赤城耕一の「アカギカメラ」

第19回:春のアポランター祭り

コシナがフォクトレンダーブランドのレンズを発売してから22年が経ちます。私も22年前は30代の終わりだったことを考えると感慨深いですね。そのコシナ・フォクトレンダーがちょうど20年の節目を迎えたということで2019年に登場したのが「APO-LANTHAR 50mm F2 Aspherical E-mount」です。

これはフォクトレンダーブランドのレンズとして史上最高性能を誇って登場したもので、すでに本連載の第2回でもEマウント版をレビューしていますが、なんと2021年1月にはVM(Mマウント互換)マウントの「APO-LANTHAR 50mm F2 Aspherical VM」も新たに用意され、さらに「APO-LANTHAR 35mm F2 Aspherical」もVMマウントとEマウントで登場することになり、ますます期待が高まっています。

Mマウントレンズって、今やユニバーサルマウント的な存在に近いそうです。合理的に考えれば、Mマウント用のレンズを用意しておけば、本家ライカは当然のことですが、コシナからもソニーEマウントや富士フイルムXマウント、ニコンZマウント用のマウントアダプターが発売されており、これを使用することで、さまざまなカメラに装着して撮影を楽しむことができるわけですね。アダプターもさすがのコシナ品質ということで、安心できる装着感や、少々価格はお高めですが接写にも対応するClose Focusアダプターにおける感動的な補助ヘリコイドのフィーリングなどが注目を集めています。

今ではライカは所有していなくてもMマウントレンズを購入される方が少なからずいらっしゃるそうで、私のようなアタマの硬いジジイには理解できない時代が到来しているようです。ところが、コシナは今回のVMマウントのアポランターに関しては、アダプターを使って他のミラーレスカメラに使っていただきたくないようなニュアンスをなんとなく発信しているような印象を受けます。

その理由を考えてみます。50mm F2のアポランターはEマウントの方が先行して発売されました。同じ設計のままVMマウントに転用してもいいはずですが、おそらくこれはマウントアダプターでVMマウントのアポランターをソニーαに使用しても、最高性能が得られないという意味であって、EマウントとVMマウントの同じスペックのアポランターを用意して設計を一部変更して、ソニーとライカユーザーそれぞれに満足しうる性能を維持したのでしょう。

APO-LANTHAR 50mm F2 Aspherical VM

同じレンズのEマウント版を使用した時もぶったまげましたが、こちらの性能にも驚きました。カメラ内のレンズ補正が使用できないわけですから、その本気度が窺い知れますね。

実直な描写というか、この撮影距離で桜の花びら一枚一枚が鮮鋭に見えますから、ライカM10-Rと組み合わせて撮ったら、さらにすごいんでしょうねえ。でも個人的には「だからどうした」みたいな感じもあります(笑)。
ライカM10-P APO-LANTHAR 50mm F2 Aspherical VM(F8・1/750秒)ISO 100
特別な大口径レンズではないので、絞り開放でも驚くほどボケが大きいわけではないのですが、それでも合焦点のシャープネスは、撮影者がどこを見ているのかを明らかにしますね。ロクなところしか見てねえじゃねえかと思われるかもしれませんが。
ライカM10-P APO-LANTHAR 50mm F2 Aspherical VM(F2・1/4,000秒)ISO 100
このクリア感が怖いです。全ての事象をあからさまにする緊張感があります。“写真” なんだから現実じゃないのだ、ちょっとくらいユルいところがあってもいい、とか思ってしまうのはジジイだからでしょうか? アポランターを使うと、同じスペックで多少描写のユルいレンズを探したくなります(笑)。
ライカM10-P APO-LANTHAR 50mm F2 Aspherical VM(F8・1/250秒)ISO 100
日陰の光のフラットな条件。合焦点のネコの毛並みとか、潤いを再現する眼球の描写とか、満点をつけたくなりました。ふつうの50mmレンズよりも被写界深度が浅いのではないかと疑いたくなるのです。シャープすぎてフォーカスの頂点が狭く感じます。レンジファインダーカメラの二重像合致によるフォーカシングは、一眼レフやミラーレスのMFよりも神経を使います。
ライカM10-P APO-LANTHAR 50mm F2 Aspherical VM(F2.8・1/250秒)ISO 100

