神保町写真教室の教科書「写真総合」by 岡嶋和幸先生
アウトフォーカス(カメラ基礎:ピント)
2017年7月13日 18:44
一歩進んだ“自分らしい”“伝わる”写真表現が学べる「インプレス・フォトスクール 神保町写真教室」。その分かりやすく実践的な講座内容に定評のある岡嶋和幸さんが12回にわたって本誌Web特別講座を連載。写真撮影の基本となるピント、露出、色、レンズ、光、構図、そして実践的な撮影方法の中からトピックを厳選してお届けします。(編集部)
アウトフォーカスになる条件
ボケと呼ばれるピントが合っていない状態
アウトフォーカスとはピントが合っていないことですが、ピンボケとは違います。画面の中に意図的にぼけた部分を作ることです。ボケは絞りを開けて作るものだと思われがちです。でも、カメラとセットで販売されているレンズは一般に開放F値がそれほど明るくないためあまり効果は期待できません。絞りによるボケのコントロールは、明るい大口径のレンズを使った方が有利です。
レンズの焦点距離が長くなるほど、つまり望遠になるほど被写界深度は浅くなります。また、撮影距離が短くなるほど、つまり被写体に近づくほど被写界深度は浅くなります。上手にぼかすためには絞り以外の要素が大切なので、絞りにとらわれすぎないように注意しましょう。
例えばズームレンズでは望遠側に設定して、できるだけ被写体に接近するとぼけやすくなります。選んだ焦点距離と撮影距離の組み合わせでイメージするボケが得られないときは、絞りを開けて被写界深度を調整するといいでしょう。
絞りを開けたり、望遠レンズを使ったり、被写体に近づいたりしても、例えば壁などが被写体のすぐ後ろにあるとぼけません。被写体の近くにあるものほどぼけにくく、離れたところにあるものほどぼけやすいので、できるだけ抜けの良い背景を選ぶなどの工夫も必要です。
ボケを印象的に見せるための決め手はピントです。ピントのシャープさがボケを効果的に見せるカギとなります。ピントがしっかり合っていないと、鑑賞者は視線をどこに向ければいいのか分からずに違和感を覚えます。被写体を浮き立たせるためのボケも生きてこないのです。
ボケにこだわるなら円形絞り
通常のレンズでは、絞り開放時の絞りの形状は円形なのですが、絞りを絞ると多角形になります。「円形絞り」を採用したレンズでは、絞りの形状が円に近い状態で保つように設計されています。これは絞り羽根の枚数を多くしたり、特殊な羽根形状によって実現しています。絞りを絞っても丸くてなめらかな美しいボケが得られるのです。写真撮影の総合教科書『写真総合』を発売予定!
カメラの基礎から実践、作品制作、展示までを網羅的にまとめた写真撮影に関する総合教科書『写真総合』を発売。その一部を本連載で紹介しています。「インプレス・フォトスクール 神保町写真教室」の公式テキストしても採用予定です。ぜひご期待ください。(編集部)
仕様
『写真総合』岡嶋和幸 著
2017年9月発売予定/定価:本体3,680円+税
B5変型判/320ページ
内容
第1章 カメラ基礎/第2章 撮影基礎/第3章 撮影実践/第4章 写真制作/第5章 写真表現/第6章 プレゼンテーション/写真関連用語集
※本書の仕様、発売日、内容は変更になる場合があります。
図版制作●村上総、吉光さおり(Kamigraph Design)
イラスト●今道千里