トピック

スタジオ撮影でトータルバランスの良さを実感! 汎用性の高いAC駆動モノブロックストロボ「Profoto D30」

新アクセサリー「Profoto ビューティーディッシュ」も

ProfotoからAC駆動モノブロックストロボの新製品が登場した。出力500Wsの「Profoto D30」(以下、D30)で、10月29日(火)に発売となった。価格は34万1,000円。

AC専用機としたことでチャージスピードの速さを生かしながら、本体サイズを前モデルの「D2 500AirTTL」から小型化した。スタジオ撮影にモノブロックストロボを持ち込むフォトグラファーは要チェックなモデルとなる。

今回、写真家の上田晃司さんのスタジオシューティングに同行した。D30で撮影された作品と共に、セッティングの状況などもレポートする。

Profotoといえばスウェーデンの”ライトシェーピングカンパニー”としてストロボでは特に有名。プロのユーザーも多く、スタジオやレンタル会社などにも多く納入されている。

同社によるとプロフォトが選ばれる理由はズバリ「光のクオリティ」だとする。何千枚撮影しても同じ光の品質で写真があがってくる安定性がプロの現場には不可欠だからだ。

そして同社が”ライトシェーピングツール”と呼ぶアクセサリーの豊富さも強みとなっている。ソフトボックスやアンブレラなど120種類以上のアクセサリーを備えている。撮影に合わせて様々な光を作れるということだ。

ラインナップをおさらい

さて、Profotoは精力的に新製品を出しているためラインナップがやや複雑になっている。ここでモノブロックストロボのラインナップを整理しておきたい。

現在7機種がラインナップされているが、まずACタイプかバッテリータイプかで分類するとわかりやすい。次いで必要な出力やLEDの明るさで考えるとよい。

ACタイプ

Profoto Pro-D3
耐久性を重視したモデルで、EC向け商品撮影など休みなく撮影する現場向け。1,250Wsと750Wsの2モデルがある。モデリングランプのLEDはいずれも6,300lm。
Profoto D30
500Wsで一般的なスタジオ撮影に適しており、Pro-D3シリーズよりも低価格。LED(モデリングランプ)は3,800lm。

バッテリータイプ

Profoto Pro-B3
バッテリータイプでは同社最大となる750Wsを実現した大光量ストロボ。LED(モデリングランプ)は6,300lm。12月4日発売の新製品。
Profoto B10X Plus
500Wsながら小型ボディを採用するモデル。LED(モデリングランプ)は3,200lm。
Profoto B10X
B10X Plusよりもさらに小さい250Wsタイプ。LED(モデリングランプ)は3,200lm。
Profoto A2
モノブロックタイプでは同社最小サイズとなる100Wsタイプ。LED(モデリングランプ)は200lm。

バッテリータイプは、屋外はもとより屋内でもコードレスで使えるので最近人気が高まっている。一方ACタイプはコンセントが必要になるが、バッテリー切れの心配が無くリサイクルタイムもバッテリータイプより速いのがメリット。スタジオメインのフォトグラファーだと今でもACタイプは根強い人気がある。

ハイペースでの撮影にも対応

Profoto D30

改めてD30の立ち位置を述べると、同社ACタイプのメインストリームであり、AC駆動の500Wsタイプでは同社で最小サイズとなっている。

前モデルのD2 500AirTTLは重量が3kgだったところ、D30は2.1kgまで軽量化されている。複数灯であればなお、スタジオに運ぶ際に少しでも軽いのは助かるポイントだ。

デザインもかなり変わった。プロフォトと言えばスタイリッシュなデザインも人気の要因だが、D30は1つの筒のような形状になりD2 500AirTTLよりもさらに洗練されたのがおわかりいただけると思う。ハンドルはオプションの外付けタイプになったが、これもまた本体デザインを損ねない形状なのが秀逸だ。

