神保町写真教室の教科書「写真総合」by 岡嶋和幸先生

被写界深度(カメラ基礎:ピント)

インプレス・フォトスクール 神保町写真教室で講師を務める岡嶋和幸さん。

一歩進んだ“自分らしい”“伝わる”写真表現が学べる「インプレス・フォトスクール 神保町写真教室」。その分かりやすく実践的な講座内容に定評のある岡嶋和幸さんが12回にわたって本誌Web特別講座を連載。写真撮影の基本となるピント、露出、色、レンズ、光、構図、そして実践的な撮影方法の中からトピックを厳選してお届けしよう。(編集部)

写真・文●岡嶋和幸
図版制作●村上総、吉光さおり(Kamigraph Design)
イラスト●今道千里

ピントが合って見える範囲は、6要素の組み合わせで決まる

ピントを合わせると、シャープに写るのはその1点と同じ距離にある面(厳密には曲面)になる。これを「ピント面」という。その前後にピントが合って見える範囲がある。これが「被写界深度」だ。ピント面の手前側でピントが合って見える範囲を「前方被写界深度」、後ろ側を「後方被写界深度」という。後方被写界深度より前方被写界深度の方が浅くなる傾向がある。

絞りを開けると被写界深度は浅くなり、絞ると深くなる。ところが、使用するレンズによって開放絞りや最小絞りの値は異なり、絞りを開けて被写界深度を浅くしたり、絞り込んで深くしたりといったことが十分にできないこともある。ボケを生かしたいときには開放F値の明るい大口径レンズが有利だが、絞りでの被写界深度のコントロールには限界があるのだ。

焦点距離、撮影距離、前景距離、背景距離の4つの「距離」のいずれかが変われば被写界深度は変化する。そのため、絞りを開けても被写界深度が浅くならなかったり、絞り込んでも深くならないこともある。また、撮像素子の大きさも関係する。同じ絞り値でも、撮像素子が大きい方が被写界深度は浅く、小さい方が深くなる傾向がある。

多くの場合、撮影するときにまず調整するのがレンズの焦点距離と撮影距離だろう。焦点距離が長くなるほど被写界深度は浅くなり、焦点距離が短くなるほど深くなる。また、撮影距離が短くなる(被写体に近づく)ほど被写界深度は浅くなり、撮影距離が長くなる(被写体から離れる)ほど深くなる。

被写体の前方や後方に何か物があるときには、「前景距離」と「背景距離」も意識すると良い。前景距離が長くなる(前景が被写体から離れる)ほど被写界深度は浅くなり、前景距離が短く(前景が被写体に近く)なるほど深くなる。また、背景距離が長く(背景が被写体から遠く)なるほど被写界深度は浅くなり、背景距離が短く(背景が被写体に近く)なるほど深くなる。

「ボケ」には大小がある

ピントが合ってシャープに写っている部分とは対照的に、ピントが合っていないためぼんやりと写っている様子が「ボケ」だ。シャープに写っている部分は輪郭などがくっきりと見えるが、ピントが外れるとぼやけてしまい、その度合いが大きくなるほど様子がはっきりしなくなる。さらには周りにあるものにとけ込んでしまって形が分からなくなる。

全体
奥行きのあるシーンでは被写界深度が浅くなりやすく、①ピントが合ってシャープに見える部分、②少しぼけて見える部分、③大きくぼけて見える部分ができやすくなる。

ボケとシャープの関係

写真においてピントは、厳密には1点(面)だが、合わせたピント位置の前後に「ピントが合っているように見える範囲」がある。それが「被写界深度」だ。その範囲から外れると、前方や後方へいくにしたがってぼけていく

ボケ量に関係する6つの要素

ボケ量は絞りだけでなく、焦点距離、撮影距離、前景距離、背景距離の4つの「距離」の影響を受ける。撮像素子の大きさも関係するが、使用するデジタルカメラで決まるため撮影時に変えることはできない

写真撮影の総合教科書『写真総合』を発売予定!

カメラの基礎から実践、作品制作、展示までを網羅的にまとめた写真撮影に関する総合教科書『写真総合』を発売。その一部を本連載で紹介しています。「インプレス・フォトスクール 神保町写真教室」の公式テキストしても採用予定です。ぜひご期待ください。

仕様
『写真総合』岡嶋和幸 著
2017年6月発売予定/定価:本体3,680円+税
B5変型判/320ページ

内容
第1章 カメラ基礎/第2章 撮影基礎/第3章 撮影実践/第4章 写真制作/第5章 写真表現/第6章 プレゼンテーション/写真関連用語集

※本書の仕様、発売日、内容は変更になる場合があります。

岡嶋和幸