特集

2016年「私はこれを買いました!」(第5回)

鈴木誠・折本幸治・武石修

2016年を締めくくるにあたり、本誌のレビュー系記事にご寄稿いただいた皆様および本誌編集者に、今年新品で購入したデジタルカメラ、レンズのうち、特に思い入れのある製品について語っていただきました。(順不同、敬称略、最終回)

多くを語らぬ奥ゆかしさに1票

フォクトレンダーNOKTON 58mm F1.4 SL II S/本誌:鈴木誠

カメラを手にして7年が経ち、少しずつレンズの描写というものを見る目が育ち始めてきたような気がします。これまでネームバリューや評判で買いそろえてきたレンズ達も、これからようやく報われそうです。

そんな中で、まずはスタイリングから興味を持ったのがNOKTON 58mm F1.4 SL II S。外観撮影用にお借りした際に持ち出してみたところ、モダンなレンズでは見たことのない前ボケの自然さと、絞り開放+ちょっと前ピンで撮ってしまった時の絵画的な美しさに魅了されました。そして「いつまでも あると思うな コシナの新品」ということで購入を決めた次第です。

描写以外の話では、フィルターネジが52mmにサイズダウンしたため、オートニッコール時代のレンズフードが似合ってゴキゲン。これもニッコール風デザインに合わせた変更だと思いますが、コシナ自らは喧伝しないところがニクいですね。それゆえ、もっと知りたい! と惹きつけられるわけです。

すずきまこと:本誌記者・Web編集者。いよいよ30歳になり若さでチヤホヤされるのも終わりかと思いきや、業界的には「あと10年はいける」との説も。そして今年はアサヒカメラ11月号にフォトキナでのライカ話、日本カメラ6月号にビリンガム愛用者の声を書かせていただきました。お呼びが掛かることはなんと光栄でしょう。今年最後に買った中古カメラは、奇しくも同じコシナのCX-2(ワインダー付き)でした。

懐かしいデザインのニコン用レンズ「NOKTON 58mm F1.4 SL II S」

老眼になって気づいたEVFの重要性

キヤノンPowerShot G5 X/本誌:折本幸治

毎日のように頭痛がした。スマートフォンで文字を読むと頭痛がした。自然と画面から眼を離すようになった。眼鏡屋に行って検眼したら「老視(老眼)です」といわれた。ついに来たかと思った。

レビューで試用したPowerShot G7 X Mark IIが気に入ったので買いに行った。売場で背面モニターを見た。思わず手を伸ばしてカメラを離した。ファインダーファインダーとうるさい筆者陣の気持ちがわかった。EVFなんていらないよとドヤ顔していた自分が愚かだった。心の中で筆者陣に詫びること尽きなかった。売場で隣のカメラを見た。「EVFがあるじゃないか」。

小さくて使いやすいので良く持ち出すようになった。ストラップを新調した。バッグに入れずそのまま提げて出かけるようになった。良く歩くようになった。歩くと気持ちが上向いた。気負わない国内旅行が増えた。素直な目線で撮るようになった。意外な写真を撮るようになった。この仕事を10年以上続けてきて、意外にも初めて「このカメラ自分に合っているかも」と感じた。ファインダーを覗く楽しさも、改めて知った。

老眼になって写真人生再スタート。

設定も再生も液晶モニター閉じています(◍>◡<◍)♫

おりもとこうじ:自宅からポケストップを回せることを知ってから、眠りの浅い夜が続いております。基本的にはタマゴ孵化派で、玄関出たら即GO Plusを起動。現在TL34。トゲチックとピィがまだいません。

新製品レビュー:キヤノンPowerShot G5 X(実写編)

3,000円で楽しめる「超軟調写真」の世界

Holga Lens HL-C/本誌:武石修

今年はHolga Lens HL-Cという交換レンズを買った。これはホルガというトイカメラのレンズを一眼レフカメラやミラーレスカメラに装着できるようにした“トイレンズ”だ。

数年前から販売されており新製品でも何でも無いのだが、当時自分でレビュー記事を執筆してから気になり続けていた。こういう怪しげ(!?)なアイテムはいつでも買えると思っていると、いつの間にか生産が終わっていたりするので、思い立ってポチったのだった。選んだのは、ブラック・コーナー・エフェクターが付いていないノーマル品。3,000円程度と懐に優しい。

で、到着早々改造した(笑)。これはレンズの裏側から「絞り板」というドーナツ状の板を取り去る処置。このレンズはその絞り板によって収差を抑えて“画質を向上”させている。つまり、いわゆる「ベス単フード外し」と同じ原理でよりソフトな描写になるというわけだ。

改造を終えてさっそくモデルさんを撮ってみたが、ただでさえユルいレンズがいよいよユルさを増して大変味わい深い描写になった。カメラやレタッチソフトのレトロ系エフェクトとも相性が良く、大いに楽しんでいるところだ。

ところで、この年末に「Editor's Shot! 2016」というフォトコンテストでまさかの入賞を果たし、賞品としてキヤノンEOS M5を頂戴した。もともと一眼レフカメラで使おうとEFマウント版を買ったHolga Lensだが、これ幸いと早速マウントアダプターEF EOS-Mを購入。

「使いやすいライブビューでピントが正確に合わせられるー!」などと、EOS M5共々活用している次第。たまにはこういうレンズでユルい写真を撮るのもまた面白いものだ。

たけいしおさむ:本誌記者・Web編集者。ここ近年は、レンズは買えどボディは購入していないので、来年はレンズ交換式で何か狙いたいところですね。

「HOLGAレンズ」にEOS M/Nikon 1/PENTAX Q用が追加