ご存知のとおり、カメラはマウントの規格が異なればフランジバックの距離も異なるし、デジタルカメラのセンサーはセンサー前にあるカバーガラスの厚みがメーカーによって異なるという問題もあり、かつ最近ではカメラボディ内での画像処理を行い、周辺光量や歪曲など、レンズの各種の収差を補正するというマジックを行うことも珍しくありません。

この理屈に従えば、マウントが異なれば、それに合わせてレンズの光学設計も変えねばならないことになるわけですが、多様なマウントに対応せねばならないレンズメーカーではさすがにそこまでのリソースを割くことはできないので、各社とも最良の落としどころを狙ってきているのではないでしょうか。

ただ、アポランターに関しては「フォクトレンダー史上最高の性能」の冠を維持するために光学設計にも気を使う必要があるのではないかと考えたのでしょう。コシナはとても真面目な会社ですが、社内に「アポランター」を名乗るための厳格な基準があると聞いています。つまり、アポクロマート設計のレンズだとしても、少しでも自社の基準を満たさない部分があれば、アポランターは名乗れないというわけです。

個人的にはコシナ・フォクトレンダーのフィルムカメラ「ベッサ」シリーズや、ツァイスとの協業で誕生した「ツァイス・イコン」、もちろんフィルムM型ライカにもアポランターは使用できるわけで、このことにとても興味があります。Eマウントレンズでは逆立ちしてもフィルムカメラには使用できないのでVMマウントを用意してもらったのは嬉しい方向性です。今回は時間がなかったのご報告できないのですが、機会があればフィルムカメラでアポランターを使って撮ってみるという企画を行いたいなと考えています。

APO-LANTHAR 90mm F3.5

ライカスクリューマウント互換レンズですね。ライツのテレ・エルマリート90mm F2.8のような雰囲気があるけど、とても小型軽量で、スペックからいえばエルマー90mm F4あたりを狙ってきたのでしょうか。レンジファインダーカメラ用の中望遠レンズはおおむね人気がありますが、これは買っておいたほうがいいと思うなあ。素晴らしいですぜ。

最短撮影距離は1.2mで慎ましいスペックですね。でも通常撮影であまり困ることがありません。絞り込むとギンギンな描写になります。女の子とかを絞り込んで撮らないでください。
ライカM10-P APO-LANTHAR 90mm F3.5(F8・1/250秒)ISO 400
テストの撮影の時、ライカM10-Pのビゾフレックス(着脱式のEVF)を忘れて青ざめたのですが、通常のレンジファインダーによるフォーカシングで問題はありませんでした。F3.5なのでピント精度に余裕があったのでしょう。
ライカM10-P APO-LANTHAR 90mm F3.5(F3.5・1/2,000秒)ISO 200
モノクロ設定で階調再現性をみてみましたが、コントラストの高い条件でも良い感じですね。素晴らしくシャープな描写で、歪曲収差もよく補正されていて、描写に感激します。
ライカM10-P APO-LANTHAR 90mm F3.5(F11・1/350秒)ISO 200
撮影距離は2.5mくらいですが、開放だとそこそこに背景がボケます。画面内の画像の均質性が高いことも特徴ですね。ディテールの再現も素晴らしいです。外観にはそんなに高級感がないですが、描写は一線級です。
ライカM10-P APO-LANTHAR 90mm F3.5(F3.5・1/250秒)ISO 400

フォクトレンダーにおけるアポランターの歴史などはコシナのWebサイトを参照していただくとして、簡単にアポランターの意味を申し添えておくと、“アポ” は「アポクロマート設計」のレンズであることを意味しています。

光の三原色であるRGBは異なる波長を持っているために、屈折率の違いにより結像位置が色によって前後にずれ、これが軸上の色収差になり、条件によっては被写体が色ズレで見苦しい写真になることがあります。これを補正するのがアポクロマート設計のレンズということになりますが、コシナの資料によればフォクレンダーブランドカメラでは6×9判のベッサIIに最初のアポランター100mm F4.5が搭載されたとあります。

