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キヤノンに聞いた「EOS R3」一問一答(その1)

"3"の立ち位置、積層CMOSのメリット、視線入力が復活した理由など

11月下旬に発売されるミラーレスカメラ「EOS R3」の気になるポイントについて、キヤノンの回答をもとにお届けする。今回は触れていない部分や、より詳しい部分についても、回答が得られ次第、順次お伝えする予定だ。

コンセプトや立ち位置について

——EOS R3のコンセプトを教えてください。
高速・高感度・高信頼性を備え、高速で移動する動体の撮影に優れたカメラを目指して開発されています。ハイアマチュアユーザーが使いやすい、快適かつ先進的な機能を備えながら、プロの求める信頼性にも応え、撮影領域と映像表現の可能性を拡⼤するミラーレスカメラです。

⼀眼レフのもつアドバンテージ(ファインダー/動体AF/バッテリー寿命/防塵防滴)に迫る性能と、ミラーレスならではのアドバンテージ(高速撮影/AF追尾/IS)を融合し、最先端機能を⾼信頼性でパッケージしたことで、映像表現の領域を拡⼤しています。

——これまでEOSデジタルになかった"3"は、何を表していますか?
プロ向けのフラッグシップ機である「EOS-1」系と、ハイアマチュア向けである「EOS 5」系の間に位置する新しい製品ラインナップです。ハイアマチュア向けだけでなく、プロユーザーも十分に満足できる性能を目指しています。

——EOS R3はフラッグシップ機なのでしょうか。違うとすれば、キヤノンが考えるフラッグシップ機とは何ですか?
EOS R3はフラッグシップモデルではありません。現時点では、絶対的な信頼感と安心感を持って多くのプロの方々に使われているEOS-1D X Mark IIIが、プロ用の「フラッグシップ」カメラと位置付けています。

EOS R3(左)とEOS-1D X Mark III(右)

ただ、EOS R3はスペック上の多くの面でEOS-1D X Mark IIIを上回っており、従来の基準で言えば「フラッグシップ」と言っても差し支えないレベルになっています。

RFシステムはEFシステムよりも進化したシステムであり、その"1"を冠するフラッグシップモデルは、更により高い次元の性能を狙わなければならないと考えています。その高いハードルを越えるため、我々は挑戦を続けています。

——防塵防滴性能はどのぐらいのレベルですか?
EOS R5よりも高く、EOS-1D X Mark IIIと同等の防塵防滴性能を備えています。バリアングルモニターを開いていても防塵防滴性能は保たれます。

バリアングル式モニターを採用

デバイス関係

——2,410万画素を選んだ理由は何ですか?
解像度と高感度性能のバランスを重視して選択しました。また、映像エンジン「DIGIC X」との組み合わせにより、ピクチャースタイル初期条件、かつISO12233準拠のCIPA解像度チャートでの評価において、EOS 5D Mark IVと同等以上の解像感を実現しています。

——積層センサーを採用したメリットを教えてください。
積層型センサーは画素部と回路部を独立した基板上に搭載するため、画素部は高画質化に特化し、回路部は高機能化に特化することができます。そのため、6Kをはじめとする動画性能、静止画・動画の高感度性能、高速信号読み出しによる連写スピードの向上や、ローリングシャッター歪みの低減などに貢献しています。

積層CMOSセンサーのイメージ

視線入力とAF

——視線入力はどのようなシーンで活躍しますか?
ファインダーを使用した静止画撮影で使用可能です。視線の位置にAFフレーム/AFエリアを素早く移動することができるため、複数の被写体へのAFを素早く切り換える際に有効です。

——このタイミングで視線入力が復活したのは何故ですか?
高速性を持つカメラという点で、複数被写体の切り替えやAF点の移動などをさらに素早く行うために搭載しています。被写体にAFフレームを合わせるために行っていたフレーミングの煩わしさから解放され、より快適で集中できる撮影環境を提供できると考えています。

——新たに車やバイクを追尾可能になったとのことですが、どのようなタイプの車体を検出しますか?
車であればフォーミュラカー、GTカー、ラリーカー、バイクであればオンロードバイクやオフロードバイクなど、モータースポーツに使用される典型的な形状の車体が対象です。

モータースポーツ用であっても、車体形状が特殊なものは対象外となる場合があります。また、一般的な車やバイクでも、車体形状によっては追尾可能な場合があります。

——EOS R3の実機は、どこで触れますか?
キヤノンフォトハウス銀座、キヤノンフォトハウス大阪、キヤノンプラザ Sコミュニケーションスペース(品川)、名古屋支店コミュニケーションスペースの4会場です。タッチ&トライ受付専用ダイヤルによる事前予約(先着順)が必要となります。

なお、新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から、タッチ&トライは完全予約制とさせていただきます。ご了承をお願いいたします。詳しくは、キヤノン公式ホームページをご確認ください。

https://canon.jp/personal/experience/photohouse/info/r3event

本誌:鈴木誠