【年末特別企画】2009年「私はこれを買いました」


 2009年を締めくくるにあたり、当サイトへ主にレビュー記事をご寄稿いただいている皆さんおよび弊誌編集者に、今年新品で購入した最も思い入れのあるデジタルカメラについて語ってもらいました。購入に至る経緯や使用しての感想などを寄せていただいています。(50音順、敬称略)

“ノーブルブラウン”が購入の決め手


ソニー「α330」/安孫子卓郎

α330(ノーブルブラウン)

 今年もいろいろなデジカメを買いましたが、マイクロフォーサーズ&一眼レフは総じてまあまあ。コンパクトデジカメは外れ気味と言う感想でしょうか。コンパクトデジカメは、昨年購入した「LUMIX DMC-LX3」が大当たりであったため、比較すると満足度が低いのです。そこへ行くと、一眼系は全体として良かったと思います。中でも取り上げたいのが「α330」です。

 犬や猫の撮影をしていますと、可動式液晶とライブビューAFの組み合わせはもはや必須です。特に犬の場合は、ドッグランなどでの撮影ではまず止まっていることがありません。猫はじっとしている場面を写すことが多いので、コントラスト検出式AFでも対応できることが多いのですが、犬の場合は位相差AFは必須であり、現在のコントラスト検出式AFでは対応できません。そのため今までは「α350」を使用していました。α350でもコントラスト検出式AFよりは良いのですが、位相差AFとしてはまだまだのできでしたので、AFの改
善された新型を待ち望んでいたところでした。

 α330とα380は、機能的にはα350と大きな違いはありませんが、AFの改善がもっとも望んでいた改善点でしたから、十分に納得のゆく機種でした。上位のα380ではなくα330を選んだのは、なんと言ってもノーブルブラウンの設定があったことです。画素数的には1,000万画素あれば十分でしたから、カラーが決めてとなってα330を購入しました。

 ソニーの製品に関して言えば、好きな点もあり、嫌いな点もあるのですが、色遣いのセンスの良さはさすがだと思います。縦位置に対応しないですとか不満はありますが、犬撮影における実用と、ノーブルブラウンのおしゃれさには満足しています。

安孫子卓郎(あびこたくお):目下の課題は「α550」を購入するかどうかです。不況の影響もあって懐が寒く、悩み続けているのですが、この記事が掲載される頃には、と、今も悩み続けています。

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所有する喜びのあるお洒落なカメラ


オリンパス「E-P1」/飯塚直

E-P1(シルバー)

 とにかく「デザイン」ありきで高評価を得た印象の「オリンパス・ペンE-P1」。今年は仕事の面でも色々と縁があり、さらに個人的にもヨドバシカメラで予約して「オリンパス・ペン E-P1ツインレンズキット」(シルバー)を購入。価格はだいたい13万円くらいだった。

 購入後、どういう方向でアクセサリーを買い進めるか悩んだものの、とりあえずペンFのブラックモデルを意識してボディに貼るフェイクレザーを購入。個人的にはツインレンズ(パンケーキレンズがシルバー、標準ズームがブラック)のどちらを装着しても元より違和感がないようで大満足。さらにOMアダプター2「MF-2」を購入するなど、オリンパスづくしでスナップする日々を送っている。

 さて、E-P1の発売から約5カ月後に上位モデル「E-P2」が発表され、ブラックモデルがでるわ、EVFが装着できるわ、動体追尾AFが採用されるわと、たった半年足らずの間によくもまぁやってくれましたな……というのが正直な感想。とはいえ、E-P1の格が落ちるかというとそういうわけでもなく、上位モデルに羨望しつつも面白い機種であることは間違いない。

飯塚直(いいづかなお):PC誌&カメラ誌、Web媒体を中心に編集、執筆活動を行なうフリーランスエディター。E-P1に、動体追尾AFやアートフィルターなど、ソフトウェアで解決できそうな機能を有料でもいいからファームウェア更新で搭載してもらえないかと、心待ちにしている毎日。どうですか? メーカーさん!

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ちょっと不器用だけどカワイイ恋女房


シグマ「DP2」/大浦タケシ

DP2

 2009年、私が買ったのは「DP2」です。マイクロフォーサーズの登場で、世間的にはすっかり影の薄くなった感がありますが、「DP1」も含め同シリーズは私にとって未だフェイバリッツです。

 購入は躊躇いませんでした。発売が発表されるや否や、即、中野のFカメラ店に予約の電話を入れ、発売当日に受け取りに行ったほど。DP1のときも同様だったのですが、期待感はDP2のほうが上でした。というのも、DP1は大型のセンサーを搭載するコンパクトデジカメがどのようなものか様子見に近いものがあり、28mm相当のレンズは私が常時使うにはちょっと広すぎ。それに対し、DP2は、個人的に好きな画角のレンズを搭載し、大型センサーのメリットもより描写に活かせることができると思えたからです。

 実際、DP2を購入してからというもの、めっきりDP1の出番は少なくちょっとした放置プレイ状態。DP2をカメラバッグの片隅に入れ出かけることがほとんどです。41mm相当の画角は使い勝手がよいし、何より大きなボケを得ることが容易です。ボケに関しては、画質とともに私が大型センサーを搭載するコンパクトモデルをこれまで渇望した理由でもありました。

