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白黒表現にこだわる撮り手へ…PENTAX K-3 Mark IIIに「モノクローム専用モデル」が登場

モノクローム専用センサーを搭載 直販限定モデルも

PENTAX K-3 Mark III Monochrome。装着レンズはHD PENTAX-DA 21mmF3.2AL Limited

リコーイメージング株式会社は、モノクローム専用イメージセンサーを搭載したデジタル一眼レフカメラ「PENTAX K-3 Mark III Monochrome」を4月28日に発売する。価格はオープン。店頭予想価格は33万円台前半(税込)。

2021年11月開催のファンイベント「PENTAX ミーティングオンライン 2021」で同社が提案した企画について、検討を重ねた結果、製品化されたという製品。「PENTAX K-3 Mark III」(2021年4月発売)をベースに、階調再現に優れた高解像のモノクローム撮影専用のイメージセンサーを搭載した。

数量限定ではないものの、同社いわく「“工房的”ものづくりの手法を駆使した小ロット生産」であることと、専用部品の調達に時間がかかることから、一度に作れる製造台数に限りが生じるという。

モノクローム専用CMOSイメージセンサーを採用

APS-C サイズ相当のモノクローム専用CMOSイメージセンサーを搭載。有効画素数は約2,573万画素。ローパスフィルターレス仕様となっている。カラー画像は撮影できない。

ベイヤー配列のカラーフィルターを採用する一般的なデジタルカメラでは、1画素ごとに赤(R)、緑(G)、青(B)のいずれかのカラーフィルターを透過した光に補間処理を行うことで、カラー画像が生成される。モノクロ画像を得るにはそこから変換処理が必要になる。

一方、本機が搭載するモノクローム専用イメージセンサーの場合、カラーフィルターが必要ないため、1画素ごとに得られた輝度情報からダイレクトにモノクローム画像を生成できる。そのため、より高解像で階調再現性に優れたモノクローム画像が期待できる。

PENTAX K-3 Mark III Monochromeが採用するモノクローム専用CMOSイメージセンサー

同様のコンセプトの製品としては、「ライカMモノクローム」シリーズと「ライカQ2モノクローム」、そしてPhase Oneのデジタルバック「IQ3 100MP アクロマティック」が知られている。モノクローム専用のデジタル一眼レフカメラは、おそらく本機が初の製品化だ。

モノクローム専用モデルとして、「PENTAX K-3 Mark III」から画質も再設計された。豊かな階調再現性とシャープネスを得るため、画像処理を一新したという。

また、モノクローム専用の「カスタムイメージ」も用意される。「スタンダード」のほか、ローキーかつ高コントラストな「ハード」、ハイキーで低コントラストの「ソ フト」が選択可能。調色設定、キー、コントラスト、コントラスト(明部)、コントラスト(暗部)、シャープネスの種類なども調整できる。

ちなみにカラーフィルターを省略した影響か、「PENTAX K-3 Mark III」でISO 100だったベース感度が、本機ではISO 200になっている。有効画素数に変化はない。

また、JPEG Lでの最大連続撮影コマ数にも違いが見られる。「PENTAX K-3 Mark III」が37コマまでに対し、本機は55コマまでとなっている。

外観にも専用デザインを採用

外観上では、カメラ上面に設置された表示パネルのバックライトが緑色から白色に変更されている。背面左上には「Monochrome」を印字。ボディ前面の SR バッジは専用のシルバーになった。

メニュー画面の配色も、初期設定はモノクロームに。操作アイコンの表示部には、濃淡の違う3種類のグレーが使われているなど、徹底したモノクロームへのこだわりが見える。

ファインダーなどK-3 Mark IIIの性能を受け継ぐ

その他の基本機能は「PENTAX K-3 Mark III」を踏襲する。

レンズマウントはKAF2。センサークリーニング機構「DR II」、センサーシフト式の手ぶれ補正機構「SR II」などもベースモデルに準ずる。

「PENTAX K-3 Mark III」の特徴である倍率1.05倍(FA 50mm F1.4装着時・∞)のペンタプリズムファインダーも健在だ。ミラーアップしてのライブビュー機能も備えている。

連写性能は最高約12コマ/秒。

自動水平補正、構図微調整といったセンサーシフト式に由来した機能も引き続き使用できる。天体撮影で使用する「アストロトレーサー」にも対応する。

動画記録も可能だ。4K(3,840×2,160)30p、FHD(1,920×1,080)60pなどの記録に対応。マイク端子、ヘッドフォン端子、HDMI出力端子も備える。

USB接続はUSB 3.2 Gen1に準拠。2021年発売の「PENTAX K-3 Mark III」と異なり、Windows 11やmacOS 13 Venturaなどの新OSでの動作がサポートされている。

メモリーカード用のデュアルスロットを搭載し、SDXC/SDHC/SDメモリーカードを採用。スロット1のみUHS-IIに、スロット1、スロット2でUHS-Iに対応する。

バッテリーはD-LI90P。撮影可能枚数は約800枚。

外形寸法は約134.5×103.5×73.5mm。質量は約820g(バッテリー、SDカード含む)。

直販サイト限定モデルも

なお国内の直販サイトでは、外観塗装をマットブラックに変更した限定モデル「PENTAX K-3 Mark III Monochrome Matte Black Edition」を販売する。4月28日に発売。販売価格は33万3,000円(税込)。こちらも入手難が見込まれるという。

【4月13日13時33分追記】予約数多数のため、直販サイトにおける「PENTAX K-3 Mark III Monochrome Matte Black Edition」の新規予約がの受付が停止している。注文受付の再開については改めて告知があるという。

PENTAX K-3 Mark III Matte Black Edition
本誌:折本幸治