出力範囲は11段で、500~0.5Wsと大光量から微少発光まで対応する。出力表示は2桁の数字で、10がフル発光。9.0になると1段落ちの250Wsという具合に数字1つの増減で1段出力が変わる。また1/10段単位の細かいコントロールにも対応。独特だが慣れると使いやすい。

そして重要なのがリサイクルタイム。D30は0.01~0.9秒。バッテリータイプで同じ500WsのB10X Plusが0.05~2.2秒なので、特にフル発光に近い状況だと、ハイペースでシャッターを切りたくてもチャージ待ちが発生する可能性がある。これを嫌ってACタイプを選ぶフォトグラファーは少なくない。

撮影モードは3つある。「ECO」は色の均一性が高まるほか本体の負荷を軽減して寿命を延ばせるモード。「Boost」は光量を増強するモード、「Freeze」は動きのある被写体を止めて撮影したりする閃光時間の短いモードだ。ECOモードがデフォルトになっており、通常の撮影はそのままでOKだ。

モデリングランプのLEDは先にも記したとおり3,800lm。35Wとのことで専用のLEDライトほどの出力はないが、スタジオでの定常光として動画撮影にも対応できよう。光量と色温度が変えられる。

ちなみに先代のD2 500AirTTLはモデリングランプがハロゲンランプだったため、熱の影響から使えるアクセサリーに制限があった。D30はその制限が無くなり、100mmの同社製ライトシェーピングツール全てが使えるようになったのは大きい。

オプションとしては向きの調整に便利な「OCFハンドル」や交換用のフラッシュチューブ単体が用意される。フラッシュチューブはユーザーが交換可能だ。

ケース1:直当ての美しさ

最もシンプルなライティングとして、D30にアクセサリーを何も付けずダイレクトに照射する。

ストロボの直射は光が硬いため避けられるイメージがあるが、このケースでは光も良く回り硬さが少ない。夏の日差しのような爽やかなカットになった。

「やっぱり光が綺麗」と上田さん。出力は7ほどで、TTLの出た目でOKだった。

撮影状況
完成

ケース2:アンブレラで柔らかく

撮影でよく使われるアクセサリーのアンブレラを使って柔らかなライティングを目指す。

使用した「Umbllera Deep White L」は大型で、全身をカバーできるほど広く照射できる。ケース1と比べると背景にもよく光が当たっている。人物も柔らかい描写になり、彩度も控えめになり落ち着いた雰囲気となった。

深い形のディープタイプなので光が広がりすぎず、コントロールがしやすい。上田さんもディープタイプのアンブレラはおすすめのアクセサリーと話していた。

撮影状況
完成

ケース3:ソフトボックスを試す

ソフトボックスも人気のアクセサリーだ。今回はよくある四角ではなく、オクタ型の「Profoto ソフトボックス オクタ型(120cm シルバー)」を使った。

四角いソフトボックスだと背景にケラレが出る場合があるが、オクタは円形の柔らかい光が均等に広がるため、壁を背にしたショットでも背景がほぼ均一な明るさになる。さらにキャッチライトが丸く入るのもメリットだ。

シルバータイプなので柔らかい中にも被写体の色がしっかりでている点にも注目だ。またこのソフトボックスは展開が素早くできるのも特徴となっている。

スピードリングを搭載しており、素早い展開が可能となっている
撮影状況
完成

ケース4:グリッドで印象的に

ケース3のセッティングをベースとして、Profoto ソフトボックス オクタ型に「Profoto ソフトグリッド」を装着した。グリッドを付けると照射範囲が限定されるため光が広がらなくなる。その性質を利用して背景を落とす効果を出している。

ストロボに被写体を近づけ、被写体と壁を離すことで人物と背景の壁の露出差が3段になるようにしている。人物が浮き出るような効果が出た。

上田さんによると、グリッドはぜひ活用して欲しいアイテムという。

露出の確認
人物と背景の露出差を確認した
セッティングの様子
グリッドは面テープで着脱できるため、セッティングにも時間がかからない
撮影状況
完成

ケース5:ビューティーディッシュ

12月10日(火)に登場したばかりの新アイテム「Profoto ビューティーディッシュ」を試した。内蔵されたディフレクタープレートで1度反射させた光を使うので、柔らかさと共にエッジのある光が得られる。

