特集

2016年「私はこれを買いました!」(第4回)

小山安博・HARUKI・礒村浩一

2016年を締めくくるにあたり、本誌のレビュー系記事にご寄稿いただいた皆様および本誌編集者に、今年新品で購入したデジタルカメラ、レンズのうち、特に思い入れのある製品について語っていただきました。(順不同、敬称略)

コンパクトなボディが魅力 ローパスレスで解像感も向上

パナソニックLUMIX GX7 Mark II/小山安博

今年のカメラ業界は、ミラーレスカメラがさらに広まった年と言えるかもしれない。国内のミラーレスカメラ市場は拡大を続けているが、これが欧州にも拡大し、グローバルでミラーレスカメラが一般的になってきているEOS M5はいよいよキヤノンのミラーレスカメラとして本格展開を予感させる製品だし、ソニーのα6500も強力な製品だ。

2年に1回、ドイツ・ケルンで開催される世界最大の写真関連展示会「フォトキナ」の開催年に当たる年でもあり、さまざまな製品が登場した2016年だが、今年購入したのは、春に発売されたパナソニックGX7 Mark II。比較的コンパクトで、仕事にもプライベートにも使っている製品だ。

もともと、OLYMPUS OM-D E-M5を取材用カメラに使っており、高度な手ブレ補正機能が便利だったのだが、いかんせん古くなっており、新調すべきタイミングだった。当時はOLYMPUS OM-D E-M1の後継機種を待つかどうかを悩んでいた。

そこに登場したのがこのGX7 Mark II。パナソニックとしては、数少ないボディ内手ブレ補正を内蔵したLUMIX GX8に比べてコンパクトボディながら、より強力な手ブレ補正にも対応。とにかくボディが小さくなるのが魅力的で、E-M1後継機が登場するのを待たずに購入してしまった。

GX7 Mark IIの手ブレ補正は、レンズとボディの手ブレ補正を組み合わせるDual I.S.が特徴だが、手ブレ補正のないレンズを使っても補正は強力。E-M5の頃と変わらない感覚で低速シャッターを切ってもブレることはなく、十分な補正性能だ。想像以上のレベルで、これは非常にありがたい。

個人的には重視していなかったローパスフィルターレスによる解像力の向上も恩恵を感じており、バッテリーが減りやすいこと、USB充電しながらの撮影ができないことを除けば、非常によい買い物をしたと思っている。

そしてフォトキナ2016でオリンパスが発表した新レンズM.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PROも購入。GX7 Mark IIだと5軸シンクロ手ブレ補正もDual I.S.も効かないという問題もあるが、試してみたところ、テレ端で1/10秒でも手ブレが抑えられるレベルだった。

というわけで、GX7 Mark II+M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PROにより、取材カメラとしてはこれ1本ですべてがカバーできるようになり、最終的には持ち出すレンズが減って便利になった。

こやまやすひろ:フリーランスライター。今年はスマートフォンのカメラ機能に新たな潮流が出てきました。VRにドローン、さまざまなキーワードがあるが、来年、カメラ業界からどんな面白い製品が飛び出すかに期待して年末を過ごしています。

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従来機の弱点が克服された新しい相棒

OLYMPUS OM-D E-M1 Mark II/HARUKI

今年はオリンピックイヤーということもあってか、春先から各社いろんなタイプのデジタルカメラやレンズ類の発表&発売ラッシュの1年となった。

そんな中「デジタル撮影機材と畳は新しい方が良い」というご先祖様から我が家に代々伝わる言い伝えに従って、筆者もいくつかを購入してメーカーの思う壺の中の小さな餌食となってしまったことはもちろん間違いのない事実である。

今年1番最初に購入した機材がOLYMPUS PEN-Fだった。そこから始まり他メーカーも含めて何台かの新作カメラとレンズ数本を買ってしまったわけだけど、クリスマス直前の年末ギリギリになってやっと届いたばかりなのが2016年を締めくくるのにふさわしいOLYMPUS OM-D E-M1 Mark II。