 そんなDP2の個人的に思うウィークポイントが、ボタンにエングレーブされたアイコンです。白い塗料でも彫られたアイコンに流し込んであればよいのですが、何も施されておらず、しかも小さい。たいへん見づらく私のような老眼持ちにはツライものがあります。DP1も同様で、先般「DP1s」がリリースされましたが、これまでどおりなのにはちょっとガッカリさせられました。

 とはいえ、DP2は所有するデジタルカメラのなかでは気に入っている1台。レビューで「GR DIGITAL III」や「LUMIX DMC-GF1」などに触れる機会があると、その快適でスマートなところに心惹かれることも正直ないわけではないですが、ちょっと不器用だけどカワイイ恋女房として今後も大事に使い続けたいと考えています。

大浦タケシ(おおうらたけし):1965年宮崎県生まれ。日本大学芸術学部写真学科卒業後、二輪雑誌編集部、デザイン企画会社を経てフリーに。コマーシャル撮影の現場でデジタルカメラに接した経験を活かし主に写真雑誌等の記事を執筆する。プライベートでは写真を見ることも好きでギャラリー巡りは大切な日課となっている。カメラグランプリ選考委員。

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サーキット撮影専用カメラとして満足の1台


キヤノン「EOS 7D」/奥川浩彦

EOS 7D

 2004年に「EOS 20D」、2007年に「EOS 40D」を購入、予定では2010年に「EOS 60D?」と思っていたが、9月に発表された「EOS 7D」を購入してしまった。筆者が銀塩の一眼レフカメラを買ったのは20数年前、目的はサーキットの撮影だった。当然、EOS 7Dも目的はサーキットでの撮影だ。

 サーキット以外でも一眼レフカメラで撮影することはあるが、それはEOS 20DでもEOS 40Dでも特に不満はない。今年はCar Watchからの取材依頼があり、SUPER GT、F1など15戦を撮影した。EOS 20Dも画質、解像度などは特に不満はなかったが、サーキットでは秒5コマの連写はかなり遅く感じていた。そこで発表されたEOS 7Dのスペックの秒8コマ、AFポイント19点に心がグラっと揺れてしまった。

 筆者の場合、目的がハッキリしているので、EOS 7Dに期待したのは連写性能とAF性能の2点だけだ。1,800万画素は必要ないし、ファインダーの視野率もHD動画も「別に……」と言った感じだ。EOS 7Dの発売日は10月2日。ちょうどF1日本グランプリの開催日で、実戦投入は2日目からとなった。その後、SUPER GTの最終戦を撮影し、この2戦でシーズンが終了した。結果はサーキット専用カメラとしては充分満足できる性能だった。

 特に2戦目となったGT最終戦での撮影は、同じツインリンクもてぎのフォーミュラー・ニッポン2回の撮影と比較して使える画像が圧倒的に増えていた。連写性能とAF性能の向上の恩恵を大いに感じる結果となった。撮影枚数がやたら増え、JPEG(ラージ/ノーマル)で16GBのCFが1日で足りなくなったのは予想外だった。

 予想外だったことはほかにもあった。画素数が増え解像度が5,184×3,456ピクセルになったので、トリミングの余裕が増えたこと、RAW+JPEGボタンも使ってみると意外に便利、液晶モニターもEOS 40Dと比べ、屋外で格段に見やすくなっていた。

 解像度に関しては、高画素化により高感度ノイズが増える心配や小絞りボケを懸念し「必要ない」と思っていた。実際に撮ってみると、高感度ノイズは少なく、高解像度もトリミングのゆとりで仕事面ではプラスとなった。回折による小絞りボケは、理論値ではF4.5くらいから見られる計算だが、実際に撮ってみるとF9くらいまではそれほど影響はなさそうだ。これはAPS-Cの撮像素子サイズの制約で物理的に避けられないので仕方ないだろう。

 絞り込んでの撮影では解像度が活かせないカメラなので、一般的にお勧めかと聞かれればNOだが、サーキットの撮影では満足している。来年のシーズンはEOS 7Dで撮影が楽になることを期待している。

奥川浩彦(おくがわひろひこ):広報宣伝業+カメラマン&ライター。サーキットに通い始めた20数年前は年間10戦くらい観戦していたが、今年は15戦と記録更新。時々サーキットに来る編集の方に「飽きない?」と聞かれて、全然飽きない自分は心底レース好きと思った。

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古典的だがサイバーパンク的な格好良さがある


ライカ「M9」/河田一規

M9(ブラック)

 個人的にライカ「M9」は2010年のフォトキナあたりで発表されるのかな? と思っていたので、2009年9月の発表というのはちょっと予想外だった。すでに2台の「M8」でデジタルライカ生活を満喫していた私は、M8に心底満足していたが、“M9発表”の報を聞いた瞬間、迷うことなく予約を入れた。M8の時は最初から買うと決めていたのに、初期製品の不安定さを恐れて購入を半年も待ってしまい、入手してから「こんなに面白いカメラを半年も待ってしまったオレは大馬鹿だ!」と思ってしまったことの反省から、M9は即入手することにしたのだ。