フィルムカメラの時代、アポクロマート設計は長焦点レンズに採用されているのがふつうで、標準や広角のレンズにはあまり採用されてはいないようです。デジタルカメラでは特性的に色収差が画像に影響を与えることが多いためか、レンズの焦点距離によらず採用が広がっています。

このように“アポ”の名が冠してあるレンズは性能面の安心感があることは間違いないですが、この“アポ”の名をブランドを高めるために強力に打ち出した最たるものが、ライカのMマウントレンズ「アポ・ズミクロンM F2/50mm ASPH.」になるのではないでしょうか。

その価格はライカオンラインストアで税込104万5,000円(本稿掲載時点)。これよりも一段明るいズミルックスM F1.4/50mm ASPH.が税込52万8,000円ですから、2倍近くの価格設定なのです。私はこのことにかなり驚きました。開放値F2の50mm標準レンズというのはそのスペックだけ見れば凡庸だったからで、いきなりその桁がふたつ上がったわけですから、現実のものとは思えませんでした。それだけ、ライカがアポ・ズミクロンに賭ける意気込みを感じさせました。

ちなみにAPO-LANTHAR 50mm F2 Aspherical VMは税込12万円とリーズナブルな価格設定となっていることに驚かされますが、おそらく量販店などの実勢価格では、アポ・ズミクロンの10分の1程度の価格で購入できるのではないでしょうか。

最近めんどうなのが、"アポ・ズミクロンM F2/50mm ASPH.とアポランター50mm F2 VMのどちらがよく写るのか?"という質問が来ることなのです。

筆者自身アポ・ズミクロンM F2/50mm ASPH.を使用した経験が数回しかなく、ただでさえ貧乏性なものですから、貸し出しの機会に恵まれても、高額なレンズをキズをつけたり盗難に遭ったらどうしようとビビり、少し撮影したら、すぐに返却してしまうということを繰り返しており、いまだにその本質が見えていません。

本来ならばこの2本を同時に撮り比べをするのが筋なのでしょうが、まだ実現できていません。ちなににアポランター50mm F2 VMはフォクトレンダーブランドレンズとしては珍しく、MTFが公開されています。アポ・ズミクロンM F2/50mm ASPH.もMTFは公開されているため、数値性能面での比較は可能なので、描写の方向性はおおよそ推測できるかと思います。

今回の執筆にあたり、新発売のアポランター35mm F2 VMはお借りしましたが、それを追うようにライカからもアポ・ズミクロンM F2/35mm ASPH.が登場しました。焦点距離35mmでもまた対決が行われるのでしょう。富裕層のライカユーザーの方、どなたかテストしてみてください。ただし、レンズの性能が自分の写真の内容に寄与する割合はいかほどかを考えた時、目が覚めることがあります(笑)。

APO-LANTHAR 35mm F2 Aspherical

新発売の35mmレンズです。大好物の35mmの画角ですから個人的にかなり萌えていて、もう返したくないほど(笑)。開放から素晴らしく繊細かつ、コントラスト良好で、筆者の中では35mmレンズのひとつの基準になりそうです。

その昔は「シャープである=描写が硬い」というイメージすら持ったものですが、アポランターは心地よいシャープネスという感じがします。階調のつながりも素晴らしく。ポテンシャルを引き出すためには露出設定も留意したいところです。
ライカM10-P APO-LANTHAR 35mm F2 Aspherical VM(F8・1/350秒)ISO 400
無限遠で絞り開放といった撮影にはいまだに慣れない還暦のジジイですが、開口効率がよく周辺光量の低下が気になりませんね。なだらかに落ちてゆくという感じがします。
ライカM10-P APO-LANTHAR 35mm F2 Aspherical VM(F2・1/250秒)ISO 800
ライカM9で使用してみました。画素数が多くなくても鮮鋭性には影響を与えていません。というか、拡大してみると、より高解像度のライカで撮影したような、像のエッジに張りを感じさせます。
ライカM9 APO-LANTHAR 35mm F2 Aspherical VM(F5.6・1/2,000秒)ISO 400

さて、今回は手元にある一部のアポランターレンズを使用してみようという企画なんだけど、調べてみるとコシナ・フォクトレンダーブランドのアポランター銘のレンズって、最も古いもので2001年に登場するアポランター90mm F3.5でした。ライカスクリューマウント互換のVLマウントレンズですね。つい最近のことだと思っておりましたが、なんともう20年前ですよ。