仕事の内容によって昔からいろんなメーカーのカメラやセンサーサイズを使い分けてきている。オリンパスのデジタルカメラは2009年のOLYMPUS PEN E-P2からスタートして7年間、新機種が発売されるたびに買い換えてきた。そして3年前に登場したOLYMPUS OM-D E-M1からは数台のボディーシステムで苛酷な仕事現場でもメイン機として使うようになった。

PROレンズシリーズとともに防塵防滴を謳っているだけに、悪天候時や工場内部や危険な屋外建築現場などヘルメットが必要な埃っぽい現場での撮影仕事もこなす筆者にとっては心強い味方となって活躍してきてくれた相棒だ。

しかしながら完璧なカメラなんて無いわけで、特にバッテリーを食うタイプのミラーレス機でも仕事中は常に電源を入れっぱなしで使う筆者にとって最大の弱みはバッテリーのライフサイクルが短いことや、数値化されていないのでバッテリー交換のタイミングが読めず毎回10数個のバッテリーを予備に携行しなければいけないことだった。

そのようなミラーレス機の弱点を解決してくれたのがOLYMPUS OM-D E-M1 Mark II。新開発のバッテリーは容量も増したうえに残量表示が%で視認できて交換時期が読めるようになった。

E-M1に比べてサイズが数mm単位で一回り大きくなったが、基本的なデザインやボタン配置などはほぼ変わらないので違和感なく使える。また大型化したことでグリップはホールドしやすくなった。

4K動画も搭載し手ブレ補正機能もさらにアップしたのでムービー撮影も楽しみだ。画素数、AF測距点、連写速度も増したのも嬉しい。届いたばかりでテスト撮影レベルだが少し前に発売されたM.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PROとセットで来年は大活躍しそうだ。

はるき:フリーランスフォトグラファー。今年はPEN-FやLUMIX GX7 Mark IIなどモノクロモードを搭載したカメラを使う仕事がきっかけとなって、自分の中で20年間封印していた“Black&White”という写真の原点を見返す1年となったことは大きな財産となりました。来年もまた新しい機材を使うことによって忘れかけていた事象を思い起こすような“温故知新”に出会える1年になると良いなと思います。2017年もどうぞよろしくお願いいたします。

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ついに花開いた大人のミラーレスカメラ

OLYMPUS OM-D E-M1 Mark II/礒村浩一

2016年もカメラ業界は百花繚乱。いくつもの魅力あるカメラが発売された。そのなかからあえて1つを選ぶこの企画は毎回とても悩ましいのだが、今回は発売されたばかりのOLYMPUS OM-D E-M1 Mark IIを選ばせていただこうと思う。

E-M1 Mark IIはオリンパスのミラーレスカメラのOM-D E-M1の後継機だ。私はE-M1を発売当初から使用しており、今回の約3年半ぶりのモデルチェンジによって、E-M1のウイークポイントがほぼ全面的に改善されたことにとても喜びを感じている。

それどころかデジタル一眼レフカメラを超えんばかりのAF、連写性能を実現してしまうなど、これまでのミラーレス機の常識を覆してしまう勢いだ。

さらにボディ内手ブレ補正機構とレンズ内手ブレ補正機構を連動させる5軸シンクロ手ぶれ補正に対応したことで、35mm判換算600mm相当の超望遠レンズでありながら夜景を1/5秒というスローシャッターで手持ち撮影することさえ出来た(M.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4.0 IS PRO使用)。これには本当にビックリさせられてしまった。

まさに新世代のミラーレスカメラとして登場したE-M1 Mark IIだが、その最先端の中身とはうってかわり、外観はかつてのフイルム一眼レフカメラであるOMシリーズを髣髴とさせるデザインかつ、カメラのサイズに収まっていることもあの時代を知る我々にとっては心くすぐられる物がある。この「見た目はすっかりとオッさんだけど、いざとなったらとことん頑張るんだぜ!」的なところが、まさに我々大人が選ぶべき1台だと言えるのではないだろうか。

いそむらこういち:写真家。今年も1年間デジカメ Watch誌面をはじめあちらこちらでお騒がせいたしました。きっと来年も相も変わらず跋扈させていただきますのでご容赦ください。この年末はぎりぎりまで沖縄で撮影、年明け早々には北海道にてワークショップ開催が控えています。2月にはCP+2017も開催されますのでどこかで見かけた方はお気軽にお声掛けください。

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