 APS-Hサイズのセンサーを搭載するM8に対し、35mmフルサイズ=ライカ判センサーを搭載するM9のアドバンテージは、とにかくレンズの周辺まで味わい尽くせるということだろう。とくにレンジファインダー用のオールドレンズは画面の周辺へ行くほど諸収差による個性的な描写が美しかったり面白かったりするわけだが、M8ではこの部分がオミットされていて、見たくても見られなかった。しかしM9なら、そのレンズのイメージサークルぎりぎり周辺まで全部丸見えである。これは理屈抜きに楽しい。あくまでも画像全体のHi-Fi率、良像率ということならば、必ずしも35mmフルサイズが有利とは限らないわけだけど、「このレンズの周辺の像の流れ方が面白いんだよね~」という話であれば、良像率なんて関係ないわけだ。

 M9が来てからは、よほどほかに機材を持たなきゃならない時以外は、常時持ち歩いている。どんなに高画質・高性能なカメラでも、持ち出す気にならないカメラは写真を撮る機会が減るばかりだが、常に持っていたいと思えるカメラなら必然的にシャッターチャンスも増える。その意味ではM9はとてもいいカメラである。

 現時点でも明らかなバグとか、いくつかの難点はあるのだけど、そういったことが気にならないくらい面白いカメラだと思うし、とにかく飽きない。レンジファインダーという古典的なファインダー形式を持ったデジタルカメラというのは、ある種のサイバーパンク的な格好良さがあり、そこがたまらなくイイのだ。

河田一規(かわだかずのり):2009年、M9のほかにはペンタックスの「K-x」も買いました。もち、カラーオーダーです。買おうかどうしようかさんざん悩んで、最近やっと発注したので、この原稿書いている時点ではまだ届いていませんが……あっ、今ちょうど発送のお知らせメールが来た! ちなみにカラーはオレンジボディにブルーグリップです。どれだけエグいか楽しみですね。

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基本性能の向上が嬉しいコンパクトなデジタル一眼レフカメラ


オリンパス「E-620」/北村智史

 購入の決め手になったのは、「E-410」に近いコンパクトボディなのに、手ブレ補正機構を内蔵しているうえに、液晶モニターも可動式になったこと。それとAFが大幅に進化したのもうれしかった。制御の部分の弱さは相変わらずだけれど、左右の2点の存在意義が微妙な3点測距から考えれば、まさに雲泥の差の7点測距に変わったおかげで、使い勝手はずいぶんよくなった。

 なにぶん、メインで使っているニコン「D700」が重いカメラなものだから、E-620の軽さは幸せそのもの。D700は単焦点レンズ中心のシステムにしているのに対して、「E-620」はダブルズームの2本が主力。スタンダードクラスだけに開放F値が暗いのは我慢しなくちゃいけないけれど、レンズ2本で28~300mm相当の範囲をカバーできて、しかも重さはボディも含めてたったの885gなのだ。ボディだけで995gもあるD700と比べたら、ほんと、夢のような軽さなのである。

 とは言え、高感度でのノイズの少なさとかAFとかはD700にはかなわないし、ボケの大きさなんかも段違いなわけで、暗い条件で撮るときや動きの速いものを撮るときはD700の出番になる。そんな感じで使い分けている次第。

 もっとも、暗いレンズばかりだとおもしろくないのもたしかで、たまにはふわふわっとボケてくれるレンズも使ってみたくなる。で、シグマの「50mm F1.4 EX DG HSM」をゲットして(ZUIKO DIGITAL ED 50mm F2 Macroも持ってるんですけどね)、目下のところはとても気に入って使っているのだが、やっぱり重量バランスが……というわけで、パワーバッテリーホルダー「HLD-5」も手に入れてしまった。

 グリップを付けたら付けたで、今度は大きめレンズが欲しくなって、ハイグレードクラスのレンズを買おうかと考え中。とりあえず、標準ズームを、コントラストAFが使える「ZUIKO DIGITAL 14-54mm F2.8-3.5 II」にするか、それとも格安で手に入れられる旧型の中古にしようかと迷っていたり。なんてことをやっていたら、せっかくのE-620の軽さがどんどんスポイルされてしまうわけで、そのあたりも微妙に悩ましい今日このごろである。

北村智史(きたむらさとし):おもにデジタルカメラ関連の記事を書いて生計を立てているライター。欲しいものはいっぱいあるけど、食うことに追い越されそうな勢いなものだから、欲しいものリストの消化がまったく進まない状態。来年はもっとはたらかねばと思う年末であります。

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不満のない完成度の高さ


リコー「GR DIGITAL III」/種清豊

GR DIGITAL III

 それまで使っていた「DP1」から、レスポンスのよさ重視で購入に至った「GR DIGITAL III」については以前デジカメWatchのレポートで触れた。購入当初はそれこそ作品撮影なども含め、いろいろとシャッターを切る回数は多かったように思う。

