私はこれを買いました!

ほとんどの撮影をカバー 試しに使ったら手放せないレンズに

M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO/北村智史

2017年を締めくくるにあたり、本誌のレビュー系記事にご寄稿いただいた皆様に今年新品で購入したデジタルカメラ、レンズのうち、特に思い入れのある製品について語っていただきました。(敬称略)

このレンズは2016年のフォトキナでOLYMPUS OM-D E-M1 Mark IIとセットで発表されたものだが、正直なところ、当時はまったく眼中になかった。

と言うのは、ズームレンズ自体があまり好みでないことに加えて、マイクロフォーサーズのイメージ(もちろん、勝手に抱いている妄想に近いものである)にそぐわない大きさと重さ、F4という微妙な暗さ。さらに、税別17万5,000円という価格。ようするに、なにもかもが気にくわなかったのだ。

それが、某広報氏に「ちょっと試してみてよ」とそそのかされたのが運の尽き。使ってみたらあっというまにメインレンズである。

なにしろ、1本で24mm相当から200mm相当までの画角をカバーしているうえに、「PRO」の名に恥じないシャープな描写でボケも悪くない。たぶん、電子補正だろうけれど、歪曲収差もない。

そのうえ、あきれるぐらいに寄れる。望遠端の最大撮影倍率は0.21倍(広角端のほうが0.3倍と数字は大きい)で、これは35mmフルサイズ換算では0.42倍相当になる。もう、だいたいの撮影はこれ1本で足りてしまうのだ。

しかも、手ブレ補正がすこぶるつきの効き目ときている。手持ちで秒単位のスローシャッターが切れるなんて、もうあきれていいレベルだろう。こんなすごいレンズを一度使ったら、もう離れられるはずなどない。

で、生やしてしまった。お金もないのにね。まあ、カミサンにばれなかったのは不幸中の幸いというヤツだ。

ただ、重さにだけは釈然としない。マイクロフォーサーズとしては重さのあるE-M1 Mark IIと組み合わせると電池とSDカード込みで1,135g。小指置き場をかねたRRSのプレートも含めるとおよそ1.2kg。軽快さを求めてマイクロフォーサーズを使っていたはずなのに、なにゆえにこんなに重いものを常用しているのだ? という謎気分でいっぱいになる。

そのへんの折り合いが問題ないなら持っておいて損はしない。ほんと、優秀なレンズである。そこは太鼓判を押しておく。

M.ZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F2.8 PROと組み合わせると、重くしたくない風景セットができあがる。手ブレ補正が強力なので、手持ちで野山を散策するのにもいい。OLYMPUS OM-D E-M1 Mark II / M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO / 1/40秒 / F6.3 / -0.3EV / ISO200 / 絞り優先AE / 100mm

プロフィール & 近況報告:この前の冬は凍った道路でハデに転んでゴージャスな内出血をこしらえました。あと、ささやかですが新しいブログもこしらえました。Twitterもほどほどにやってます。来年はカメラとレンズがいっぱい生やせますように。

北村智史

北村智史(きたむら さとし)1962年、滋賀県生まれ。国立某大学中退後、上京。某カメラ量販店に勤めるもバブル崩壊でリストラ。道端で途方に暮れているところを某カメラ誌の編集長に拾われ、編集業と並行してメカ記事等の執筆に携わる。1997年からはライター専業。2011年、東京の夏の暑さに負けて涼しい地方に移住。