旅カメラは犠牲をともなう。旅で出会うあらゆるシーンを撮り尽くそうとすれば、携行する機材が増え、機動性が悪くなる。かといって機材を減らすと、撮影力が制限されてしまう。機動力と撮影力、両者のトレードオフは避けようのない関係だ。
幸いなことに、本連載の主役であるOLYMPUS STYLUS XZ-2には豊富なアクセサリーが用意されており、これらをXZ-2といっしょに携行すれば、様々なシーンを思い通りに撮影できる。しかもXZ-2用アクセサリーはどれもミニマムサイズだから、携行アイテムが増えても苦にならない。
XZ-2とアクセサリー一式をカメラバッグに詰め、秋の伊豆高原を旅してみた。
※旅×カメラ:OLYMPUS STYLUS XZ-2(その1)
※旅×カメラ:OLYMPUS STYLUS XZ-2(その3)
今回の撮影旅行に携行したアイテム一式。これなら小さなカメラバッグにすべて収まる |
XZ-2 / 3,968×2,976 / 1/320秒 / F5.6 / -0.7EV / ISO100 / WB:オート / 47mm |
XZ-2 / 3,968×2,976 / 1/400秒 / F5.6 / -0.7EV / ISO100 / WB:オート / 85mm |
■実用性重視のトラベルスタイル
まずはXZ-2の純正アクセサリーのなかから、旅スタイルに欠かせないアイテムをピックアップしてみよう。
ひとつめは自動開閉レンズキャップ「LC-63A」(5,040円)だ。4枚羽根で構成されたこのレンズキャップは、カメラの電源を入れるとレンズが羽根を押し開いてせり出してくる。文字通り、自動で開閉するレンズキャップだ。標準付属のキャップのように着脱する手間がなく、またカメラに付けっぱなしでよいので、旅先でレンズキャップを紛失する心配がない。
自動開閉レンズキャップを付け、電源投入したところ。右は標準付属のレンズキャップだ。電源オフにすると自動的に閉じる。キャップを着脱する手間が省ける(写真では斜めに装着されているが、カメラ底面に対して縦横のラインが直交するよう、まっすぐ装着できる) |
ふたつめはストラップだ。一般的な三角環を介してストラップを取り付けるXZ-2では、さまざまなストラップを取り付けて楽しめる。
ここで取り上げるオリンパス純正の「CSS-S109LL II」(5,040円)は、本革を用いたショルダーストラップである。ポイントは斜め掛けに対応した余裕のある長さだ。斜め掛けは手を離してもカメラが暴れないため、カメラを提げた状態で両手が使える。旅カバンを持ったままスナップするような場合も安心というわけだ。むろん、カメラをすばやく構えられるのも利点である。
表は光沢のあるレザー、裏面はスエード調でストラップが滑らないように配慮している |
約125〜150cmの間で長さ調節が可能。首掛けと斜め掛け、双方に対応できる | 長さ調節用に大きめのバックルを採用。デザイン上のアクセントになっている |
撮影旅行中はとかくバッテリー残量が気になるものだ。旅先でのバッテリー切れに備えたいなら、LI-90B用リチウムイオン充電器「UC-90」(7,350円)をカメラバッグに忍ばせておきたい。これはパソコンのUSB端子から電源供給できる充電器だ。
撮影旅行にノートパソコンを携帯する人は少なくない。万が一出先でバッテリーが切れても、UC-90があればノートパソコンにつないで急場をしのげる。要はノートパソコンを電池代わりに使おうというわけだ。
さすがにコンセントのない場所でフル充電するのは現実的ではないが、「あと数カット!」というピンチから救ってくれるはずだ。
UC-90はケーブルを収納してコンパクトに持ち運べる。まさに旅向けアイテムだ |
ノートパソコンのUSB端子につないでバッテリーを充電する。短いケーブルが特長だ | 標準付属のアダプターをUC-90につなぐと、コンセント経由の充電が可能だ |
XZ-2 / 3,968×2,976 / 1/400秒 / F2.1 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 56mm |
XZ-2 / 3,968×2,976 / 1/100秒 / F5.6 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 112mm |
XZ-2 / 3,968×2,976 / 1/400秒 / F5.6 / -0.7EV / ISO100 / WB:オート / 42mm |
XZ-2 / 3,968×2,976 / 1/500秒 / F5.6 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 97mm |
■アクセサリーで撮影力アップ
コンパクトデジタルカメラは撮影面で何かと制約がある。その制約を解き放つのもアクセサリーの役割だ。その代表格といえば、やはりコンバージョンレンズだろう。
XZ-2にはいわゆるテレコンが用意されており、35mm判換算190mm相当の超望遠撮影が可能だ。しかもテレコンを付けた状態で開放F2.5を確保しており、ボケ味を活かした写真が撮りやすい。
