神保町写真教室の教科書「写真総合」by 岡嶋和幸先生

横位置と縦位置(撮影基礎:構図)

一歩進んだ“自分らしい”“伝わる”写真表現が学べる「インプレス・フォトスクール 神保町写真教室」。その分かりやすく実践的な講座内容に定評のある岡嶋和幸さんが12回にわたって本誌Web特別講座を連載。写真撮影の基本となるピント、露出、色、レンズ、光、構図、そして実践的な撮影方法の中からトピックを厳選してお届けします。(編集部)

横と縦のどちらで撮るのかを決める

構図を決めるときに最初に考えるのが、横位置と縦位置のどちらで撮影するかということです。横位置と縦意図の構図では、鑑賞者が受ける印象が異なります。目的やイメージに合わせて効果的に使い分けるといいでしょう。

それぞれの特徴を知って撮影意図で使い分ける

カメラを横に構えて撮るのが横位置、縦に構えて撮るのが縦位置です。構図を決める際に画面の長辺を横に使うか、縦に使うかということになります。

カメラを普通に構えると横位置の構図になります。縦位置の構図で撮るときには、右手を上または下にしてカメラを構えることになります。縦長の被写体など横位置で収まりきれないものは縦位置、反対に横長の被写体など縦位置では収まりきれないものは横位置を選ぶケースが多いでしょう。

横位置と縦位置の構図では、主題の伝わり方など異なる表現になります。鑑賞者が受ける印象も違うため、どちらが最適なのか目的を持って選ぶことが大切です。迷ったときは、横位置と縦位置の両方で撮影するといいでしょう。どちらがイメージに合っているのかはあとで決めればいいのです。

横位置の構図は左右に広く写るため、広がりを表現しやすいです。人間の目は横に並んでいて視野も横に広いため、撮影者と鑑賞者のどちらも自然に目に入ります。縦位置の構図は上下方向にあるものを画面に多く入れられるので、高さや奥行きなどを表現しやすいです。

横位置だと主題の周りの様子が画面に入りやすくなります。それらが散漫に感じられるようなときは、縦位置にするといいでしょう。撮影者の視点が明確になるなど、主題が伝わりやすい表現になります。

私たちの視覚は普通に何となくものを見ているときは横に広がっています。ですから客観的な見せ方をしたいときは、横位置の構図でとらえるといいでしょう。何かに注目しているときは視野が狭まって見える傾向があります。つまり主観的な見せ方をしたいときは、縦位置の構図で切り取ってみるといいでしょう。

横位置と縦位置

横位置の構図で広がりを表現
風景などの広がりを表現したいときは横位置の構図がいいでしょう。ゆったりとした安定感のある構図になります。被写体を一歩引いて観察するような構図になるため、客観的な視点を表現したいときも横位置が効果的です。
縦位置の構図で奥行きを表現
高さや奥行きを表現したいときは縦位置の構図がいいでしょう。レンズワークとフットワークで遠近感を生かすのがポイントです。被写体に注目するような構図になるため、主観的な視点を表現したいときも縦位置が効果的です。

写真の縦横比が変えられる

通常、撮影する写真の縦横比(アスペクト比)は「3:2」または「4:3」ですが、その他の縦横比を選べるデジタルカメラもあります。一般的なテレビと同じ縦横比が「16:9」です。横長であるため天地の無駄な空間を省くことができます。

正方形の「1:1」は被写体を画面の真ん中に配置することでシンプルに構図が決まります。横位置と縦位置のどちらの構図で撮影するのかを悩むようなこともありません。
16:9
1:1

写真撮影の総合教科書『写真総合』を発売予定!

カメラの基礎から実践、作品制作、展示までを網羅的にまとめた写真撮影に関する総合教科書『写真総合』を発売。その一部を本連載で紹介しています。「インプレス・フォトスクール 神保町写真教室」の公式テキストしても採用予定です。ぜひご期待ください。(編集部)

仕様
『写真総合』岡嶋和幸 著
2017年9月発売予定/定価:本体3,680円+税
B5変型判/320ページ

内容
第1章 カメラ基礎/第2章 撮影基礎/第3章 撮影実践/第4章 写真制作/第5章 写真表現/第6章 プレゼンテーション/写真関連用語集

※本書の仕様、発売日、内容は変更になる場合があります。

図版制作●村上総、吉光さおり(Kamigraph Design)
イラスト●今道千里

岡嶋和幸