 ようやく今はその撮影回数も落ち着いてはきたものの、依然カバンの中にいつも入れて持ち歩いている。街で気になったものを気軽に撮影したり、また改めて訪れたい場所でのロケハン用にと活躍してくれる。また、PCで調べた地図や、商品情報などもプリントアウトせず、わざわざ撮影して、デジタルメモ帳としても使っている。DP1では得られなかった手軽さを手に入れられたことは大きな意味があったということだろうか。

 GR DIGITAL IIIを購入してから約3カ月、特に不満となる点は出てきていない。特に、小さなセンサーサイズながらも様々なファクターを上手に取捨選択し、全体的にバランスのとれた画像を簡単に得ることが出来るのは、比較的完成度の高いカメラといえるのではないだろうか。その点だけでも素直に購入して良かったと思っている。

 しかし、このデジタルカメラというものは、いつも新品が出た段階で次の後継機種が頭をよぎるのも確か。フィルムカメラのときとはまた違った期待感があったりして楽しいのだが、時間が経つにつれ次第に希望ともとれる予想が表れてくるのは仕方が無いのだろうか。

 果たしてGR DIGITAL IIIの開放値F1.9は必要だったかなとか、AFがあと少し速くなればなとか、ダイナミックレンジやノイズに関してはもう少し改良してくるだろうなどと勝手に想像している自分が1番次機種に期待しているようでGR DIGITAL IIIに申し訳ないが。

 もちろんGR DIGITAL IIIにもっともっと活躍してもらってからでいいけど、今後このコンセプトを保ったままでGRシリーズがどこまで進化していくかを大きな期待をもってみていければと思う。

種清豊(たねきよゆたか):フリーになって約2年半。なんだかんだで、昨年より時間が経つのが早いような気がするのは良いことなのだろうか……。年末は海外取材に行ってきます。

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取材に大活躍の“無いと困る”カメラ


パナソニック「LUMIX DMC-G1」/中村文夫

私の取材用メインシステム。ストロボはオリンパスFL-36で、バウンス撮影用にルミクエストポケットバウンサーを常備。ワイドコンバーターはCOOLPIX 8400専用だが、広角側で使うぶんには全く問題なし。倍率0.75倍なので35mm判換算で21mm相当の広角撮影ができる

 「LUMIX DMC-G1」の発売は2008年11月。発売直前からカメラ専門誌の記事執筆依頼が相次ぎ、2009年明けまで、借用機材がいつも手元にある状態が続いていた。結局、私がDMC-G1を買ったのは、機材返却後の2009年1月。約3カ月の間、実際に使ってみて、「ないと困る」と判断したからだ。

 最初はマウントアダプターを介して他社製レンズを使うことが多かったが、徐々に純正レンズを組み合わせて取材に使うことが増えていった。私は10年以上、中古カメラ店を紹介する記事を日本カメラに連載しているが、店内の様子を俯瞰で撮ったり、ショーケースに並んだ商品を撮るのに、バリアングル式モニターは欠かせない。また狭い店内を広く見せるには広角レンズが必需品なので、ニコンの「COOLPIX 8400」に専用ワイドコンバーターを組み合わせて使っていた。

 だがCOOLPIX 8400は液晶モニターのサイズが小さく、老眼の眼にはかなり厳しい。その点、DMC-G1は液晶モニターが大きく、EVFも高精細でキレイ。さらにボディと同時購入した「LUMIX G Vario 14-45mm F3.5-5.6 ASPH. MEGA O.I.S.」には手ブレ補正機能が入っているので安心して手持ち撮影ができる。ただし広角側の画角がやや狭い。そこでCOOLPIX 8400で使っていたワイドコンバーターを試しに取り付けてみたところ相性ぴったり。ディストーションは残るものの画質は申し分ない。結局、照明用に専用ストロボを購入。こうしてDMC-G1を核とした取材用撮影システムが完成した。

 今年の秋に相次いで登場した「EP-1」、DMC-GF1も借りて使ってみたが、液晶モニターが固定式なのでDMC-G1の代わりにはならない。またDMC-G1の上級機であるDMC-GH1にも心が動いたが、わざわざ買い換えるほどでもない。

 パナソニックの最近のラインナップを見ていると、今後の新製品は、動画機能が必須になることが予想される。だが今のところ、私にとって動画の優先順位は低く、早い話がDMC-G1で十分ということ。発売から1年以上が過ぎ、実勢価格がずいぶん落ち着いてきたので、予備ボディをもう1台買おうかと考えている。

中村文夫(なかむらふみお):DMC-G1用マウントアダプターは一通り揃えたが、どうしても望遠撮影に偏ってしまうので、最近はちょっと食傷気味。来年はオリンパス製も含めマイクロフォーサーズ用短焦点距離レンズを充実させたい。

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EOS-1D Mark IVの代役になりそうな実力機


キヤノン「EOS 7D」/野下義光

当初は「EF-S 15-85mm F3.5-5.6 IS USM」のレンズキットで購入しましたが、その後手持ち撮影時のホールディングを高めたいためバッテリーグリップも購入。必要に応じて着脱するのは合体ロボットのオモチャみたいで楽しいです(笑)