専用アダプターを介すためコンバージョンレンズとしてはかなり大柄だが、大口径望遠レンズと思えば納得のゆくサイズだ。
テレコンバージョンレンズ「TCON-17X」(1万5,750円)は、コンバージョンレンズアダプタ「CLA-12」(3,150円)を介してXZ-2に取り付ける | 取り付けはスクリュー式だ。取り付けたらカメラ側で「コンバージョンレンズ設定」をONにする |
XZ-2 / TCON-17X / 3,968×2,976 / 1/500秒 / F5.6 / -0.7EV / ISO100 / WB:オート / 190mm |
XZ-2 / TCON-17X / 3,968×2,976 / 1/500秒 / F5.6 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 190mm |
XZ-2 / TCON-17X / 3,968×2,976 / 1/2000秒 / F2.8 / -0.7EV / ISO100 / WB:オート / 190mm |
XZ-2 / TCON-17X / 3,968×2,976 / 1/2000秒 / F2.8 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 190mm |
■アクセサリーシューを使い倒す
旅のスナップは屋外撮影が圧倒的に多いだろう。そのとき役に立つのがEVFだ。XZ-2は電子ビューファインダー「VF-2」(3万1,500円)の装着に対応しており、昔ながらのファインダーをのぞきこむスタイルで撮影できる。
144万ドットの液晶パネルを採用し、高精細であることはむろん、追従性も申し分ない。接眼部分のリングで視度調節できるので、眼鏡をかけている人も安心だ。また、チルトにも対応しており、ウエストレベル風のスタイルで撮影できる。コンパクトサイズの「VF-3」(2万4,675円)を装着することも可能だ。
VF-2はPENシリーズ向けに開発されたEVFだが、XZ-2にも装着できる。より小型なVF-3も装着可能だ | VF-2はチルトに対応する。接眼部をまわすと視度調節が可能だ |
XZ-2はストロボを内蔵しているが、別途純正の外部ストボロが装着できる。
そのうち「FL-14」(2万1,000円)は小型ながらGN14相当で、安定した光量の確保が可能だ。また、バウンス撮影したいなら、エレクトロニックフラッシュ「FL-300R」(1万8,375円)という選択肢もある。
XZ-2はISO12800まで対応しているため、暗所撮影で困ることはマレだろう。こうした外部ストロボは、被写体の前面にかかる影を消す感覚で使いたい。
FL-14はクラシカルスタイルのコンパクトな外部フラッシュだ | FL-300Rは上向き60度、下向き30度のチルト機構を搭載する。広角レンズ用のワイドパネルも内蔵している |
■着脱式グリップでドレスアップ
フラットボディの従来機XZ-1に対し、XZ-2は着脱可能なグリップを採用している。OLYMPUS PEN E-P3で好評だったギミックをコンパクトカメラにも取り入れたわけだ。標準でブラックのグリップが付属しており、取り外すとXZ-1に似たフラットボディになる。
グリップは樹脂製ベースにラバーが貼ってあり、しっかりとボディをホールドできる | 側面のネジをコインなどでゆるめると、ボディからグリップを取り外せる |
また、オプションでプレミアムグリップ「XCG-2」が用意されており、ベージュ、レッド、パープルの3色から好みのカラーが選択可能だ(各3,150円)。どのカラーも落ち着きがあり、ブラックボディとよく似合う。
同系色のストラップを合わせたり、服装やカメラバッグとカラーコーディネイトしてもよいだろう。
XCG-2 PUR(パープル) | XCG-2 BEG(ベージュ) | XCG-2 RED(レッド) |
■“アクセサリーフル装備”の安心感
XZ-2とアクセサリー一式を携えた今回の旅は、思っていた以上に自由な気持ちで撮影できた。
テレコンの追加で広角から超望遠までカバーでき、目の前にあらわれたどんな被写体にも積極的に追いかけられる。EVFで常に被写体をしっかりと見据えられる点も快適だ。コンパクトカメラとはいえ、ダブルズームキットのミラーレス機を持ち歩いているような心強さがある。
また、自動開閉レンズキャップがレンズバリアの代わりになるため、レンズの露出を気にせず気軽にハンドリングできた。気分はリラックス、撮影は本格派。フル装備のXZ-2はそんなスタイルで撮れるカメラだ。
XZ-2 / 3,968×2,976 / 1/400秒 / F5.6 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 42mm |
XZ-2 / 3,968×2,976 / 1/400秒 / F2.2 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 66mm |
(協力:オリンパスイメージング株式会社)
2012/11/21 00:00