特別企画
秋の行楽シーズンのパートナーに…初心者にも易しいVlog撮影向けシンバルカメラ「Osmo Pocket 3」
ブレない映像と多彩な撮影モードで「本格的な映像を簡単に」
2024年9月15日 12:00
秋の行楽シーズンに差し掛かり、どんなカメラを持っていくか思案している人も多いと思う。ミラーレスカメラも良いが、カジュアルに動画を楽しむならジンバルカメラも見逃せない。
ジンバルカメラと言えばDJIの「Osmo Pocket」シリーズが定番になった感があるが、2023年発売の最新モデル「Osmo Pocket 3」(以下Pocket 3)でその地位は一層強固なものになったように思う。
今回はPocket 3で旅行などを動画にまとめるVlogを想定し、自撮りを含めた人物撮影にトライしてみた。ブレ補正の優秀さに加えて絵も綺麗と、さすが発売以来人気を博しているモデルなのだと改めて実感することになった。
人物と景色を自然な明るさで描写
Pocket 3の詳細については、すでにレビュー記事があるのでそちらを参照してほしい。大きな特徴としては従来機からサイズアップした1型センサーを搭載するほか、タッチ画面が2型と大きくなり、回転に対応。縦動画も撮りやすくなっている。
Pocket 3本体は7万9,200円。今回はワイヤレスマイク、バッテリーハンドル、広角レンズ、ミニ三脚などがセットになった「クリエイターコンボ」(9万9,800円)を試用した。
まずは立ち止まった状態で自撮りを試した。今回は細かい撮影設定が可能な「PRO」モードではない、オートが基本のモードで撮影している。またスローモードと低照度モードを除いて、4K/60pで記録している。
人物や景色の明るさ、ホワイトバランスも好ましく、非常に綺麗に撮影できていた。「美顔効果」を使っているので肌も滑らかでそのままSNSにアップするのにも適しているだろう。
この動画の前半はPocket 3本体のマイクで音声を拾っている。後半はクリエイターコンボに含まれるワイヤレスマイク「DJI Mic 2 トランスミッター」を使っているが、声が格段にクリアに収録できていた。
このマイクは初期状態でペアリングしてあり、マイクの電源を入れるとすぐに使える。動画でしゃべることが多いならぜひ揃えておきたいオプションだ。
歩きながらでも安定した画面
続いては歩きながら自撮りと景色を撮影した。歩きながらでも安定して撮れるのはジンバルカメラならでは。歩く振動をほとんど感じさせずに撮影できていた。
ちなみにジョイスティックを3回押すことで通常撮影と自撮りを切り換えらえるので、撮影者と景色を簡単に同じカットで見せることができる。
ジンバルの動作モードには種類がいくつかあるが、今回はVlogなど一般的な撮影に向くと説明されていた「フォロー」モードを使った。これで自然に撮りたいものを追いかけてくれる。ほかには「チルトロック」や本体を向けた方向にカメラが向く「FPV」などがある。
動きながらでも顔を追いかけてくれる
Pocket 3は基本的に人物の顔を認識してピントなどを合わせてくれるが、それとは別に動きながら撮影しても人物をジンバルでフォローしてくれる「自動顔認識」機能が付いている。
画面の中央に近い顔を認識して追いかけくれるということで、例えば歩きながら他の人を収める場合などに向く。
ミラーレスカメラなどでは人物を中心にキープしつつお互い歩きながら撮るのはなかなか難しいが、この機能を使うと被写体の周りを回りながらといった効果的な撮り方が簡単にできた。
構図重視の撮影モード
もう一つ面白いモードがあって、それが「ダイナミックフレーミング」モードだ。画面に表示される9点のいずれかに人物の顔などを置いて確定すると、人物やカメラが動いても画面内でその位置を保つように自動調節される。
ここで表示されるトラックポイントは、主題を配置するのに適した位置を表しているようだ。作例では右上のポイントを採用したが、目線の方向を開けられることもあり景色に対して人物の収まりが良い。日の丸構図を防ぎ、カメラ初心者でも上手な構図で撮影できる機能となっている。
本格的なスロー映像も
スローモーションの機能も試してみた。映像がドラマチックになるので、ここぞというシーンで使うとよいだろう。撮影モードで「スローモーション」を選ぶとすぐスロー撮影が可能になる。スロー時は音声は記録されない。
作例は4Kで最も高フレームレートとなる120pキャプチャの「4x」モードを使った。記録フレームレートは30pとなる。また、フルHDだと最大「8x」となる240pキャプチャも可能だ。
カフェでの自撮りは?
撮影モードを「PRO」にすると、フォーカスモードが選べるようになる。よく使われる「シングル」や「連続」のほかに「製品展示モード」がある。
製品展示モードでは顔よりも前にある被写体に素早くピントが合うようになっており、商品紹介などでアイテムをアップで映す場合に適する。
この特性を使うと、作例のようにカフェで飲み物などを前に出してフォーカスをそちらに合わせて撮ることができる。「PRO」モードに入らないと呼び出せないのがもどかしいのだが、旅先で料理やお土産品を見せるなどぜひとも活用したいフォーカスモードとなっている。
1型というセンサーサイズのせいか、グラスにピントが合った際に人物がボケる被写界深度の浅さも雰囲気づくりに一役買っていると思う。
なお、フォーカスモード「連続」でも不安定ながら手前のアイテムにピントが来てくれることもあるが、スムーズなピント移動で確実にアイテムに合わせたい場合は製品展示モードが良いようだ。
低照度モードを試す
イメージセンサーのサイズは先代「Pocket 2」の1/1.7型から1型へと大型化しており、直接同じシーンで比較はしていないが光量の乏しい場所での画質向上は期待できそうだ。
8月末の18時半頃、薄暗くなったところで人物と夜景を撮影してみた。ここでは「低照度」という暗い場所向けの撮影モードを使った。フレームレートが4Kでは最大30pに制限されるが、実際よりも明るく綺麗に撮影できていたのが印象的だった。
まとめ
「Osmo Pocket」シリーズとしてはいよいよ第3世代となり、かなり完成度が高まったのは間違いなさそう。センサーの大型化で比較的暗い場所での撮影も有利になり、Vlogカメラとしてのオールラウンダー感は一層増した。
撮影機能もかなり充実しているが、他方でデザインなどハードウェアの作り込みも大幅に進化している。回転式モニターもその一つで、回転させることで電源のON/OFFが連動するのは特筆すべき使いやすさだった。
とにかくパッと起動させてパッとしまえるというのは、旅先などでは使い勝手に関わる重要なポイント。そういった部分も抜かりなく進化しているのも評価したい部分だ。
価格に関しては、Pocket 2に比べると結構上がっている。最近は4K対応ジンバルカメラも低価格を売りにしたモデルも多数登場してきているので、Pocket 3ももう少し買いやすい値段だと嬉しいというのが本音だ。
ただ、スペックを比べるとPocket 2の後継機と言うよりは上位モデルと言ってよい性能は持ち合わせている。高価だが10bitのLog記録もできるようになったので、カラーグレーディングをするなど高度な編集にも対応できる懐の深さもあるカメラといえそうだ。
モデル:進藤もも(https://x.com/MoMo_photograph)