私はこれを買いました!

1本での撮り歩きでオールマイティーな性能を発揮

Tokina opera 50mm F1.4 FF(藤井智弘)

今年、デジカメ Watchでレビュー系の記事を複数執筆していただいた写真家・ライターの皆さんに、2018年に購入したカメラ系の製品(新品に限る)を1つだけ挙げていただきました。(編集部)

街撮りでもグッドバランスの標準レンズ

街の写真を撮る私は、単焦点レンズの中で50mm(35mm判)が最も好きな焦点距離。被写体との距離感が自分に合っているのと、自然な遠近感が得られる。ボケを活かした表現もでき、まさに標準レンズとして欠かせない存在だ。

一眼レフカメラでメインにしているニコンは、これまでわずかに焦点距離が長いAF-S NIKKOR 58mm f/1.4Gを使ってきた。

カメラグランプリでレンズ賞を受賞したほど評価の高いレンズで、私もお気に入りの1本だ。しかし実はクセが強く、絞りや撮影距離によって描写が変わる。それはそれで面白いのだが、決して万能ではない。そこでどんな撮影状況にも対応するオールマイティーな50mmも欲しいと思っていた。そして出会ったのが、ケンコー・トキナーのopera 50mm F1.4 FFだ。

あるとき、たまたまケンコー・トキナーの方がデモ機を持っていて、見せてもらうとシンプルなデザインで堂々とした姿。重さは1kg近くあるとのことで、手にするとずっしりくる。街撮りには重すぎるかな、と思ったが、メインカメラのニコンD750に装着すると想像以上にバランスがいい。そして試し撮りをさせてもらうと、描写力の高さに驚いた。どの絞り値でも高い解像力が安定して得られる。絞り開放の近距離でも甘くならずシャープだ。そして自然なボケ味も好印象。望んでいた写りと出会えた気がした。またAFもスムーズに駆動する。一気に気持ちが傾き、しばらく考えた末に導入を決定した。

手に入れてすぐに台湾の台北へ持って行った。たしかに50mmとしては大柄で重いが、機材は必要最小限にまとめたので、1日中撮り歩いても疲労は少ない。それ以上にしっかり構えて撮るため気合が入り、集中力が増す。被写体に近づく、離れる、絞りを開けてボケを使う、絞って被写界深度を深くする、などあらゆる状況で高い描写性能を発揮した。まさにオールマイティーな標準レンズだ。

作例

台北の寺院で、小さな経本を開いている女性がいた。絞り開放で経本にピントを合わせ、左手の人差し指が動いた瞬間を狙った。経本の文字はシャープに再現され、前後のボケも美しい。ドラマチックな作品になった。

Nikon D750 / Tokina opera 50mm F1.4 FF / 1/2,500秒 / F1.4 / ISO 100 / 絞り優先AE

プロフィール & 近況報告

東京生まれの東京育ち。しかし現在は千葉県船橋市に在住。2018年12月で移住して1年半になる。海外や国内を旅して作品を撮るのが好きだが、これからは船橋も積極的に撮影していきたい。

藤井智弘

(ふじいともひろ)1968年、東京生まれ。東京工芸大学短期大学部写真技術科卒業。1996年、コニカプラザで写真展「PEOPLE」を開催後フリー写真家になり、カメラ専門誌を中心に活動。公益社団法人日本写真家協会(JPS)会員。