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極めてオールマイティでバランスの良いミラーレスカメラ「EOS R6 Mark II」レビュー

「動物」「ポートレート」「スナップ」でその実力を探ってみた

EOS R6 Mark II。装着レンズはRF24-70mm F2.8 L IS USM

2022年12月に発売された「EOS R6 Mark II」。この記事では、動物・ポートレート・スナップの作例撮影を通じて、「EOS R6 Mark II」の性能や使い勝手をお伝えさせていただきます。

「EOS R6 Mark II」のスペックを見ると、AF、画質、手ブレ補正、動画性能といった、昨今のミラーレスカメラの先進機能をバランスよくまとめている印象です。ただ、何でも撮れてしまいそうなだけに、どのようなカメラなのか特徴をつかみづらいようにも思えます。

そこで、今回は「犬」「ポートレート」「スナップ」という異なる3ジャンルにおいて「EOS R6 Mark II」を使用し、その性能を確かめてみることにしました。

チャレンジその①|高速で走り抜ける犬を捉える

まず、「EOS R6 Mark II」の大きな特徴として挙げられる「高速・高精度AF」と「トラッキング(追尾)性能」を試してみるために、ドッグランにて2匹の大型犬(ゴールデンレトリバーとオーストラリアン・シェパード)を撮影しました。

EOS R6 Mark II/RF135mm F1.8 L IS USM/135mm/マニュアル露出(1/3,200秒・F4.5)/ISO 1250

検出する被写体を「犬」にして、連写速度を約40コマ/秒に設定。シャッター速度は基本的に1/8,000秒です。飼い主さんにボールを投げてもらい、それを追いかける犬を追いかけました。

全力で走る大型犬は信じられないくらい速く、20mくらい先から走ってくるのを「RF70-200mm F2.8 L IS USM」で狙いましたが、フレーミングに許された時間は1秒くらいと、普段高速で動く動物を撮らない私にとって、かなり難しい撮影となりました。

RF70-200mm F2.8 L IS USMとの組み合わせ例
EOS R6 Mark II/RF70-200mm F2.8 L IS USM/100mm/マニュアル露出(1/8,000秒・F5.0)/ISO 2000

最初に驚いたのは、AFの食いつき方です。走り出す前、横を向いてボールを見つめる犬の瞳をすでに食い気味に検出していましたし、走り出しても瞳をしっかりと追い続けます。その粘り強さと正確さは驚異的で、犬がフレームアウトする本当にギリギリのところまでついてきていました。まるでパラパラ漫画を見ているようで、実際は1~2秒しかファインダーを覗いていないのですが、もっと長い時間、被写体を見つめているような気分でした。1ターン撮り終わったあと「これはすごい!」と思わず口にするほどです。

全速力でボールを追いかける犬の瞳を追い続ける様子(動物認識を使用)

ちなみに、ドッグランだと飼い主さんやほかのお客様の顔を検出してしまい、画角によってはAFが散ってしまうこともありました。そこで「検出する被写体の限定」で「動物優先」だけにすると、AFが犬一点に集中して非常に快適になりました。

「検出する被写体」として「動物優先」を選択
今回は「検出する被写体の限定」で「動物優先」だけに
EOS R6 Mark II/RF70-200mm F2.8 L IS USM/200mm/マニュアル露出(1/8,000秒・F6.3)/ISO 2500

「EOS R6 Mark II」は、電子シャッターで約40コマ/秒での連写が可能です。フレーミングに許された時間が1秒程度でも、約40コマ撮れることになります。かつAFも正確なので、思った以上の撮れ高があり、犬の躍動感がしっかり出ているより良いカットを選ぶ余裕がありました。犬の速度が想像をはるかに凌駕していたので、撮影が終わってから「このカメラでなければどうなっていたことだろうか……」とヒヤっとしたのを覚えています。

これは感覚的な部分もあるかもしれませんが、超高速で走る犬をフレーミングするときは、背面モニターを見ながらだと全然ついていけませんでした。逆に、電子ビューファインダーを覗くと非常に集中できました。

個人的にミラーレスカメラの電子ビューファインダーによっては、のぞいているうちに気持ち悪くなってしまい気分が乗らないのですが、「EOS R6 Mark II」の電子ビューファインダーは光学ファインダーに近い自然さで見えます。違和感は感じませんでした。

