イベントレポート

熱気あふれる「PENTAX ミーティング 100周年スペシャル」体験記

立食イベント+じゃんけん大会で大盛り上がり 開発中の一眼レフも披露

PENTAXミーティング東京会場の様子

リコーイメージング株式会社は、イベント「PENTAX ミーティング 100周年スペシャル」を全国5都市で開催中だ。

既報の通り、本イベントは「PENTAX」ブランドを立ち上げた旭光学工業合資会社の誕生100周年を記念して実施する趣旨。全国5会場で、日中に写真家によるワークショップが、夕刻より会費制の立食パーティー形式「PENTAXミーティング」が実施される(すべての会場で申し込みは終了)。

当サイトでは9月21日に東京会場で行なわれた立食パーティーの模様と、その前に行われた瀬尾拓慶さんによるワークショップの様子を取材した。

ワークショップ

瀬尾さんのワークショップ会場は、東京都港区、白金台にある国立科学博物館附属自然教育園。10名程度の参加者が撮影に関する指導を受けながら、園内を巡り歩いて撮影実習を行なう形で進行した。今回のワークショップでは、光の見つけ方と、構図の中での使い方について重点的に解説していた。

ワークショップの講師を務めた瀬尾拓慶さん。PENTAX一筋の写真家だけに、実習中は豊富な知識を披露してくれた。

参加者の全員がワークショップ終了後のPENTAXミーティングへの列席に当選しており、もちろん全員がPENTAXユーザー。それぞれがPENTAXオリジナルアクセサリーを身に着けて参加するなど、さっそくPENTAX成分の濃いメンバーが集うことになった。

撮影を指導する瀬尾さんの基本スタンスは「光を見つけてから、どのように撮れば、より美しく残せるかを考える」というもの。場の光を目にし、写真を撮ろうと考えたとき、まずは自分が何に感動したのかを考え、自覚し、そのうえで光や景色を美しく残すために、構図や露出、色味をイメージしていく。ポイントは被写体にこだわりすぎず、あくまでも「自分が美しいと思った光」を写すように心がけることだという。

「被写体にとらわれすぎると、造形が好みじゃないから撮らない、ということになりがちですよね。光を美しく残すことに集中することによって、被写体の造形にとらわれずに写真が撮れるようになります。たとえ被写体自体が一見見苦しいものであっても、作品の一部にできるのです」

「美しい光」を見つけるコツの一つとしては、視界にある景色を平面として捉えるやり方を紹介した。片目を閉じ、距離感のない平面として捉えた景色の中で、光と影が交互に繰り返されているところを見つけるのがコツだという。

また、現場で設定を追い込むのが瀬尾さんの撮影スタイル。残したいイメージに沿って、露出だけでなく、カスタムイメージなどの設定も変更している。カスタムイメージでは彩度、シャープネスなど多くの項目が調整できるが、瀬尾さんがすすめするのは「キー」の設定。ハイライトとシャドー部分に含まれない中間光量を調整するのによく使うという。なお瀬尾さんがよく使うカスタムイメージは「銀残し」だそうだ。

撮影実習の後は、場所をリコーイメージング本社に移して講評を実施。参加者1人につき2枚まで作品を提出し、評価したポイントの解説と、改善点の指摘を行なった。

瀬尾さんによる講評の中では「アングルを変えてみる」ことによく言及していた。一歩踏み込んだり、一歩下がったり、カメラの角度を微妙に変えることで画が変わることを強調。現場で実際に画を作り込む作業はやってみるしかなく、この作業に慣れれば、いずれファインダーを覗き込む前にいくつかの完成形がイメージできるようになると話していた。

講評の様子。
構図の切り取り方やアングルの付け方、光の活かし方などを細かく解説していた。

じゃんけん大会の賞品は……

講評会の後に開かれたのが、立食パーティー形式のPENTAXミーティング。東京会場は、東京・大田区にあるリコー本社内の大森ホールで開催された。参加は抽選制で、東京会場の初日は約100名が集まった。

