デジタルカメラマガジン

水滴をぶつけて描く、水のモンスター

5月号特集「家で撮る写真」より 水滴アートの撮り方

デジタルカメラマガジン2020年5月号は「家で撮る写真」を特集。身近な被写体の撮影テクニックを全19テーマ掲載しています。今回はその中から、水滴アートの撮り方について抜粋してお届けします(編集部)

キヤノンEOS 7D / EF70-200mm F4L USM+EF25II / 200mm(320mm相当)/ マニュアル露出(F6.3、1/250秒) / ISO 400 / WB:オート

水面に水滴をポトリと落とす。水面よりある程度沈下した水滴は、引力に逆らい水面から空中に浮上する。この瞬間、 冠のような形になる。通称クラウンと呼ばれるものだ。そのタイミングで2滴目の水滴を空中で衝突させるとどうなるか。衝突した水滴はとても複雑な形状を描いた後に消滅する。それは肉眼では見ることができないほど短い時間だ。運が良ければ、まるでモンスターのような姿を撮影することも可能だ。

1.水滴を垂らして受け止める道具を用意する

撮影機材は三脚とレリーズ、そしてフラッシュが必要だ。フラッシュはワイヤレス対応タイプが使い勝手が良い。水面に水滴を落とすには、スポイトなどと受け皿、水が必要となる。どちらもホームセンターや100円ショップで入手できるもので十分だ。高度な内容を追求すると着色や粘性等の+αが必要となるが、まずは何も加えない水道水から始めてみよう。

水滴を落とす道具は連続性と安定性を考えてペットボトルと目薬容器で自作した。受け側は100円ショップで買える植木鉢用の水受け皿やコップが使いやすい
大きな木製のフレームはゴミ袋スタンドだ

2.水滴が落ちてできるクラウンを撮ってみる

ワイヤレスの外部フラッシュを使う。シャッター速度はフラッシュとシンクロする速度の1/160秒で十分。ハイスピードシンクロは不要だ。閃光がピークに達するまでの時間を短くするために発光量は最小とする。以下の露出設定ならフラッシュ光以外は暗闇になるので、室内光のまま暗くする必要はない。まずはクラウンを狙って1滴ずつ落として、シャッタータイミングの練習をしてみよう。

この設定で撮影して明るさはF値で調整。撮影は1滴に対し1回シャッターを切る。連写するとストロボが壊れる可能性があるので、1枚切りで対応する
水滴がはねた瞬間が撮れればOK。フラッシュは水滴の周囲1m程度で配置を調整する

3.水滴を連続で落として衝突させて複雑な形になった水滴を撮る

水滴の衝突にチャレンジだ。2滴を空中で衝突させることで、クラウンよりも複雑な形状になる。そのためにはマウスをダブルクリックするように連続して水滴を落とす必要がある。うまくいけば下のような写真が撮れる。

若葉のような水が開く
キノコのようなかわいらしい姿に

手動ではなかなか難しいので、水滴を落とす装置を製作するのもありだ。私はマイクロコンピューターと電磁弁を組み合わせた機材を自作して撮影をしている。

精度を高めるために機械を自作した