ビューティーディッシュは金属製のソフトライトリフレクターもあるが、持ち運びが不便。OCF ビューティーディッシュも組み立ての手間がある。新しいProfoto ビューティーディッシュはスピードリング搭載で折りたたみが可能なので、可搬性に優れているのがいい。

スピードリングを搭載しており、ワンタッチの開閉が可能だ

内面がホワイトとシルバーの2種類があるので、ここではそれらを比較している。

円形のフロントエッジも特徴だ
撮影状況
光を見るとエッジの綺麗さがうかがえる
完成(ホワイト)
完成(シルバー)

2つを比べるとホワイトは柔らかくナチュラルな感じに仕上がっている。一方のシルバーはより立体感のある描写になると同時に、唇などを見ると生っぽさのある雰囲気が出ていた。目的に応じて使い分けると良さそうだ。

ケース6:ビューティーディッシュとソフトボックス

Profoto ビューティーディッシュのシルバーをメインに、フィルライトとして「Profoto ソフトボックス ストリップ型(1×4’シルバー)」を下から当てた2灯で撮影した。

ケース5のシルバーの写真と比べると、生っぽいProfoto ビューティーディッシュの効果はそのままに、フィルライトを当てた分シャドウが起きてきて、顎下の影が軽減されているのがわかる。

1灯の場合もよかったが、このように2灯使うことで違ったバリエーションを生み出せる。

撮影状況
完成

ケース7:ビューティーディッシュによる2灯ライティング

Profoto ビューティーディッシュのホワイトを2灯使ったライティングを行った。メインを斜め前から当て、トップにもう1つのProfoto ビューティーディッシュを設置した。

トップライトのおかげで髪の毛がとても艶やかに描写できているのがわかる。また上田さんによると、肩のラインがしっかり出るのもこのライティングの狙いとのこと。

全体として健康的で生き生きとしたポートレートになった。やはり2灯あるとよりクリエイティブなライティングができるという事になる。

このようにブームスタンドを使ってトップライトをセッティングする場合も、D30の軽量化はスタンドの安定性向上という面でメリットになっている。

撮影状況
完成

まとめ

以上かなりのバリエーションの撮影となったが、かかった時間は3時間ほど。途中、休憩や衣装チェンジ、メイクの直しなどもあったので正味の撮影時間はずっと短い。

リサイクルタイムも十分早く、上田さんがバシバシと撮ってもチャージ待ちは発生しなかった。Profoto ソフトボックスの展開のしやすさやトラブルのない信頼性も相まって撮影はサクサク進んだ結果だ。これもハイクラスのユーザーには重要なベネフィットだろう。

作品を見てもらえれば納得の光のクオリティも確認できた。「シンプルに光の美しさですね。そしてショットごとの安定性。これがとても大事で、明るさや色温度を一定に保てるのはプロフォトの良さ」と上田さん。

そして500Wsの必要性だが、上田さんによるとアクセサリーによるロスや外光の影響を無くす事を考えると、500Wsはスタジオで必要な出力という。今回は最大9程度の出力で使用したが、さらに絞りたい場合などを考えるとそこから1段余裕がある500Wsはバランスの取れた出力と言える。

使えるアクセサリーも大幅に広がり、プロフォトのクオリティでこのサイズに収まっていれば気になるフォトグラファーも多いだろう。実際プロフォトによると発売以来、短い期間ながら反響は大きいという。こうしたトータルで見たバランスの良さと汎用性の高さはD30を選ぶ大きな理由になるのではないだろうか。

モデル:EVA(GATHER)
ヘアメイク:Luna Yoshikawa

1981年生まれ。2006年からインプレスのニュースサイト「デジカメ Watch」の編集者として、カメラ・写真業界の取材や機材レビューの執筆などを行う。2018年からフリー。