そしてすぐに一眼レフ用のマクロアポランター125mm F2.5 SLが出ますが、この当時、まったく不勉強だったので、レンズの描写の実力は理解できても“アポランター”名のブランド力がよく理解できていなかったふしがあります。

マクロアポランター125mm F2.5 SLは最短撮影距離0.38m。単体で等倍撮影できるという素晴らしいレンズで、そのスペックと描写性能ばかりに目を奪われておりまして、個人的にも当時でもMFレンズとしては珍しいEFマウント用を入手、後にFマウント用も使いはじめて、現在アサインメントにも使用して重宝しています。

MACRO APO-LANTHAR 125mm F2.5 SL

太くて重めのレンズですが、単体で等倍撮影できてしまうという仕様が素晴らしいですね。いま使用しても驚くべき高性能を誇ります。フォーカシングするのが楽しくなるレンズです。

すでに手元にはデジタルのEOS一眼レフがないので、アダプターでEOS R5に装着して撮影しましたが、カメラは自動的にMFレンズであることを理解し、フォーカスエイドも自動的に機能しました。背景は地面に落ちた桜の花びらですが、シャープネスとボケ味の両者を満足させています。
EOS R5 MACRO APO-LANTHAR 125mm F2.5 SL(F4・1/800秒)ISO 400
MFであることにストレスを感じさせない造りが見事ですね。EFマウントこそ「不変」ではないかと感じる瞬間でして、こうなるとコシナ・フォクトレンダーやコシナ・ツァイスのEFマウント用レンズが欲しくなるわけです。
EOS R5 MACRO APO-LANTHAR 125mm F2.5 SL(F4・1/2,000秒)ISO 400
絞り開放ですが、20年前の設計のレンズとは思えないクリアさで驚かされます。ライブビューを拡大しなくてもMFがラクに行えるのは、開放からレンズ性能が高い証。ボケ味の美しさも感激ものです。
EOS R5 MACRO APO-LANTHAR 125mm F2.5 SL(F2.8・1/3,200秒)ISO 200
前ボケも生かしてフレーミングしてみましたが、125mmレンズって、35mmフルサイズのフォーマットではあまり経験のない画角で当初は戸惑います。が、マクロ撮影からポートレートまで万能的に使えますね。
EOS R5 MACRO APO-LANTHAR 125mm F2.5 SL(F2.5・1/5,000秒)ISO 400

面白いのは、アポランター90mm F3.5は一眼レフ用のレンズとして転用されて、アポランター90mm F3.5 SL Close Focusとなり2002年に登場します。これも最短撮影距離0.5mで最大撮影倍率が1:3.5と、マクロレンズといっても過言ではない仕様でした。このレンズはのちにマイナーチェンジされて、専用のクローズアップレンズが用意されたSL II型となって登場します。

往時のコシナ・フォクトレンダーブランドは、レンジファインダーカメラに寄ったシステム作りでしたので、一眼レフ用の交換レンズを用意してきたのはとても興味深いものがありました。2003年にはアポランター180mm F4 SL Close Focusが登場します。これも最短撮影距離が1.2mで最大撮影倍率が1:4となっていました。

APO-LANTHAR 90mm F3.5 SL

全体の意匠に既視感を覚えるのは、初期のコシナ・フォクトレンダーには多い特徴で、とくに言うまでもなくライカの影響が大きかったようですが、このレンズはコンタレックス用の交換レンズに似ていますね。とてもルックスがよく、カメラを選びません。

Close Focusなので、至近距離で撮影しましたが、フォーカスの立ち上がり方というか線の細さが素晴らしく、デジタル時代でも十分に通用するレンズだと思いました。撮影距離でも性能はあまり変化しないようです。
ニコンDf APO-LANTHAR 90mm F3.5 SL Close Focus(F5.6・1/800秒)ISO 400
都市風景。ディテールの再現に期待して絞り込んで撮影してみました。歪曲収差を感じさせない、きっちりとした線の描写が見事ですね。ファインダーを覗いてフォーカシングしてもヤマが掴みやすいのは収差が少ない証拠です。
ニコンDf APO-LANTHAR 90mm F3.5 SL Close Focus(F11・1/800秒)ISO 400
同レンズの改良型であるSL IIで撮影。専用のクローズアップレンズを装着していますけど、性能面ではまったく問題ないですね。外観がフルブラックになり洗練された感じになりました。
FinePix S5 Pro APO-LANTHAR 90mm F3.5 SL II(F5・1/1,500秒)ISO 200