 今年筆者が購入した唯一のデジタルカメラが「EOS 7D」です。ほかにも「LUMIX DMC-GH1」や「同DMC-GF1」もかなり欲しかったのですが、趣味にしか使わないカメラを買う余裕は全くありません(苦笑)。結局は仕事でも使えるかもしれないと思ったEOS 7Dを買ってしまいました。

 具体的な用途はイメージしないまま買ってしまったEOS 7Dですが、しばらく使ってみると意外と使えることが判明しました。シャッターも含めとにかくレスポンスが悪くなく、仕事用にもギリギリ許容範囲です。「EOS 50D」なども仕事で使わない限りは十分なレスポンスでしたが、仕事では許容できないレベルでした。さらに秒間8コマの連写性能と本格的な動画機能を搭載も魅力で、静止画については画質を気にしない場面では十分に使えます。

 本当は「EOS-1D Mark IV」が欲しいのですが、連写を必要とする頻度が非常に少なくなってしまったので減価償却できません。その点、EOS 7Dは価格も安くたまに連写が必要となる場面でも十分な性能を持っているので、筆者にはEOS-1D Mark IVの代役を務めてくれそうです。さすがにEOS-1D系と比べてしまうと全体的に安っぽい造りは否めませんし、価格差からしてそれは当然でしょう。しかしEOS-1D Mark IVには搭載されなかったゾーンAFや電子水準器など機能面では便利な点も気に入っています。

 実際の使用頻度はプライベートのファミリーフォトが半分以上ですが、プライベートでも気楽に手軽に使え、仕事でもそれなりには使えるバランスのよさは歴代のキヤノンのAPS-Cデジタル一眼レフカメラとは明らかに異なり、新次元に突入した印象を受けました。

 機種名が示すとおり、明らかに新世代のデジタル一眼レフとして完成度の高さを感じます。ライブビューの顔認識AF機能の試用のために購入し、その後同じ機能が「EOS 5D Mark II」に搭載された後は使い道が見出せなかった「EOS 50D」とは異なり、このEOS 7Dは当面は随時出番がありそうです。

野下義光(のしたよしみつ):コンピュータエンジニアを経て写真界へ身を投じ早20余年。専門は女性ポートレート。初代「EOS-1D」の頃からフルデジタルの写真集も多数手がける。最近はもっと幅を広げようと模索中。趣味はネットオークションと愛娘のファミリーフォト(笑)

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解像力とボケに惚れ込んだ1台


ニコン「D3X」/塙真一

D3X

 2008年末に発売となったニコンのフラッグシップモデルだが、悩んだ末にやっぱり年明け早々に購入することにした。購入の1番の理由はやっぱり解像力。単に24.5Mピクセルという画素数だけでなく、ピントの合っているところの解像力には目を見張るのがある。

 私は人物撮影がメインだが、人物の全身を撮ってポスターなどに使う場合には、「D3」の12.1Mピクセルの解像力ではちょっと解像度が足りないと感じることがあるからだ。もちろん、D3も未だに愛用している。D3XとD3の2台体勢。これが人物撮りの仕事においては最強の組み合わせ。特に、「D3X」で気に入っているところがハイライトの階調。D3では白トビすれすれの階調再現に気難しさを感じていたが、D3Xでは飛ばすところは思い切り飛ばせる。スタジオで絶妙なライティングを組んだときには、D3Xの懐の広さがありがたいと感じる。

 また、FXフォーマットのD3Xと単焦点レンズとの組み合わせは、ピントの合っている部分の切れとアウトフォーカスになっていく部分のボケのバランスで、いくつものバリエーションが撮れる。このときに、ピントの来ている部分がビシッとシャープだと、絵にしまりがでてくれる。そういった意味で、解像力はとても大切だ。

 逆に、D3X(&D3)を使っていて唯一、不満に感じる点もまた単焦点レンズに関すること。50mm F1.4はリニューアルされたが、85mmと35mmがまだ昔ながらのAi AF Nikkorのまま。できることなら早々にこのあたりの明るい単焦点レンズをリニューアルして欲しいところだ。AFとMFを併用しながら撮影を進めることの多い人物撮影では、AF-Sレンズでないとピント合わせに手こずることがある。

 一方、ズームレンズに関しては、「AF-S NIKKOR 24-70mm F2.8 G ED」が一本あれば、人物撮りにはまず事足りてしまう。D3XとAF-S NIKKOR 24-70mm F2.8 G EDとの組み合わせは重量級の組み合わせといえるが、この組み合わせで使うのはほとんどがスタジオ撮影。外ロケには大きさ、重さの上で厳しいカメラではあるが、スタジオをやる以上は絶対に手放すことのできない愛機といえる。

塙真一(はなわしんいち):D3Xは買いましたが、さすがに海外には1度も持って行きませんでした。でも、スペインにはD3Sを持って行くことに。さすにがこのクラスのカメラを持って1日中、海外の街を歩くのはしんどかったです。

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作品作りに新たな可能性を予感させてくれた


ライカ「M9」/藤井智弘

ズミクロン35mmF2(6枚玉)を装着したライカM9(ブラック)

