特別企画

アイドルライブを撮るならCanon EOS R7が最高だと感じる理由―。

プロデューサー兼フォトグラファー高田メタルも絶賛!

高田メタルさんにアイドルグループLily of the valleyをEOS R7で撮影してもらいました

ELLEGARDENのベーシストとして活動する傍ら、アイドル現場を主軸とするプロカメラマンとしても知られている高田メタル。キヤノンの人気ミラーレス機EOS R7は、ライブ撮影に最適なのではないかという噂を聞きつけて、今、注目のアイドルグループLily of the valleyの現場で実践投入。気になるポイントをレポートする。

左から尾野寺みさ、星乃るな、蒼羽海
高田メタル

1976年、千葉県生まれ。ロックバンドELLEGARDENのベーシストとして活動する傍ら、忍者(日本古来の文化)+アイドル(現代日本の文化)という独自の世界観を持ったアイドル、忍者クライシスのプロデュースや、さまざまなアイドルのオフィシャルカメラマンを担当している。はじめて好きになったアイドルは中山美穂さん。

EOS R7は3,250万画素の高画素機でありながら、30コマ/秒の高速連写を誇り、推しを高画質で撮りまくりたいファンのため、まさにライブ撮影のために作られたカメラ。同時に発売された高倍率ズームレンズのRF-S18-150mm F3.5-6.3 IS STMや、大口径レンズを含む豊富なRFレンズを使用できることも大きなアドバンテージとなる。推しを自動で検出してくれるし、ぶらさずにシャープに描写してくれる。

フルサイズ機に比べて画角が焦点距離の1.6倍相当になるので、150mmで撮影しても240mm相当(35mm判換算)の画角が得られる。客席後方からの撮影でも心強い。今回は現場からEOS R7の使用感を5つのポイントでレポートする。

EOS R7
主なスペック
有効画素数:約3,250万画素
記録媒体:SD/SDHC/SDXCメモリーカード(UHS-Ⅱ、UHS-I対応)
EVF:0.39型、約236万ドット、約1.15倍
アイポイント:約22mm
被写体検出:人物/動物/乗り物
ISO感度(常用):100~32000
最高シャッター速度:メカ/電子先幕 1/8,000秒、電子 1/16,000秒
最高連続撮影枚数:メカ/電子先幕 15コマ/秒、電子 30コマ/秒
連続撮影可能枚数:RAW 約46枚、JPEG 約184枚
手ブレ補正:最大8段(協調) 背面モニター:3.0型、約162万ドット
撮影可能枚数:約380枚(EVF、なめらかさ優先)
外形寸法(W×H×D):約132.0×90.4×91.7mm
質量:約612g(バッテリー、カードを含む)

発売日:2022年6月23日
キヤノンオンラインショップ参考価格:19万7,780円(ボディのみ、税込)

ポイント①:被写体検出「人物」 を活用すればガチピンの写真が量産できる!

人物の頭部や胴体にカメラが自動でピントを合わせ続けてくれる被写体検出「人物」。ディープラーニングを活用したキヤノンのアルゴリズムによって実現したオートシステムだ。暗い会場で、速い動きを追う場面でも検出は良好。

AF動作は「サーボAF」、被写体追尾を「する」に設定。「フレキシブルゾーンAF」など画面の中で検出域を限定した状態でも被写体検出は作動する。マルチコントローラーでゾーンを移動させれば、ソロショットだけでなくグループの撮影中でも任意の被写体を検出させることも可能だ。

複数のメンバーがいる状況でも自由度の高い撮影ができると、ライブ撮影では強みになる。精度も良好なのでAFはカメラを信頼して任せ、構図やシャッターチャンスに集中できるので撮れ高は爆上がりだ。