EOS R6 Mark II/RF135mm F1.8 L IS USM/135mm/マニュアル露出(1/2,000秒・F1.8)/ISO 100

現場ではテザー撮影を利用して、撮れた成果を随時ノートPCで確認しながら進めましたが、高速連写でも転送が途絶えなかったことに驚きました。ちなみに「EOS R6 Mark II」での無線転送の設定はわかりやすくなっていて、「EOS Utilityと接続」というメニューを選ぶだけで、すぐにできます。テザー撮影が快適だったので、飼い主さんにも随時写真を共有しながら撮影を進められました。

EOS R6 Mark II/RF70-200mm F2.8 L IS USM/86mm/マニュアル露出(1/8,000秒・F5.6)/ISO 1250

高速で動く犬の動きを止めて撮るには、シャッター速度をとにかく速くする必要があります。また、絞りを開けすぎると流れる毛並みをシャープに写せないので、ある程度絞る必要もありました。そのような理由から、高速シャッター&深めの絞りという組み合わせで撮影することになり、必然的にISO感度が高くなっています。

「高感度だけど画質は大丈夫かな?」と心配だったのですが、ザラつきはほとんど感じません。その後プリントもしてみましたが、ISO 100とISO 2500の2カットを並べてみても、かなり詳細に見比べなければノイズ感がわからないほどでした。

チャレンジその②|モデル撮影でポートレート適性を見る

次は、ポートレート撮影で「EOS R6 Mark II」を使用してみました。ポートレートということで、1月26日発売の新レンズRF135mm F1.8 L IS USMも使用。さらに静止画だけではなく動画でも、その性能をチェックしてみました。

RF135mm F1.8 L IS USMとの組み合わせ例
EOS R6 Mark II/RF135mm F1.8 L IS USM/135mm/マニュアル露出(1/640秒・F1.8)/ISO 100

まず印象に残ったのが、人物の瞳を検出する精度です。犬撮影の時と同様に、高速で瞳を検出してくれたので、撮影中は非常に頼もしかったです。横を向いているときはもちろんですし、被写体の目の前に木の枝がかかっているシーンでも、正確に瞳だけを追い続けてくれたので、様々な構図に積極的にチャレンジすることができました。

EOS R6 Mark II/RF135mm F1.8 L IS USM/135mm/マニュアル露出(1/1,000秒・F1.8)/ISO 100

今回は、あえて曇りの日の繊細なニュアンスを生かして撮影していますが、RF135mm F1.8 L IS USMは色乗りもとても良く、被写体の存在感を際立たせてくれる写りです。ややもすると、曇りの日はのっぺりした写りになってしまいますが、RF135mm F1.8 L IS USMは心地よい立体感のある写真を生み出してくれました。

結果、イメージ通りに撮れて満足です。ずっしりとしており鏡筒も長いのですが、その分ホールド感は高く、手持ちで静止画・動画ともに安定して使えました。

EOS R6 Mark II/RF50mm F1.8 STM/50mm/マニュアル露出(1/640秒・F1.8)/ISO 100

今回は静止画を撮る中で、「いいな」と思った瞬間に動画に切り替えていきました。こういう場合、切り替えスイッチがカメラ上部にあるが便利です。被写体を待たせることなく助かりました。

左手側上部にあるのが静止画撮影/動画撮影切り換えスイッチ

また、静止画と動画のどちらを撮影しているのかを、瞬時に判断できるのも良いなと思いました。静止画と動画をシームレスに撮影するユーザーが多くなっていますが、そういう方にとてもおすすめできるカメラだと感じます。

4K動画にもチャレンジしてみました。6Kオーバーサンプリングを採用しているだけあり、その画質は感動ものでした。「動画カメラ」として使用するにも十分な性能を備えています。

6Kオーバーサンプリングでの4K60P記録(撮って出しをカット編集)

「クリエティブフィルター動画」も試してみました。今回使用したのはそのうちの「オールドムービー」です。選択するだけで、急に映画のワンシーンのような雰囲気の動画が撮れてしまいました。

写真にフィルターをかけるのと同じ感覚で気軽に使えるので、カメラの操作や動画編集が苦手な方でも、これがあれば一発で好きな雰囲気の動画が撮れるのではないかと思いました。

