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キヤノンに聞いた「EOS R3」一問一答(その2)

6K動画記録の理由、新しいアクセサリーシューのメリットなど

11月下旬に発売されるミラーレスカメラ「EOS R3」の気になるポイントについて、キヤノンの回答をもとにお届けする。今回は動画周りのポイントと、新たに採用された「マルチアクセサリーシュー」についてお届けする。

動画機能について

——6K動画を搭載したのはなぜですか?
6K動画は、⾼画素⾼ビットであることをポスプロに活⽤できるだけでなく、オーバーサンプリングで高画質な4K動画を生成できるなど、幅広い用途に活用可能な選択であると考えています。

——どのような熱対策がありますか?
まず発熱を抑制するために、放熱経路設計や部品素材の選定などにより、カメラ全体に熱を拡散させる対策を行っています。

また、[温度上昇緩和] を“入”に設定すると、動画撮影待機中に一時的に表示フレームレートが変更されることで消費電力を抑え、発熱を抑制することができます。[温度上昇緩和]の初期設定値は“入”です。

さらに、記録メディアの温度制限を緩和する機能[自動電源オフ温度]を“高”に設定すると、カードの温度が高くなった際にカメラの電源が自動的に切れることを抑えるため、撮影時間が延びることがあります。なお、“⾼”設定ではカードが高温になることがあります。温度が下がってからカードを取り出してください。

また、撮影可能時間を把握するために、カメラ内の温度を計測し、撮影可能時間の残りを⽩と⾚の2段階で警告表⽰します。事前に⽩のアイコンを表⽰するため、突然撮影がストップしてしまうようなトラブルを未然に防ぎます。

——6K/4K動画は連続でどれだけ撮れますか?
各モードでの熱による録画停止までの撮影可能時間(最大・約)は以下の通りです。キヤノン測定条件(キヤノン試験基準325GBカードによる確認)、常温23度、コールドスタート(※1)の場合です。

[自動電源オフ温度]を“高”に設定した場合(※2、※3)

・6K60p RAW:60分以上
・4K120p ALL-I:12分
・4K60p(6Kオーバーサンプリング):60分以上
・4K30p(6Kオーバーサンプリング):熱による制限なし

[自動電源オフ温度]を“標準”に設定した場合

・6K60p RAW:25分
・4K120p ALL-I:12分
・4K60p(6Kオーバーサンプリング):60分以上
・4K30p(6Kオーバーサンプリング):熱による制限なし

※1 コールドスタートでも、記録を開始する前にカメラの設定操作や、ライブビュー状態を維持することなどによってカメラ内部の温度上昇があるため、撮影可能時間が短くなる場合があります。カードの容量がいっぱいになった場合は、動画記録が自動停止します。その場合は、データを消去して撮影を再開した際の合計時間です。

※2 自動電源オフ温度:高にした場合、カードが非常に高温になるため、取り出す際にやけどに注意してください。

※3 カードによっては“標準”設定と“高”設定で、撮影時間が変わらない場合があります。

——CFexpressカードを使わないとできないことはありますか?
以下のファイルはSDカードへの記録はできません。
• RAW動画
• 4K 119.9/100.0fps(ハイフレームレート動画)
• 4K 59.94/50.00fps ALL-I H.264(YCbCr 4:2:0 8bit)/HEVC(YCbCr 4:2:2 10bit)

CFexpress Type-BとSDカードのスロットを各1つ備える

マルチアクセサリーシューについて

——新しいマルチアクセサリーシューとは何ですか? メリットを教えてください。
データの高速通信、カメラからの給電を可能にした新しいアクセサリーシューです。データの高速通信に関しては、マイクを使用する場合、マルチアクセサリーシューをインターフェースとし、ケーブルを介さずにデータ通信が可能になり、外部ノイズに強いデジタル化した音声データをカメラに出力することができるようになります。また、スマートフォンと接続して、5G回線でのアップロードに十分な480Mbpsの転送速度でデータのやりとりができます。

さらに、カメラからの給電ができるため、マイクやスピードライトトランスミッターなどのアクセサリーの電池残量を気にせず、動画撮影やライブ配信に対応可能でき、アクサセリーを小型・軽量にできます。給電用やマイク用のケーブルを減らせるので、撮影時のハンドリングが容易になります。マルチアクセサリーシューの搭載カメラは、2021年9月時点ではEOS R3のみです。

——「スピードライトトランスミッターST-E10」はどのようなことができますか?
新たなマルチアクセサリ―シューに対応したストロボトランスミッターです。最大約30m先に離れた外部ストロボを5グループ、15台まで遠隔制御するストロボ撮影が可能です。

スピードライトトランスミッターST-E10

——「指向性ステレオマイクロホンDM-E1D」の特徴や想定ユーザーを教えてください。どのようなシーンで活用できますか?

指向性ステレオマイクロホンDM-E1D

動画撮影をするユーザーや、音声にこだわった動画撮影を楽しむVloggerなどに向けた、外付けのデジタル指向性ステレオマイクです。EOS R3に搭載された新たなマルチアクセサリーシューにより、デジタル音声出力とカメラからの給電が可能になりました。外部電磁波によるノイズが少なく、マイクのバッテリー切れによる撮り逃しなどがなくなり、より快適な撮影が可能です。

指向性をショットガン、90度、120度と切り替えることができるため、さまざまなシーンに対応します。ピンポイントで音を拾いたいときはショットガン、日常風景の動画を撮っているときは90度、音源が左右に分布しているライブ会場や花火等の動画撮影において、臨場感・奥行き感のある音を撮りたいときは120度などの使い分けが可能です。

——「スマートフォンリンクアダプターAD-P1」はどのような製品ですか? どのようなスマートフォンに対応しますか?

スマートフォンリンクアダプターAD-P1

カメラとスマートフォンを一体化させることで、操作性の向上を図り、より快適な撮影を行うことが出来る新しいアクセサリーです。マルチアクセサリーシュー搭載のカメラとAndroidスマートフォンを有線接続することで、カメラからスマートフォンへ高速にファイル転送が可能になります。

AD-P1には幅が60~80mmのAndroidスマートフォンを取り付けることができます。ただし、形状やボタン配置などによっては、取り付けできないことがあります。折り畳み式のスマートフォンは取り付けることができません。

なお、iOS端末やUSBホスト機能がないスマートフォンは使用することができません。USBホスト機能については、使用するスマートフォンのメーカーにお問い合わせください。

——新しいアクセサリーシューでは既存のストロボは使えますか?
はい、使用できます。防塵防滴機能を備えた現行アクセサリーをマルチアクセサリーシューに装着する際は、別売のマルチアクセサリーシューアダプターAD-E1が必要です。防塵防滴機能を備えていない現行アクセサリーは、直接装着できます。

マルチアクセサリーシューアダプターAD-E1
本誌:鈴木誠