カメラ旅女の全国ネコ島めぐり

ネコとウミガメ、満天の星を求めて(座間味島・後半)

沖縄県那覇市から高速船で50分の距離にある、慶良間諸島・座間味島を旅しました。

前半にもご紹介したとおり、青く美しい海でウミガメと泳ぎ、集落でネコと触れ合い、夜には満天の星を眺めて、心はずっと浮き立ちっぱなし。「撮りたい!」と思える瞬間に幾度となく出会います。

そして、特段計画的な旅ではないけれど、地元の方に勧められるがままに島を巡れば、これ以上ないと思うほどの濃く充実した1日が過ごせるものだと実感。

もちろん、予期せぬ出会いをしっかり撮りたいと思う気持ちも高まります。

さあ、2日目も流れに身を任せて、座間味島を散策します!

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【これまでのねこ島めぐり】

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朝7時、泊まっていたゲストハウスを出て、水着に着替えて向かったのは、昨日と同じ阿真ビーチ。

朝は早いほど、ウミガメに出会える確率が高くなるそうです。

浜辺では、紫色のグンバイヒルガオの花が咲き誇って、気持ち良さそうに朝の空気を吸っているようでした。

海に潜ると、すぐさまウミガメさんがいました。

ウミガメに気づいた他の観光客も次々と潜り始めましたが、ウミガメさんはマイペース。

時折、海面まで空気を吸いに水中を舞うように上がってきて、とても神秘的な姿を見せてくれました。私はあまり泳ぎがうまくないですが、水中用にと持参したオリンパスTough TG-6のおかげで、しっかりとウミガメを捉えることができました。海の青さも目で見た通り、美しく映っています!

1時間ちょっと海で泳いでから、朝ごはんを食べに座間味集落のほうまで移動しました。

気温が一気に上がって、空は爽快に晴れ渡り、ブーゲンビリアの赤い花びらが華やかに咲いています。歩くだけで、気持ちがいい。これぞ南の島。

座間味集落のオシャレなカフェ「サバイディーカフェ」へ。古民家を改装したようで、南国感が漂う居心地のよいカフェです。

うまく庭側だけ撮ると、ポルトガルの小さな村にある可愛い家みたいに見えます。

パイナップルココナッツスムージーを注文しました。

他にも、沖縄の紫芋スムージーや黒糖きなことバナナのミルクスムージーなど、沖縄らしいメニューがあって、どれも気になるものばかり。

スムージーでお腹を満たし、お店を出て歩き始めたら、可愛い黒ネコさんがおりました。

近くにいたおじさんが、

「このネコはね、ドイツ人が飼ってるんだよ」

と教えてくれました。

どうやら、ドイツ人の方が座間味島に移住してきているようなことを言っていました。

そう思うと、黒ネコさんが、ちょっと洋風なネコに見えてきます……。

(黒ネコさん「え、そうかにゃ?」)

なんだか、きょとんとした表情がとっても可愛いです。

さらに集落を歩くと、とっても人懐こいネコちゃんに出会いました。
凛々しく、モデル気取りの顔つき。

集落の橋で、そこを渡る人たちに頭を撫でられたりして、人間好きの様子。

近づいて写真を撮ると、さまざまなポーズを決めてくれて、ネコ好きを喜ばせるのが上手でした。

座間味島には可愛いネコさんたちを何度かみかけましたが、このネコさんがダントツで人懐こかったです。

カメラを持った観光客も立ち止まるほど。

がんばってモデルをこなしてくれていました。

さて、古座間味ビーチへと向かいます。

日本でもっとも美しいビーチの一つと言われ、ミシュラン・グリーンガイド・ジャポンでは二つ星がついたほど。

真っ白な砂浜はサンゴのカケラが積もったもので、慶良間ブルーと言われる青い海とのコントラストがとっても印象的です。

写真映えのする、もくもくと浮かぶ雲が雰囲気を出してくれています。

晴天ですが、少し雨が降る時間もあり、真っ白なビーチは少しくすんでしまったけれど、それでも、ただただ美しい。

海外のビーチもいいけれど、やっぱり日本の海は、世界屈指の美しさだよなあと嬉しくなります。

パラソルがずら〜り。

青い海と白い砂浜には、黄色のパラソルや、ピンクの浮き輪がキラリと目立ちます。

座間味島もオンシーズンではあるけれど、それでも船に乗って島へ来られる人の数に限りがあるせいか、混雑する気配もなくて、居心地の良さといったらありません。

海の家で沖縄そばやかき氷を食べて、休憩。

ちょっとレトロな内装にきゅんときます。

さて、座間味島には座間味集落と阿真集落のほかに、阿佐集落があります。

時間もあるので、古座間味ビーチから島の北東側にある阿佐集落へ向かってみました。

3つの集落の中でもっとも観光客が少なくて、座間味島の本来の静けさが残っているような場所です。フクギ並木もあって、とても穏やか。

ここは、安護の浦という、昔から「風待ちの港」と呼ばれていた内湾に面した集落です。

琉球国時代は国際貿易の中継港だったため、交易船が停泊するようなとても賑やかな港町だったようで、船乗りたちは、阿佐集落に泊まっていたそうです。

阿佐集落の見所といえる、船頭殿の屋敷跡です。船乗りさんたちが泊まっていた屋敷だそう。石垣の跡しかないけれど、ここで異国の人たちと交流していたと思うと、浪漫を感じますね。

石垣にシーサーが、がんじがらめにされていました。

歩くほど、ミステリアスな雰囲気がする阿佐集落でした。

振り向くと、黒ネコさんがこちらをじっと見ていました。

観光客が珍しいのかにゃ? 記念に1枚、パチリ。

夕方、あっという間に船の時間が迫ってきてしまったので、港へ戻りました。

2日目の座間味島も、ウミガメと泳ぐことから始まり、美しいビーチを歩き、ネコさんと触れ合い、のんびりと過ごしました。まさに、大人の夏休み。

心地よい疲労感がぐっと体を包み込み、幸せな気分。夜はぐっすり眠れそう。

船旅の魅力は、この「さようなら、またね」というお別れの瞬間。

フェリーが見えなくなるまで、対岸にいる誰かと、船のデッキにいる誰かが、ずっと手を振りあって、みんなが笑顔で見つめ合うのです。

時間はかかるけれど、だからこそ、別れを惜しむという時間を味わえる。それは人生にとって、とても大切な時間だと思います。

みんなの「お別れの時間」を最後に撮って、また次の島旅へと向かいました。

小林希

旅作家。元編集者。出版社を退社し、世界放浪の旅へ。帰国後、『恋する旅女、世界をゆくー29歳、会社を辞めて旅に出た』で作家に転身。著書に『泣きたくなる旅の日は、世界が美しい』や『美しい柄ネコ図鑑』など多数。現在55カ国をめぐる。