特集
2016年「私はこれを買いました!」(第3回)
上田晃司・大高隆・中原一雄・永山昌克
2016年12月22日 07:00
2016年を締めくくるにあたり、本誌のレビュー系記事にご寄稿いただいた皆様および本誌編集者に、今年新品で購入したデジタルカメラ、レンズのうち、特に思い入れのある製品について語っていただきました。(順不同、敬称略)
このレンズでしか表現できない世界がある
AF-S NIKKOR 105mm f/1.4E ED/上田晃司
気づけば、今年も様々なカメラレンズを購入していた(笑)。散財した中でも、最も印象にあるのはAF-S NIKKOR 105mm f/1.4E EDだ。このレンズは発表してからすぐに欲しいと直感的に感じた。ただ、高価なためすぐには買わず、誕生日プレゼントとして自分に買った。先日、デジカメ Watchでもレビューを書かせていただいたが、私にとって今年一番のレンズと言っても過言ではない。
105mmというやや特殊な焦点距離なので、響かない人には響かないかもしれないが、写り、ボケ感、立体感などこのレンズでなければ表現できない世界がある。ポートレート用のレンズと思っている方も多いと思うが、私はスナップ撮影や都市風景撮影にも活用している。このレンズで撮影すれば、日常を映画の世界のように表現できてしまう神レンズと言っても過言ではない。
ただし、お世辞にもコンパクトで軽量とは言えないが、描写の良さがレンズの大きさ、重さを忘れさせてくれるはず。このレンズを使うようになってから、改めて中望遠レンズの面白さを実感している。
うえだこうじ:フリーランスフォトグラファー。今年もありがたいことに世界中を旅して撮影することができた。また、初めてのTV出演も経験。現在は再放送になるが毎週金曜日 夜10時~10時54分 BS11「楽しさいっぱい写真旅」に出演させていただいている。
待望のフルサイズPENTAX 日常の撮影から仕事まで活躍
PENTAX K-1/大高隆
PENTAX K-1は多くのファンが待ち望んでいたフルサイズPENTAXだ。従来からのPENTAXユーザーに限らず、ある人はM42レンズを楽しむための一眼レフとして、またある人はアストロトレーサーを生かして手軽に天体写真を楽しむため……というように、従来PENTAXを使っていなかった愛好家を取り込むことにも成功したと私は見ている。
私自身は、ごく普通にHD PENTAX-D FA 28-105mmF3.5-5.6ED DC WRレンズをつけて使っている。高感度性能に余裕があり、標準ズームレンズ1本でもたいがいのものは撮影できてしまうので、携行するレンズを減らせばカバンもあまり重くならない。連続撮影コマ数とコマ速度だけはK-3 IIに一歩譲るが、このK-1を私は大変気に入っている。
日常の撮影はもちろん、従来は他社のフルサイズ機で撮ったような仕事でも、シフトレンズなどの特殊レンズが不要であれば、迷わずK-1だけで出かけるようになった。
標準ズームレンズの他にはsmc PENTAX-FA 20-35mmF4ALを中古で手に入れた。HD PENTAX-D FA 15-30mmF2.8ED SDM WRもいずれは欲しいと思っているが、毎日持ち歩くにはコンパクトなレンズのほうが好ましい。いずれ企画されるであろうD FA LimitedシリーズやHD DAズームにコンパクトなF4クラスの広角ズームを期待している。
PENTAXが*ist Dを発表してデジタル一眼レフカメラに参入した際も、レンズラインナップがほぼ完成してボディがK10Dになるまで3年を要した。その後、親会社が転々とする間に開発スケジュールが乱れ、ロードマップからいつの間にか消えてしまった幻のレンズもある。まぁ、今後はそうしたこともないだろうと楽観し、フルサイズPENTAXシステムの完成を気長に待ちつつ、この素晴らしいカメラを楽しんでいる。
