私はこれを買いました!

大型センサーならではの空気感と携帯性の高さがポイント

FUJIFILM GFX 50S/HARUKI

2017年を締めくくるにあたり、本誌のレビュー系記事にご寄稿いただいた皆様に今年新品で購入したデジタルカメラ、レンズのうち、特に思い入れのある製品について語っていただきました。(敬称略)

仕事柄いろんなタイプのカメラを所有して使っていますが、この数年は一般仕事(企業HPや雑誌など)用のメインカメラとしては、パナソニックやオリンパスなどコンパクトで機動力があるマイクロフォーサーズ機を多用しています。

リュックタイプのカメラバッグにズームレンズを装着したボディー2台と交換レンズ2~3本のフルセットを入れても気軽に持ち運べるので電車移動ができて便利ですし、画質も高性能になってきたので雑誌の見開きA3程度ならトリミング分を加味しても充分満足しています。

展覧会などでのプリント展示では長辺が1.5mにもなるB全サイズに伸ばしても大丈夫な程に進化しています。しかしながら自分の中で何かが足りない。何だろうって自問していて気が付いたのは “空気感”でした。

銀塩フィルム時代は仕事も作品もほとんどを4×5インチや8×10インチの大型カメラもしくは、6×6cmや6×7cmの中判ブローニーカメラで撮影していたせいもあって、ポートレートでも風景でもフォーカスの合っている部分と合っていない背景との間に空気感や立体感が生じることが好きでした。

冒頭に書いたように、いろいろな機材の中にはPENTAX 645Dに始まりその後PENTAX 645Zという中判デジタルカメラも持っていて、高感度性能の素晴らしさなど良い部分もたくさんあったのですが、小型軽量なマイクロフォーサーズにすっかり慣れてしまった中年ボディには大きく重いカメラやレンズを持ち運ぶのは少々キツくなって645Zの出番が激減していました。

そこへ登場したのが中判ミラーレス機のGFX 50Sでした。やはり携帯性やハイスピードが切れる電子シャッターの搭載を優先すると欲しくなり、デジカメ Watchのレポートでも何度も使わせてもらった経験もあり、気がついたら恐怖の長期ローンに眼を瞑り入手してしまいました。

「ミイラ取りがミイラになる」とはこのことを云うのですね(笑)。

キューバ滞在時代、ヘミングウェイが小説「老人と海」を執筆した舞台となった小さな漁師町コヒマルにて。あの頃もこんな感じの漁師たちが居たんじゃないかと思わせる人物に遭遇しそっとシャッターを切った。FUJIFILM GFX 50S / GF63mmF2.8 R WR / 1/2,900秒 / F2.8 / 0EV / ISO100 / 絞り優先AE / 63mm

プロフィール & 近況報告:写真家、ビジュアルディレクター。今年はレビューで試用したカメラやレンズをついつい買ってしまうという失態を繰り返し出費が多かったので、来年こそはこの沼から脱出したいと思うのですが……やっぱり難しいかなぁ。

HARUKI

(はるき)1959年広島生まれ。写真家。ビジュアルディレクター。九州産業大学芸術学部写真学科卒業後、上京しフリーランスで世界各国でのスナップショットやポートレートを中心に活動。第35回・朝日広告賞・表現技術賞、100 Japanese Photographers、パルコ ”第3回・期待される若手写真家展” などに選出。プリント作品は国内外の美術館などに収蔵。著書に写真集 「The Human Portraits ~普通の人びと ~1987-2007~ 」、「遠い記憶。」、「Automóvil Americanos “Cuba Cuba Cuba”」。 個展、グループ展多数参加。長岡造形大学非常勤講師。日本写真家協会(JPS)会員。