客席後方からの撮影でも、瞳に簡単にピントが合わせられるな!
AFモードは検出する被写体を「人物」に設定する。瞳検出は「する」にすると、瞳にAFを合わせ続けてくれる。基本的には一番手前にいたり、中央にいる子に合う傾向がある
顔のアップだけでなく、グループ全体の撮影にも瞳AFは効いてくる
尾野寺みさ
客席後方から狙う。少し見晴らしの悪いポイントだが、手を上げて背面モニターで構図を確認しながら撮影。カメラ任せでもピントがしっかり合ってくれる
EOS R7/RF70-200mm F2.8 L IS USM/172mm(275.2mm相当)/マニュアル露出(F2.8、1/6,400秒)/ISO 5000/WB:オート
夏目咲莉愛
お客さんの隙間からでAF的には厳し目の条件だが、被写体検出をしてくれたので構図とタイミングに集中することができた。瞳にフォーカスが合った写真は力強い
EOS R7/RF70-200mm F2.8 L IS USM/135mm(216mm相当)/マニュアル露出(F2.8、1/640秒)/ISO 2500/WB:オート
星乃るな
客席から撮影する場合、バリアングルモニターと被写体検出の組み合わせは重宝する。なんといっても構図の自由度が高まるのだ。手を伸ばして構図を微調整して撮影
EOS R7/RF70-200mm F2.8 L IS USM/128mm(204.8mm相当)/マニュアル露出(F2.8、1/125秒)/ISO 160/WB:オート
2階席からの距離でも、グループ全体から1 人をズームアップしたソロショットまでピント を合わせ続けてくれる。フレームの中で顔のサイズが小さくなっても検出してくれる
EOS R7/RF70-200mm F2.8 L IS USM/128mm(204.8mm相当)/マニュアル露出(F2.8、1/125秒)/ISO 160/WB:オート
沢村りさ
200mmで開放絞りに設定。被写界深度はかなり浅くなって来るため、ピントもシビア。顔 がアップになるとピントも目立つ。ふだんなら神経を使うシーンでも問題なし
EOS R7/RF70-200mm F2.8 L IS USM/128mm(204.8mm相当)/マニュアル露出(F2.8、1/125秒)/ISO 160/WB:オート

ポイント② 30コマ/秒の高速連写が推しの最高の瞬間を捉える

シャッター方式を電子シャッターに設定すると、最高で30コマ/秒の高速連写が可能になる。まるで動画のように一連の動きを記録できるので激しいターンなどの振り付けや、見たことのないような良い表情をうまく切り取ることができ、満足度は高まる。加えて、サイレントシャッター機能を使用するとシャッター音がしなくなるので、トーク中にもじゃますることなく撮影することができる。

EOS R7はダブルスロットのため、RAWとJPEGを分けた記録も可能。単純に容量も確保しやすく、その連写性能を十分に引き出してくれる。

2階席からの撮影でも高速連写で撮影しておけば、良い表情を逃すことはない
シャッター方式は電子シャッターにする。ローリングゆがみのアラートが出るが、ライブの撮影で特に気になったことはない
サイレントシャッター機能をONにするとシャッター音が鳴らなくなるので、周りの目を気にせずに撮影が楽しめる
星野るな
客席ではたくさんのサイリウムが揺れていた。電子シャッターに設定して高速連写で撮影していたので、記録した写真の中からサイリウムがちょうど良い位置で前ボケになっているものをセレクトすることができた
EOS R7/RF70-200mm F2.8 L IS USM/147mm(235.2mm相当)マニュアル露出(F2.8、1/1,600秒)/ISO 10000/WB:オート
尾野寺みさ
ライブ中はメンバーの立ち位置が目まぐるしく変わる。客席からの撮影では移動の自由が制限されることも多い。コマ違いの3枚と並べてみると他のメンバーの手やマイクが見切れている瞬間があるのが分かる
EOS R7/RF70-200mm F2.8 L IS USM/135mm(216mm相当)/マニュアル露出(F2.8、1/125秒)/ISO 400/WB:オート

ポイント③ 最大約8段分の手ブレ補正効果を利用して撮影に集中する

EOS R7は、ボディ内手ブレ補正とレンズの手ブレ補正が協調制御することによりその手ブレ補正効果が高まる仕組みが搭載されている。これに対応しているRFレンズを装着した場合、最大で約8段分の手ブレ補正効果が得られる。標準ズームレンズのRF-S18-150mm F3.5-6.3 IS STMでは150mm側で約7段分の効果がある。

望遠端でも十分な補正効果があると、暗いライブハウスの撮影でも手ブレの心配はほぼない。被写体ブレを考慮したシャッター速度にする必要はあるが、被写体が止まっているシーンでは表情をアップで狙ってもぶれない。

お気に入りのレンズ、RF70-200mm F2.8 L IS USMは、望遠側で7.5段分の手ブレ補正効果がある!
RF-S18-150mm F3.5-6.3 IS STM
RF-Sレンズの中で最も望遠になる240mm相当の焦点距離が得られるレンズ。望遠端では約7段分の手ブレ補正効果がある。小型・軽量のため、EOS R7に装着しても圧迫感がない。会場でもスマートに撮影できる。
尾野寺みさ
ライブの序盤、まだ動きの少ない時間帯に、240mm相当でお客さんの間から引き寄せた。手ブレを気にすることなく、フットワーク軽く攻めた撮影ができるので、撮影時のストレスが軽減される
EOS R7/RF-S18-150mm F3.5-6.3 IS STM/150mm(240mm相当)/マニュアル露出(F6.3、1/500秒)/ISO 10000/WB:オート

