神保町写真教室の教科書「写真総合」by 岡嶋和幸先生

焦点距離と画角(撮影基礎:レンズ)

一歩進んだ“自分らしい”“伝わる”写真表現が学べる「インプレス・フォトスクール 神保町写真教室」。その分かりやすく実践的な講座内容に定評のある岡嶋和幸さんが12回にわたって本誌Web特別講座を連載。写真撮影の基本となるピント、露出、色、レンズ、光、構図、そして実践的な撮影方法の中からトピックを厳選してお届けします。(編集部)

焦点距離と画角の関係

画角によって画面に写る範囲が変わります。焦点距離が短い広角レンズは画角が広いため、標準レンズより広い範囲を写し込むことができます。焦点距離が長い望遠レンズは画角が狭いため、標準レンズより被写体を大きく切り取ることができます。

写る範囲と被写体の大きさが変わる

撮像素子に写る範囲を角度で表したものが「画角」です。レンズによってその角度は異なります。ズームレンズは画角を変えることができます。写真やカメラの用語で一般的に使われている「広角」や「望遠」などは画角のことを示しています。

焦点距離が短く、つまり広角になるほど画角は広くなります。広い範囲を写し込むことができる半面、画面に対して被写体は小さく写ります。反対に焦点距離が長く、つまり望遠になるほど画角は狭くなります。写し込める範囲は狭くなりますが、画面に対して被写体を大きく写せるようになります。

撮像素子の大きさによっても画面に写し込める範囲は違ってきます。レンズの焦点距離が同じでも、撮像素子が大きくなると画角は広く、小さくなると画角は狭くなります。撮像素子の大きさが異なる複数のカメラを使い分けたり、カメラを買い替えたときに撮像素子の大きさが違えば、レンズの互換性があっても得られる画角は変わってしまうのです。

撮像素子が小さくなるほど画面に写し込める範囲は狭くなるため、例えば35mmフルサイズと同じ範囲をAPS-Cサイズのカメラで撮影したい場合、そのぶん後ろに下がって撮影距離を長くするか、焦点距離を短くすることになります。マイクロフォーサーズだとその度合いがさらに大きくなります。

画角や被写体が写る大きさをイメージしやすくするために、これまで多く使われてきた35mm判のフィルムカメラでのレンズの焦点距離に換算した「○○mm相当」といった表記が用いられることがありますが、レンズの焦点距離が変わるわけではありません。画面に写し込める範囲が狭くなるだけで、つまりトリミングをするのと同じことなのです。

焦点距離と画角の変化

レンズの焦点距離が短いと広い範囲を写し込むことができます。被写体との距離は変えないで焦点距離を長くしていくと、それにしたがって写し込める範囲は狭くなっていき、被写体は画面に対して大きく写るようになります。

24mm
35mm
50mm
85mm
100mm
200mm

撮像素子の大きさの違い

レンズ交換式のデジタルカメラに採用されている撮像素子は「マイクロフォーサーズ」「APS-Cサイズ」「35mmフルサイズ」の主に3タイプ。APS-Cサイズは35mmフルサイズの画面の真ん中あたり、マイクロフォーサーズはさらにその真ん中あたりを切り取ったようになります。レンズの焦点距離が同じでも、画面に写し込める範囲は異なります。

写真撮影の総合教科書『写真総合』を発売予定!

カメラの基礎から実践、作品制作、展示までを網羅的にまとめた写真撮影に関する総合教科書『写真総合』を発売。その一部を本連載で紹介しています。「インプレス・フォトスクール 神保町写真教室」の公式テキストしても採用予定です。ぜひご期待ください。(編集部)

仕様
『写真総合』岡嶋和幸 著
2017年9月発売予定/定価:本体3,680円+税
B5変型判/320ページ

内容
第1章 カメラ基礎/第2章 撮影基礎/第3章 撮影実践/第4章 写真制作/第5章 写真表現/第6章 プレゼンテーション/写真関連用語集

※本書の仕様、発売日、内容は変更になる場合があります。

図版制作●村上総、吉光さおり(Kamigraph Design)
イラスト●今道千里

岡嶋和幸