神保町写真教室の教科書「写真総合」by 岡嶋和幸先生
露出(カメラ基礎:露出)
2017年8月10日 12:27
一歩進んだ“自分らしい”“伝わる”写真表現が学べる「インプレス・フォトスクール 神保町写真教室」。その分かりやすく実践的な講座内容に定評のある岡嶋和幸さんが12回にわたって本誌Web特別講座を連載。写真撮影の基本となるピント、露出、色、レンズ、光、構図、そして実践的な撮影方法の中からトピックを厳選してお届けします。(編集部)
絞りとシャッター速度の関係
3枚の写真は同じ明るさですが、絞りとシャッター速度の値は違います(ISO感度は固定)。絞りを開けるとぼけやすくなったり、シャッター速度を遅くするとぶれやすくなったりしますが、同じ明るさの写真になる絞りとシャッター速度の組み合わせは何通りもあるのです。3つの要素の組み合わせで写真の明るさを決める
撮像素子に光を当てる操作を「露出」、光を当てて感光させることを「露光」といいます。フィルムカメラの場合はフィルムに、ということになります。
露出は「絞り」「シャッター速度」「ISO感度」の3つの要素で決めます。絞りは撮像素子に届ける光の量、シャッター速度はその光を撮像素子に当てる時間、ISO感度は撮像素子の光の感じやすさを調節します。これらの組み合わせ方で写真の明るさが変わります。
露出を調節することで、屋外など明るい場所でも暗い写真に、室内や夜間など暗い場所でも明るい写真にすることができるのです。
ISO感度を固定した場合、絞りを絞ると届く光は少なくなり、撮像素子に写る像は暗くなりますが、そのぶんシャッター速度を遅くして光を当てる時間を長くすれば明るく調節できます。
反対に絞りを開けると届く光は多くなり、撮像素子に写る像は明るくなりますが、そのぶんシャッター速度を速くして光を当てる時間を短くすれば暗く調節できます。
このように絞りとシャッター速度を組み合わせてちょうどいい明るさで写るように調節するのです。ちょうどいい明るさで写る絞り、シャッター速度、ISO感度の組み合わせは何通りもあります。
デジタルカメラには写真の明るさがちょうどよくなるように自動で調節する「自動露出」(AE=Automatic Exposure)機能が搭載されているので、露出を難しく考える必要はありません。
露出のことをきちんと理解していなくても、携帯電話やスマートフォンのカメラ機能と同じように気軽に撮影が楽しめるのです。写真が明るすぎたり暗すぎるときも、露出補正機能で微調整するだけで解決できます。
露出を決める3要素の関係
撮影を調理にたとえると、写真に欠かせない「光」を「熱」に置き換えることができます。露出を決める3要素の「絞り」は火の強さ、「シャッター速度」は焼く時間、「ISO感度」は食材の火の通りやすさに相当します。火力が強ければ短い時間でもちょうどよく焼けて(ミディアム)、弱ければそのぶん焼き上がるまでに時間がかかります。よく焼いた状態(ウエルダン)は明るめの写真、生焼けの状態(レア)は暗めの写真ということになります。写真撮影の総合教科書『写真総合』を発売!
カメラの基礎から実践、作品制作、展示までを網羅的にまとめた写真撮影に関する総合教科書『写真総合』を発売。その一部を本連載で紹介しています。「インプレス・フォトスクール 神保町写真教室」の公式テキストしても採用予定です。ぜひご期待ください。(編集部)
仕様
『写真総合』岡嶋和幸 著
2017年9月15日発売/定価:本体3,680円+税
B5変型判/320ページ
内容
第1章 カメラ基礎/第2章 撮影基礎/第3章 撮影実践/第4章 写真制作/第5章 写真表現/第6章 プレゼンテーション/写真関連用語集
※本書の仕様、発売日、内容は変更になる場合があります。
図版制作●村上総、吉光さおり(Kamigraph Design)
イラスト●今道千里