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PENTAXはこれからも光学ファインダーに注力していく

7月16日配信の「これからのPENTAXカメラが大切にしていくこと」より

PENTAXのブランドビジョンが打ち出されているWebページ。ここで動画も公開されている

リコーイメージングは7月16日19時に「これからのPENTAXカメラが大切にしていくこと」と題した動画を公開し、PENTAXカメラのブランドビジョンを打ち出した。

光学ファインダーの魅力を伝えていく

ブランドビジョン発表にあたり、リコーイメージング株式会社代表取締役社長の高橋忍氏が登壇。「一眼レフの未来を創る。」という見出しからはじまる映像を披露した。

高橋忍氏(リコーイメージング株式会社代表取締役社長)
映像冒頭で打ち出されたメッセージ

映像は、後にブランドビジョンの主要なテーマとして語られる一眼レフカメラならではの機構や利点を紐解く内容となっており、「レンズと光学式ファインダーを通った現実の光を見て、感じながら撮る。」というメッセージが冒頭であらわれた。つづけて、この光学ファインダーならではの魅力とは、被写体と向き合った時のその姿を肉眼で捉えられることにあるのだとして、そこに同社はこだわっていくのだとするメッセージが打ち出された。

その後も映像は続き、開発者による官能評価を重視したレンズ設計を重視する姿勢や、画づくりへのこだわりなどを強調。「写真の奥深さをより多くの人たちに体験してほしい。」としてステートメントが表明された。

光学ファインダーに寄せたメッセージ(ブランドビジョンが示された同社のWebページより)

ステートメントに込められた5つの決意

映像で打ち出されたステートメント「PENTAX STATEMENT」は、「私たちが私たちであるための、5つの決意」という副題をもって宣言された。

高橋氏は自ら、このステートメントを読み上げ、一眼レフカメラ、ひいては光学ファインダーを有するカメラを続けていくのだと宣言した。

PENTAX STATEMENT(ブランドビジョンWebページより)

この宣言の後、場面は高橋氏と写真家の佐々木啓太氏の対談に。今回新たに打ち出されたステートメントの内容を軸に、あらためて光学ファインダーが担う役割とは何か、といったテーマでブランドビジョンの掘り下げが進められていった。

佐々木啓太氏

新たに打ち出された映像とブランドビジョンについて、佐々木氏は「すごくシンプル」とコメント。カメラは撮影者自身の手の延長であり、レンズは目の延長にあるものだとして、これをふまえていかに他者と対話していくかがポイントなのだと続けた。

そして、あらためて一眼レフカメラでなければならない理由とは何なのか、という問いを投げかけた。

今回のビジョンの核心となっているともいえるこの問いに対して、高橋氏は必ずしも技術的な優劣で商品の企画を考えているのではない、とコメント。「私たちはプリズムを通して被写体を感じて、想像力を駆使して自身の撮影したい写真をたくさん撮っている人を知っています。そういう人に向けた製品をつくっていきたい」と続けた。

そして、プリズム、すなわち光学ファインダーで被写体を感じることや、想像力を駆使したりするといった撮影のプロセスこそが重要なのだと強調した。

映像より

こうした同社の光学ファインダーについて、佐々木氏は、同じく光学ファインダーを搭載する他社のカメラでもフラッグシップに位置づけられる機種は、どれも素晴らしい“見え”が体験できるとしながらも、下位の機種になるにしたがってピントの山やトーンがつかみづらくなると指摘。ペンタックスのカメラは入門機でも光学ファインダーの“見え”が違う、とコメントした。

また、写真教室などでスマートフォンやミラーレスカメラを使ってきた人で、一眼レフカメラを使用した人の声として、「風景が輝いているように見える」という感想があがったと紹介。これこそが、光学ファインダーの魅力なのだろうな、とあらためて気づかされることになった出来事だと続けた。それは、被写体を発見することそのものなのであり、そうした感動を味わえるのが光学ファインダーを通して見る、ということなのだろう、と述懐した。

PENTAX100周年を祝して2019年に開催されたファンミーティングで配布された特製のペンタプリズム。対談では、ペンタキシアン(ペンタックス機のファン)にとって、特別なものなのだ、とするやりとりもあった

数値以外に官能性も評価軸にする

対談では、同社のFA Limitedレンズや同社カメラならではの技術的なアプローチにも話が及んだ。

FA Limitedレンズについて、佐々木氏はフィルム時代のレンズであってもデジタルになってあらためてその描写力に気づかされる、とコメント。その描写は「自分がこういうものを撮りたいという思いがないと分からない」のだと続けた。

そうしたレンズの特徴について、「味わいのある」という評価を得ていると高橋氏はコメント。数値以外にも開発者たちの官能性なども基準にしてスペックを固めていった製品群なのだと笑顔を見せた。

話題は映像中でみられた「印象色」という表現で打ち出された画づくりに。この表現を用いた意図を、被写体と対峙したときに撮影者が心に刻んだ色、すなわち心に残る画という意味を込めたものなのだと説明した高橋氏。佐々木氏も、そうした画づくりの魅力の一角を担う「カスタムイメージ」機能の懐の深さに言及して、撮影後もイメージを追い込んでいける楽しさや奥深さは、ペンタックスのカメラならではの利点だと応えた。

このほか、ペンタックス機ならではの機能について話は及んだ。高橋氏は同社では技術者たち自身が“いい写真を撮るために何ができるか”を考えているのだとコメント。アストロトレーサー機能も、星を撮りたいと考えた設計者が、ボディ内手ブレ補正機構をいかして生み出したのだと続けた。

そうした機能実現によせて、佐々木氏も同社には、機能や性能を実現するためにはどうすればいいか、といったアプローチで開発が進められていると感じる、とコメントした。

写真を趣味とする人に向けて

結果としていい写真が撮れたのではなく、撮影する行為やプロセス全体を楽しめるのがアマチュアの特権なのだと続ける高橋氏。そうした写真を趣味とする層や撮影を楽しむ層に向けて、写真の楽しさを伝え、学ぶ場を提供し続けていきたいと続けた。

自身もリコーフォトアカデミーの教養講座のプログラムのひとつ「世界写真史」を受講し、勉強になったと振り返りつつ、写真の楽しさやひろがりを知るキッカケにもなると続けた。そうした、写真が楽しめる一眼レフカメラを今後もつくり続けていきたいと、カメラづくりへの熱意を示した。

次回は新製品が登場

多岐に話が及んだ対談は、高橋氏のメッセージで締めくくられた。高橋氏はそのコメントとして、「全世界の写真を愛する方、写真を愛する方々、一眼レフカメラを愛する方々に、ペンタックスらしいユニークな製品とサービスを提供し続けたい」と宣言した。

動画の締めにあたり、新型カメラに関する新たな情報も打ち出された。詳細は次回配信としつつも、予告映像には新型のAPS-Cフラッグシップカメラと思しき実機を手にする佐々木氏の姿がみられた。

次回配信は7月22日の19時。今回のブランドビジョン表明動画の第2部として配信される見通しだ。

これからのPENTAXカメラが大切にしていくこと

本誌:宮澤孝周