特集

2015年「私はこれを買いました!」(第1回)

赤城耕一・秋山薫・礒村浩一・上田晃司

2015年を締めくくるにあたり、本誌のレビュー系記事にご寄稿いただいた皆様および本誌編集者に、今年新品で購入したデジタルカメラ、レンズのうち、特に思い入れのある製品について語っていただきました。(50音順、敬称略、全4回)

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シャープネスとボケ味のバランスが絶妙

Carl Zeiss Distagon T* 1.4/35 ZM/赤城耕一

メーカーを問わず「世界の35mmレンズを全て欲しいよ病」を発症して久しい。今年は単焦点35mmレンズが豊作だった年で胸が踊った。

と、いうことで、私が厳正な審査の上、お越しいただいた35mmレンズはMマウント互換のツァイス、Distagon T* 1.4/35 ZM。Mマウント互換なのになぜ名称は「ビオゴン」ではなくて、「ディスタゴン」か。

ディスタゴンといえば一眼レフ用の広角レンズ、すなわちレトロフォーカスタイプ設計の代名詞だ。対称型を基本としたビオゴンとは逆の設計思想なんじゃね? と思ったが、設計技術の進歩や高性能非球面レンズの採用で、歪曲などのリスクは解消、デジタルとの相性ではレトロフォーカスタイプの方が相性が良いらしい。ちなみにライカの純正Mマウント広角レンズは以前から対称型にはこだわっていない。

レンズの鏡胴はかなり長めでとくに近接撮影時にはファインダーのケラレが多少気になるが、もともとテキトーなフレーミングになるレンジファインダーライカでは気にならないし、正確にフレーミングするにはライブビューを使えばいいだけのこと。だからライカM(Typ240)との相性は良いし、価格的にもSUMMILUX M F1.4/35mm ASPH.よりはるかに廉価だ。

以前にライカの35mmで初の研削非球面レンズを2枚採用(現行のSUMMILUX M F1.4/35mm ASPH.は1枚)したSUMMILUX M F1.4/35mm ASPHERICALを使っていたことがあるが、背景のボケのいやらしいクセに驚いたことがある。

一方、Carl Zeiss Distagon T* 1.4/35 ZMで撮影した写真はクセがなく、シャープネスとボケ味のバランスが絶妙で感心した。製造本数が少ないという希少価値に気を奪われ、性能の良否を判断するのはもうヤメにしようと心に誓ったのである。

あかぎこういち:2015年は一眼レフの使用が激減した。仕事も私事もミラーレス機ばかりを使うようになってしまったのだが、果たして来年はどうなるのかしら。と、思いながらニコンFを手慰みにシャッターを切りつつ原稿を書く師走。

デジタル時代の“新ディスタゴン”現る!!

目がさめるような解像感に驚かされた

ニコンD7200/秋山薫

2015年も印象に残る機種は多かった。そのなかで筆者が導入したのは、ニコンD7200だ。以前からニコン一眼レフを使用している筆者には、レンズやスピードライトはもちろん、RAW現像ソフトもバッテリーも流用でき、ボディを買うだけですむ。

じつをいうと筆者は「そろそろフルサイズボディがいいな」と思っていたために、買い物は控えていた。そんな折にD7200を試用して、ローパスフィルターレスの24メガCMOSセンサーとEXPEED 4の作り出す鮮明な絵に感心し、すっかり気にいった。

だいぶ酷使した私物のDタイプのAFニッコールレンズも、D7200で撮ると目のさめるような解像感を得られて驚かされる。また、マルチバッテリーパックMB-D15も同時に導入した。「D7200バッテリーパックキット」がMB-D15を単体で買うよりもずっと得だったからだ。

じっさいに使い始めてみると、解像感や位相差AFの性能アップにはもちろん感心しつつ、ピクチャーコントロールのカメラ内での調整ステップ数が細かくなり、明瞭度の調整が可能になったこと、INFO画面、メニューUIや操作も最新機種と揃ったこと、内蔵Wi-Fi機能の搭載なども享受している。