ポイント④ 大口径RFレンズを使えばボケたっぷりの表現が可能

ライブ撮影での最大の課題はISO感度の確保。EOS R7は高感度性能が良いとはいえ、できるだけ明るさが確保できる大口径レンズは魅力的。露出が稼げるだけでなく、明るいF値が作る大きなボケも背景の処理や推しを目立たせるためには欠かせない。

被写界深度が浅くなる開放撮影でも信頼のおける瞳検出とのコンビネーションは力を発揮する。中でも1本目の単焦点レンズにおすすめしたいのがRF50mm F1.8 STM。35mm判換算で80mm相当となり、ポートレートに最適な焦点距離となる。価格も約3万円と安価でライブ撮影ではもちろんのこと、特典会や撮影会でも重宝するだろう。

背景の点光源を玉ボケにすれば推しがキラキラ輝く
開放F1.8は夜の撮影も得意。被写体検出のおかげで瞳にしっかりとピントが合う
RF50mm F1.8 STM
RF-Sレンズのラインアップはまだ少ないが、EOS R7にはRFレンズを装着できる。マウントアダプターは不要(焦点距離は1.6倍相当になる)。フルサイズ機とレンズを共用できるメリットは強い。
尾野寺みさ
薄暗い夜の街を背景にして街灯の下に立ってもらった。ごちゃごちゃとした飲食街ではあったが、背景をぼかしてF1.8の開放絞りで撮影し光源で作った玉ボケで彩った
EOS R7/RF50mm F1.8 STM/50mm(80mm相当)/マニュアル露出(F1.8、1/125秒)/ISO 1250/WB:オート

ポイント⑤ 1.6倍相当の画角になるので撮影すれば推しのアップが撮れる

APS-C機の魅力は、35mm判フルサイズカメラに比べて画角が焦点距離の1.6倍相当になるので、例えば200mmのレンズを装着すると320mm相当のレンズとして使うことができる。会場の規模にもよるが、ライブハウスとホールの間くらいの会場では、200mm以上の焦点距離が必要になってくることが多い。

今回はRF70-200mm F2.8 L IS USMの200mm側を使用することが多かったが、RF100-400mm F5.6-8 IS USMやRF100-500mm F4.5-7.1 L IS USMあたりのレンズも1.6倍の焦点距離になればかなりの超望遠になるので、立ち位置が2階席や会場後方であれば、これらをセレクトしてもいいだろう。

少しでも高い場所があったら上る。お客さんの頭の間から顔のアップが狙いやすいからだ
ライブハウスの端にある20cmほどの段をフル活用しよう
RF70-200mm F2.8 L IS USMのコントロールリングにはISO感度を割り当てて、ISO感度を瞬時に変更している
尾野寺みさ
小さなライブハウスでもサイドからの撮影になると、メンバーとの距離は意外と離れている。グループの中から1人をクローズアップするには320mm相当は必要だ
EOS R7/RF70-200mm F2.8 L IS USM/200mm(320mm相当)/マニュアル露出(F3.2、1/640秒)/ISO 1000/WB:オート
デジタルカメラマガジン別冊ムック『アイドル撮影テクニックガイド』

今回ご紹介した記事をはじめ、アイドルライブを撮影するテクニックが満載の1冊。全17組のアイドルが登場し、プロ写真家が撮り方や表現のアドバイス、必要な機材を解説している。

2022年9月26日発売

推しが輝く瞬間が撮れる! アイドル撮影テクニックガイド-ON STAGE&OFF SHOT-
https://book.impress.co.jp/books/1121102070

Lily of the valley

2018年に結成。通称「リリバリ」。とびきりの笑顔と強いココロで世界を照らす関西出身のハイパーアイドル。HAPPYでEmotionalなステージと、「アイドル界最強うるさい」と評判のトークは必見! 毎月の定期ライブ「リリバリズム」を開催中

公式ページ
https://www.lotv0801.com/

取材写真:山本春花
協力:Lily of the valley
協力:キヤノンマーケティングジャパン株式会社

高田メタル