カメラ旅女の全国ネコ島めぐり

ネコとウミガメ、満天の星を求めて(座間味島・前半)

台風の合間を縫って、南の島を旅しました。

そこは、世界屈指の美しい、青く煌めく海に囲まれた沖縄県慶良間諸島の座間味島。

沖縄本島の那覇市から西へ40kmほど離れた東シナ海に浮かぶ、慶良間諸島国立公園の一つで、豊かな自然に恵まれています。

「慶良間ブルー」と称されるターコイズブルーの海では、海水浴やシュノーケリングを楽しむことができて、季節によっては、ザトウクジラやウミガメに出会えるため、年間を通して多くの観光客が渡島します。

しかし第二次世界大戦中、沖縄戦で初めてアメリカ軍に占領されたのが慶良間諸島の島々であり、重く悲しい歴史も残っています。もちろん、現在は平和そのもので、赤いブーゲンビリアが風にそよぎ、穏やかな時間のなかで、愛らしいネコたちも暮らしています。

今回は、オリンパスのデジタルカメラ「Tough TG-6」を持って、ウミガメの撮影にも挑んでみました!

いざ、ネコとウミガメに出会いに、座間味島へ!

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【これまでのねこ島めぐり】

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那覇市の泊にある港「とまりん」で、朝9時の高速船クイーンざまみに乗って出航! 約50分で座間味島へ到着しました。

同乗していたのは、日本人の家族連れのほか、欧米人やアジア人など、海外の方もたくさんいて、グローバル感漂う船旅でした。

夏のオンシーズンは、高速船はすぐに満席になるため、事前に座席を電話予約すると確実です。

座間味島の船が発着する座間味集落の港で船を降りると、大勢の人たちが入れ替わりで乗船するため、長蛇の列をつくっていました。

晴天のもと、日焼けした人たちが心地よい疲労感に包まれているようでした。

私が泊まったのは、友人の紹介で阿真(あま)集落の素泊まり宿。

阿真集落は、座間味港から歩いて20分ほど西側にある、とてもこぢんまりとしたところです。

宿にチェックインをして荷物を置くと、宿のおばあに、

「ウミガメ見るなら、午前中がいいよ。早く泳いでおいで」

と言われてさっそく水着に着替え、Tough TG-6を持って海へと繰り出しました!

阿真ビーチ前の「パーラーとしちゃん」(宿のおばあが経営している)で、シュノーケルセットをレンタルして、準備万端。

すでにたくさんの人が海水浴をしていました。

民宿のおばあの孫であるK君がビーチにいて、「ほらあそこ、ウミガメいるよ」とさっそく発見してくれました。

しかし、彼が指差す方向を食い入るように見ても、浜辺からでは分からない。

とにかく指差す方向へと向かうと、「え、こんな浅瀬にいるの?」というほどのところで、ウミガメがスイスイと泳いでいました。

水深2mほどの海底を、ゆったりとたゆたうウミガメ。海藻をもぐもぐ食べている様子も見られて、大満足です。

潜って、パチリと写真を撮りました。透明度抜群で、光の筋が綺麗に映りました。

ウミガメや熱帯魚を眺めて、海の時間を満喫した後は、パーラーとしちゃんで軽食。

沖縄そばをすすりながら、おばあやK君とお喋りすると、ウミガメと会えるのは座間味島では阿真ビーチがダントツでオススメなのだと教えてくれました。

その後、車で高月山展望台へと向かいました。

「慶良間ブルー」の海が広がり、美しく湾曲した古座間味ビーチの端っこからは、安室島へと続く砂州が現れて、海にできた小道のように見えます。

緑と目が醒めるような鮮やかな青のコントラストが、美しい。

日本の島々を写真に撮るほど、日本は青と緑の色彩がとても豊かな国だなあと感じます。

高月展望台から見渡せるのは、安護の浦と呼ばれる湾です。

ここは昔から「風待ちの港」と呼ばれています。琉球王朝時代、中国から那覇へ向かう貿易船の進貢船が、台風や風の無いときに待機するための場所として使っていたそうです。

湾内の海の色が濃い箇所は、大型船が座礁しないように、岩礁を爆薬などで破壊してつくられた船たまり場の跡です。

島のスケールは大きく、いくら広角にして撮っても収まりきらないけれど、だからこそ想像力を掻き立てられる魅力があります。

高月展望台からは、座間味集落も一望できます。

現在人口は700人ほど。移住者も多いそうです。島内にある3つの集落で、もっとも大きな座間味集落は、民宿や食事処がたくさんあります。

港には、島で唯一の信号も。

集落の向こうに広がる慶良間諸島の多島美も見事です。

さて、座間味集落の中を散策開始!