 ライカを愛用して12年以上。現在もフィルムのM型ライカは「M3」と「M6」を使用し、レンズも21mmから90mmまで所有。特にヨーロッパのモノクロ作品に欠かせない存在だ。そして、今年はついにデジタルの「M9」を手に入れた。

 ご存知のようにM型ライカのデジタルは、M9の前に「M8」と「M8.2」がある。しかし、それらは撮像素子がAPS-Hサイズ。50mmが50mmの画角として使えない。ライカでスナップする時は、被写体との距離をイメージしながら、感覚的に移動する。その場合、50mmはやはり50mmとして使いたいのだ。またUV/IRフィルターの装着も考える必要があり、面倒な要素が多い。「わざわざデジタルにする必要はない。ライカはフィルムで撮ろう」と見送った。

 ところがM9は、こうした問題をことごとく解決した。ついに“ライカ判”になった撮像素子、UV/IRフィルターの内蔵、さらに6ビットコードなしの一部のレンズでも、焦点距離のマニュアル入力が可能。私にとって、見送る理由がなくなった。M9のプレス発表会で実機に触った時には、すでに頭の中は注文する意志がほぼ固まっていた。

 とはいえネックは価格。標準価格77万7,000円はポンと出せる金額ではない。「D3XやEOS-1Ds Mark IIIを買うより安い」と自分に言い聞かせたものの、M9は業務での活躍はあまり期待できず、基本は作品撮り用。稼いでくれないカメラに大枚をはたいていいものか悩んだ。しかし私は作品を撮ることも大切にしている。デジタルのM型ライカは、作品に対して新たな可能性を予感させた。そこで思い切って購入を決断したのである。

 M9は世界的に注文が殺到したため生産が追いつかないそうで、私も首を長くして待つ覚悟だったが、幸運にも早く手に入った。テスト撮影して問題ないことを確認すると、早速ハンガリーのブダペストへ持って行き、作品撮り。一緒に持参したM6とほぼ同じ感覚で使用できた。M型ライカでデジタルなのは新鮮な感動だ。結果も上々。今はM型ライカへの熱が久しぶりに上昇している。

藤井智弘(ふじいともひろ):写真家。今年はM9以外にも「D-LUX4チタン」を買って、デジタルライカ元年になった。またソニーの「Vario-Sonnar T* 24-70mm F2.8 ZA SSM」も購入。高額機材や2度のヨーロッパへの作品撮りで、フトコロはすっかり寂しい状態。デジタル一眼レフカメラも欲しいのだが……。

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必要なものが小さなボディにぎゅっと詰まっている


オリンパス「E-P1」/吉住志穂

E-P1(シルバー)

 手元にあるカメラのうち、いま一番気にいって使っているのが、「オリンパス・ペンE-P1」です。コンパクトで軽量なフォーサーズ規格の「E-620」も使っていますが、マイクロフォーサーズのE-P1はそれよりもずっと小さい。なので本格的なロケではなく、打ち合わせやパーティーに行くときなど、バッグに入れて持ち歩いています。ストラップはオリンパスの女性限定講座、フォトルージュ特製の非売品。おしゃれなボディと良く合う組み合わせなので、とても気に入ってます。刺繍糸をぐるぐる巻きにした自作品も愛用しています。

 レンズは「M.ZUIKO DIGITAL 17mm F2.8」と「M.ZUIKO DIGITAL ED 14-42mm F3.5-5.6」の両方を使っていますが、フォーサーズのカメラと一緒に持ち歩いているときは、アダプターを使ってオリンパスのフォーサーズレンズ「ZUIKO DIGITAL ED 50mm F2 Macro」で撮影することもあります。あくまでも自然の中でじっくり撮影するのが本業ですが、このカメラを持つと、街で出会った花をサクッと撮るのも楽しいと感じるから不思議です。こういう使い方なので、EVFが装着できないことや、AF速度について、特に不満はありません。

 ただ小さいだけでなく画質も十分。しかも、コンパクトデジタルカメラにはまねのできない、大きなボケが得られるのが1番うれしいです。持ち歩けるデジカメとして、自分に必要なものがぎゅっと詰まっているようで、とてもバランスが良いと感じています。シャッター音がしっかりしているのも、気に入っているところです。

 いまのところ作品撮りのメインカメラというわけではありませんが、街中や移動中でも作品を撮り溜められそうということで、持ち歩いているときは、ついつい被写体を探しながら歩いてしまう。そんなカメラです。

吉住志穂(よしずみしほ):写真家。2009年はデジタルカメラによる動画撮影をスタートしました。写真撮影とは撮影スタイルが異なるので、新鮮みがあって楽しいです。E-P1のアートフィルター動画撮影+編集作業について、久しぶりにお勉強しています……。オフィシャルサイト「Heartful Nature」

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広角側も望遠側も欲張りながらスマートに使える


パナソニック「LUMIX DMC-TZ7」/吉森信哉

LUMIX DMC-TZ7

 これまでボクは“スリムでスマートなデザイン+高倍率ズーム”という特長を兼ね備えたコンパクトデジカメを持っていなかった。そこで、このクラスの製品を見比べて「LUMIX DMC-TZ7」を購入することにした。発売(3月)直後の価格は4万円台後半と少し高めだったが、3~4カ月後に1万円以上安くなったタイミングで購入!

