くなれば限られた時間内で出来ることが増えます。1世代の更新では撮影技術や工夫でその差をある程度埋めることが出来ますが、2世代となると人間の努力ではどうしようもない差が生じることになります。

なので、X-H1がメイン機材の筆者としてはX-H2Sの登場が、機材購入の検討を加速させるキッカケとなり、その最新のエンジンを搭載した、用途と肌に合うカメラが欲しい、という希望を満たすのがX-T5でした。

X-T5の良いところは、小型・軽量・高画質。これはX-Tシリーズの初代機が掲げたコンセプトであり、X-T5が目指した原点回帰という話を発表会ではしていましたが、使ってみると納得。

例えばX-T4では色々な役目を沢山吸い込んで、個人的には「性能は良いけどハッキリしない」という感想だったし、手に合わなくて操作性がヨロシクナイとレビューの仕事をした際に判断したことと、上記の「1世代差であればなんとかなる」の精神で見送りました。

X-T5は特にコンパクトなレンズと組み合わせた際のハンドリングが素晴らしいと感じています。例えばシグマの18-50mmF2.8 DC DN|Contemporaryなどと組み合わせると本当に楽しいのでコチラも購入検討中。

画素数が40MPもあるので、デジタルテレコンで1.4倍クロップしても約20MPで記録出来るので実用性も申し分ないし、撮った写真を見た時の印象が素晴らしく良いのも気に入っています。お世辞じゃなくAPS-C機とは思えないくらい。あとバッテリーの持ちもかなり良くて、デフォルトの「エコノミー」では1,000コマを楽勝で撮れることは素晴らしい。

気に入らないところは、従来機のAWB傾向に慣れていると、平均点は高いけれど、ココぞというシーンでピンと来ないWB結果になることが多いところですが、まぁ時間が解決してくれそうです。現状でとても気に入っていて、持ち歩くのが楽しいカメラです。

シャドー部の緑色の再現がとても好み。従来機の再現性も好きだったけれど、X-T5では階調性が良くなっているので、完全にどストライク。レタッチなしで好みの絵が出てくるのは本当に気持ちがいい
FUJIFILM X-T5/XF16mmF1.4R WR/16mm/マニュアル露出(F1.6、1/640秒)/ISO 250/WB:AUTO雰囲気優先/フイルムシミュレーション:ETERNAブリーチバイパス

近況報告

富士フイルムユーザーではありますが、LUMIXの絵作りについて解説したりもしています。機材レビューのお仕事をするようになって実は今年でちょうど10年目。どうすればいいのか、いまだによく分かってません。ついでに言えば写真の事も良く分からない。

1981年広島県生まれ。メカに興味があり内燃機関のエンジニアを目指していたが、植田正治・緑川洋一・メイプルソープの写真に感銘を受け写真家を志す。日本大学芸術学部写真学科卒業後スタジオマンを経てデジタル一眼レフ等の開発に携わり、その後フリーランスに。黒白写真が好き。