業務だけではなく趣味にもいまや手放せない存在だ。望遠ズームレンズを使うことが多い筆者には、APS-CサイズのDXフォーマットはまだ必要なのだ。

あきやまかおる:Kindle電子書籍「ぼろフォト解決シリーズ」というカメラ本を編集、撮影、執筆しています。Kindle端末ではなくても、スマホやタブレット端末、パソコンでも読めますよ! と言いながら自分がスマホ未所有だったんです。スマホって便利だわ、と驚きを日々あらたにしています。

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E-M1のサブ機として十分な役割を担う

OLYMPUS OM-D E-M10 Mark II/礒村浩一

2015年もいろいろなデジタルカメラが登場した。それら多くのカメラのなかで、私が今年最後に購入したカメラはOLYMPUS OM-D E-M10 Mark IIだ。オリンパスのEVF付きミラーレスカメラOM-Dシリーズにおいてエントリー機として位置付けられたカメラ。とはいえ、EVFは236万ドット有機ELパネルで見やすく、ボディ内手ブレ補正も5軸補正が可能など上位機に迫るほどの機能が搭載されている。

外観デザインは、かつてのオリンパスのフイルム一眼レフカメラOMシリーズを髣髴させる。前機E-M10はコンパクトさを重視した割り切ったデザインであったが、このE-M10 MarkIIではメイン/サブダイヤルにローレットパターンが設けられていたり、シボ革状の表貼りなどクラシカルさを前面に出したデザインでまとめられている。OMシリーズのON/OFFスイッチを形状もほぼそのままで配していたりと、心憎いデザインだ。

私はOLYMPUS OM-D E-M1を仕事撮影のメイン機として使用しているが、E-M10 Mark IIは性能面においても十分にサブ機の役割を担ってくれている。またEVF使用時に液晶モニターに触れることでAFポイントを移動させることのできるAFターゲットパッドや、シャッター音をほぼ無音にしてくれる静音シャッターといった機能を搭載したことにより、コンパクトなサイズと併せスナップ撮影に最適なカメラとしても仕上がっている。

専用グリップも装着したことだし。さて、年街の街スナップにでかけるとしようか。

いそむらこういち:今年は撮影と並行してパソコンのプロデュースをしたり、こんなムービーにでたり、オンライン講座のイロモノ講師をやったりとお騒がせしました。でも来年もたぶん変わらずにお騒がせすると思います。そんなヤツを見たいという方はCP+2016会場にて。

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あまりにも万能! 昨年に続いて2台目を購入

ニコンD750/上田晃司

今年も多くのカメラに触る機会はあったが、買ったばかりの大型ドローンを墜落させたりと痛い出費が続き、結局購入したカメラはニコンD750だけだ……。実は去年もD750は購入しており、2台目の購入になる。理由は、あまりにも万能なカメラなので予備機もD7100からD750に統一したかったという理由のみ。

このカメラの実力は想像以上で、スナップからポートレート、雑誌、広告の撮影までオールマイティーにこなせるため、仕事でもライフワークでも本当に助かっている。今年はD750を持って、キューバ、ニューヨーク、ハワイ、シンガポール、香港に行ったが、軽量なボディーのおかげで撮影に集中することができた。

また、先日D750のファームウェアVer.1.10が公開され、AtomosのSHOGUNなど外部レコーダーの制御が追加されるなどムービーでの使い勝手も向上しているので、今後はムービー撮影などでも使っていくつもりだ。来年は開発発表のあった一眼レフカメラD5が楽しみである。

うえだこうじ:フリーランスフォトグラファー。今年は念願の「私のニッコール」(ニコン公式Webサイト)に出演させていただいたりと充実した1年を過ごせました。また、「NIKKORレンズFANBOOK」(インプレス刊)の作例撮影や「写真が上手くなる43の勘どころ」(玄光社刊)も執筆しましたのでご興味のある方は是非よろしくお願いいたします。

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