 TZシリーズは、スリムでスマートなデザイン+高倍率ズームタイプの先駆け的な存在である。初代の「LUMIX DMC-TZ1」(2006年3月発売)は“普通のスタイル”のボディに光学10倍ズームが搭載されていて、けっこうインパクトがあった。そう、それまでの高倍率ズーム機だと、一眼レフカメラを小型にしたようなスタイルが一般的だったからね。

 シリーズ4代目のDMC-TZ7は、よりスマートなボディに25~300mm相当の画角をカバーする光学12倍ズームが搭載されていて、幅広い撮影状況や被写体に対応することができる。そして、ハイビジョン動画(AVCHD Lite、1,280×720ピクセル)がモード切り替えナシで撮影できるのも魅力的。しかも、撮影中のズーミングも可能だし(その際の作動音もけっこう静か)、音声がステレオ式なのがイイ! やっぱ、動画の音はモノラルじゃなくてステレオだよね。後でテレビで観るときの臨場感が全然違うから。ちなみに、自宅には同じパナソニックの録画デッキ「ブルーレイディーガ」があるので、メモリーカード経由で簡単に動画ファイルをデッキに取り込んで、ディスクに焼くことができるのだなー。

 ボクがコンパクトデジタルカメラを使うのは、日常の記録&記念撮影や旅先(主に移動中)のスナップなど。そういった撮影だと、撮影機能と同じように……いや、それ以上に携帯性や速写性が重要になってくる。首からぶら下げて移動しても負担にならず、レンズ収納時にはシャツのポケットにも入れられる(当然、ストラップを首から架けた状態で)。DMC-TZ7なら、広角側も望遠側も欲張りながら、そういったスタイルで撮影できるのである。

吉森信哉(よしもりしんや):フォトグラファー。幸か不幸か、今回の年末年始は1年前ほどは忙しくない……はず。仕事を抱えて帰省するのはイヤじゃないけど、前回のように原稿執筆中に年を越すのはイヤだよ(苦笑)。年明け早々“取材”と称して大好きな1人旅に出る……予定。

 ・関連記事:【新製品レビュー】パナソニック「LUMIX DMC-TZ7」

狙ったとおりに撮れる1台


ペンタックス「K-7」/関根真一

K-7

 今年私が購入したカメラは3台。その内訳は「K-7」、「K-x」、「Optio WS80」と、2009年はペンタックス尽くしの1年となりました。使い分け方としては、取材とプライベートの両方でK-7、高感度に強く、取材では万能選手として活躍してくれているK-x、環境的にデジタル一眼レフカメラはちょっと持っていけないようなところにはOptio WS80といった具合。

 今年はまさか3台もカメラを購入するとは思っていませんでしたが、それだけ私にとって、今年のペンタックスのラインナップは魅力的な布陣だったということです。

 K-7に関してよく話題に挙がるのが、視野率約100%の光学ファインダー。スナップでも取材でも、狙った通りのフレーミングで撮れるというのは大変気分がよく、画質も満足できるものでした。また「K20D」から主なボタンが背面右側に移動し、カメラの操作感覚がそれまでメインに使っていた「K-m」に近かったこともあり、移行もスムーズにいきました。ステップアップとしては大成功といったところです。

 従来機種と比べると追加要素がありすぎて、正直言って使いこなせていない機能もあるわけですが、個人的に満足度が最も高かったのが、ダスト対策機能「DR II」です。K-mではセンサーそのものを揺らしてゴミを落とす方式でしたが若干ゴミの落ち方が弱く、粘着力の強いゴミだと2〜3度動かして、ようやくゴミがとれたことがありました。そうしたこともあり、K-7から搭載されたローパスフィルター振動式のダスト対策機構にはについては期待を寄せていました。いまのところ結果は充分満足いくものです。

 連写性能の向上は、主にイベント取材でシャッターチャンスを逃せないときに役立っています。今年に入ってつい勢いで「DA 15mm F4 ED AL Limited」と「DA 21mm F3.2 AL Limited」を購入したタイミングで、ディストーション補正や倍率色収差補正といった機能がついたのも嬉しいところです。これだけの機能が小柄なボディに収まっているというのもポイントですね(本当はもっとありますが)。今後はHDR撮影と動画を使いこなしたいと思っています。

 個人的にペンタックスの当たり年だった2009年。何かと噂も聞こえるペンタックス事業部ではありますが、来年も無理はせず、堅実に良い製品を発売していただきたいと思っています。

関根慎一(せきねしんいち):Web編集者。今年は散財しすぎて貯金が全く貯まらなかったので、来年は貯蓄します。散財の中にはマンフロットの「055CX3」も含まれているので、2010年は三脚がないと撮れないような写真をたくさん撮りたいなぁ。

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ストロボなしでも“押せば撮れる”