このようにアポランターは中望遠からマクロ方向にシフトしたラインアップだったわけですが、現行のアポランターレンズは35mmと50mmの他に、Eマウントのマクロアポランター65mm F2と110mm F2.5があり、いずれもその名のとおりマクロ領域にシフトしたレンズとなっていますが、もしかすると、さらなるワイド系レンズなどにもアポランターを冠するレンズが登場してくるかもしれませんね。期待したいところです。

あと、コシナさんの商売の邪魔をしてはいけない(笑)のですが、ディスコンになったアポランターのほとんどは、現代のデジタルカメラでの使用にも十分に耐えると思いますよ。アポランター規格は伊達ではありませんね、間違いなく。

一部のレンズは中古カメラ店で廉価で売られていることもありまして、これは大チャンスだと思います。単に中古カメラ店のみなさんがこれらのレンズの性能の優秀さを知らないだけなんでしょうねえ。アポランターを通したファインダー像の切れ込みの良さって、尋常ではありません。アポランターがMFの「不便」を「目の快楽」に変えるかもしれませんぜ。

APO-LANTHAR 180mm F4 SL Close Focus

原稿を入稿したあと発見されたアポランター180mm F4 SL Close Focus。作例を撮影した後に行方不明になり、2日間にわたり捜索していましたが、本稿の締め切りまでに発見できませんでした。本日になり愛用のDOMKEの仕切りの隙間から発見。シリコンクロスに包まれた状態で見つかりました。全長が短く発見が遅れました。レンズが小さいのも考えものですね。現場からは以上です(笑)。

長焦点レンズでの街中スナップは目立って恥ずかしいのですが、本レンズは全長79mmほどと、180mmもの焦点距離を持つとは思えない短さで目立ちません。フィルター径49mm。重量は485gあり、手にすると存在感があります。クリアでシャープな写りです。エッジに色ズレなどは認められません。
ニコンDf APO-LANTHAR 180mm F4 SL Close Focus(F5.6・1/800秒)ISO 400
フィルム時代のレンズなのに質感の描写が良くてびっくりします。大口径ではありませんが、ボケ味もクセがなく素直です。レンズ構成は7群9枚。同じスペックのライカR用のレンズのエルマーR 180mm F4は4群5枚構成。これも勝負したくなりますが、似たような雰囲気で写るのでしょうか。
ニコンDf APO-LANTHAR 180mm F4 SL Close Focus(F5.6・1/500秒)ISO 400
最短撮影距離1.2mでの撮影です。シャープで線の細い、透明感のある描写です。クラシックな部類には入らないでしょう。絞り開放の明るさを無理していないため性能に余裕があると思われます。最大撮影倍率1:4なので、簡易的な望遠マクロレンズとしても重宝します。
ニコンDf APO-LANTHAR 180mm F4 SL Close Focus(F5.6・1/2,500秒)ISO 400
細かい質感描写も得意ですね。MFでのフォーカシングも切れ込みが良いために苦になりません。現役時代はあまり注目されなかったようですが、見つけたら間違いなく“買い”のレンズです。
ニコンDf APO-LANTHAR 180mm F4 SL Close Focus(F4・1/4,000秒)ISO 400

※APO-LANTHAR 180mm F4 SL Close Focusを追加しました(4月5日19時20分)

赤城耕一

写真家。東京生まれ。エディトリアル、広告撮影では人物撮影がメイン。プライベートでは東京の路地裏を探検撮影中。カメラ雑誌各誌にて、最新デジタルカメラから戦前のライカまでを論評。ハウツー記事も執筆。著書に「定番カメラの名品レンズ」(小学館)、「レンズ至上主義!」(平凡社)など。最新刊は「フィルムカメラ放蕩記」(ホビージャパン)