おおたかたかし:昨年末に考えていたこととは別の方向に進んだ1年でしたが、振り返ってみれば多くの方と共に働き、年若い友人も増え、恵まれた年になったと思います。一方、東北の撮影にはあまり行くことができず。来年は少し体勢を変えて取り組むため、準備を進めています。来るべき2017年が皆様にとって喜ばしいものでありますように。そしてお手元の写真機が皆様の暮らしの佳き同伴者でありますように。よい写真を残しましょう。
ノイズレベルの低さに驚く 万能性もポイント
キヤノンEOS 5D Mark IV/中原一雄
EOS 5D系はII、IIIと使いIVで3代目。ずっとメインで使っているので迷わず買ったと言いたいところですが、売り出し価格を見て一瞬迷いました(笑)。
それでも予約購入して手に入れたのですが、この安心してシャッターを押せる感覚は何者にも代えがたいものでとても満足しています。今年は仕事で様々なカメラを使用する機会を得て、それぞれに印象的な良いポイントがありましたがEOS 5D MarkIVの万能性や安定性は頭一つ抜けている印象です(私が5D系の操作に慣れているというのもあるけど)。
無難すぎて面白くないと批判されることもありますが、仕事で様々な被写体を撮る私としては何かに特化したカメラよりどんな被写体、どんなシーンでも安心して合格点を撮りに行けるカメラをメインに使いたいのです。
高画素化やデュアルピクセルCMOS AFに目が行きがちですが、EOS 5D Mark IVで最も気に入っているのは低感度撮影時のシャドウのノイズレベルの低さ。ISO100~200ではアンダーで撮影しておいてRAWから5段持ち上げても酷い破綻が起きないのに驚きました。ここは先代のMark IIIとは雲泥の差です。逆光など輝度差が激しいシーンでも低感度で撮影しておけばより攻めた現像、レタッチが可能で作品作りの幅が広がるなと感じました。
メニューや操作系のカスタマイズ性もアップしていて、引き続き自分の体の一部として全幅の信頼を置いて撮影していけるカメラだなと感じています。
なかはらかずお:昨年秋に子供が生まれ、今年は育児をしながらカメラバッグを作ったり、ムックや雑誌の執筆やstudio9のブログを書き、カメラ教室やセミナーで全国を飛び回りとバタバタした1年でした。そして、子供の写真が1万枚を超えました。
幅広く活躍してくれる便利ズームの2代目
キヤノンEF24-105mm F4L IS II USM/永山昌克
キヤノンの便利ズームEF24-105mm F4L IS II USMを先日購入した。前モデルのEF24-105mm F4L IS USMは、取材から風景、夜景、ポートレート、製品撮影まで幅広く活用し、仕事写真の約半分を担ってくれた、私の中での定番レンズだ。酷使してキズだらけになり、ズームリングもユルユルになってしまったがまだまだ使える。
と思っていたら、この後継レンズが出たのであっさり乗り換えた。まず良くなったのは、ズームリングを24mm位置でロック可能になったこと。首や肩にかけて移動する際の、ストレスが減った。手ブレ補正の強化や周辺画質の向上については、はっきりとした進化が感じられる。
フォーカスリングとズームリングの幅がそれぞれ増して感触がよくなったことや、外装の高級感が少し高まった点もありがたい。
残念なのは、重量が125gも増えて約795gになったこと。これならEF24-70mm F2.8L II USMの805gと大差ない重さであり、せっかくの開放値F4の意味がない、と納得できない気持ちもちょっとある。といいつつも、やはり24-105mmは便利な焦点距離なので、日々の使用頻度は相変わらず高い。
ながやままさかつ:デジカメ WatchなどいくつかのWeb媒体にレビューを書かせていただいているが、本業の撮影業は非常に地味。終日スタジオにこもり、衣料品や雑貨などの商品撮影を粛々とこなしてメシの種にしています。
キヤノン、フルサイズ対応標準ズーム「EF24-105mm F4 L IS II USM」
(第4回に続きます)