特別企画
135mm単焦点レンズで捉える夢幻的なアイスショーの世界
“Plena”をFantasy on Ice 2024 in AICHIで使う
2024年9月14日 12:00
アイスショー「Fantasy on Ice 2024 in AICHI」を撮影する機会があったので、その様子をお伝えしたい。
「Fantasy on Ice 2024」は、トップスケーターとトップアーティストの共演が楽しめるアイスショー。例年は春にツアーとして日本各地で開催される。2024年は幕張、愛知、神戸、静岡で開催となった。
2024年の愛知公演は、各国のトップスケーターが一堂に会する華やかな舞台となった。冬季オリンピック金メダリストの羽生結弦さんをはじめ、世界選手権チャンピオンのハビエル・フェルナンデスさんなど、錚々たる顔ぶれが氷上に集結した。
屋内スポーツの撮影現場で広がる単焦点レンズの波
撮影で使用するレンズはニコン「NIKKOR Z 400mm f/2.8 TC VR S」と「NIKKOR Z 135mm f/1.8 S Plena」。基本は400mmで撮影しながら、135mmは近くにスケーターが来た場合や、スポットライトで被写体を強調したい場合などに使用する。ボディはミラーレスカメラ「Z9」。
昨今の屋内スポーツの撮影現場において、主流になりつつあるという「135mm単焦点レンズ」。70-200mmの代替として使うカメラマンも多いそうだ。トリミングやクリップ機能を使うことで、約200mm相当の画角が得られる点もちょうどよい距離感なのかもしれない。
135mmに限らず、24mm、35mm、50mm、85mmと単焦点レンズを持ち歩くカメラマンもいるという。交換レンズの小型軽量化も伴い、ズームレンズの利便性より単焦点レンズの画質を優先する人が多くなったのだろう。カメラ本体やレンズのAF性能向上により、被写界深度が浅いレンズでもピントが合うようになった点も理由の1つとも言える。ズームレンズと比べて絞り開放値も明るく、早いシャッター速度で切れるのも利点となる。
多くのアイスショーではレーザーやスモーク、スポットライトなど様々な光の演出が行われる。演目によって照明も異なるため撮影条件が厳しいことが多い。そんな環境下でのPlenaの使用感はどうだろうか。
Plenaの使い心地
スケーターが近づいてきたなと思ったら400mmから135mmに持ち替え。AFは迅速かつ正確で、とっさに持ち替えてAF追従を始めても気持ちよいくらいに被写体を捉える。被写体検知機能を持ったカメラと組み合わせることで、絞り開放でも安心して使える。
2人1組で演目を行うアイスダンスもF1.8で撮影することで被写体が際立つ。ボケも滑らかで没入感を高める。
スポットライトの具合で氷上にはシルエットが浮かび上がる。
逆光状態になっても被写体をシャープに描写するのも気持ちよい。強い光でもAFは問題なく追従し、安心して撮影できる。
暗い場面でも速いシャッター速度で切れるので、被写体ブレの心配がない。場合によっては照明による縞模様のフリッカーがでる場合も多々あるため、そのあたりも臨機応変にシャッター速度を調節していく。
画面隅々までの円ボケを特徴とするレンズだけあり、舞い散る氷の結晶さえも、夢幻的な円ボケで捉える。
氷の飛び散る様子やその場の空気感を写し出す描写に、多くのカメラマンが魅了されるのも納得できる。
まさに“空間が満たされている”というラテン語に由来する「Plena」(プレナ)の名に恥じぬ、空間を満たす圧倒的な描写力とボケ表現を実現している。
今回紹介した「Fantasy on Ice」は、有名アーティストとのコラボレーションでも知られている。さらに、スケーターたちのオリジナル演技が披露されるのも、このショーの大きな特徴だ。一流のスケーターとアーティストが織りなす、夢のような空間。幻想的な照明効果とリンクから漂う涼気が、観客をより一層魅了する。
アイスショーは例年、春から夏にかけて開催される。来年の「Fantasy on Ice」の日程はまだ発表されていないが、氷上と音楽のパフォーマンスが融合した、この独特のエンターテイメントを体験してみてはいかがだろうか。
取材協力:株式会社CIC