港からメインストリートと思われる通りを歩くと、「105ストアー」という島でもっとも大きな商店がありました。

その左手に入る小道を行くと、島カフェ「かふーし堂」があるので覗きにいくと……。

島の子どもと白ネコさんがいました。

「いつもここにネコさんいるの?」と聞くと、「うん!」と元気よく教えてくれました。

座間味島はネコが多いようで、小道をとことこ歩くネコさんをたびたび見かけましたが、ここまで接近できたネコさんは初めて。

真っ白なネコじゃらしのような雑草で、遊んでいるところをパチリ。

首輪をしているので、イエネコさんのようです。

カフェの看板ネコかな?

むくり。

ネコさんの動きのある表情は、見ていても飽きがこず、写真を撮り続けていたら、そばにいた男の子が呆れていました……。

しゅたっとベンチから飛び降りて、光の中へ歩いていきました。

逆光で撮る猫というのは、ふわふわの毛がきらめくし、神秘的に見えて好きです。

座間味島の役場です。最近建て替えられて、新しくなったそうです。

沖縄らしい赤瓦が素敵ですね。

正面にある、「座間味村役場」の表札の前には、カメラを設置する台が置かれていて、しっかり自撮りもできるので、記念撮影にオススメ。

集落の中には、たくさんの守り神シーサーたちがいます!

みんな表情が違います。どちらかというと、迫力あるシーサーが多いです。

座間味島は新しい民宿や施設といった建物が多いですが、集落のなかには、昔ながらの面影を残したところもあります。
珊瑚の石垣は、これぞ沖縄!という景色です。

集落の山側にある、島唯一の立派な校舎をした小学校です。

広々とした校庭。一緒に来てくれた宿のK君が、「この校庭はね、戦時中、米兵の墓地だったんだよ」と教えてくれました。
沖縄上陸作戦の拠点として占領された座間味島。

校門のすぐそばにある大きなガジュマルの木は、戦前から子供達を見守ってきた島のシンボルでしたが、米兵軍の砲弾があたり、枝が割れてしまったそうです。それでも、今も割れた枝は生命を絶やさずに、横へと広がっています。

歴史を聞けばこそ、一枚の写真を撮る重みは変わるものですね。

ふたたび集落を通って、港の駐車場まで戻っていると、さきほどの白ネコちゃんに遭遇しました。

「あれ、また会ったにゃ?」

ある民宿の裏側で遭遇したので、ここのネコちゃんなのかも。小さな集落だと、こうして同じネコにも再会できて嬉しいかぎり。

車に乗って、急いで向かったのは、座間味島の西側にある女瀬の崎展望台です。座間味集落の港から阿真集落を抜けて、さらに西へ。

途中でもう太陽が沈みかけてしまったのですが、その後の景色も神秘的でした。

空へ向けて放射される光の筋。刻々と色を変えていく空。

やがて明るい地上に夜の帳が下ろされて、ぽつりと、一番星が輝きました。

そして、闇夜を穿つ無数の星!

阿真ビーチで横になりながら、空を見上げると、スーッといくつも星が流れました。

「あ、流れ星!」

ビーチにいる観光客たちの声が、空に響きます。

前方には阿嘉島のシルエット。そこから昇り立つ、天の川。

暗闇のなか、写真撮影はなかなか大変でしたが、島と星空を写せて大満足。

撮影もほどほどにして、ふたたび、ごろん。うーん、星が降ってきそう。

これほど胸打たれた星空は、久しぶりでした。

つづく

小林希

旅作家。元編集者。出版社を退社し、世界放浪の旅へ。帰国後、『恋する旅女、世界をゆくー29歳、会社を辞めて旅に出た』で作家に転身。著書に『泣きたくなる旅の日は、世界が美しい』や『美しい柄ネコ図鑑』など多数。現在55カ国をめぐる。