クリエティブフィルター動画「オールドムービー」を使用

「EOS R6 Mark II」は動画の6時間連続撮影が可能です。仕事ではよく30分以上動画を回すのですが、ミラーレスカメラだと29分59秒以上回せるカメラは限られてくるので、機材選びに困ることが多いのが現状でした。「EOS R6 Mark II」のように、信頼できるミラーレスカメラで長時間動画を回せるようになったというのは、個人的にとても嬉しいニュースです。

チャレンジその③|スナップで機動力をチェック

最後は、「EOS R6 Mark II」を街スナップに持ち出してみました。シャッターチャンスを逃すまいと、ボディを手に持ったまま5kmくらい歩いて気になる被写体や光景を撮影します。

EOS R6 Mark II/RF15-35mm F2.8 L IS USM/35mm/マニュアル露出(1/3,200秒・F3.5)/ISO 100

重厚な見た目の「EOS R6 Mark II」ですが、ボディ持つと思ったよりライトな感触です。疲れを感じることはありませんでした。食べたり飲んだり景色を眺めたり……撮影以外の時間も元気に満喫できました。

EOS R6 Mark II/RF50mm F1.8 STM/50mm/マニュアル露出(1/640秒・F1.8)/ISO 100
EOS R6 Mark II/RF50mm F1.8 STM/50mm/マニュアル露出(1/500秒・F1.8)/ISO 100
EOS R6 Mark II/RF50mm F1.8 STM/50mm/マニュアル露出(1/160秒・F1.8)/ISO 100
EOS R6 Mark II/RF50mm F1.8 STM/50mm/マニュアル露出(1/1,000秒・F1.8)/ISO 100

特に、「RF50mm F1.8 STM」との組み合わせはコンパクトで、スナップには最適だなと思いました。片手に食べ物、片手にカメラ、という状態でも腕がプルプルすることなく楽に撮影できるのです。

RF50mm F1.8 STMとの組み合わせ例
EOS R6 Mark II/RF50mm F1.8 STM/50mm/マニュアル露出(1/80秒・F2.2)/ISO 800

撮りたい! という衝動に、即反応できる操作性を兼ね揃えているのも嬉しいところです。スナップでよく使うシャッター速度、絞り、ISO感度などはダイヤルを回せばすぐに変えられてわかりやすいですし、ピントはタッチパネルでサクサク合わせられました。

室内の暗い場所でシャッター速度が遅くなるシーンもありましたが、ボディー内手ブレ補正が効いているので危なげなく撮れました。さらに、手ブレ補正(IS)機構を搭載した対応RFレンズを使うと、ボディー内手ブレ補正の協調制御で最大8.0段の手ブレ補正効果が得られるようです。

EOS R6 Mark II/RF50mm F1.8 STM/50mm/マニュアル露出(1/80秒・F1.8)/ISO 800

バリアングル液晶なので、極端なアオリ写真も楽々撮れてしまいます。さらに防塵防滴なので、多少の水滴はへっちゃら。

家に帰って大きなモニターで確認してみましたが、35mmフルサイズの解像感の高さに驚きました。さらに、大きくプリントもしてみましたが、満足な仕上がりです。高感度のザラつきのなさは驚異的、と表現してよいと思います。作品制作にも十分使えるカメラだと感じました。

まとめ

「犬」「ポートレート」「スナップ」という異なる3ジャンルにおいて「EOS R6 Mark II」を使用してみましたが、見事にそれぞれのジャンルで実力を発揮してくれました。どのジャンルでも撮影に充実感があり、そのパフォーマンスは期待以上でした。普段「EOS R5」を使用している私ですが、心から、バランスの良い素晴らしいカメラに仕上がっていると思います。

高性能だけども、わかりやすいカメラなので初心者にもおすすめですし、より高度な撮影にチャレンジしたいハイアマチュアのお供にもぴったりなカメラでしょう。撮る人の望みに応えてくれる、それが「EOS R6 Mark II」の魅力かなと思いました。

モデル:川口紗弥加
ヘアメイク:松本年男
製品撮影:曽根原昇
制作協力:キヤノンマーケティングジャパン株式会社

1983年東京都生まれ。慶應義塾大学法学部法律学科卒。有限会社ハーベストタイム所属。雑誌・書籍での執筆やアーティスト写真の撮影など、さまざまなジャンルで活動。