デジタルカメラマガジン

5月号特集は、全52ページの「家で撮る写真」

19テーマから“ガンプラ撮影”の様子を紹介

4月20日発売のデジタルカメラマガジン5月号では、「家で撮る写真」と題して、屋内で写真を撮るためのテクニックとアイデアを紹介しています。

内容は19種類の被写体・テーマに即したテクニック解説と、光の見方やアイデアにまつわるコラムで構成されています。ページ数は全52ページと大ボリューム。紹介している内容は、以下のとおりです。

テクニック・テーマの内容(19種)

料理、鉄道模型、ポートレート、リビング、モチーフ、飛行機、水面、彼女、テーブルフォト、スチル・ライフ、家猫、マクロ、子ども、プラモデル、水滴アート、お菓子、定点、モノクロ、フラワー

室内=マクロ?の思い込みを打ち破る内容に

ところで室内撮影と言われると、ついマクロ撮影や、スタジオのようにしっかりと調光環境を整えた撮影を思い浮かべてしまいがちですが、上記しているように、バリエーションは内容とともに様々。使用している機材も、もちろん特殊なものを使用している例はありますが、それでもごく身近にある単焦点レンズやズームレンズといった、普段使っているカメラやレンズが用いられています。

被写体や光をまわすための小道具も、ノートをレフ板代わりにしていたり、シーツをディフューザーとして利用していたりするなど、特別な道具はほとんど使われていません。

とはいえ、もちろんお手軽な撮影ガイドに止まるわけではなく、各テクニックで「どのような点をポイント」にして撮影しているのかといった「ねらい」や応用に向けたポイント解説もあるため、撮影方法のバリエーションを広げてくれるだけでなく、視点や考え方も広げてくれる内容となっています。

ここでは、そんなテクニックの中から、ひとつの例をピックアップしてお伝えしたいと思います。内容は、ガンダムのプラモデル、いわゆる「ガンプラ」の撮影です。撮影と解説を高瀬ゆうじさんが担当しているページから内容を抜粋して、どのようなアプローチ・テクニックで撮影を進めているのかをご紹介します。

どんな写真を撮っているのか

内容を細かくお伝えしていく前に、どのような写真が撮られているのかをお伝えします。

完成写真。©創通・サンライズ

アオリのアングルで捉えられていることは分かりますが、光は右上からの1灯だけでしょうか。それにしては、しっかりと背景の輝度が維持されている。しかもほぼパンフォーカスということは、絞りは……。さっそく、どのように撮影しているのか、誌面を追っていきます。

背景にはiPadを活用

まず、撮影で高瀬さんが使用している道具を見ていきます。撮影で使用しているカメラは、ニコンのD7200。2015年に発売されたカメラで、APS-Cサイズのセンサーを搭載(ニコンDXフォーマット)しています。有効画素数は約2,416万画素です。

組み合わせているレンズは、AI AF-S Zoom-Nikkor 17-35mm f/2.8D IF-ED。FマウントのCPU内蔵Dタイプで、35mm判に換算すると、およそ25mm〜52mm相当になります。

D7200を使用している理由は、APS-Cサイズの方が被写界深度的に有利であるため。ニコンのAPS-CサイズではD7200が一番画素数が多いことが理由なのだとか。これ以降のカメラでは、画素数が約2,088万画素に減ってしまっているため、この機種を用いているのだそうです。

まず、ガンプラをセッティング。土台の上に設置しています。背景の空を映し出しているのはiPad。ブックエンドを利用して垂直に立てています。ここでのポイントは、iPadの色温度を固定しておくことなのだそう。また、iPadを垂直に立てる理由は、斜めになると画面への映り込みが多くなるため、とのことです。

つづけて、ライトのセッティングに。LEDライトをトップライトになるように設置しています。ポイントは、光源の角度をiPad上の画像の陰影の向きに合わせること。これで、自然な仕上がりが得られるのだそうです。ここでは、雲の影の出方から右上から逆光気味に当たるように調整。ライトには集光レンズをつけてスポット的に光が当たるように工夫が凝らされています。

トップからライトを当てた状態。強く影が出ている。

この段階ではどのように映るのかを確認しています。

メインのトップライトだけだと影が強くなりすぎるとして、高瀬さんは左側からサブでライトを当てています。正面からライトを当てるとiPadに映り込みができてしまうため注意が必要とのこと。さらに、平坦な印象にならないようにトップライトよりも光量を1段分絞り、ガンプラのシールドが暗く落ちていたところを右側から白レフをあてておこしています。

これでセッティングは完了。ライトに当たったガンプラの光がiPadに映り込むと背景に違和感が出てしまうとのことで、高瀬さんは、ここでiPadの画面をオフにしてテスト撮影をしています。このように、撮影結果をひきあげるためのポイントが、それぞれのテーマで解説されています。

画面に脚の白い映り込みができている

応用例の紹介も

今回は青空に雲が浮かぶ背景を中心に解説が進められていましたが、iPadを利用する最大のメリットは、背景を簡単に変えられることだと高瀬さんは解説しています。宇宙空間や夕焼けなど、様々なバリエーションの展開も可能とのことで、様々な被写体で応用できるテクニックであることがわかります。

宇宙で飛んでいるイメージに
iPadの光で逆光シルエットに

ほかのテーマでは?

このほか、大村祐里子さんがセルフポートレートの撮り方を案内していたり、コムロミホさんがカメラ機材の撮り方を案内していたりと、内容もアプローチも様々。執筆陣の顔ぶれは以下のとおりです。屋外での撮影は難しい状況が続いていますが、今月号のデジタルカメラマガジンは、室内でもこんなに様々な写真撮影が楽しめるのか、という気づきにあふれています。

執筆陣(敬称略)

芦名秀近(project._.blue)、嵐田大志、上田晃司、大村祐里子、大山 顕、大和田 良、岡嶋和幸、金盛正樹、北村佑介、熊切大輔、小野友暉、コムロミホ、酒井貴弘、鈴木さや香、大門美奈、高瀬ゆうじ、田中達也、鶴巻育子、中原一雄、MARCO、ルーク・オザワ