私はこれを買いました!

キレッキレの高い解像力となんとも言えぬ美しいボケ

SIGMA 135mm F1.8 DG HSM | Art/礒村浩一

2017年を締めくくるにあたり、本誌のレビュー系記事にご寄稿いただいた皆様に今年新品で購入したデジタルカメラ、レンズのうち、特に思い入れのある製品について語っていただきました。(敬称略)

毎年恒例のこの企画。自分の過去の記事を振り返ってみると毎年すくなくとも1台はカメラを購入していたことがわかる。

ところが今年は1台もカメラを購入していないのだ。ついにカメラ欲も尽きたかな、などと思ったのだがレンズには幾本にも手を出していることに気がつく。そう、自分も沼の住人だったっのである(笑)。

さてそのなかから選んだ今年の1本は、SIGMA 135mm F1.8 DG HSM | Artである。ご存知シグマの高性能レンズArtシリーズに位置する望遠レンズであり、また開放F値1.8の大口径のレンズでもある。

実をいうと私はこれまで135mmというレンズを使用することがあまりなかった。中望遠レンズの85mmの画角と被写体とのワーキングディスタンスが好きだからだ。だがこのSIGMA 135mm F1.8 DG HSMを使って、85mmとは違う世界が広がっていることに気がついてしまったのだ。

85mmと135mmの大きな違いはやはり焦点距離の長さだ。慣れるまでは被写体とのワーキングディスタンスの違いに時折戸惑うこともあったが、きっちりと構図を整え人物の目元にフォーカスを合わせると、インフォーカスからアウトフォーカスへと遷移する前後のぼけが、なんとも言えぬほど美しくファインダーのスクリーンに浮き上がるのだ。

それでいてフォーカスを合わせた箇所の解像力はキレッキレに高い。また長めの焦点距離であるだけに、被写体のフォルムをよりすっきりと捉えることができるのもいい。

ここ最近のミラーレスカメラの躍進には目を見張るものがあるが、このSIGMA 135mm F1.8 DG HSMは、やはり光学ファインダーを備えた一眼レフカメラで使用したいレンズだ。

逆光での描写も優れ、クリアな現実感とトロケルようなボケをファインダーでも堪能できる。これぞまさに夢見るレンズなのである。

明るい日差しの逆光のなか、開放絞りF1.8にて撮影。輝度差の大きい背景だが、ハレーションや色収差も抑えられているので安心して逆光撮影にトライできる。EOS 5D Mark IV / SIGMA 135mm F1.8 DG HSM / 1/1,000秒 / F1.8 / 0EV / ISO100 / 絞り優先AE / 135mm(モデル:夏弥)

プロフィール & 近況報告:写真家。なのだけど、最近はプロデュースPCについて声をかけられることも増えてきて何屋なのかわからなくなってきた(笑)。年明け早々に恒例の北海道ワークショップ開催を予定しています。真っ白な雪世界のなかでのポートレートに興味のある方はこちらまで。

礒村浩一

女性ポートレートから風景、建築、舞台、製品広告など幅広く撮影。全国で作品展を開催するとともに撮影に関するセミナーの講師を担当。デジタルカメラの解説や撮影テクニックに関する執筆も多数。近著「被写体別マイクロフォーサーズレンズ完全ガイド」(玄光社)、「家電批評 一眼カメラの選び方がわかる本 2017」「家電批評 デジカメ&ビデオカメラの選び方がわかる本 2018」(晋遊舎)など。カメラグランプリ外部選考委員。EIZO公認ColorEdge Ambassador。