ソニー「サイバーショットDSC-TX1」/鈴木誠

サイバーショットDSC-TX1

 私がコンパクトデジタルカメラを買ったのはかれこれ6年ぶりです。まさに「写真? ケータイでいいじゃん!」という世代なこともあり、近年の肝心なシーンでは“誰かのデジカメ”に頼っておりました。

 というのも、その当時にはデジカメが“誰か持ってる”もしくは“みんな持ってる”と思えるほどに普及していたから。楽しい場面でせっせと自分がいない写真を撮って回るのもつまらなく感じ、当時所有していたコンパクトデジカメを手放した次第です。

 しかし今年は「サイバーショットDSC-TX1」を購入。デジカメWatch編集部員になったからという意識もありますが、この薄型に「高感度」、「スイングパノラマ」、「手持ち夜景」と盛りだくさんで、HD動画も撮れてしまう万能さが魅力です。特にスイングパノラマには熱中し、上下左右では飽き足らず、斜め方向や平行移動なども試行錯誤。

 また、インテリジェントパンチルター「IPT-DS1」も購入。人が集まる場所では「パーティーショット」も楽しんでおります。一瞬のおもしろ顔にもすかさず反応してシャッターを切る職人芸は、それだけで盛り上がりを生む痛快さ。今度はそれにつられて笑った参加者の笑顔を……という連鎖で、いい写真を残してくれます。

 そして、手持ち撮影では高感度性能が本領を発揮。ライブハウスでストロボいらずの撮影が容易に行なえ、薄暗い飲み屋においても参加者の顔がとろけることなく写ります。ストロボ直射のテカった顔ともさようなら。意識せずともシーン認識などでうまく狙ったものを写してくれるため、保険のように手放せません。

 そんなお気に入り具合のため、購入してからというもの、いつも首から下げています。おかげで上着の金具にこすれたり、屈んだ拍子にどこかへぶつけたりと表面の傷が目立ってきました。しかし液晶ディスプレイは保護フィルムも貼っていないのに無傷。意外にタフです。年末年始も頼りにしています。

鈴木誠(すずきまこと):Web編集者。生来の凝り性をこじらせ、Watch読者からデジカメWatch編集部員に。バンド小僧でカメラは専門外だったものの、早くもWebと週末の巡回はカメラ関係にシフト。知識と経験を積むべく地道に頑張ります。

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マウントアダプターに超広角に動画にといろいろ楽しめる1台


キヤノン「EOS 5D Mark II」/武石修

EOS 5D Mark II

 銀塩の一眼レフカメラを使っていたこともあり、35mmフルサイズセンサーのデジタル一眼レフカメラをいずれ手に入れたいと考えていた。本当は、前モデルの「EOS 5D」を買おうかと考えたこともあったが、出ては消えてを繰り返す後継機の噂を耳にするたび「どうせだったら新しくなったEOS 5D」を買おうと購入を留まっていた。

 EOS 5D Mark IIの発売は2008年末だったが、流石に高価ですぐに買うことができず今年に入って値段が少し下がってからの購入となった。ほかにもフルサイズセンサーのカメラはあったが、EOS 5D Mark IIを選んだのは、フランジバックの短いEFマウントなためだ。マウントアダプターでさまざまなレンズを“35mm判”の画角で写すことができて面白そうだと考えたのだ。手持ちのマニュアルFマウントレンズを始め、「インダスター」、「エディクサ」、「といったM42マウントレンズを入手してその写りを楽しんでいる。

 一方で、フルサイズのデジタル一眼レフカメラで是非使ってみたいというレンズがあったのも大きい。それは、シグマの「12-24mm F4.5-5.6 EX DG Aspherical HSM」。現在、魚眼では無しに12mmの画角が得られるのはこのレンズくらいのもので、その広大な描写はインパクト大。自分が撮ったとは思えない写真ができあがる。フルサイズ機ならではの部分だ。

 さて、EOS 5D Mark IIはメインカメラとして仕事に趣味にと活躍している。特に取材で役に立つのが高感度画像の綺麗さだ。あるイベントの取材で、うっかりクリップオンストロボの持参を忘れたことがあったが、ISO6400やISO12800といった感度で凌いだことがあった。こうした感度でも、Webニュースに載せる程度であれば全く問題はない。

 購入時は余り気にしていなかった動画機能も実際試してみると大変面白い。まさに“動く写真”といった印象だ。それまで動画撮影に関してはよくわからなかったが、このカメラを買って以来、俄然興味が出てきた。いずれは、動画用三脚なども用意して撮影をしてみたいものだ。

 大変優秀なカメラだが、“シャッターの切れ”といった気持ちよさではやはり「D700」や「α900」の方が個人的には上に感じるし、AFフレームが中央に寄りすぎているなど、不満点もなくはないが、マウントアダプター遊びも存分に楽しめるフルサイズ機として長く使っていきたい。

武石修(武石修):Web編集者。EOS 5D Mark IIを買ったはいいが、レンズ数本と併せるとかなりの重量に。体力的な資本もいるんだなと痛感しております。次に買うレンズは超望遠か、はたまた魚眼かと思いを巡らせるも、こっちはこっちで資本が……。来年はどうか景気が良くなりますように。

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2009/12/24 13:34