会場内では100周年記念グッズをはじめとした物販コーナーや、代表的なペンタックスブランド一眼レフカメラ機種のケース内展示などを実施していた。

PENTAXミーティングの会場となったリコー本社、大森ホールのエントランス。
物販コーナーでは100周年記念グッズを中心に販売・展示していた。
予約開始後すぐに予約打ち切りの100周年仕様ホットシューカバー「O-HC171」。会場では販売しておらず展示のみだった。
レンズのディスプレイスタンドと、レンズ銘の入ったプレート。
「AOCO」マークの入ったキーホルダーやマグカップなどのグッズも。
歴代の一眼レフカメラをケース展示。
懐かしいカタログも。

開会にあたっては、株式会社リコー執行役員でカメラ事業を統括するSmart Vision事業本部長の大谷渉氏が、旭光学工業の誕生100周年を祝して挨拶した。

「スマホに押されてカメラ事業は厳しいと言われてきましたし、実際厳しいです。『ペンタックスってどうなんだ?』と言われることもありますが、ペンタックスはまだまだ『やります』よ。ぼくらは万人向けするカメラを作ることはできませんし、そういうつもりもありませんが、みなさんに愛されるような、相棒になれるような道具を今後も作り続けていきたい。次の100年、といま言えるかはわかりませんが、今後もご支援いただけたら幸いです」

大谷渉氏(株式会社リコー執行役員Smart Vision事業本部長)

次いで登壇したリコーイメージング株式会社 代表取締役社長 高橋忍氏は挨拶の中で、ペンタックスブランドの銘を持ったカメラの開発理念について言及。自動運転車を例に挙げ、技術が進歩し、便利になっても、あえてそこから外れ、趣味に没頭する人々は存在し続けるだろう、との予想を話した。

「自動運転車にかかわる技術がこのまま発達すれば、目的地まで速く安全に到達できるし、交通事故がまったく起こらない世の中になるとも言われています。それは本当に素晴らしいことですが、その一方で、自動運転が発達しても、自分の手でクルマを改造し、運転を楽しみたい人もきっと残るのではないでしょうか。写真も、カメラもそうなんじゃないかと思います。私たちのカメラは、わくわくしながらファインダーを覗き込んで、写真を撮影を楽しんでもらうためのもの。皆さんの頭の中にあるイメージを表現していただくためのものであると考えています。そういうものをこれからも作っていきたい」

高橋忍氏(リコーイメージング株式会社代表取締役社長)

ペンタックスブランドとして新たに始めた取り組みとして、リコーイメージングが9月21日に開設したWebサイト「PENTAX official」を紹介した。開発メンバーによる「説明書に載せきれない」機能についての記事や写真家によるエッセイ、写真展情報、フォトコンテスト情報などを掲載しているほか、小林義明氏、藤里一郎氏、ハービー・山口氏による写真添削が受けられる「PENTAX道場」などのコンテンツも用意している。

「社員、ユーザー問わず、みんなで一緒に学びながら、楽しむWebサイトにしていきたいと考えています」

9月21日オープンのWebサイト「PENTAX official」。
写真家による添削コンテンツを掲載する「PENTAX道場」。更新は月2回、1回につきネイチャー、女性ポートレート、スナップの3部門で各3作品を添削する。

なお、2020年に発表予定で現在開発中のデジタル一眼レフカメラについては、「最上位クラスの一眼レフカメラ、Kマウント、APS-Cフォーマット」という既報以上の情報発表はなかった。

会場に参考展示した新機種を紹介するために登壇した若代滋氏(株式会社リコーSmart Vision事業本部カメラ事業部商品企画部)は「K-7から継承してきたトップクラスの性能を小型ボディに凝縮させつつ、堅牢性、操作性に優れたボディデザインにするという考え方は踏襲しつつ、ペンタックスの枠を超えた、APS-Cクラスのデジタル一眼レフカメラ最上位を目指して開発しています」と意気込みを語った。

開発発表されたデジタル一眼レフカメラ。APS-Cサイズ相当の撮像素子を搭載する。
若代滋氏(株式会社リコーSmart Vision事業本部カメラ事業部商品企画部)
参考展示機アンベールの様子。高橋社長の左にいるのはモデルの丹羽明日香さん。
参考展示機に殺到するファン。
会場でふるまわれた100周年記念ケーキ。
テーブル上には一眼レフカメラと交換レンズをかたどった海苔巻きもあった。
会場のみなさんでいただいているところ。
イベントの締めには全員参加のじゃんけん大会が行われた。

関根慎一